1999年3月9日 5:00p.m. 京都市内? 山中
何が起こってやがるチクショウ。
不審者の女に絡まれて
「悪いが人違いだ…… 俺はエンテオフュシアじゃない」
「誤魔化しても無駄よ、あなたからはエヴァンジェリン様の匂いがするもの」
みたいな、違う・違わないなどという不毛なやり取りに嫌気が差した俺は、とりあえず無視してこの場を去ることに決めた。
エヴァに「様」をつけていることから、恐らく敵ではないのだろうが、別の意味でヤバそうだ。
というか「匂い」って何だ「匂い」って。
一見すると堅物っぽいこの女だが、十中八九ポンコツ属性を持っている。このご時世で「エンテオフュシア」の名を出されて肯定するヤツがどこにいるんだよ……
そう思い、瞬動術でズラかろうとした、その時だった。
不意に、殺意も、害意も、敵意すらなく現れた鏡に俺の姿が映し出された刹那、どことも知れない山中に転移させられていた。
逢魔が時、鬱蒼と茂る木々が異様な不気味さを醸し出している。
ここはどこだ…… ?
「どうやら特殊な転移魔法のようですね。まったく、アナタが早くエヴァンジェリン様の元へと案内していればこんなことには――」
なんでアンタまでいんだよ。ブツブツと愚痴を言う不審者の姿に脱力しそうになったのだが、唐突に襲い来たプレッシャーがそれを許さない。
コツコツと足音を鳴らし、暗がりの中から一人の男が姿を現した。
全身を黒い装束で覆い、フードの合間に見える肌は病的なまでに青い。長く伸ばした髪で隠され、顔の造りはよく見えないが、眼の下のクマが色濃く主張していた。
全身に悪寒が走る。コイツ只者じゃない。魔法で呼び出したガントレットを装着し構える。
「オイオイ、そう身構えるなって『亡国の王子様』よ。ついうっかり殺しちまったらどーすんだよ」
「何の話だ?」
「あ~そっか、そっか。お前は知らないんだったな。しっかしよ、自分の出自も知らないとは憐れなもんだな、え?」
ホントは転生者だから知ってんだけどね。そんなツッコミさえ心の中で入れている余裕もない。
コイツから漂ってくる濃厚な死の気配に、俺の本能が警鐘を鳴らしている。
心身を研ぎ澄ませて警戒する俺の様子が琴線に触れたのか、男はへばりつくような笑みを浮かべた。
「ククククク、別にとって喰ったりやしねーよ。安心しな、なんたってオレは心優しい『貴族』様だからなぁ」
1999年3月9日 5:15p.m. 京都市内? 山中
じきに二十一世紀になるというのに“貴族”だと? それに貴族を名乗るには格好が陰キャによりすぎてはいないか?
「『貴族』、やはりアナタは真祖の―― !」
不審者の女がいつの間に出したのか、長物のハンマーと日本刀を手にして言う。
どうやら、俺の知る“貴族”と彼女達の言う『貴族』は別物らしいな。
「そういや、オマケがいたんだったな。まぁイイ」
男は再び俺に視線を戻した。
「今日は人間から依頼を受けてこの場をお膳立てしてやったのさ。クク、ノブレスオブリージュってやつだ。ホラ来いよ」
ヤツの言葉を受け出てきた脂太りの中年男性が、俺の前に膝を突いた。
純白のローブと豊かに蓄えられた口髭を、全身から滲み出る薄汚い欲心が滑稽に見せている。
ん……? コイツの服装は確か原作で見たMM元老院の……
「おおっ! お会いしとう御座いましたハルカ・インペラトル・エンテオフュシア様。さぁ、ワタクシと共に魔法世界へと参りましょう」
このオッサンの話はとてもじゃないが聞くに堪えないものだった。
最初こそ魔法世界最古の歴史を持つ旧ウェスペルタティア王家の狂信者かとも思ったのだが、実際は地球を魔法世界の支配下におこうとする思想を持った過激派の勢力であった。
今もトリップしながら
「高貴なる青き血が流れる貴方様こそが、この地も魔法世界も統べるに相応しいのです。今こそ、王政復古の時!!」
なんて宣ってやがる。伏せた顔を覗けば、瞳孔が開いて目が完全にイッちまってるけど大丈夫か?
だが、コイツの話の節々から現在のMM元老院の動向が推測出来たのは僥倖だ。
過激派は元老院の中でも少数勢力ではあったが、俺の母親を陥れた上層部に加担することで一定の地位を得ていた。
しかし、ある時上層部は俺の情報を隠匿するためにエヴァの懸賞金を取り下げる判断をした。どうやらエヴァが賞金首になったのには過激派の思惑が大きく絡んでいるようで、その流れの中でコイツらは切り捨てられたらしい。
見切りをつけられ、いよいよ後が無い差し迫った状況を打破すべく、過激派の連中は上層部が急に方針転換した原因を探り俺に行き着いた。
そして、俺を手中に収めることで上層部からアドバンテージを得ることを目的に、『貴族』の助力を得て今ここに至るというわけだ。
救いようのない阿呆だな、本当に。
狡猾な上層部のヤツ等が俺の情報なんていう秘中の秘をそう簡単に漏らすかよ。
オッサンを使って俺と諸共に始末するつもりだと何故判らない?
いや、そうか。コイツらを敢えて見捨てることで焦らせて、俺という撒き餌に喰いつかざるを得ないように誘導したのか。
やってくれるな。連中を誘き出す囮であった俺を逆手にとって利用しやがった。
おっ、長ったらしい与太話もそろそろ仕舞か。オッサンがすくっと立ち上がった。
1999年3月9日 5:30p.m. 京都市内? 山中
「では参りましょうか」
オッサンが俺に手を差し出してくる。そんなもの俺が握るわけがないだろう。
「ついて行ってはいけないわ! 騙されてはダメよ!」
不審者がそれを言うか?
まぁ、安心してくれていい。リアルな五歳児ならわからんが、こちとら前世も合わせればソコソコの年はいってんだ。コイツの話を信じるほど脳内お花畑ではない。
「断る。生憎と今の暮らしが気に入っているんだ。それにアンタはどうにも信用できない」
俺が拒絶するとオッサンがぶっちゃけ見え見えだった本性を現した。
「何も知らんガキが、下手に出ていれば付け上がりおってからに……!! 残念ですが王子には躾が必要なようですね!」
小物のテンプレみたいなムーヴをありがとよ。
「その愚かものを取り押さえなさい。多少の怪我はやむを得ません。ゴルゴンゾーラの恐ろしさを教えてやるのです」
オッサンの言葉を受けた『貴族』が鏡から五人ほど京の呪術師を呼び出した。彼等が関西呪術協会の不穏分子か?
それにしても様子がおかしい。うわっ! 何だあれ後頭部からキモイ触手みたいのが見えたぞ!
呪術師が梵語を唱えると、鬼やら烏族やらの妖魔が次々に召喚される。
「何や何や、久々に呼ばれたと思うたらおぼこい坊ちゃんが相手かいな」
「悪いなぁ坊主、呼ばれた以上は戦わなあかんのや」
妖魔といえども、子供相手に多勢に無勢では気が引けるようだ。先ずは小手調べのつもりか、二体の妖魔が俺の前に躍り出た。
「危ない!」
不審者の女が俺を助けようと駆け寄ってくる。
だが、気遣いは無用。
「
体内で一気に練り上げた「咸卦の気」を纏い高く飛んで、退魔の力を込めた手刀をもって俺を捕えようと近づいた鬼を叩き切り、返す刀でもう一体の妖魔を切り上げた。
残念だったな、俺が前世の知識をもとに創りあげた厨二混合剣術は一対多の戦いも、化生との戦いも、ついでに言うなら剣士との戦いも全てが得意分野なのさ。
不審者もゴルゴンゾーラとかいうオッサンも俺が妖魔を切り捨てたことに呆気にとられている。
確かに五歳児にしては異常な戦闘力ではあるが、この歳でフリーザ様に挑んだ孫悟飯に比べれば可愛いもんだろう。
「咸卦の気」で念能力の「円」を再現して、周囲の敵を探る。その数ざっと六十体ほどに囲まれているが、正直今の俺には脅威たりえない。
いや、違う。妖魔のものではない人間の気配が一直線にこちらに向かってくる。
「『貴族』はん、ご迷惑と思いますけど、ウチ、そこの坊ちゃんと手合わせさせて頂きたいんですー」
現れたのは十歳くらいに見える少女。ゴスロリ衣装に身を包み可愛らしい表情にのんびりとした口調をしているが、その手には二本の刀が握られており、眼鏡の奥から覗く瞳には確かな狂気が宿っている。
月詠……!? お前、こんな年からバトルジャンキーだったのかよ!
「ったく、ガキに興味はなかったんじゃねーのかよ?」
「そないなイケズなことは、言わんといてくださいー」
何回かのやりとりを経て、どうやら月詠と俺で一対一の死合をする運びになったようだ。途中ゴルゴンゾーラが抗議の声を上げたが、『貴族』に黙殺されて引き下がっていた。
「なんやおもろい剣術使うみたいやね、ボクは。ウチにも見せておくれやす」
漫画作品において、とかく剣士というのは理不尽な存在だ。刀一本持つだけで人も鉄も、果ては時間や空間までも切り捨てやがる。
剣を極めた相手にこちらが守りをいくら固めても無駄だということは、チャチャゼロに嫌というほど分からされた。ならば、やることは一つ。剣士が刀を振りきる前にその得物を破壊する。
「ほな、ウチから行かせてもらいますえー」
俺を袈裟切りにしようと刀を振り上げた月詠に対して、俺は響転で一気に間合いを詰め、まだ速度が乗る前の刀身を峰の部分を掴んでへし折った。
「虚刀神鳴御剣流・活心の型・刃断ち」
月詠は一瞬目を見開くが、すぐに心底楽しそうな笑みを浮かべる。
彼女は残った刀を持つ左手を、刀の切っ先を俺に向けたまま後方へと大きく引いた。
次に来るのは刺突か。
ならば
「虚刀神鳴御剣流・菊」
俺は両の掌を敵に向け右腕を前に突き出す「鈴蘭」の構えから、月詠が突き出した刀を、腰と両肘を用いて梃子の原理で粉砕した。
慣性の法則に従い俺の背後へと抜ける彼女に回し蹴りを食らわせ、意趣返しがてらゴルゴンゾーラの方へと蹴り飛ばす。
月詠はゴルゴンゾーラにあわや直撃というところで、『貴族』の鏡に呑まれて何処かへと跳ばされた。惜しい。
さてと、不意の原作キャラとの邂逅には驚いたが、この場を切り抜ける上での最大の懸念である『貴族』様は、月詠がやられてもなお、いっこうに動く素振りをみせない。ヤツが何もしないのならば一点突破で離脱を計るのも容易だろう。
ゴルゴンゾーラに関しては俺のことを知った以上、MM元老院の上層部に消されるのは明白だ。厄介な敵なだけに、その抜け目のなさは信用できる。
巻き込んでしまった手前、不審者といえども置き去りにするのは気が引けるので、彼女の手首を掴み離脱しようとした俺の背に、ゴルゴンゾーラが罵声を浴びせかける。
「ワタクシではなくあの悪党を選ぶとは、『災禍の落とし児』…… 親が親なら子も子ですねぇ、もう少し賢いと思っていましたが」
俺のことなど好きに言えばいい。所詮は負け犬の遠吠えだ。
だが、次にヤツの口から出た言葉は俺の足を止めるには十分すぎるものであった。
「それとも育ての親が悪いんですかねぇ、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。己を不死身にするために、無辜の民から命を奪った醜悪なバケモノ」
ピクリと俺の肩が跳ねる。
「そういえば何故負けた筈のあの女が生きていたんですかねぇ? きっと色仕掛けでもしたんでしょう。あの汚らわしい淫売が!!」
正直なところ転生者であることに引け目を感じていないといったら嘘になる。両親に愛されながらも、原作には存在しない異物である俺がこの世界にいてもいいのかと思い悩むこともあった。
「魔法先生ネギま!」の世界を楽しむと嘯いてみても、頭の片隅で常にチラつくのは所詮、己など邪魔者でしかないという考え。
そんな俺を救ってくれたのがエヴァだった。今も理由は分からないがエヴァは俺を必要としてくれた。
家族だけでは満足できず、他者による承認を求めていた俺の浅ましい欲求を彼女が優しく満たしてくれた。それにどれほど救われたか……
そして今もなお、俺はエヴァの威光に守られている。
だから、彼女を侮辱するヤツの言葉は到底許せるものではない。
この場からの逃げること。それが最善だと頭では分かっている。それでも、もう一人の自分が問いかけてくるのだ
「このまま言わせといていいのか?」
と
「お前はなんの為に力を求めたのか?」
と。
そういえば、昔何かで聞いたことがある。“人を救うということは命だけじゃなく心も救うこと”だと。だったらそれは“守る”ことだって同じじゃないのか!?
エヴァは自ら悪を名乗り尊大な態度をとっているが、その仮面の下にあるのは自分を殺しにきた相手の命すら背負ってしまう、誰よりも優しい一人の繊細な少女の顔だ。
なら答えは一つだろう。あんな言葉エヴァに聞かせてはいけない。そんなことを言うやつをのさばらせてはいけない。
ふと、不審者の女と目が合う。言葉にはせずとも、武器を手にした彼女の瞳は雄弁に語っていた
「私はあの男を許せない、貴方はどうするの?」
と。面白いことに、先ほどまでは幾ら言葉を重ねても分かり合えなかった彼女の心が、今は手に取るようにわかる。
そして、彼女にも伝わっているはずだ
「決まっている、俺はアイツをぶん殴る」
という、俺の気持ちが。
特段何かを示し合わせたわけでもないのに、俺と彼女は同時に駆け出した。
初対面で名前すら知らない相手なのに、驚くほどに息が合う。
彼女を背後から急襲する烏族がいれば、俺が蹴りで首を飛ばし、俺の不意を突こうとする単眼の大鬼があれば、彼女の白く輝く拳が巨躯を穿つ。
たった二人、背中合わせの大立ち回り。何の根拠もないのに不思議と負ける気はしなかった。
「バ…… バカな⁈ 相手は二人なのですよ‼ それもこんな女子供に……!」
狼狽するゴルゴンゾーラに対し、『貴族』の男は気だるげな態度を崩さない。
「みっともないから、そう騒ぐなよ。オマエの周りにゃまだ“別格”の連中がそろってんだろうが?」
“別格”と称されていた妖魔は原作にも登場していた。雑兵共とは呪力の質も量も一味違っている。
「斯神其人を放逐しエデンの園の東に智天使と自ら廻る焔の剣を置いて生命の樹の途を保守り給う『
気合の一声をもって飛び上がった、不審者…… いや、今や戦友の女の背後から十字架を模した魔法陣が数多出現し、絨毯爆撃のごとく放たれた焔の剣が爆炎をまき散らしながら、妖魔達を焼き払う。
俺も負けてはいられない。ゴルゴンゾーラはもう目の前なんだ、後はもう押し通るのみ。
「虚刀神鳴御剣流・
壱・唐竹、弐・袈裟切り、参・右薙、肆・右斬上、伍・逆風、陸・左斬上、漆・左薙、捌・逆袈裟、玖・突き。以上九種類の斬撃を、両手の手刀に魔を滅する雷光を上乗せして一度に放つ突進技。
回避も防御も不能なこの技の前では“別格”だろうが関係ない。等しく散っていくだけだ。
守ってくれるモノはもういない。ヤツは驚きに目を見開き、脂汗を垂らしている。今更焦ったところでもう遅い。
「エヴァンジェリン様の道程を」
「エヴァの優しさを」
「「知りもしないくせに」」
俺達は並走し、ゴルゴンゾーラの醜い顔面目掛けて
「「貴様が偉そうに彼女を語ってんじゃ――」」
「ないわよ!」
「ねぇ!!」
二人同時に拳を叩きこんだ。
1999年3月9日 5:45p.m. 京都市内? 山中
後はもんどり打って倒れているゴルゴンゾーラにとどめを刺すだけだ。だが、前世で培ってきた倫理観がその選択を一瞬俺に躊躇わせた。
だが、その甘さが仇になった。ゴルゴンゾーラの穴という穴からドロっとした黒い粘液があふれ出したのだ。
呪術師たちにも同じ現象が起きている。今度は何事だよ。
「貴族様、これはどういうことですか!? お助け…… お助けください!!」
全身が溶け出しながら縋り付くゴルゴンゾーラを『貴族』の男は足蹴にした。
「そいつは、できない相談だな。アンタ等に消えてもらうことも含めて俺の“お仕事”だからな」
男がパチンと指をならすとゴルゴンゾーラと似たような姿の男達が鏡の中から放り出された。彼等も一様に黒い粘液を垂れ流している。
流れ出た黒い粘液が辺りに満ちて、そこから沸騰したように泡が立ち次々と悪魔の姿を形作っていく。
そうか、彼等は悪魔召喚のための生贄にされたんだ。
「元老院のお偉いさんからの依頼でね。恨むんだったらソッチを恨んでくんな」
コイツ…… 元老院上層部からの刺客だったのか。
ちょっと待って、おかしいぞ。だったら何故俺を襲わない?
俺の疑問をよそに、ヤツは謎の言葉を残して消えていった。
「オマエが本当に“そう”だっていうなら、この状況から生き残ってみせな」
言葉の真意は分からないが、最大の難敵が撤退してくれたのはありがたい。
しかし、まだ楽観はできない。魔法使い、呪術師合わせて十人以上の命をくべたのだ、呼び出される悪魔の数は百や二百はくだらないだろう。
原作で俺の故郷を襲撃した軍勢をも上回るかもしれない。
まっ普通ならそう思うのだが、この悪魔の召喚法は如何せん完全に悪魔が呼び出されるまで時間がかかる。
これだけの時間があれば俺なら「砲台」としての魔法使いの役割を十二分に全うすることが可能だ。
ガントレットに光のパネルはとうに展開済み、俺の手には既に三枚のカードが握られている。
攻撃の余波を受けないように、共に戦った友を肩に担いで上空へと移動する。
上から見ると想像以上に広範囲にわたって黒い粘液が広がっている。ガントレットがなかったら、俺でさえ下手を打てば詰みかねなかった。
だが、今回は相手が悪かったな。
「まさか親父の役目が俺に廻ってくるとは、因果ってのは不思議なもんだよ、ホントにな!」
俺は三枚のカードを同時に光のパネルに読み込ませる。
〈
〈
〈
「その声はエヴァンジェリン様の……! それに『千の雷』ですって! その歳で最高難度魔法を無詠唱で扱えるっていうの!?」
魔力のレールに乗せた彼女が、驚嘆して声を漏らす。そんな反応をしてもらえるなら苦労して作った甲斐があったというものだ。
だが、驚くのはまだ早い。異なる複数の呪文を同時に発動することで生まれる新たな魔法、それが!!
〈
天空に巴の雷神紋が浮かび上がった。それが円を描くように六つに分裂し、サークルを作り出した。
左手を高く掲げ、天に敷かれたサークルへと真・雷光剣を放つ。それにより術は完成し極大の雷球が生み出される。
「蹴散らせ『雷神演武』!!」」
俺が手を振り下ろすのと同時に、眼下より迫りくる悪魔の大群へ向けて放たれたそれは、轟音を響かせ、周囲の地形を完全に変容させながらも、かの地より表れ出でた魔の一切を討滅したのであった。
アンケートにご協力頂けた方ありがとうございました。
今回のような試みは最初で最後ですが、今後の投稿の参考にさせていただきます。
また、本話に限らず大きな改稿をした際にはver.表記をして、変更を加えたことを分かりやすくしたいと思います。
修正箇所
ver.2:OCG的な文中の表現を削除。月詠に関する記述の追加。
ver.3:エースの敗北者パロディを削除。オリ主と夏凛が協力する描写を追加。
その他、細かいパロディセリフを修正。