リィンカーネーションに花束を   作:ピーシャラ

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結構早い帰りやった。
所詮リメイクでございます。
感想等。ドンと来いや。

花言葉は
悲しい思い出と転生と再会する日を楽しみに


入学までのあれやこれや
第一束。ヒガンバナの花束を


ーーーーり損なった!!!

 

 

 アインの殺気が俺の体の半分を抉り取ると口から滝のように噴き出した鮮血がいつかに敷いた電源の落ちた、真っ黒なモニターに溶け落ちる。

 

 腕どころか左半身を持っていくように抉り取ったアインは真っ赤に染まった腕を振るい血を弾き飛ばすと、また叫びながら持ち前の転移で俺を確実に殺しにかかってくる。まずい、と危機を感じるよりも、もっと嫌な胸騒ぎがした。

 

 強く噛んだ舌から血が出るほどの、憎悪を抱えた血走った目で俺を殺そうと駆けるアインよりも胸騒ぎのする方に目を向ける。だが、それより早く西耶が俺の腕を掴むと、俺たち二人だけを囲み覆うように黒い波に視界が覆われた。

 

 波が明けるとアジトの入り口…俺が刻んだ重瞳の印がついた洞穴の入り口に出た。出た瞬間、お互い立つことができなくなった俺と西耶は膝をつき始めお互い倒れないように肩を支えざるおえなかった。

 

「ヒュッー、ヒュッー、ッカハ!……お前は、何をしたいんだよ…」

 

 半身から血を流し、隙間風が吹くような、変な呼吸で血を吐きながらも心の中に籠もっていた疑問を情けなく喚くように吐き出すと西耶は震える手で俺の頬に切り傷をつけたかと思えば顔を上げた。

 

「ほんと…ですよね。ごめんなさい……」

 

 何時かのように微笑んだ笑みは自分への呆れと自嘲を浮かべ、困ったような顔をしていた。そんな顔を見たせいか、さっきまでの苛立ちはいつの間にか消え、俺も釣られて呆れ帰り、ついつい笑って納得してしまう。今も左半身からは絶え間なく血が大量に溢れ出して死ぬかもしれないのに痛みは感じず、内側にあったものが重力に従って落ちていく…不思議な感覚を味わっている。

 

 そうだった。

 コイツが誰かを進んで傷つけるような真似をするはずが無いんだ。ただ単に弟を傷つけた存在が許せなかっただけなんだ。

 やり直せる。

 まだ、手を……繋ぎ直せる筈だ…。

 

 意識を集中させ起死回生の一手を展開しようと息を吸い込む。

 …しかし、この体はもう限界らしい。万象儀を扱うための体力も、もう出せず。上げようとしていた右手は、力なく地面に落ちた。西耶も同じように不規則な呼吸をし、それを繰り返す度に胸部の血痕がじわじわと広がっていく。

 

 俺も、西耶も此処で終わる……。

 

 そんなネガティブな考えが頭をよぎる。

 それだけは必ず避けなければいけない。もしも俺たちが終われば必ず戦争になる。

 

 

 

 あいつらが、訳もわからず死んでいく。

 

 

 

「項羽……さん…」

 

 息が絶える寸前の西耶が話しかけてくるが俺にはもう声を出すほどの力も、意識も、ほとんど無くなっていた。

 

「…弟に…謝りたいんです。何も……兄らしいことを、して、やれなくて…ごめんと…伝えたいんです」

 

 苦しそうに息をし、言葉を詰まらせながら、なんとも弱気なことを嘆く西耶に睨むように目を合わせると俺の伝えたいことを声にならない言葉で伝える。

 

 ぼやけた視界から映る西耶には、上手く伝わったのか同じように霞んだ瞳で涙を流し、はにかんだ西耶は言葉を綴るが、俺には何を言っているのかよく聞こえなかった。

 よく分かるのは全身の血の気が引き、冷たくなっていく手足の感覚と瞼が重くなっていく気怠い感触だけだ。もはや、お互い支え合うことも出来なくなり弱々しくへたり込むことしか出来なかった。

 

 俯きながら譫言のように呟き続ける西耶に心の中で未練がましく相槌をうつこしか出来ないことが、ただただ苦しかった。

 

 

 

 あぁ。あぁ……。そうだな謝って…仲直りしよう……弟に…あいつらに、謝って…そん、で……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………それ以上、言葉が続くことはなく青く澄んだ空に二枚の花弁が舞い散った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「てんめェ!なに寝てんだ!八戒くんに失礼だろ!!」

 

「……は?」

 

 謎の怒鳴り声に思わず目を開けると目の前には俺の視界を埋め尽くすほど大きい薄いピンク色が目についた。唐突な光景に目を丸くしてフリーズしていると別の方から声が聞こえてきた。

 

「うわっ!なんだお前その目!?」

 

 別の方から聞こえてきた声に目を向けるとちっちゃいガキがこっちを指差して驚いていた。ん?ちっちゃいガキ??その言葉に思わず、無くなった自分の左半身を摩るとそこに腕が()()()

 

(なんで……)

 

 思わず今度は触った手の方を見れば()()()()()()()()()()。驚いて全身を確認すると全身がなよなよと頼りなく、そして手足の短い脆弱そうな体つきになっていた。前との体つきの差に愕然とし信じられないとペタペタ身体中を触っていると、いきなり頬に衝撃を受け、俺の体はぶっ飛んだ。急速に移動する視界と後からついてきた痛みに、殴られたのだと理解する。

 

 誰が殴ったんだと見てみれば目の前にいた薄いピンク色の肌……俺よりも大きい、もうブタがそのまま直立して擬人化したような奴が太い腕を振りかぶった状態を確認するのを見るとコイツが俺を殴ったんだと確信すると胸の奥の何処かからジンジンと音が鳴った。

 いや、そこじゃない。…何でコイツは"こんな"姿をしているのにコイツからは花弁が出てないんだ?

 

 俺の疑問を他所に、えらくつぶれたブタ鼻と言うか、もうブタのような鼻をブヒッと鳴らした"八戒"と呼ばれたブタは俺に向き直る。

 

「ッブヒ……お前、なにオデのことを無視してんだよ」

 

「…………お前こそ誰だ?いきなり人の顔殴りやがって」

 

 殴られ赤くなった頬を抑えながら八戒を睨みつけると本人共々、傍に控えていた俺と同じくらいの背丈をしている奴らも此方をじっと見つめ、なにを言っているんだコイツは?と言いたげな顔をしている。

 

「何言ってんだ?いつもなら泣き叫んで逃げるくせに……ムカつくな!」

 

 そう言って猪のように真っ直ぐ突進してくる八戒は大きな動きで俺に殴りかかってくる。俺もお返しと言わんばかりに万象儀を腕に纏わせ()()()()()()()()()。そのままカウンターでぶん殴ろうと心に決めていると突進していた八戒が突然、動きを止めた。

 

「……ブヒッ!なんでテメェが()()使えてんだよ!!」

 

「…………は?」

 

 ……"個性"?何だそれは"才能"じゃないのか。

 

 お互い、拳を構えたまま頭の上にハテナマークを乗せて固まっていると子供相手にこれを使うのはバカらしいと、頬に傷を付けた後。万象儀を解除する。ふと八戒の方を見ると何故か無性に腹が立ってきた。

 

 ……何でだろうな…?すっげぇムカつく…。どっか誰かに似てんだよな〜。と顎に触れながら頭ん中で悶々と疑問と怒りが飛び交うように思案していると目の前の八戒がブルブルと震えながら汗を浮かばせていたことに気付かずにいた。

 

「何やってんの!!貴方たち!?」

 

 どこからか聞こえてきた怒鳴り声に振り向いた瞬間、八戒は泣き叫びながら逃げていった。急に逃げていった八戒に取り巻き含め俺も少しポカンとした顔になるが、すぐに我に帰り取り巻きたちは八戒を追うように何処かに走り去って行った。それと入れ違いなるように妙齢の女性が息を切らしながら走ってきた。

 

「はぁ…はぁ…。項羽君大丈夫!?」

 

「………?おう…」

 

 何故、八戒は逃げて行ったのだろう。何故、この人は俺の名前を知っているのかと様々な疑問が頭の中でハテナマークとなって飛び交い、眉間にシワが寄るが心配されたのだから返事はしておく。

 

 近くに寄った女性は頬の傷を見て一通り何か心配するようなことを言った後。手当てを施そうと、絆創膏を持って来るために踵を返した女性に聞きたいことがあるからと思わず手を掴んでしまった。そのまま頭の中に飛び交っていた疑問の一つを口に出す。

 

「此処はどこだ?」

 

 この後、いろいろ質問してきた女の人が突然、泣き出したと思えば病院をたらい回しにされた。

 泣き出して開口一番に聞いた女の人の声は「項羽君が先生のごと忘れちゃっだぁっーー!!!!」

 ……だったような気がする。

 

 

 

 

 

 

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「大変じゃ!先生っ!!」

 

 薄暗い…なんて言葉じゃ足りないぐらいドス黒い闇の住む場所。そこに一人の小太りの老人が息を切らし、しわがれた声を張り上げながら自分の敬愛する、ある人物を探していた。

 

 普段、運動なんてしないのだろう。大量の汗を流しながらも手に持った数枚の紙切れは離さず次に読む人のことを考慮しないほどクシャクシャに握りながら走っていた。まぁ、次に読む人物はそんな事、蚊ほどにも気にしないであろうが。

 

 部屋の奥、探し求めていた人物は真っ暗闇な部屋の中、黒く革製の椅子に座りながら楽しそうにヒーローが活躍しているニュースを見ていた。

 急いでその人の元へと駆け寄り手に持っていたものを見せる。

 

「どうしたんだいドクター。そんなに慌てて、何か良いことでもあったのかな?」

 

 落ち着きのあるそれでいて期待するように抑揚のついた低い声。聞く人が聞けば心が安らぐような心地の良い声をしているが発せられる雰囲気は見る人のすべての恐怖を煽る。見る人からは、まるで魔王のような悍しい気配を漂わしていた。魔王は回転する椅子を回転させ小太りな老人の前に向き直ると紙切れを受け取る。

 

 一通り紙切れに目を通した魔王は目の前で年甲斐もなく、興奮を抑え、おもちゃを待っている無邪気な子供のような顔をしている老人に目を向けると老人はもう良いだろう我慢ならんと、まるで自慢するかのように口を開いた。

 

「今日、わしの研究病院に来た"個性"を発現させた子供なんじゃがな!聞いて驚け!此奴は個性因子が()()のにも関わらず"個性"を扱っとるんじゃ!!」

 

「…………へぇ」

 

 興奮し唾を飛ばしながら喋る老人に嫌な顔一つせず話を聞いた魔王はニタリ、意地の悪い不気味な笑みを浮かべ再び貰ったカルテに書いてある名前に目を落とし貼り付けられた写真を眺め新しい玩具を見つけた子供のようにキラキラした目をしていた。

 

「どうじゃ!!"やつら"が復活したとは思わんか!?」

 

「そうだねぇドクター…。会うことが出来たなら嬉しくて、嬉しくてゾクゾクするよ!……『黒籍項羽』くんか…楽しみだな…………ンフフフフ…」

 

 邪悪に笑う敬愛する我が主人が興味を持ってくれたことを嬉しく思う老人は今日会った重瞳の彼に感謝し、また笑った。壁にかけてある()()()()()()()()()がきらりと怪しく光るのが目に映るとまた高々しく笑った。

 悪よりもたちの悪い、邪悪が蠢いていた。

 

 




お早い帰りになってしまった…。
最近、コロナが大流行して大変な状況になってきました。
自粛で暇な時間をせめて、こんな小説で暇を足せたなら幸いですわ。
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