代理人の異常な愛情、または如何にして私は心配するのを止め戦闘を愛するようになったのか。 作:イエローケーキ兵器設計局
その兵装の通称は『ラーテ』。ベースになった兵器は机上の空論に終わった代物。マウスが装備したがっていた280mm砲はこのラーテが装備していたもの。この装備を受け取れば…私は『P.1000 ラーテ』になる。
「ラーテか…うーん、ドブネズミ…」
『ええ。ハツカネズミとは違って少し図体が大きいんです。』
「お主は特に抵抗は無いのか?ドブネズミじゃぞ…?」
『ええ。全く。早くマウス姉さんの隣で戦いたいですから。姉さんのそっくりさんではなく、私として。コーニオシスとして。』
「…勝手にせい。わらわは知らぬ。」
『……行ってきます。』
名前のこだわりはあまり無い。ドブネズミであろうとドブだろうと結局は名前に過ぎない。性能に何か影響を及ぼすわけでもないし。
改造そのものはそれなりに痛かったが無事、改造が終わった。マウスとの関係は少し冷えたけど。彼女は少し傲慢なところがある。そこが可愛らしいのだが。…ところでどこでこんな大口径砲を活かすんだ?長距離砲撃をするにしてもこれは取り回しの悪さが上回るぞ…上下2連のバズーカみたいな構造のせいかコンパクトではあるが肩に担ぐにしてもなかなか重いし…
ラーテの兵装例(FHSWより)
28cm連装砲
8.8cm連装高射砲
(28cm砲塔上部)
2cm機関砲×2
(28cm砲塔上部)
56口径8.8cm戦車砲+7.92mm機関銃×6
(前部4砲塔後部2砲塔)
5cm戦車砲×10
(左右5砲塔づつ)
『…ただいま。』
部屋の中は真っ暗で電気が一切ついていなかった。夜目が効く方ではないのでよく見えないがマウスの姿は見当たらない。出撃の指示を出した覚えもないし(※1)、外出届も受け取っていない。そもそもDOLLSは存在次第が機密情報なので外出は難しいのだが。
しばらくして目が慣れてくるとメモ書きが見つかった。どうやら屋上に居るらしい。
『探したよ。マウス姉さん。』
「…姉と呼ぶな。」
『どうしたんです?マウスさん。』
「わらわに話しかけるな。」
『…カラダが冷えますよ?』
「…よしてくれ。」
『どうしたんです? …もしかして怖いんですか?私が。』
「戯け。違うわ。」
『そうですか…嫉妬ですか?28cm砲の。』
「…さい。」
『?』
「うるさい。うるさい!うるさい!」
『ふふふ。やっぱりマウス姉さんはマウス姉さんです。』
「気安く頭を撫でるでない!…う〜…」
ここにいるマウスというDOLLはとても難しいが単純である。感情の起伏がかなり大きいから感情に左右され易すぎる。結局のところ…嫉妬もあったようだが、私がどこかへと行ってしまうのではないかという不安があったのだという。忘れたくても忘れられない、だから突き放した…らしいのだが…よくよく考えると指揮官だからそんな簡単には動けない……前線に出る指揮官も指揮官か。
結局、今日は抱き寄せたマウスの頭を撫でて終わった一日であった。部屋にある寝台は二段で普段、私が下、マウスが上を使っているのだが…
『午前2時…眠れないと思ったら…姉さん…』
どうやら姉に懐かれている…らしい。寝惚けて梯子を降り、こちら側に潜り込んできたのか?いつの間にか抱き枕になっていた(笑)…みたいな状況になっていた。ただその…お手洗い行けないんだけど…はっ、これは策略か。私を手洗いに行かせないための策略か…うーん…どうするかな…
「ラーテぇ…待ってぇ…」
マウス姉さんの寝言は面白い。私はここに居る。……うん、振り解いて行くか…酷だけど…酷だけど…!
後編に続く。
※1
この部隊では基本、指揮官の指示がないと出撃できない。規則なのでしょうがないと言えばしょうがないのだが…無謀な吶喊をされるよりはまし…だろうか。
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