くっちく〜♪くっちく〜♪駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐!くっちく〜♪くっちく〜♪駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐!くっちく〜♪くっちく〜♪駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐!くっちく〜♪くっちく〜♪駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐駆逐!くっちく〜♪くっちく〜♪(えんどれす
ロボの頭を次々ともぎ取りながら即興で考えたクソのように短い歌を口ずさみながら走る。…100越えた辺りからポイントを数えるのやめたが今どれぐらい溜まっているんだ?数えときゃ良かった。
試験が始まってから大体、今6分ってところか…?無双している最中も危なそうな奴助けたりしてそこそこ時間使ってるが10分なげーな。
「おい!あんた!!」
「あん?」
後ろからの掛けられた声に振り向けば、同時に地面が音を鳴らしながら揺れた。地鳴りってやつだ。どうやらそれは市街地の中央から鳴っているらしく中央に目を向けると向こうからは大きな土煙が上がり、その影の中でビルから頭三つ分ぐらい抜きん出ている何かが動くのが見えると、俺は金髪インコが言っていたことを思い出す。
『コイツは各会場にいる、お邪魔虫だ!リスナーには避けることをお勧めするぜ!』
4pt……!
「おい!なぁ、あんた!!」
「あぁ!?なんだ、さっきから!?」
4pロボに向かって走り出そうとした瞬間さっきと同じ声の主に呼び止められた。なんだと少しイラつきながら振り返ってみると、目の周りのまつ毛がとんでも無いことになっているむさ苦しそうな男が立っていた。
「さっき、助けてくれてありがとう!これだけ言いたかった!」
…あ、コイツたぶん馬鹿だ。
確かにさっき、コイツと似たような奴を上から降ってくる瓦礫から助けた。しかし、それは助けてから大分前のことだ。誰かが俺のことつけてくるなとは思って無視していたがもしかしてコイツはお礼を言うだけのためにずっと俺の後を追っかけて来たのか?
そうだとしたら、余程のクソ真面目か、大バカ野郎だ。
自分の将来が掛かっている切迫詰まった、時間の少ない中、他人に助けてもらったお礼を言うだけためにコイツは時間は費やしたのか?そうだとしたらかなりのバカで愚直で…あぁ腹いてぇ。
「…お前、名前は?」
「ん?
笑っている俺を不思議そうに首を傾げながら答える鉄哲の姿は今は堪える。ある意味で。そんな鉄哲に俺は提案をする。
「いやー、お前いい奴だな〜って。それでよ、向こう行ってみるか?」
俺が指差した先を見た鉄哲はサメのようなギザギザの歯を剥き出しにし、やる気に満ちた笑顔で拳同士を打ち付け頷いてくれた。やっぱりコイツ見てると腹が痛くなる。
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「オオオオオオオオォッ!!!」
自分は走ってないくせに熱苦しく叫び倒す鉄哲を米俵のように抱え、コイツの"個性"『スティール』でビルの壁を突き破りながら一直線に4pロボの下まで走り切り、4pが荒らした道路に出てるとロボの後ろを取ることができた。
「じゃあ、手筈通りに!お前は救助者を助けて安全圏まで逃げろ!俺はあのクソデカを壊す!!」
「了解!ってか聞いてなかったけど、どうやってぶっ壊すんだよ!!」
俺が無言で握り拳を作ると馬鹿を見るような目で見られた。ロボの前にお前を潰してやろうか?
走り出した鉄哲を見送り、未だ進行を続けている4pロボに向き直る。意識を周りに集中させ、俺の近くに逃げ遅れた奴らがいないか確認すれば万象儀を鉄哲や他の受験生らがいる範囲以外に思いっきり万象儀を広げるとある物達を拾う。
受験生らに倒されたロボの残骸やクソデカに破壊された道路の破片、ビル、街灯や地面まで俺の周りにある全てのものを覆う。
万象儀の黒い波に覆われた物は意思を持ったかのように浮き上がると次々にぶつかり合い一つの物体になり始める。ただの物質の集まりだった球は、徐々に形を成し始め遂には、4pロボと同等…それ以上のサイズの
「巨人の拳だぁッ!!!!」
遠くで鉄哲の燥ぐ、無邪気な声に思わず吹き出しそうになってしまう。後ろに現れた物体に気付いた4pロボは大きなキャタピラを回転させれば対抗するように拳と向き合った。
こうして見ると迫力あるな、鉄哲が燥ぐ理由もわかる気がする。
間抜けなことを考えながらも俺は握っていた自分の拳をゆっくり開く。すると、それに連動するかのように上空にある拳も手を大きく広げ、まるで4ptロボと握手するかのように手を前に差し出す。しかし、そんな和平を結ぼうだなんてアホなことは考えていない。俺は巨人の手で4ptロボをすっぽり包み込むと徐々に力を入れ始める。
掴まれることを察知した4pロボは両腕を広げ、自身よりも大きな指を押し返し始める。しかし、俺が握る力を込めれば、そんな抵抗は虚しいとしか言いようが無いぐらいに広げられていた手は狭まり始め、4pロボの関節部分からバキバキと部品が潰り切られる甲高い金属音がした。
頭を親指で押し潰したのを最後に、4pロボの巨体の所々で爆発が起き始めると暫くして、手の中で動いていた反応が消えた。
終わったか…。もう試験も終わるだろ、張り合いがないな、と少し落胆しながら巨人の手を周りに被害が出ないように万象儀を解除すると後ろから鉄哲の声がした。振り向いたことを少し後悔したと同時に怒りが湧いた。
正直に言って気が緩んでいた。弱く、張り合いの無い仮想敵を相手に楽勝だと、調子に乗って思い、付け上がっていた。
どこにだってある。
長閑な山の中でも、喧騒の激しい街の中だって。
試験の最中、見計らったかのようなタイミングで上から看板が降ってきて死んでしまうかもしれない不慮の事故なんて何処にでもあることを頭から抜けていた。
アイツは今、怪我人を背負って、手が塞がっている。上から落ちてくる看板には気づいていない、あと数秒もすれば怪我人もろともアイツは潰れて死ぬ。今から走っても、万象儀を向かわしても間に合わない。
どうすれば-------!
『……なんだいそれは?』
この時に思い出すなよ…。
「鉄哲ッ!!」
「!?」
「伏せろッ!!!」
解放された巨人の手から出てきた街灯を掴んで、万象儀を纏わせる。助走も使わず、足を大きく開き、腰の回転を加えた力と、脱力していた手に一瞬、力を込め放つ。瞬間で亜音速と同じ速さを叩き出した槍に模した黒の街灯は、真っ直ぐ、鉄哲と言う名の的に真っ直ぐ進む。
『…それはお前自身が心の底から失いたく無いと感じたものを、守りきった時だ』
自分の顔目掛けて飛んでくる街灯に驚愕の表情を浮かべ、殆ど反射でしゃがんだ鉄哲の真上と正面には既に看板と街灯が迫っていた。コンマ数秒後、立っていた鉄哲の頭があった位置に看板が落ち、オールマイトが大きく描かれた看板に街灯が突き刺さると、勢いそのまま、向かい側のビルの外壁に深々と突き刺さった。
『…なら僕はこのマレンゴを守りきって死のうかな?』
『いや別に、死ねと言ってる訳じゃなーんだけど…』
ナポレオンは自分の愛馬を撫でながらそう呟いたが、俺はどうやら見当違いな解釈をしていることに、思わず呆れてため息を吐いたのを思い出す。
こんな時につまらねぇ話を思い出して、つい口角が上がる。でもこれで、あの指針があっという間に塗り変わったことを喜んだ。
向こうではビルに突き刺さった街灯と看板を見た鉄哲が口をポカーンと開けた間抜けな顔で怪我人を背負いながらへたり込んでいた。
その姿に笑いを堪えていると同時に試験終了を告げる金髪インコの声が会場全体に響いた。その声にハッと顔を上げた鉄哲の顔がものすごい間抜けな顔で吹き出してしまったのは秘密だ。
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「八戒〜。何位だった?」
「………いろいろ言いたいことはあるブけど、受かった前提で聞くなよ。二位だブ」
「お、流石だな。よくやった」
「…すごく上からな物いいだけど、項羽は何位だったの?」
「ふ…世界最強の俺だぞ、一位に決まってるだろ」
「はっーーー!流石、流石。拍手をくれてやるブ」
卒業式を迎えて数日後の夜。雄英からの合否通知が届いたから寝巻きでハナゾノを訪れると飯を食い終わったらしい大広間に古いソファの上でまったりと寛いでいる八戒と倖季の二人に主席合格の旨を伝えると八戒と取っ組み合いが始まり、周りから野次が飛び始めるが倖季の一喝で一瞬で終わった。どうやら、八戒は俺に次ぐ二位だったらしい。それに他の奴らもみんな望んだ進路に行けるとの嬉しい報告も舞い込んできた。
「項羽のことだから筆記で落ちると思っていたんブけどね…」
「私も……」
「残念そうな顔してこっち見んじゃねーよ」
残念ながらこちとら毎日塾みたいな場所で勉強してんだ嫌でも頭は良くなる。わらわらと俺の周りに群がって頭の上や膝の上に乗っかって髪や耳などを引っ張ってくるガキどもを無視して話を進める。
「そう、いや。倖季、も雄…英だっ、たよな。ええい、鬱陶しいなお前ら!コイツで遊んでろ!」
万象儀を犬の形に模し動かすと、目を輝かせ、大燥ぎでガキどもは犬を追いかけいった。残ったのはさっきの奴らに比べて比較的大人しめな奴が俺の膝の上にちょこんと可愛らしく座っているだけだ。
「うん、普通科だよ。これで三人で通えるね」
「そうか…」
……コイツはあの頃に比べて自然に笑顔が出せるようになった。未だにまったく知らない人間に声を掛けられると固まってしまう節があるが、殆どの人間を敵として見るようなあの頃よりは確実に良くなっている。
嬉しくなって座っているガキの頭をくしゃくしゃ撫でるとくすぐったそうな声を出して笑ってくれた。そういや、このガキんちょも随分、笑ってくれるようになった。
感情に浸り、しみじみしていると犬を捕獲してきたアイツらが元気に帰ってくるとまた騒がしくなり始めた。
「…なんだか騒がしいと思ったらそこに居るのは項羽かい?」
「おお、婆さん。邪魔してるぜ」
ぎゃーぎゃーと二人も巻き込んで騒いでいると以前よりも少し腰を曲げた院長がやって来た。この人もだいぶ歳をとり始めた。昔は多くなかったシワも年々増えてきて腰が曲がり具合も酷くなってるのが目に見えて分かる。こんなこと言ったら確実にこの孤児院の女性陣全員からなんか言われるのは目に見えて分かる、なんなら婆さんを祖母のように慕っている倖季の小言だけでも十分だ。
「婆さん。俺、雄英受かったぜ」
「知ってるよ。さっき、みわちゃんから電話が来たわ」
「…会長バラすのはえーな」
「淡々としてたけどね。けど、本当は嬉しがってるわよ。きっと」
「…やめろ恥ずかしい」
歳をとってもここだけは変わらない微笑みでそう言った婆さんに思わず顔を背けてしまう。おい、ニヤニヤすんなお前ら。おちょくったってなんにも出てこねーぞ。
「そうだ。婆さん、指針が出来た」
「……へぇ。そりゃなんだい?」
「…………秘密だ」
「はぁ…。相変わらず馬鹿だねぇ」
口を人差し指で押さえて喋らないポーズをして言えば婆さんは呆れたように顔を押さえた後笑った。この笑みがどういう意味合いなのかは知らんが悪い意味ではない事は確かだろう。
「そうゆーこった。じゃあ今日は帰るわ」
膝に置いていたガキを持ち上げ倖季に預けるとコイツらは寂しそうな顔して俺を見つめてくる。元気な奴らは足にしがみ付いてくる勢いだ。ずるずる引っ張っていけばいずれ離れると思っていたがいつまで経っても離れる気配がしない。
「…おい。お前らいつまでそうしてるつもりだ?」
「項羽兄ちゃんが帰らないって言うまで!」
「そーだ!そーだ!」
「お前らな……」
頬を膨らませ、ぶーたれながらせがんでくるコイツらにどうしたもんかと拱いて、救援を求めるために三人の方を見てみるとニヤついた目でこっちを見ていた。どうやら手を貸すつもりもないらしい。ついでに倖季の膝の上に座っているガキどもの寂しそうなウルっとした目が更に俺を追い込ませる。
足を掴むコイツらもとうとう涙ぐんだ目でこっちを見て俺を引き止めようとする。俺はとうとう額を抑えて、折れた。
「……はぁっーー!おい、婆さん。寝床ぐらいはあんだろうな!?」
「あるよ。アンタは無駄にでかいからね…。八戒とおんなじところで寝な」
「え"っ!?」
八戒が驚いた声を上げた瞬間。ガキどもの喜ぶ叫び声が大広間を包み込んだ。はぁ、ダメだ。コイツらには敵う気がしねぇ。