……ですが、どうやら迎えに来た側にも苦労があるようで。
美猴くん、頑張れ! 君の任務はヴァーリを連れて帰ることだ!
それでは、Life.44をどうぞ!
side in ハク
「……で、迎えに来たということは、ヴァーリを連れ帰るのだな?」
美猴に向かって、俺はそう尋ねた。
「おう! そのつもりなんだけどよぅ……」
美猴は肩に担いだ棒を軽く揺らし、ヴァーリへ視線を向けた。
「こいつがなかなか帰ろうとしねぇんだよなぁ!」
「当然だろう。こんなに面白い相手を前にして、簡単に帰れるものか」
ヴァーリが笑いながら答える。
……ですよねぇ
原作からして戦闘狂だったが、こっちでもその辺りは変わってないらしい。
「……お前なぁ」
イッセーが呆れた声を上げた。
「おいおい、赤龍帝。お前だって、まだ戦うつもりなんだろう?」
「……へっ! そりゃそうだけどよ!」
イッセーも負けじと拳を構えた。
その全身を覆う真紅の鎧には、白く輝く発光ラインが走り、翡翠色の宝玉が静かに脈動している。
……いや、本当に凄いことになったな、あの鎧。
赤龍帝と白龍皇の力が、あんな形で一つになるなんて。
原作知識を持っている俺ですら、完全に予想外だ。
「……まったく」
美猴が呆れたように頭を掻いた。
「迎えに来た俺っちの身にもなってほしいぜ!」
「……心中、お察しいたす」
「おっ、分かってくれるかい、オシュトル!」
「うむ。某も、そろそろ決着をつけてもらいたいところだ」
「だろぉ!?」
……いや、そこで意気投合されても困るんだけどな。
「さあ、赤龍帝! 続きを始めよう!」
「おう! 今度こそ一発ぶち込んでやるぜ!」
――ドンッ!!
二人が同時に地面を蹴った。
真紅と白銀の影が一気に距離を詰め、互いの拳を振り抜く。
――ガァァァンッ!!
凄まじい衝撃音が響き渡った。
「うおおおおっ!!」
「ハハハッ! いいぞ、兵藤一誠!」
ヴァーリが拳を繰り出す。
イッセーはそれを正面から受けず、身体を捌いて軌道を逸らすと、空いた脇腹へ拳を叩き込んだ。
――ガキィンッ!!
「むっ!?」
しかし、ヴァーリもすぐに体勢を立て直し、反撃の蹴りを放つ。
イッセーは翡翠色の翼を広げ、後方へ飛び退いた。
……ほう
ちゃんと相手の動きを見ているな。
力が増したからといって、体術を疎かにしていない。
教えてきたことが身についているのを見ると、やっぱり嬉しいもんだ。
少し離れた場所では、リアス先輩がギャスパーを傍に置き、二天龍の戦いを見守っていた。
先ほどヴァーリが広範囲に半減の力を使った時、念のため二人にはさらに後方へ下がってもらっている。
今も戦闘の余波には注意しておかないとな。
……それにしても
あの二人、いつまで続けるつもりなんだ?
そんなことを考えていた、その時だった。
「――オシュトル!」
不意に聞き慣れた声が響いた。
振り返ると、会談室の方からクオンが駆けてくるところだった。
「……クオンか。何用だ?」
「外での戦いがずっと続いてるから、ちょっと様子を見に来たんだよ。なかなか終わらないみたいだしね」
「左様か。会談室の方は問題ないか?」
「うん。アーシアのことは白音たちにお願いしてきたよ。ほかのみんなもいるからね」
「うむ。ならばよい」
会談室にはサーゼクスたちもいる。
白音がアーシアの傍についているなら、ひとまず護衛の方は問題ないだろう。
クオンは俺の隣へ並ぶと、空を見上げた。
――ドガァァァンッ!!
「……っ!?」
ちょうどその時、イッセーとヴァーリが激突した。
赤と白の鎧が火花を散らし、互いに弾き飛ばされる。
「……って、あれ、イッセーと……ヴァーリさん!?」
「うむ。見ての通りだ」
「えっ!? どうして二人が戦ってるの!?」
「……少々、事情があってな」
……いや
事情というほど複雑でもないんだけどな。
イッセーもヴァーリも、強い相手と戦うのが楽しいんだろう。
実際、二人とも笑ってるし。
「……ヴァーリさん、大丈夫なのかな?」
クオンが心配そうに空を見上げた。
「今のところは問題あるまい。互いに随分と楽しんでいるようだ」
「……楽しんでる?」
「うむ」
俺は空を指した。
「ハハハハッ!! もっとだ、赤龍帝!!」
「言われなくてもぉぉぉ!!」
――ガァァァンッ!!
「…………」
クオンが二人を見つめたまま、しばらく黙り込んだ。
そして、小さく息を吐く。
「……もう、二人とも。そんなに無茶しなくてもいいのに」
……うん
まったくだ
「でも……イッセー、凄く強くなったんだね」
「うむ。某も少々驚いている」
……いや、少々どころじゃないんだけどな!
あの鎧の変化には、今でも驚いているくらいだ。
クオンは二人の動きを目で追いながら、小さく頷いた。
「うん。前よりも、ずっと動きがよくなってるかな」
「その通りだ。力に頼るだけでなく、相手の動きもよく見ている」
俺がそう答えた直後、イッセーがヴァーリの拳を捌き、身体を反転させた。
そして、背中の翼を広げて一気に加速する。
――ガキィィンッ!!
その拳がヴァーリの鎧へ叩き込まれ、白銀の身体が僅かに後退した。
「ハハッ! いいぞ!」
「へへっ! まだまだぁ!!」
「……それにしても」
クオンが首を傾げた。
「イッセーの鎧、前とずいぶん違うね。あんな色だったかな?」
「……うむ。少々、変化があってな」
……少々どころじゃないけどな!!
赤龍帝の鎧へ白龍皇の宝玉を組み込むなんて、誰が想像するんだよ!
しかも、それで鎧があんな姿に変わるとは……
……うん
考えれば考えるほど、訳が分からなくなってくるな
「……ったく、まだやってんのかよぅ!」
美猴が大きな声を上げた
「おい、ヴァーリ! そろそろ本気で帰るぞ!」
「……もうそんな時間か?」
「もうそんな時間か、じゃねぇよ! 迎えに来てからどれだけ待たせる気だ!」
「……ふむ」
ヴァーリがイッセーの拳を受け流し、大きく距離を取った。
イッセーもそれを追おうとしたが、ヴァーリが片手を上げたことで動きを止める。
「……何だよ、ヴァーリ?」
「残念だが、そろそろ時間らしい」
「……はぁ!?」
イッセーが思わず声を上げた。
「おいおい! まだ決着ついてねぇだろ!?」
「ああ。だから、続きはまた今度だ」
「……お前なぁ!!」
イッセーの叫びに、ヴァーリは楽しそうに笑った。
「今日のところは十分に楽しませてもらった。だが、次に会う時は、もっと強くなっていることを期待しているぞ」
「……へっ!」
イッセーが拳を握り締めた。
「言われなくても、もっと強くなってやるよ!」
「ハハハッ! 楽しみにしている!」
……ああ
どうやら、ようやく終わるらしい
いやぁ、長かったなぁ
美猴もようやく肩の荷が下りたようで、大きく息を吐いていた
「ったく、最初から素直に帰ってくれりゃいいのによぅ」
「そう言うな、美猴。これほど面白い相手は、そうそういないんだ」
「はいはい、分かった分かった!」
美猴が棒を肩に担ぎ直した。
ヴァーリも翼を広げ、そちらへ向かおうとする。
……さて
ようやく一段落か
そう思った、その瞬間だった。
――ズキィィンッ!!
「ぐっ……!?」
「……っ!?」
俺とクオンが、ほぼ同時に頭を押さえた。
……何だ!?
この頭痛……!!
突然、頭の奥を何かに揺さぶられたような感覚に襲われた。
――ズキィィンッ!!
「ぐあっ……!」
……くそっ!
何だ、これ!?
ただの頭痛じゃない
頭の内側から、直接何かに干渉されているような……!
……まさか
アクルカから……!?
「……っ、あぁ……!」
隣でクオンが苦しそうに呻いた。
咄嗟に目を向けると、クオンも頭を押さえ、よろめいていた。
「クオン!?」
俺は反射的に腕を伸ばし、その身体を支えた。
「……っ、オシュトル……!」
「無理に動くな!」
だが、クオンは俺の声が聞こえているのかどうかも分からない様子だった。
何かに戸惑うように目を見開き、苦しそうに息を乱している。
……おいおい
クオンまで、一体どうしたんだ!?
俺自身の頭にも、再び鋭い痛みが走った。
――ズキィィンッ!!
「ぐっ……!」
……駄目だ
考えがまとまらない
アクルカが何かに反応しているのか?
それとも、まったく別の何かが……?
……分からん!
そもそも、何が起きてるんだ!?
「……っ、あぁ……!」
クオンが俺の腕を掴んだ。
その指先に、ぎゅっと力が込められる。
「クオン! 某の声が聞こえるか!?」
「……う、うん……でも……!」
クオンが苦しそうに目を伏せた。
「……何、これ……?」
……俺が聞きたいよ!!
どうなってるんだ、一体!?
俺は痛みに顔を歪めながら、必死に意識を保とうとした。
だが、頭痛は収まるどころか、さらに強くなっていく。
――ズキィィィンッ!!
「ぐあっ……!!」
「……ああっ……!!」
俺とクオンの苦痛に満ちた声が、ほとんど同時に漏れた。
……くそっ!
何なんだよ、これは……!!
「――オシュトル! クオン!」
不意に、リアス先輩の声が響いた。
痛みに顔を歪めながら視線を向けると、リアス先輩とアザゼルがこちらへ駆け寄ってくるところだった。
少し離れた柱の陰からは、ギャスパーが不安そうにこちらの様子を窺っている。
「二人とも、どうしたの!?」
「おい、オシュトル! 何があった!?」
「ぐっ……! 某にも……分かりませぬ……!」
……くそっ!
喋るだけでも頭に響きやがる!
隣では、クオンも俺の腕を掴んだまま、苦しそうに俯いていた。
「クオン! しっかりして!」
「……っ、リアス……?」
リアス先輩がクオンの傍に膝をついた。
「どうしたの!? どこか痛むの!?」
「……頭、が……っ!」
「頭!?」
リアス先輩が驚いたように目を見開いた。
「おいおい……二人揃って突然頭痛だと?」
アザゼルも眉を顰め、俺たちの様子を窺っている。
「……何かの術でも受けたのか?」
「……分かりませぬ……ですが……!」
――ズキィィンッ!!
「ぐあっ……!!」
……っ!
まただ!
頭の奥を抉られるような痛みに、思わず身体が強張る。
「オシュトル!?」
リアス先輩の声が耳に届く。
だが、返事をする余裕もなかった。
痛みに耐えながら僅かに顔を上げると、視界の端に、美猴の足元で淡く輝く転移陣が映った。
……そういえば、あいつらは帰るところだったな。
だが、今はそれどころじゃ――
――ビキィィィンッ!!
「……あ?」
不意に、アザゼルが顔を上げた。
「……おい、待て。今の音は……!」
――ビシッ!!
――バキィィィィンッ!!
「なっ!? 結界が!?」
頭上から、何かが砕け散るような音が響き渡った。
……結界!?
俺も咄嗟に空を見上げようとした。
しかし、激しい頭痛に阻まれ、まともに顔を上げることすらできない。
そして――
――ドゴォォォォォォォンッ!!!!
「っ!?」
凄まじい轟音が辺り一帯を揺るがした。
地面が激しく震え、猛烈な衝撃波が周囲へ広がっていく。
「きゃあっ!?」
「うおっ!?」
リアス先輩が悲鳴を上げ、アザゼルが咄嗟に身構えた。
……なっ!?
今度は何だ!?
何かが……落ちてきたのか!?
だが、確かめようにも何も見えない。
凄まじい勢いで土煙が巻き上がり、辺りの景色を覆い隠してしまったのだ。
「……何が起きやがった!?」
アザゼルが土煙の向こうへ目を凝らす。
俺も必死に目を凝らした。
だが、頭痛は一向に収まらず、クオンを支えるだけで精一杯だった。
その直後――
――ドガァァァンッ!!
「ぐああああっ!!」
「ぐっ……!?」
土煙の中から、二つの影が凄まじい勢いで吹き飛んできた。
……は!?
あれは……!?
「イッセー!?」
「ヴァーリ!?」
真紅と白銀
つい先ほどまで戦っていた二天龍が、揃って吹き飛ばされていた。
……おいおいおい!!
あの二人が、揃って!?
――ドゴォォンッ!!
「ぐあああああっ!!」
イッセーが地面へ叩きつけられ、そのまま地面を削りながら俺たちの方へ滑ってくる。
「イッセー!!」
リアス先輩が悲鳴に近い声を上げた。
――ズザザザザッ!!
真紅の鎧が、俺たちの目の前でようやく止まった。
「ぐっ……! な、何だよ……今の……!?」
イッセーが苦しそうに呻いた。
……おい!
イッセーまで、一体どうしたってんだ!?
一方、ヴァーリは――
「うおっ!? ヴァーリ!?」
――ドガァンッ!!
「ぐえっ!?」
吹き飛んできたヴァーリが、そのまま美猴へ激突した。
「ちょっ、おまっ……!?」
――ゴロゴロゴロッ!!
二人は勢いを殺しきれず、もつれ合ったまま地面を転がっていく。
そして、その先には――
先ほど美猴が展開していた転移陣があった。
「うおおおおっ!?」
美猴の叫び声とともに、二人は転移陣の中へ転がり込んでいった。
……って、おい!!
何やってんだ、あいつら!?
……いや、違う!
そんなことを考えてる場合じゃない!!
「……おい、イッセー!」
アザゼルが目の前に倒れたイッセーへ声を掛けた。
「何があった!? 何にやられた!?」
「し、知らねぇよ……!」
イッセーが苦しそうに身体を起こそうとする。
「いきなり……何かが……っ! くそっ!!」
「……何か、だと?」
アザゼルが険しい表情で土煙の向こうへ視線を向けた。
俺もそちらへ目を向ける。
……あのイッセーとヴァーリが、揃って吹き飛ばされた。
しかも、二人とも何が起きたのか分かっていないらしい。
……冗談だろ?
あの二天龍を、こんな簡単に……?
――ズキンッ!!
「ぐっ……!」
再び頭に痛みが走り、思わず顔を歪めた。
「オシュトル!?」
「……っ、大丈夫、だ……!」
……いや、全然大丈夫じゃないけどな!
俺は歯を食いしばり、どうにか意識を保とうとした。
すると、クオンが俺の腕を強く掴んできた。
「……っ、ハク……!」
「クオン……?」
クオンは苦しそうに息を乱しながら、土煙の向こうを見つめていた。
「……何か……いる……?」
……何か?
俺も目を細めた。
少しずつ、土煙が薄れていく。
風に流された砂塵の向こうに、何かがある。
だが、まだその姿までは分からない。
……一体、何が……?
その時だった。
「……オシュトルゥゥゥゥ……」
「…………っ!?」
……え?
今……何て?
土煙の向こうから、低く、唸るような声が響いてきた。
……オシュトル?
俺は思わず息を呑んだ。
リアス先輩も、アザゼルも、突然の呼び声に動きを止めている。
そして――
「オシュトルゥゥゥゥウ!!!!」
凄まじい咆哮が、辺り一帯に轟いた。
土煙が風に流され、やがてその向こうに立つ巨大な影が姿を現した。
……なっ!?
そこにいたのは、赤と黒の炎を纏った巨大な異形だった。
鎧を思わせる重厚な肉体。人間の姿からは大きくかけ離れたその巨体は、ただそこに立っているだけで異様な威圧感を放っていた。
……おいおい、待てよ
この姿……それに、さっきの声……!
まさか……!?
「ヴライ!?」
思わず、その名を口にした
その瞬間だった
「……っ!?」
クオンの傍に膝をついていたリアス先輩の身体が、不意にぐらりと傾いた。
「……リアス殿!?」
力を失ったリアス先輩が、その場に崩れ落ちた。
「お、おい!? リアス!?」
アザゼルが驚愕の声を上げる。
だが、それだけではなかった。
「……あ……」
少し離れた柱の陰で、こちらを窺っていたギャスパーも、糸が切れたように倒れ込んだ。
……なっ!? 何が起きた!?
「……っ、ハク……!」
「クオン!?」
隣から聞こえた声に咄嗟に振り向くと、クオンは苦しそうに顔を歪め、俺の腕を掴んだまま必死に意識を保っていた。
……くそっ! この感覚……ただの威圧なんてもんじゃない!
俺は歯を食いしばり、アザゼルへ顔を向けた。
「総督殿!」
「……何だ!?」
「リアス殿とギャスパー殿を、至急サーゼクス殿たちのもとへ!」
「……っ!?」
「そして、今すぐ結界を再構築してくだされ!」
俺の言葉に、アザゼルが目を見開いた。
「……おい、オシュトル。お前、あれが何なのか分かってるのか!?」
「……今は説明している暇がありませぬ!」
……頼むから、今は言う通りにしてくれ!
このままじゃ、周囲にどれだけの被害が出るか分かったもんじゃない!
もしあれが本当にヴライのアクルトゥルカなら……
……まずいぞ、これは
イッセーもヴァーリも、あっという間に吹き飛ばされた。今のあいつらでも歯が立たないとなれば、まともに相対できるのは……俺だけだ
頭痛はまだ収まっていない。それでも、ここで動かなければならない
ふと会談室の方へ目を向けると、祐斗がゼノヴィアを会談室の入口まで送り届けているところだった。
……祐斗は無事か。なら、あちらはひとまず任せられる。
俺は再びアザゼルへ視線を戻した。
「総督殿。どうか、お急ぎくだされ」
「……分かった! お前も無茶するんじゃねぇぞ!」
アザゼルがリアス先輩のもとへ向かう。
……さて、後はクオンだ。
俺は、すぐ目の前で身体を起こそうとしているイッセーへ視線を向けた。
「……イッセー」
「……ああ? どうした、ハク……?」
「頼みがある」
「……頼み?」
「総督殿が戻られるまで、クオンを護っていてほしい」
「……クオンを?」
「うむ。某には、やらねばならぬことがある」
……悪いな、イッセー。お前も相当な目に遭ったばかりだってのに。
だが、今は……
クオンを頼めるのは、お前しかいないんだ。
「……分かった! クオンは俺に任せろ!」
イッセーの返答を聞き、俺は小さく頷いた。
クオンが掴んでいた腕をそっと外し、目の前に立つ巨大な異形へ視線を向ける。
……さて、行くか!
「待って……オシュ……ハク!!」
クオンの声が背後から響く。
……クオン
だが、今は立ち止まっているわけにはいかない
頭痛はまだ収まっていない。それでも、俺は地面を蹴り、異形に向かって駆け出した。
「ヴライ!!」
その名を叫んだ瞬間、巨大な異形が反応した。
赤黒い炎を揺らめかせながら、その巨体がゆっくりと動き、こちらへ顔を向ける。
そして、その視線が俺の姿を捉えた瞬間――
「
大地を震わせるような咆哮が、辺り一帯に轟いた。
……っ!
あの姿、あの声。そして、今の言葉。
……ああ、間違いない。
こいつは……ヴライだ。
俺は駆ける足を止めぬまま、目の前の巨体に向かって声を張り上げた。
「ヴライ! 貴公はあの時、確かに死んだはずだ! 何故、ここにいる!?」
俺の問いかけに、ヴライは赤黒い炎を揺らめかせながら、轟くような笑い声を上げた。
「グハハハハハッ!!!」
そして、両腕を大きく広げ、歓喜に満ちた声で叫ぶ。
「ナゼヨミガエッタカナド、知ラヌ!!!」
……は!?
「ダガ、ソンナコトハ些末ナコトヨ!!!」
ヴライが、その巨大な腕をこちらへ向けた。
「サァ!!! 死合オウゾ!!! オシュトルゥゥゥウ!!!」
その叫びが、辺り一帯に響き渡った。
……こいつ、完全に俺をオシュトルとして認識してやがる。
あいつが求めているのは、オシュトルとの死合。なら、俺がすることは……一つだ!!!
俺は目の前の巨体を真っ直ぐに見据え、声を張り上げた。
「ならば、何度でも貴公を滅そう!」
そして、俺は己の仮面へと意識を集中させた。
「
side out ハク
─────────────────────────
side in イッセー
……は?
俺は目の前の光景に、ただ呆然としていた。
ついさっきまで、そこにはハクがいたはずだ。なのに今、あの赤黒い炎を纏った化け物と向かい合っているのは、まったく別の巨大な異形だった。
白と青を基調とした、龍を思わせる巨体。人間とは比べものにならないほど太い腕に、全身を覆う鎧のような重厚な外殻。その姿は、俺の知っているハクとはあまりにもかけ離れていた。
しかも、あれほど恐ろしい化け物を前にして、一歩も退かずに立ってやがる。
……おいおい、何なんだよ、あれ!?
ハクが何か唱えたと思ったら、いきなりあんな姿になっちまったぞ!?
あの白と青の化け物がハクだってことは分かる。だが、どうしてあんな姿になったのか、さっぱり分からねぇ。
「……だめ……ハク……」
「……クオン?」
すぐ傍から聞こえた声に振り向くと、クオンが苦しそうに顔を歪めていた。
片手で頭を押さえ、今にも倒れそうなほどふらついている。それなのに、あいつは必死に足を踏み出そうとしていた。
……おい、まさか!
「クオン!? お前、何やってんだよ!?」
「……ハク……」
俺の声が聞こえているのかも分からない。
クオンは頭痛に耐えながら、一歩、また一歩とハクの方へ向かおうとしている。
「おい! 無理すんなって!」
俺は慌ててクオンの身体を支えた。
だが、クオンの目は俺じゃなく、あの白と青の巨体へと向けられたままだった。
……くそっ!
ハク、お前、クオンを頼むって言ってたよな。
分かってる。分かってるけどよ……。
あんな奴を相手に、一人で大丈夫なのかよ!?
side out イッセー
─────────────────────────
side in ハク
……さて、どうしたものか。
目の前に立つヴライは、赤黒い炎を揺らめかせながら俺を見据えている
剛腕のヴライ。その異名も、オシュトルとの死合も、原作の知識としては知っている
だが、俺が知っているのは、あくまで原作で見た戦いだ
実際に拳を交えたことなんて、一度もない
……まずは、動きを見極めるしかないな
『イクゾ、オシュトル!!!』
ヴライが地面を蹴った
……っ!?
次の瞬間には、その巨大な右拳が目の前に迫っていた。
……速い!
俺は上体を僅かに傾け、拳を紙一重で躱す。
――ブォンッ!!!
拳が通過しただけだというのに、凄まじい風圧が全身を打った。
……おいおい、何だ今の!?
だが、攻撃を躱したことで懐に隙が生まれた。
俺は即座に踏み込み、脇腹へ拳を叩き込もうとする。
その瞬間だった。
『ヌゥン!!!』
ヴライの左拳が、こちらへ迫っていた。
……なっ!?
反撃を読まれた!?
既に拳を繰り出していた俺は、咄嗟に身体を捻り、空いていた腕を差し込んだ。
――ドゴォォォン!!!
『グアッ!?』
……っ!?
なんだ、この威力は!?
防御したはずの腕が押し込まれ、凄まじい衝撃が肩から全身へ突き抜けた。
踏ん張ろうとした足が地面を削り、俺の巨体が後方へ押し流される。
……冗談だろ!?
直撃は避けた。防御も間に合った。
それなのに、この衝撃かよ!!
俺は地面を踏み締め、どうにか態勢を立て直した。
……これが、剛腕のヴライ……!
原作で知っているのと、実際に拳を受けるのとじゃ、まるで違う!
『ドウシタ、オシュトル!!!』
ヴライが間髪入れずに踏み込んでくる。
今度は右拳を大きく振り上げた。
……くそっ!
まともに受けるのは駄目だ!
俺は拳の軌道を見極め、僅かに身体をずらした。
――ドゴォォン!!!
振り下ろされた拳が地面を砕く。
その隙に懐へ踏み込み、脇腹へ拳を打ち込んだ。
――ガンッ!!!
……硬っ!?
まるで分厚い鉄の塊を殴ったような感触が伝わってくる。
だが、ヴライの巨体は確かに揺れた。
……効かないわけじゃない!
その直後、ヴライが反対の拳を振るう。
俺は上体を沈めて躱し、空いた胴体へ再び拳を叩き込んだ。
――ドンッ!!!
『ヌゥッ!!!』
ヴライの身体が僅かに傾く。
……よし、少しずつ動きが見えてきたぞ!
だが、ここで調子に乗るのは危険だ
さっきの一撃がいい証拠だろう
あの腕にまともに捕まったら、力比べになる。そうなれば、こちらが不利だ
……なら、やることは決まってる
最小限の動きで躱し、生まれた隙を突く
余計な動きはいらない
ヴライが再び右拳を振り下ろしてきた
俺は半歩だけ足をずらし、その軌道から身体を外す
――ドゴォォン!!!
地面が砕けた瞬間、俺は姿勢を低くして一気に踏み込んだ
『ヌッ!?』
……そこだ!
――ゴガァン!!!
渾身の頭突きが、ヴライの顔面を捉える。
『グオッ!?』
ヴライの頭が跳ね上がった
……今だ!
俺は腰を落とし、右拳を引き絞る
『ハァァァッ!!!』
――ドゴォォォン!!!
全身の力を乗せた拳が、ヴライの腹部に突き刺さった
『グオォォッ!!!』
確かな手応え
その巨体が後方へよろめき、数歩後退した
……よし、入った!
だが、次の瞬間
『……グッ……グハハハハッ!!!』
……は?
ヴライが顔を上げた。
『ソウダ……ソレデコソ、オシュトルヨ!!!』
……おいおい
今の一撃、かなり効いたはずだぞ!?
なのに、あいつ……笑ってやがる
ヴライは再び両拳を構え、こちらを見据えた
……なるほどな
剛腕ってのは、単に腕力が強いって意味じゃない
あの頑丈な身体に、攻撃の速さ。そして、こちらの動きを読んで反撃してくる戦闘勘。
……厄介なんてもんじゃないぞ、こいつ
俺は拳を握り直し、ヴライの動きを注視した。
だが、勝ち目がないわけじゃない
攻撃は通る
なら、あとは隙を見逃さず、確実に打ち込んでいくだけだ!
side out ハク
─────────────────────────
side in イッセー
――ドゴォォォン!!!
「うおっ!?」
凄まじい轟音とともに地面が揺れた。
視線を向けると、白と青の巨体となったハクが、あの赤黒い化け物と激しく拳を交えていた。
……おいおい、何だよあの戦い!
ハクは相手の攻撃を紙一重で躱しながら、その隙を突いて拳を叩き込んでいる。
けど、向こうも簡単には倒れねぇ。
あんなのをまともに食らったら、いくら俺でもただじゃ済まねぇぞ……!
「……ハク……」
「クオン、頼むから無理すんなって!」
俺は再びハクの方へ向かおうとするクオンの身体を支えながら、必死に声をかけた。
頭痛が酷いのか、クオンは苦しそうに顔を歪めている。それでも、あいつから目を離そうとはしない。
その時だった。
「イッセー!」
「……祐斗!?」
振り向くと、祐斗がこちらへ駆け寄ってきた。
「ゼノヴィアは!?」
「ゼノヴィアは会談室の入口まで送り届けたよ。それより、イッセー! 二人とも大丈夫かい!?」
「あ、ああ……俺は何とか。それよりクオンが……!」
祐斗は俺が支えているクオンを見ると、表情を険しくした。
「……久遠さん!? どうしたんだい、こんなに苦しそうにして……!」
「ああ。さっきからハクのところへ行こうとしてるんだ。けど、こんな状態じゃ……」
「……ハク君のところへ?」
祐斗が戦っている二体の巨体へ視線を向けた。
「……えっ!? あの白と青の巨体が……ハク君!?」
「ああ。俺にも何が何だか分かんねぇけど、ハクがあんな姿になっちまったんだ」
「……ハク君が、あんな姿に……」
祐斗は驚いた様子を見せながらも、すぐに周囲へ目を向けた。
「……イッセー、アザゼル総督たちは今、結界を張り直しているところなんだ」
「結界?」
「ああ。サーゼクス様とミカエル様、それにグレイフィアさん、朱乃先輩、黒歌さんも協力している。あの二人の戦いで周囲に被害が出ないようにするためだよ」
そう言われて周囲を見渡すと、いつの間にか戦場を囲むように光の壁が立ち上がっていた。
その向こうでは、アザゼルたちが結界の再構築に集中している。
――ドゴォォォン!!!
再び、凄まじい衝撃が響いた。
戦っている二体の足元から亀裂が広がり、砕けた地面が吹き飛ぶ。
だが、その破片は張り直されつつある結界にぶつかると弾かれ、外側へ飛び出すことはなかった。
「……すげぇ」
「でも、安心はできないよ。あれだけの力がぶつかり合っているんだ。結界がどこまで持つか分からない」
祐斗の言葉に、俺は再びハクへ視線を戻した。
……ハク
お前、こんな奴と一人で戦うつもりなのかよ……!
その時だった
『ヌゥゥン!!!』
赤黒い化け物が大きく右拳を振り上げた。
ハクはこれまでと同じように、僅かに身体をずらしてその一撃を躱した。
……よし!
そう思った瞬間、化け物の左腕が動いた。
……え?
――ガシッ!!!
『グッ!?』
……なっ!?
ハクの首が、巨大な手に鷲掴みにされていた。
反撃しようとしたハクの拳が途中で止まり、そのまま身体が地面から持ち上げられていく。
『ドウシタ、オシュトル!!!』
化け物がさらに腕を持ち上げると、ハクの両足が完全に地面から離れた。
ハクは首を掴んでいる腕を引き剥がそうとする。だが、両腕が震えるばかりで、まるで力が入っていないようだった。
『グッ……ガッ……!』
「ハク!?」
思わず叫んだ。
……嘘だろ!?
さっきまであんなに動けていたハクが、今は抵抗することすらできてねぇ!
ハクの腕が徐々に下がっていく。
『ソノテイドカ、オシュトル!!! マダオワラヌゾ!!!』
「くそっ! 祐斗、ハクが!」
「分かってる! 僕だってハク君を助けたい! でも、あの二人の間に飛び込むのは危険すぎる……!」
祐斗が歯を食いしばり、聖魔剣を握る手に力を込めた。
その視線はハクから離れない。いつでも飛び出せるように身構えながら、介入できる隙を探している。
俺も助けに行きたい。けど、今の俺にはクオンを護るって約束がある。
……ハク!
どうすりゃいいんだよ!!
「……いや……」
その時、すぐ傍から小さな声が聞こえた。
「……クオン?」
「……だめ……」
クオンが震えていた。
さっきまで頭を押さえていた手が下ろされ、その視線は首を掴まれたハクへ向けられている。
「……ハク……」
「おい、クオン!?」
俺の腕の中で、クオンが身を起こそうとした。
だが、その途端に苦しそうに顔を歪め、再び頭を押さえる。
「……っ、ああっ……!」
「クオン!? しっかりしろ!」
……何だ!?
突然、クオンの周囲の空気が変わった。
さっきまでとは比べものにならないほど強い氣が、クオンの身体から溢れ出している。
「……祐斗、お前も感じるか!?」
「ああ……! これは……!?」
祐斗も驚愕したようにクオンを見つめていた。
その瞬間、クオンの身体に変化が起きた。
頭から獣のような耳が現れ、背後には大きな尻尾が伸びていく。
「……は!?」
お、おいおい!? 何だよ、それ!?
けど、クオンはそんな自分の変化になど気づいていないようだった。
ただ、首を掴まれて吊り上げられているハクを、必死に見つめている。
「……ハク……」
その声が震える。
そして――
「だめーー!!!」
「クオン!?」
突然、クオンが俺の腕を振りほどき、地面を蹴った。
……なっ!?
速い!?
さっきまで立っているのもやっとだったクオンが、信じられない速度で駆け出していく。
その先には、ハクの首を掴んだままの赤黒い巨体。
『ヌッ!?』
化け物がこちらへ顔を向けた。
だが、その時には既にクオンが目の前まで迫っていた。
「はぁぁぁぁっ!!!」
クオンが跳躍し、その勢いのまま化け物の胸元へ飛び蹴りを叩き込んだ。
――ドゴォォォォン!!!
『グオォォォッ!?』
……はぁっ!?
とんでもない衝撃音とともに、あの巨体が後方へ吹っ飛んだ。
同時に、ハクの首を掴んでいた手が離れる。
自由になったハクの巨体が地面に落ち、片膝をついた。
……お、おいおい、嘘だろ!?
あのハクですら苦戦していた化け物を、クオンが蹴り飛ばしちまった!?
クオンは地面に着地すると、すぐにハクの方へ振り向いた。
すると、白と青の巨体となったハクが、ゆっくりと顔を上げる。
『……クオン……?』
その声に、クオンは力強く答えた。
「一人になんてさせないかな! ハク!!!」
『……クオン、ソノスガタハ……!?』
ハクが驚いたように声を上げる。
……そりゃそうだろうな。
クオンの頭には獣のような耳が生え、背後では大きな尻尾が揺れている。
さっきまで俺に支えられていたのが嘘みたいだ。
「ん? 何か変かな? わたくしは前からこうでしょ?」
『……ナッ!?』
……いやいや、変だろ!?
俺が思わず突っ込みそうになった、その時だった。
「クオンはん!」
「クオンさま!」
「さま!」
「……え?」
聞き覚えのある声に振り返ると、
さらに、その後ろには巨大なホロロ鳥のココ。その背中には
「……
「クオンはん、無事やったんやねぇ!」
「クオンさま! よかった……ご無事だったんですね!」
「
……は?
今、何て言った?
それに、クオンさまって……。
『……ルリ!? アオイ!? ネコネ!?』
ハクも三人に気づいたらしい。
『オマエタチ、ナゼココニ!?』
「なぁなぁ、おにーさん。えらい大きゅうなったねぇ!」
『……アオイ……!?』
そして、赤黒い巨体へ視線を向ける。
「あやや……また来たんけ?」
「ほんに懲りないえ、ヴライはんも」
……は?
ヴライはん?
『……ナッ!?』
ハクも驚いたように
「うひひ……でも、また死合えるんなら、ウチは嬉しいえ!」
『……アトゥイ……!?』
……おい、ハク
お前、今の名前を知ってるのか!?
「ルルやん、ココポと向こうに回ってくれへん? ネコやん、ウチの援護もお願いしてええけ?」
「はい、アトゥイさま!」
「分かったのです!」
……ちょっと待て。
ルルやん?
ネコやん?
アトゥイさま!?
さっきから何の話をしてるんだよ!?
『……アトゥイ……ルルティエ……ネコネ……!?』
ハクが呆然としたように三人を見つめていた。
……やっぱりだ。
ハクは、あいつらが呼び合っている名前を知ってる。
その時、
「……
『……ネコネ……?』
「いったい何をしてるですか、
『……アニサマ!?』
「相手はあの剛腕のヴライなのですよ!? それなのに、お一人で戦おうとするなんて、無茶にもほどがあるのです!」
『……イ、イヤ、ソレハ……』
「言い訳は聞きたくないのです!」
『……ッ!?』
……お、おいおい
しかも、あんなでっかい姿になったハクを前にして、まったく怯んでねぇ!
「
『……ネ、ネコネ……』
「わたしたちだって、
「……それに」
その声が、僅かに震える。
「
『…………』
ハクが黙り込んだ。
……あれ?
何だろうな
あんなに怒っていた
その時、クオンが
「大丈夫だよ、ネコネ。今度はみんな一緒だからね」
「……
「はい…もう
『……オマエタチ……』
ハクが三人、そしてクオンへと視線を向けた。
その巨大な身体が、ゆっくりと起き上がる。
『……ウム』
短く答えたハクは、
『ネコネ、ソナタノイウ通リダ。某ガ、少々無茶ヲシテイタヨウダナ』
「少々ではないのです!」
『……ハハ、ソウデアッタナ』
……おいおい
ハクが
しかも、あんな姿で笑う余裕まで出てきたぞ!?
『……承知イタシタ。ナラバ、此度ハ皆ノ力ヲ借リルトシヨウ』
「はい! それでいいのです!」
すると、
「うひひ、ようやくその気になったんやねぇ、おにーさん!」
「わたしたちも、一緒に戦います!」
「ハク、もう一人じゃないかな」
クオンがハクの隣に並んだ。
『……ウム』
ハクは頷くと、赤黒い巨体へと向き直った。
その姿からは、先ほどまでの戸惑いが消えていた。
遠くではヴライが再び立ち上がり、こちらへ向けて拳を構えている。
『……皆ノ者!』
ハクの声が戦場に響いた。
そして、まずは猫音へと顔を向ける。
『ネコネ!』
「はい、
猫音が力強く頷き、両手で印を結んだ。
続いて、ココの背に乗る瑠璃へ視線を移す。
『ルルティエ!』
「はい、ハクさま! ココポと一緒に、皆さんをお支えします!」
そして、ハクはその下にいる巨大なホロロ鳥へと顔を向けた。
『ココポ!』
「ホロロロォォッ!!!」
ココが大きく翼を広げ、力強く鳴き声を上げる。
……お前も返事するのかよ!?
そして、槍を肩に担いでいる葵へと顔を向ける。
『アトゥイ!』
「うひひ、ウチはいつでもええよ、おにーさん!」
葵が楽しそうに笑い、槍を構え直した。
最後に、ハクは隣に立つクオンへと顔を向ける。
『……クオン!』
「うん! 一緒に行こう、ハク!」
クオンが笑顔で応えた。
……何なんだよ、これ。
あいつら、まるでずっと昔から一緒に戦ってきた仲間みたいじゃねぇか。
しかも、ハクが一人ずつ名前を呼ぶたびに、全員が迷うことなく返事をしている。
……いや、それよりも。
今のハクは、さっきまでとは何かが違う。
あの巨大な姿で、仲間たちを従えているその姿は――
まるで、本物の大将みたいじゃねぇか。
そして、ハクが高らかに告げる。
『
その号令に、クオン、
「「「「おぉーー!!!」」」」
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
美猴「ヴァーリを迎えに来ただけなんだけどよぅ……」
……うん、お疲れ様、美猴。君は何も悪くない(笑)
さて、今回もなかなか賑やかなことになりましたが、ここから先がどうなるのかは、次回のお楽しみということで!
そして、ここで一つお礼を。
なんと、お気に入り登録が250件を突破しました!!
本当にありがとうございます!!
ここまで多くの方に読んでいただけるとは思っておらず、驚きと嬉しさでいっぱいです。
いつも読みに来てくださる皆様、お気に入り登録や評価、感想で応援してくださる皆様、本当にありがとうございます。
更新の間隔が空いてしまうこともありますが、これからも自分のペースで、楽しみながら書き続けていきたいと思います!
引き続き『ハイスクールDxD ~うたわれるもの~』をよろしくお願いいたします!