何ヶ月ぶりかの投稿です。最近、pixivでカゲプロの二次創作の漁りにハマっています。どうもピーシャラです。
それが原因で遅れたからって石を投げないでね☆
スイマセンデシタ。
歓迎を
「は…?どいうことだ、なんで…!これがお前の言う転移ってやつか?」
「お、ご明察だな。まぁ取り敢えず中に入ろうぜ、茶ぐらいは出すからよ」
「おい待てよ!ここは何処だ…どうして、俺をこんな所に連れてきた!?」
学校で過ごしていた時の落ち着いていた様子とは打って変わり俺の肩をぐわんぐわん、と強く揺らしながら狼狽した様子で聞いてくるあたり今の轟は正常な思考が取れていない。
しかし、落ち着け。お前を連れてきたのはココにいる奴らにお前を合わせたいだけなんだ。勿論、他意はあるが俺の中での第一目的はそれとしかいいようがない。
「ッ…だから!ココは何処ーー「うるさいですよ、あなた達!」!?」
突然、眼前にある鉄門から発せられる怒鳴り声に反応した轟はビクッと大きく肩を揺らし、すぐさま声のした方に体を向かした。鉄門の向こう側には、轟からしたら見覚えのない女性なのだろうが…俺からしたら馴染み深い顔が迷惑そうな顔を浮かばしている一人の女性職員が後ろで結んだ長い髪を揺らしながら竹箒を抱え込むように握りしめて立っていた。
「呼ばれた時間に来てみれば、人の家の前で騒がないで項羽君。近所迷惑でしょー!入るのなら早く入って!もうすぐ皆んな帰ってくるわよ!」
「すまん、今入るから待ってくれ。轟、早く入るぞ!」
「は、ちょ、おい待て!」
いつの間にか門を開けてくれと頼んだ約束の時間になっていたのか、前もって轟を連れてくることを連絡しておいた職員……皐月さんが既に鉄門を開けて出迎えてくれた。
うるさくしていたことはすまないと思っているが、それ以上に今は小学生連中の下校時間を過ぎていることに気が付き、うるさくなる前に中に入ることを優先する。
何が起きているのか分からないという顔で無防備を晒している轟の腹に腕を回し、俵を担ぐように肩に乗せる。
未だ困惑の色を隠せずとも抵抗の意を見せながら俺の背中を強く叩きながら暴れる轟を落とさないようにしっかり掴みながら門の内側に入っていく。
美形の男子高校生を同じ制服を着た男が俵担ぎで運んでいく。
慣れていない人間からすればとんでもない奇行だが、そんな俺の行動に慣れてしまった皐月さんは轟に「ごめんね。少しだけ付き合ってくれる?」と同情を込めた視線と共にそう言うと、俺には鋭い目つきで、「暗くなる前に帰らせなさいよ」と囁いて、置き去りにされたバックを回収すると俺たちの後に続いてさっさと門を閉めた。
「放せー!!」
柄にでもなく背中で叫ぶ奴を無視して。
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「…おい、頼むからもう放せ。さっきから何処に向かってる?お前の後をずっとついてきてる子供はなんだ?」
黒籍に担がされて無理矢理中に入らされて十数分。
かなりの量の氷を出しちまったから結構、体が寒くて仕方がないのでさっさと家に帰って暖まりたい。
隙を見て逃げようと思っているが黒籍は以前、俺が逃げるものと思っているのか離す気配が全くしないのでどうしたもんかと思っている。
それに、行き先も、何をするのか、何も言わないから不安で仕方ねぇ。
さっきから小学校低学年から中学生ぐらいの格好した子供らがちょろちょろと俺たちの後をつけて、バレていないつもりなのか壁から覗いたり、遠くの方から双眼鏡で楽しそうに見てくるので気になって仕方がない。
さっき黒籍は孤児院といった気がするが…どこの孤児院もこんな雰囲気なのかと疑問に思った。
思わず、そんなことを聞いてみると黒籍は相変わらず飄々とした様子で答えた。
「あぁ、あいつらはココに住んでるガキ達だ。大方、俺たち以外で雄英の制服着たお前に興味があるんだろ、後で相手してやってくれ。あと、今向かっているのは院長室だ。ココの決まりとして身内が連れてきた客人は必ず婆さんに紹介しないといけない決まりなんだよ。因みにお前が行くことは連絡済みだから安心しな」
安心できない。危害を加えられることはないと判ったが…何故、いきなり連れてこられて訳のわからぬままルールに従わなければいけないんだ。と言うか降ろせよ。
そう思うと腹が立ち、再び黒籍の背中を右手で叩いて"個性"を発動させると背中から黒籍の下半身を這い覆うように氷結が連なる。
それと、同時に目の前の方から驚いた声がした。
しまった。目の前に小さい子供がいることを忘れて"個性"を使ってしまった。氷の被害にあった奴がいないか目を向けてみるが氷結に巻き込まれた子供は幸いにもいない様子で逆に目に映る子供ら、みんな目を輝かせながら無邪気な笑顔でキャッキャと笑い声を上げながら興味津々とばかりに一段と距離を詰めてきた。
「ねぇねぇ!それ、お兄ちゃんの"個性"ぇ!?ちょーかっこいい!」
「見て、氷だよ!つめたーい!」
「あははっ!項羽にいちゃん凍っちゃってる。マヌケー!」
怖がってどこかに行ってしまうのかという自分の予想に反して子供達は、氷漬けにされて寒そうにしている黒籍を見て楽しそうにケラケラと笑っていた。好奇心旺盛すぎやしないか?
中にはお世辞なんかという言葉を知らないように綺麗に輝いた目を向けながら誉めてくる純粋な子供もいるぐらいで、轟は少し驚いていた。
「さっむ!!お前、何回目だこれで!」
顔にふざんさけるなと分かりやすく書いてある黒籍に、轟はお前が話さないからだろ…と声には出さなかった。
心の中でそう嘆いている間に文句を言いながらも氷を溶かした黒籍は自分を下ろしたかと思えば、足元にくっ付いている子供の一人をひょいと持ち上げると残っている子供達に自分をビシッと指差し、
「逃げようとするから手ェでも繋いで、捕まえておけ!婆さんのとこ連れて行くぞ!」と言った。
その声に反応した子供達はまるでヒーローごっこでもしているかのようにおっー!と応えると、小さな手達を轟の指を一人ずつ絡めるように握り、引っ張るように歩き始める。
流石の轟でも、子供の手を乱暴に振り払えるほどの非道さを持ち合わせてはいない。子供を肩に乗せて歩く黒籍の後ろを、手を繋いだ子供達と大人しく追いかける。
偶に、自分よりも圧倒的に背の低い子供らのほうに目を向けてみれば眼下にいる一人の女の子と目が合ったかと思えば、ニパッと可愛らしい笑みを浮かべた。
そんなに子供が好きじゃない自分でも悶えそうになるほど愛くるしい笑みだったと轟は後々、このことを思い出すことになる。
そういや…こうして誰かの手を繋いで歩いたのっていつ以来だ…?
指から伝わる暖かい温もりから唐突にそう感じて脳裏によぎったのは、窓の内から庭の中でボールを蹴って遊んでいた兄と姉達を覗いていた自分を強引に引っ張り、彼らを蔑む忌々しい父の大きな背中が浮かんだ。
それよりも、もっと前はというと…思い出すことが出来ない。いや、きっと母と一緒に手を繋いで歩いたこともあるのだろう。
しかし、記憶の中の母は笑ってなどはいない。
いつも、涙を流しながら自分に憎しみの籠もった眼差しを向ける母の姿しか思い出せなかった。
嫌なことを考えると思わず眉間に力が入って顔が曇ってしまう。すると、隣いる轟の暗い雰囲気を感じたのか手を握っていた子供の一人がハッと顔を上げ、まるで大丈夫かと言っているかのような目で轟を見つめた。
小さな視線に気が付いた轟は、子供にいらない気を遣わせたと思い、大丈夫だと微笑む。子供は何か言葉を返そうとしていたが再度、轟が大丈夫と言うと、渋々といった感じだが納得したのか再び前を向いて歩き始めるが、それでも心配なのか自分の指を掴む手はさっきよりも少し力んでいた。
…優しくて、過敏だ。轟は自然とそう思っていた。初めて会ったのにも関わらず、少し暗い顔をしただけで直ぐに気付いて心配してくるような人間は残念ながら轟の周りにはいなかった。
もしかしたら自分の姉や兄弟たちならまだ、気付いてくれるかも知れない。けど、こんな過敏な反応はしないだろうな。
母さんだったらどうするのだろう…。
「着いたぞ、轟」
得意じゃなかった想像を止め、目の前を歩いていた黒籍の体の先には茶色の扉が、確かにあった。扉の丁度、上には丁寧な文字で院長室と書き記されたプレートがあるのに、何故かその隣にはもう一枚。子供が書いたのだろうか、マジックペンの緩い文字で「おばあちゃんのへや」と書かれたプレートが寄り添うように並んで貼られていた。
たったこれだけで、この中にいる人物がどんな人柄なのか簡単に想像できてしまい、それと同時に微笑ましくなってしまう。
「せんせーきたよー!」
「婆さん、客人連れて来たぞ」
子供たちが無邪気に騒ぎ、黒籍がノックを二回しながらそう呼び掛けるが向こうから返答がない。
黒籍が仕方なしとドアノブに手を掛けた瞬間。ドアがゆっくりと開かれ、丸メガネをかけた人の良さそうなお婆さんが姿を現した。
「よぉ、婆さん。いるならへんじをっ!」
「!?」
なにも喋らずに俺と黒籍を交互に見合ったかと思いきや、突然、黒籍の腹をぶん殴るお婆さん。
黒籍は肩の上に乗っかっている子供を抑えているため、老人とはいえかなり勢いのある拳に抵抗できずに老人とは思えない威力のボディブローをモロにくらい倒れこそはしなかったがなかなか辛そうな表情をしていた。
突然の出来事に何事かとたじろぐ俺に対し、子供たちからしたら見慣れた光景なのか何事もなかったかのように俺から手を離し、お婆さんに抱きついていた。
「あんたが轟君かい?すまないねぇ…そこにいる無駄にでかい大食らいのバカに無理に連れてこられたんだろ。付き合う必要なんてないから暗くならない内に早く帰りなされ」
「婆さん、いきなり何しやがる…!」
「お黙り。あんたぐらいだよ、私の血圧あげてくる問題児は。さっき、皐月ちゃんの連絡でこの子が無理やり連れてこられている事は既に伝わってるのよ。わかったなら、今すぐ丁重にご自宅までお送りしなさい。ね、その方がいいでしょう?」
「え……いや」
掌を子供らの頭に優しく乗せ、微笑みながら諭すように俺に帰るように促すお婆さんになぜか俺は戸惑った。
家に帰ればあのクソ親父が忌々しい眉間に皺を寄せた忌々しいツラで待ち構えていることだろう。
アイツのことを考えると出来ればあの家には極力帰りたくはない。
しかし、他に行くところもない。仲の良い友人もおらず、隣家の住人もあの男の威圧感に怯え、血縁関係でもある祖父母たちは、あの男の味方だ。
ましてや独立して一人暮らしを始めようともすぐに限界が来てしまうだろう、それ以前にあの男が俺を手放すなど赦すはずもないのだ。
「大体、アンタはいつもいつも遊んでばかりでコッチの手伝いなんて全くしてくれないんだから!少しは八戒を見習いなさい!」
「仕方ねぇだろ!やろうにもやる前に八戒が全部やっちまうんだよ!」
「前に、来た時。アンタ子供の面倒も見ずに寝てただけじゃないか!」
「なんで、それ知ってんだよ婆さん!?」
いつの間にか黒籍とお婆さんの二人が口喧嘩を始めていた。お婆さんの近くにいた子供らも二人に勢いについていけないのか何処かに姿を消してしまっていた。
…それに、あの家には唯一の姉がいる。狂ってしまった母の代わりになってくれた、大切な姉が。そう言えば、姉とも昔、手を繋いで歩いたことかあったことを思い出す。
居なくなってしまった母を求めて、一度だけ家を抜け出したことがあった。母は俺のことを憎んでると思いながらもクソ親父から逃げて母に助けを求めて家を飛び出した。
結果的には、母のいる病院を知らない俺は案の定迷子になり、見知らぬ土地に一人でいる不安と、誰も助けてくれない恐怖から公園のブランコで泣いていたことを覚えている。その後はよく覚えていないが気付いたら姉さんに抱きしめられて、一緒に手を繋いで歩いて帰ったことを覚えている。
…未だ、小さな事で口喧嘩を続けている黒籍を見る。
戦闘訓練で全力も出さずにクラス全員に勝って、余裕そうにしているムカつく奴。俺の今までの努力を否定された気分だ。
それにいきなり話しかけて来たかと思えば、ズカズカと心の中に入って来やがる無神経な奴だ。
それでも何故か…どうしてだろうと疑問に思ってしまう自分と、この男の近くにもう少し居たいと思う自分がいる。
……ごめんなさい姉さん。
居なくなった母を求めて泣いていた俺を抱きしめてくれた姉さん。
今はきっと、俺の帰りが遅くて心配している俺の姉さん。
…ここなら何か見つかるような気がするんだ。
だから、少し我儘を言わせてくれ。
「もうちょっと、ここにいて良いか?」
黒籍の嬉しそうな顔が癪に触ったが凍らせるのを踏みとどまった俺を誰か褒めて欲しい。