代理人の異常な愛情、または如何にして私は心配するのを止め戦闘を愛するようになったのか。   作:イエローケーキ兵器設計局

4 / 76
 お待たせしました。きっと誰も待ってないでしょうけれど。


春の目覚め作戦 三〜四日目 後編

 後編

 

 マウス(姉さん)の腕という離し難い拘束を解き、なんとか手洗いに入った私。この部屋は玄関横にトイレと浴室があって、玄関から奥に入ると簡易的なキッチンと電気コンロが見え、奥に入ると…いきなり右側に二段寝台、左側に椅子と机…という、なんというか…DOOLS(兵器)に与えるべきものなのか悩むくらいの設備をしている。メシア(風邪ひき屋)さんは…ここよりは少し狭い部屋で休息を取っている。

 

 『ふー…決戦兵器か…それとも…』

 

用を足しながら呟く。出撃コストがラーテ型ARMSだとバカにならず…マウス型ARMSだと比較的安くなるがそれでもマウス3体分が私1体分に相当する…装甲強度や攻撃力、図体に見合わない脅威度(※1)は利点ではあるけれど…コストと機動性は最悪、回避訓練では文字通り弾に当たりに行ったほうが安全と言えるほどだった。

 

 いっそのこと司令船に引きこもるべきか。出撃しなければコストはかからない。今のところ一回しか出撃していないし…いや、一応これでも作戦中(※2)だし…うーむ…

 

「そろそろ出てきてはどうじゃ?」

 

…!起きてたのか?急いで時計を確認する。午前2時10分。となると…おそらくあの時点で起きていたのだろう。

 

『…わかりました。』

「よろしい。」

 

 トイレのドアをゆっくりと開けようとするとドアノブを掴まれたのかドアを強く引く力がかかる。

 

『…どうされました?』

 

一応警戒しながら力を込めてゆっくりと開かせる。私から見てヒンジは右側。右手でドアノブを掴んでいるから左手はお留守。嫌な予感しかしないので片手には自衛用の対DOOLS用のライフル(※3)を握らせる。もちろん自分が正気である根拠は無い。DOLLS(私達)は破壊されても直前までの記憶は残されたまま復活する。そんな言い訳をしながらドアノブを掴む手に力をさらに込める。もし姉が裏切り者だとしたら…撃てるだろうか…とかいう逡巡(しゅんじゅん)を普通はするのだろうか。私はしない。裏切り者なら撃つ。命乞いなんてさせない。だって、『自殺は悲しい』なんて誰かが書いていたから。

 

『今開けますね。』

 

おそらくは マウス(これ) は 裏切り者 だ 。正確にはこれはマウスではない。マウスの皮をかぶった災獣(リセッター)だ。

 

「なぜドアを開けない?」

『うーん…そうですね…お尻を拭いていたからですかね。この世界の機械な美少女(DOLLS)だって排泄はするんですよ。人間みたいに。』

「理由になってないぞ?ラーテ。」

『そうですかね?』

「そうじゃ。だいたい…」

ドアノブを離し、容赦なくマウス(ニセモノ)の脚を撃ち抜く。膝あたりを狙った弾丸は照準どおりに右膝を貫き床にあたって跳ねた。

 

「ラーテ、何をするのじゃ!」

『あらごめんなさい。ライフルが暴発しちゃって。』

次弾を送弾して左膝を撃つ。うん、予想は当たりだ。

 

『ラーテ?そうでしたね。私はラーテです。でもね、姉さん(ニセモノ)。本物の姉さんは二人っきりの時、私を塵肺(ニューマーコーニオシス)って呼ぶんだよ?』

「お主らそういう関係だったのか!」

『え?嘘だよ?』

 

頭を撃ち抜く。ボルトハンドルを握って次弾を送弾すると今度は胸に。計4発撃ち込んで蹴り倒す。姉のフリをした敵だとわかっていてもこれは辛い。警報装置を鳴らし、マウスの胸あたりを撃つと災獣が機能を停止したのか真っ赤な液体に塗れた姉の姿は消え石の塊が現れる。はあ…こんな奴に振り回されていたのか…

 

 やってきた衛兵(確認したが異常は見られなかった)の付き添いのもと資料を制作する。ちなみに本物のマウスは屋上の物陰で拘束され、伸びていた。カラダが冷えていたのでたまたま着ていたコートを着せて部屋に寝かせに行ったが…起きなかった。

 

 偽物との見分け方はシンプル。よく見ると複製ミスがある。事件後、周辺を漁ると衛兵の中に危険思想を持つ者(共振者)が居た。もちろん…始末した。

 

 グレーテル(上司)が顔を近づけて話す癖があることは前に書いたが、どうやらある耳の遠い先輩が居たらしく、その人に私は少し似ているらしい。…全く記憶にないあたり関係は薄いだろう。

 

 

※1

『脅威度』と教育段階で教えられた数値。高いほうが基本は優先して狙われる。

 

※2

忘れがちだが作戦中である。なかなか出撃する機会が無いのだが本当に作戦中なのか?

 

※3

トイレには緊急時に破壊槌や自衛武器等を生成する用に3Dプリンターが備え付けられている。本来、ライフルはIFF(敵味方識別装置)が内蔵されて生成されるらしいが…

 

 

 マウス(ニセモノ)を撃つのは辛いだけでなく楽しくもあったが。




 全然出撃していないですね…最前線のはずなのですが…

マウスファンの方…すいません。こうするしかなかったんです…
だから、許してね?(BAN!)


次回…は少しお待ちください…
イベントが…バクが…トホホ…

新しく着任してほしい架空DOLLS募集

  • オイ車(極東重鋼)
  • T-95GMC(星屑連邦)
  • T-35(赤色10月同盟)
  • それ以外で…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。