転生オリ主のテンプレ特盛ダイアリー    作:昨日辛雪

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高評価並びに感想、お気に入り登録有難うございます。皆様のレスポンスが励みとなりもう一話休み中に完成させられました。

前話に関してですが、ご指摘いただいたバーコード関連の記述を改稿いたしました。
この反省を活かし、フワッとしているけれどスカスカではないSSを目指していこと思います。


オリ主日記(6)ver.1.2

1997年8月9日

 

 今日はタカミチが訪ねてきた。

 エヴァから俺の魔導具の話を聞いたらしく、ぜひ見せて欲しいとのことだった。

 思えば、俺自身浮かれていたのだろう。買ってもらったばかりの玩具を自慢する子供のようにはしゃいでしまった。

 どうも転生してから肉体に精神が引っ張られている気がする。大人の精神では羞恥を感じるような出来事もすんなり受け入れている自分がいる。

 心の防衛本能なのかもしれないが複雑な気分だ。

 

 タカミチは俺が魔導具で魔法を発動させるのを、食い入るように見ていたな。考えてみれば、生まれつき呪文の詠唱ができないというハンデを背負ったタカミチにとって、こいつは夢のマシンみたいなものかもしれない。

「ハルカ君。頼みたいことがあるんだけれど、いいかな?」

 案の定、タカミチの依頼は魔導具の制作だった。

 レンゲルラウザーもどきのカードリーダーを使えば手間でもないし、俺はそれを受けることにした。なにより魔法を使ってみたいという思いは男として共感できる。

「しょうがないなぁ、たかは太くんは」

 濁声(だみごえ)なのはお約束というやつだ。

 

 タカミチはどんな魔法を使いたいのだろうか? 念のため魔導具を試めしてみたいというタカミチの前に、

「この中からどれでも好きな魔法を選んでくれ」

とカードを並べる。俺の予想としては原作の父に憧れていたという趣旨の発言から、雷系の攻撃魔法だと予想していたのだが……

「ありがとう。じゃあ、これを借りようかな」

 そう言ってタカミチが手に取ったのは治癒魔法のカードだった。

 

 冷や汗が流れた。嫌な予感がする。そういえば、タカミチには「悠久の風」としての活動で世界中の紛争地帯を駆け回っている設定があったような……

 俺の不安をよそに、タカミチは自分の腕を少し傷つけて治癒魔法が発動するか実験していた。

 結果は無事に成功したのだが、問題はそこではなくタカミチがボソッと呟いた一言だ。

「よかった。これで救える命が少し増えた」

 誰に聞かせるでもなく、安堵から思わず漏れてしまったであろう言葉を俺の耳は確かに捉えた。

 やってしまった! これは茶化していい案件ではなかった!!

 魔導具が完成して調子に乗っていた。タカミチの来歴を考えれば魔法の使い道など容易に想像できた筈なのに…… 後悔が波のように押し寄せる。

「えっとさ、タカミチ。明日また来てくれないか。回復系の魔法はそんなにカード化してなくてさ。エヴァの別荘使って増やしとくから」

 我ながら歯切れが悪いったらない。タカミチから希望する魔法の種類を聞き出して今日は解散することにした。

 

1997年8月10日

 

「昨日は済まなかった。茶化すような物言いをしてゴメン」

 俺はそう言って、タカミチにベルト型に改造したカードリーダーを手渡した。

 バックル部分にスリットがあり、そこにカードを差し込むと魔法が発動。カードは自動で発動する転送魔法で腰側面に付けられたカードホルダーに戻る仕組みだ。

 タカミチは気にしてないと言いながらも、快く謝罪を受け入れてくれた。

 そして、もう一枚タカミチへとカードを差し出す。それは俺からの謝意の証。

「ハルカ君、これは?」

「そのカードにはあらかじめ俺の魔力を込めてある。即死でなければどんな重傷でも治癒が可能だ。ただし、効果は一度きり。使いどころはよく考えて欲しい」

 治癒魔法であっても、注いだ魔力によって効果が変わることは昨日実証済みだ。そのカードには影分身一体分、並みの治癒術師数人分に相当する魔力を込めておいた。

 これは保険でもある。原作通りであればタカミチは少なくとも作中で命を落とすことはない。

 しかし、俺が生まれたことでこの世界と原作とでは少しずつズレが生まれている。今まではそれがプラスに働いていたが、悪い方向に原作崩壊が起こらない保証はない。

 だから、昨日の申し訳なさと、無事でいて欲しいという思いを一枚のカードに託し、お守りとしてタカミチに渡すことにしたのだ。

「ありがとう、大切にするよ」

 よかった。どうやら喜んでくれたようだ。

「しかし、すごい技術だねこれは。でも、これ程の物を作る時間があれば()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 ――…… 何…… だと……?

 

 言われてみればその通りだ。いや、薄々そんな気はしていたが、魔導具作りが楽しくて見ないフリをしていた。

「奴の息子なんだ、普通とは感性がズレていても可笑しくはあるまい」

 いつの間にか来ていたエヴァが会話に入ってくる。というか気付いていたのなら、なんで教えてくれなかったんだ?

「そういうところが可愛くもあってだな……」

 エヴァは口元に手をあてクスクス笑っている。タカミチもそれで納得しないでくれよ。

 どうしてこうなった。

 

1997年8月12日

 

 手段と目的が完全に入れ替わっていた。俺はエヴァを守れるくらい強くなりたいのであって、魔法が使えればいいわけではないのだ。

 今一度初心に帰ってみようと思う。俺の夢はエヴァの魔法使いの従者(ミニステル・マギ)になることだ。役割は砲台である術者を守る盾。

 前衛を任せられる以上、近接戦闘が想定される。そう考えるとあのガントレットは使いづらいと言わざるを得ない。

 殴り合いの中で魔法発動までのプロセスを踏めるかと言えば、ハッキリ言って難しいだろう。なぜ、そんな簡単なことに思い至らなかったのか……

 済んだことは仕方がない。切り替えていこう。

 

 タカミチに渡したカードリーダーで助かる命が一人でも増えたなら、あの時間だって無駄では無い筈だ。

 それに、ガントレットにだって利点はある。俺はネギとは違い魔法理論などという小難しいことは分からない。

 だが、魔導具を使えば同時に複数の魔法を発動することができる。原作でネギがやっていた「術式統合(ウニソネント)」ではないが、特定の相性がいい魔法を組み合わせることで「合成魔法(ミックス・レイド)」を発動することができる。

 せっかく作ったのだ、お蔵入りでは悲しすぎる。広域殲滅用の戦略兵器としては有効なのだ、切り札として運用していこうと思う。

 

 エヴァには偉大な魔法使い(マギステル・マギ)になることに興味などなく、エヴァのパートナーである従者になりたいという旨を伝え、そのための訓練を主にしてくれるように頼んだ。

 エヴァは、

「いいのか、一度口に出した言葉は取り消せんぞ」

と両手で俺の顔を挟み込み真っすぐ目を見て尋ねてくる。

 答えなど決まっている。俺は間髪いれずに頷いた。

「相変わらずズルい男だよ、お前は」

 エヴァは俺の額にキスをすると、その一言だけ残しサッと踵を返して足早に去っていった。

 言葉の意味はイマイチ分からないが突然のことに俺の顔は真っ赤に染まる。エヴァは今、一体どんな表情(かお)をしているのだろうか。

 

 それ以来、魔力運用の効率化などに主眼を置いた修行をするようになった。

 かといって、詠唱を用いた魔法の訓練を辞めた訳じゃない。俺には「多重影分身」の術があるし、身につけて損はない技術だ。根気よくやっていこうと思う。

 

1997年9月22日

 

 「咸卦法」を使っていて思ったのだが、この「咸卦の気」で肉体を強化するスタイルは「HUNTER×HUNTER」に出てくる「念」のオーラの扱いに似ている。

 今俺が行っている「咸卦の気」を全身に纏った状態は四大行の「纏」に相当するといえる。念ではないから「発」は無理だとしても、「咸卦の気」の一切を体の内に納める「絶」と、「咸卦の気」の出力を上げる「練」ならば問題なく再現できるはずだ。

 

 そう考えて暫く分身体に漫画で読んだ修行させていたのだが、やはり「咸卦の気」とオーラには近しい性質があるらしい。

 これからは四大行を組み合わせた応用技の習得を目指していこうと思う。

 

1997年10月15日

 

 目の前で葛葉刀子さんに神鳴流の技を披露してもらっている。彼女は眼鏡をかけたクール系の美女で麻帆良学園に在籍する魔法先生の一人でもある。

 タカミチがカードリーダーのお礼にと、俺の願いを請けて彼女に交渉してくれたのだ。

 俺はあの後自分の行く末を見つめ直した結果、格闘戦の技術を磨くことを優先すべきと定めた。

 しかし、近頃は我流での稽古では限界を感じるようになっていた。

 そこで目をつけたのが神鳴流だ。神鳴流は原作を読んだ者の厨二病を加速させたロマン溢れる剣術で、京都を拠点にした裏世界で活躍する退魔師の一族が継承している流派だ。

 頼んで教えてもらえるものでもないので、直に見ることで少しでも技を盗むことができればと思っている。

 今日のために体の一点に「咸卦の気」を集中させる「凝」を練習してきたのだ。この世界で「凝」を使い目に「咸卦の気」を集めると、人の体内を流れる「気」や「魔力」の流れが見えるようになる。

 これがあれば、何か神鳴流のヒントが得られるはずだ。

  

 素手での戦闘を主体とする俺が剣術に興味を覚えることに疑問を持つかもしれないが、原作で神鳴流は武器を選ばない流派とされておりデッキブラシで技を繰り出していたし、無手で行う技法もある。

 それに前世の知識がある俺は知っている。剣術だからと言って()()()()()()()()()()()()()()()()()()ということを。

 

1997年10月19日

 

 やはり天才か。

 自画自賛でしかない痛い発言だが、「凝」を使っていたとはいえ一度見ただけで神鳴流の技を再現できたのだから、こうも言いたくなる。

 我流故に粗が多いのは否めないが、それはチャチャゼロとの模擬戦の中で少しずつ削ぎ落としていけばいい。

 

 チャチャゼロには実戦形式で修行につきあってもらっている。彼女は刃物の扱いのスペシャリストだ。神鳴流もどきと組み合わせたもう一つの流派の習熟にも、チャチャゼロほどの相手はいない。

 前回の失敗から、俺は机の上だけで物事を進めると明後日の方向に突き進む傾向があると理解した。

 ガントレットも実際に戦いの場で使ってみたのなら、その欠点にも気付けていただろう。いくら今生ではウェールズ出身だからといって、「英国面」に向かう必要などないのだ。

 俺はネギとは違う。技でも何でも戦闘の中で体に直接叩き込むのが性に合っている。

 

 それともう一つ、原作知識を整理している時に思ったのだが、魔法使いとは違いラカンを筆頭に「気」の使い手は直接「気」をエネルギー弾みたいな感じで攻撃に用いている。

 もちろん魔法にも雷で相手を痺れさせたりとか、氷漬けにしたり、属性を付与することで得られる利点も多い。

 しかし、敵を倒すことだけを考えたら「咸卦の気」を凝縮してぶつけた方が早いのではないかと……

 「かめはめ波」とか再現してみたい技は色々あるのだが、俺はまず明確な修行法が明かされている「螺旋丸」の習得を目標に掲げた。

 さて、水風船をエヴァに用意してもらいますかねっと。

 

1998年6月13日

 

 日記を手に取るのも随分と久しぶりだ。気づけば俺も既に五歳。あれから、随分と修行に明け暮れる日々を過ごした。

 神鳴流などをミックスしたオリジナル拳法もだいぶ様になってきたし、無事に螺旋丸も会得できた。

 これは思わぬ収穫なのだが、この術は障壁頼りの魔法使いにとってはかなり有効性が高い。

 チャチャゼロとの修行をエヴァに目撃され、その流れで模擬戦を申し込まれたのだが、俺としても彼女にどこまで食らいつけるか興味があったし、新技の「螺旋丸」も試してみたかったので二つ返事で了承した。

 

 エヴァ相手に臆してもジリ貧になって負けるだけだ。しかけるのならば速攻あるのみ。瞬動で一気に距離を詰め、エヴァにはまだ見せていなかった螺旋丸で度肝を抜く作戦にでた。

 魔法障壁に阻まれることを覚悟していたのだが、何の抵抗もなく、むしろ直径が少し大きくなった螺旋丸がエヴァを直撃。彼女はきりもみ回転しながら飛んで行ってしまった。

 いったい何が起きたんだ!? 不死身だと知ってはいるが、さすがに心配になり駆け寄ると、

「ふふふふ、嬉しいよハルカ。まさか私に傷をつけられるまで成長しているとは…… どれ、少し本気を見せてやろう」

そこには目に妖しい光を灯し、全身から魔力を迸らせるエヴァの姿が。

 …… 俺は氷漬けになった。いや、あの状態のエヴァから三分以上逃げられただけでも褒められるレベルなんじゃないかな。

 

 後で分かったことだが、乱回転させた「咸卦の気」を球体に圧縮した螺旋丸が魔法障壁にふれると、障壁を構成する魔力を巻き込んで巨大化し威力を増すらしい。

 厳密には違うのだが、台風が周囲の暖湿気を呑み込み発達するようなものだそうだ。

 不思議なのが「NARUTO」のアニメだと螺旋丸は青い光を放っていたのに対し、俺の螺旋丸は虹色に煌めいている。これは世界の違いによるものなのか、それとも……

 

 しかし、五歳児のくせに修行漬けだな俺。それでもサイヤ人とドンパチやってた孫悟飯よりはだいぶマシだが。

「ハルカ、今後は私とチャチャゼロ。二人で稽古をつけてやろう」

「楽シミダナ、御主人。血ガ滾ルゼ」

 ゴメン、やっぱ辛ぇわ。

 

1999年3月2日

 

 修行・修行の連続で特に書くこともなかったのだが、今日は久しぶりに驚きがあったので日記にしたためたいと思う。

 来週からエヴァとチャチャゼロと一緒に京都旅行に行くことになった。

 俺も今年から小学生だ。一緒にいられる時間が少なくなるからと、エヴァ達が計画を立ててくれた。

 本来ならば入学はもう一年先なんだけど、エヴァの別荘で修行した結果として一年分俺の成長が早まり、急遽前倒しになったのだ。

 修行の時間が減るのは本意ではなかったんだけど、爺さんには

「子供の一年は大きいのじゃ、理解してくれんかのう」

と言われている。長年教育者として働いてきた男の言葉だ、無碍にはできない。

 ただ経費は爺さんが出してくれるのだが、関西呪術協会への使者も兼ねているとのことで、随行員として「明石さん」も同行するみたいだ。

 十中八九、原作に登場した明石裕奈の親父さんだろう。

 しかし、こんなに早く関西呪術協会の名が出てくるとは、

「六巻内容! なぜ六巻内容がここに…… 原作崩壊したのか? 自動でブレイクを? 六巻内容!」

みたいなことにならなければいいのだが……

 

 そういえば、俺の入学にあわせて、なんとあのエヴァが麻帆良で教鞭を執るらしい。エヴァから学校では「雪姫」と呼ぶようにと言われている。

 まぁ、賞金首ではなくなったとは言え無く子も黙るエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルの名は無闇に名乗れないのであろう。

 あれ? そうなると俺の姓ってどうなのるのだろうか。スプリングフィールドはもちろんエンテオフュシアなど到底使えるはずもない。てっきり「ハルカ・マクダウェル」が公的な俺の名前だとばかり思っていたのだが……

「これが麻帆良での身分証だ。失くすなよ」

 エヴァから手渡された学生証に書かれていたのは「ハルカ・ゼーゲブレヒト」の文字。

 

 ちょっと待て、「ゼーゲブレヒト」だと!?

 

 確かに俺は金髪だし、右目が翠で左目が紅のオッドアイだが、聖王家はそもそも出てくる作品が違う。偶然、なのだろうか?

 俺の混乱を知ってか知らずか、エヴァは俺に語りかけた。

「ゼーゲブレヒトは、御伽噺にでてくる始祖アマテルの従者が名乗っていた姓だという話だ。お前は私の従者になるのだろう。ならば、そのくらいの男になってもらわねば」

 思わぬビックネームが出てきたが、どうやら俺の懸念は杞憂だったようだ。そう、胸を撫で下ろした時だった、

「そうそう。なんでもその男、次元の彼方より渡り来たとかいう逸話が残っていてな。魔法世界の御伽噺がずいぶんとSFチックだとは思わんか? どうだ、面白い話だろう」

…… おいまじか。

 




結構作中の時間は経過させたのに、物語がちっとも進んでませんね。
予定ではもっと話を進める予定でしたが、修行メイン回がまた続いてしまいました。

ですが、種はまけたと思うので次話以降で育てていきたいと思います。

修正箇所
ver.1.2:オリ主の小学校入学が一年早まったことを追記
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