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3月9日 6:00p.m. 京都市内? 山中
ひとまず命の危機は去った。それなりに派手に闘りあったから、エヴァ達はこの場所に気づいてくれただろうか。
それにしても…… 「融合魔法」の着弾点を中心に巨大なクレーター状に大地はえぐれ、融解した山肌がバターのように流れ出ている。鬱蒼と茂っていた木々は消し炭さえも残さない。
幻術空間以外でこの術を使ったのは初めてだが、よもやこれほどの威力とは……。
エヴァが口を酸っぱくして別荘での使用を禁じるはずだ。
「これはまるで……ソドムとゴモラを焼いた……。あなたはいったい何者ですか!?」
そういえば、俺の方からはちゃんと名乗っていなかったな。
共闘したからこそ理解できた、コイツはエヴァのことを本当に大切に思っている。
なら、今の俺の名を教えても悪いようにはならないだろう。
「俺はハルカ。ハルカ・ゼーゲブレヒトだ。アンタは?」
「私は――」
一瞬、目をパチクリさせた後。何かを察したのか、フッと笑って名乗りを返そうとした彼女の行為は、俺が彼女を抱えて跳躍したことで中断させられた。
バトル漫画のお約束である、戦闘後の気の緩みを突いた不意の襲撃。一種のセオリーを警戒して張り巡らせていた「円」が捉えたのだ、先ほどの『貴族』と似た濃密な死の気配を。
「殺し」の気配を感じ取った体は頭が命令を出すよりも早く反応し、回避行動をとる。
ついさっきまで会話していた場所を「凝」で見ると、そこには無数の刃が通った軌跡が……。
冷や汗が流れる。ほんの数秒でも遅ければ、俺は今頃微塵切りにされていただろう。
「ちょっとあなた! どこを」
触っているのよ、と続くはずだった言葉は、暗闇から浮かび上がるようにして顕れた「殺し」の気配の発生源。その固有名詞に上書きされた。
「バアル……!?」
「へぇ、ヒト種にしてはやるようだ。アレを初見で躱してみせるなんてね」
何なんだコイツ。見た目こそ背丈もエヴァと変わらぬくらいの長髪の子供でしかないが、その身にまとう雰囲気は異質に過ぎる。
ヤツの目を見た時、俺は自分の首が刎ねられた姿を幻視した。
思わず、首を手でなぞってしまう。問題ない、ちゃんと繋がっている。
今ならば分かる。あのフード姿の『貴族』は俺に敵意や殺意を向けていなかったのだと。あの噎せ返るような死のイメージに殺気を乗せて向けられると、こうも足が竦むのか!
相手は格上、臆していても死が待つだけだ。ならば‼
出し惜しみはしない。油断している隙に、全力の一撃を叩き込む。
己の中で最強のイメージの一人を自身に重ね、心を鼓舞する。
両足で踏ん張り、左右の手首を合わせ腰の位置で開く。
両の掌の間に全身の「咸卦の気」を収束。
指の隙間から放射状に「咸卦の気」の光が溢れ出した。
俺はその体勢のまま、瞬動術を使い、ヤツの目の前へと一瞬で移動。
両手を前に突き出し、気合の咆哮と共に溜めこんだ力の全てを放出した。
「波ぁ――!!!」
ゼロ距離で射出された「咸卦の気」は破壊の奔流となって、堅牢な何かを突き破りヤツを跡形もなく消し飛ばした。
障壁を抜いての全力の『かめはめ波』だ。確かに手ごたえはあった……やったか?
「逃げなさい‼」
その声にハッとする。肘から先だけ再生したヤツが、こちらにゆっくりと手を翳している。
馬鹿な! 再生だと⁈ ありえない、ヤツの肉体は「咸卦の気」で完全に消滅した筈だ!
既に「殺し」の気配は俺に向かっている。これは、マズイな……!
焦りが俺の頭を埋め尽くした。その時であった、戦友の女が俺を突き飛ばしたのだ。
次の瞬間、彼女の衣類がはじけ飛び、苦悶の声を漏らしながらのたうち回っている。
「イシュト・カリン・オーテじゃないか。なんだ? 復活していたのか」
全身を復元したヤツはことも無げに言い放つ。
知り合いか? いや、それよりも何やってんだ、アンタは!
「アッ……ガッ……大丈夫よ。何人も私の体を傷つけることはできないわ。だから、あなたは逃げなさい」
何が大丈夫だ。確かに怪我こそしちゃいないが、ちゃんと痛みは感じているんじゃないか。
逃げろだと。身を挺してまで俺を庇ったアンタを見捨てろって? 馬鹿を言うな、逃げるのならば二人一緒にだ‼
「うおおおおおおお!!!」
脳裏にこびりついた死の映像を払拭するように雄叫びを上げ、右手首を蛇のようにしならせて勢いよく地面へと突き刺した。
―虚刀神鳴御剣流・
地表を貫いた俺の右腕を起点に、岩盤が捲れ上がり、地割れを起こしながら、土石流を形成し、凄まじい勢いでヤツを押し流す。
油断するな、まだ終わっちゃいない。
俺は魔法で四枚羽の巨大手裏剣・風魔手裏剣を呼び寄せると、土煙の中から立ち上がってきた人影に向かい、雷の魔法を上乗せした二枚の手裏剣をヤツからは一枚に視認される軌道で投擲した。
―
ヤツは漆黒の剣を手にして一枚目の手裏剣を上へと弾き飛ばすが、二枚目には対応しきれず頬を掠める。
自分の血が滴るのを見たヤツは不敵に笑うと、俺のほうへと手を翳す。それを視認したときには、無数の刃が俺を貫いていた。
残念だったな、こっちは囮だ。
ヤツの後方へと抜けた手裏剣が俺へと姿を変える。
エヴァではないが、この手の最強格のキャラは御大層な障壁を張っていると相場が決まっている。「かめはめ波」を打った際に感じた壁のようなものがソレだろう。ならば、『螺旋丸』が有効なはずだ。
掌に「咸卦の気」を回転・圧縮した塊を作り出した刹那、ヤツの影から突如飛び出してきた醜悪な魔獣に下半身を食い破られた。
「螺旋丸!!」
その瞬間、最初に弾き飛ばされた手裏剣に変化していた本体の俺が、ヤツの頭上から流星の如く急襲。周囲に張られていた障壁を巻き込み威力を増大させた螺旋丸を、脳天からヤツに炸裂させた。
解き放たれた乱回転する力が、半円型のドーム状に広がり、ヤツの足元から召喚された魔獣諸共、触れるもの全てを抉り削っていく。
どうせまた復活されるんだろうが、ヤツ自身の力を乗算した渾身の一撃だ。肉体の再構成までにそれなりの時間を稼げるはずだ。
俺は上着をイシュト何だっけか? とにかくないよりはマシだろうと彼女に羽織らせて、この場を離脱した。
え? カリンでいいって? ならそう呼ばせてもらおう。俺のことはハルカでいい。
1999年3月9日 6:10p.m. 京都市内? 湖
エヴァ達と合流するため、あの場を離れた俺達は森の一角に開けた場所を発見した。
そこには湖があり、水上には橋で繋がった祭壇、その奥には注連縄が巻かれた巨石が祀られている。
既視感を覚えるが、頭に霞がかかり詳細を思い出せない。前世では何度か京都を訪れたことがある。その時にこの場所にも来たのだろうか?
まぁ、いい。長居は出来ないが、少し水を飲んでいくか。
直接頭を水面につける。三月初旬の冷たすぎる水が、戦いで火照った体には丁度いい。
そういえば、カリンはヤツの名を呼んでいたな。聞いてみるか。
「カリン。オマエはヤツをバアルと呼んだな、アレはいったい何者だ?」
バアルと聞いてぱっと思いつくのがファンタジー作品でよく目にする古き神の名前だ。
前世で親しんでいた作品では、物語の終盤に出てくる最強格のボスであった。
クソったれ、最初からクライマックスなんて俺はゴメンだぞ!
カリンの話によると、あのバアルとかいうヤツは俺の想像以上にヤバいヤツだった。
ヤツの正体は人類の上位種、吸血鬼の真祖『貴族』。エヴァの不死身も造物主が連中を模して組み上げた術式らしい。
あのフードの男が言っていた『貴族』の意味がやっと分かった。
それにしても、そんな存在に一日に二度も遭遇するってどんな確率だよ。
そもそも、「魔法先生ネギま!」ってラブコメ+バトルでも、ラブコメがメインの作品だったろうが、あんなインフレが極まったようなヤツを出していいのかよ。
いや、待てよ。俺が覚えている限りあんなキャラ「魔法先生ネギま!」には登場してはいなかった。
異物である俺が引き寄せたのか? それとも続編の「UQ HOLDER!」のキャラクターなのか? ダメだ、情報が足りない。
1999年3月9日 6:15p.m. 京都市内? 湖上の祭壇
「逃げるのは終わりかい? ヒト種にしてはソコソコやるようだけど、私にしてみれば赤子同然だ」
―ッバアル―‼ もう追いついて来たのか……。
「バアルと言ったな、何故俺達を襲う? オマエも地球を支配することが目的か?」
考えろ、起死回生の一手を。会話に乗ってこいバアル。一秒でもいい何とか時間を稼ぐんだ。
「かつては魔法世界を利用した人類の教導を考えたこともあったが、今興味があるのはヨルダの実験作・偽真祖エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルさ」
狙いはエヴァ? 本物の真祖としては贋作であるエヴァが気に食わないのが理由か?
……違うな。それなら、エヴァを直接叩けばいい話だ。俺を狙った真意はどこにある?
「そこの薄汚れた裏切りの聖女が彼女の心の支えかと思ったけど、まさか君みたいな子供がそうだったなんてね」
何の話をしている?
「本来、我々真祖は精神も人とは相容れないバケモノだ。でも彼女は違う。知りたいんだよ、君を失った時、彼女のか弱き精神がどこに行き着くのか……ね!」
何の前触れもなくバアルの影から、蛇とも龍とも言えぬ四肢のない細長い体をした魔獣が湧き出した。
―
俺は即座に印を結び、湖の水を龍の形に変化させ、襲い来る魔獣にぶつけ相殺する。
カリンは自身の体を衛星軌道で周回する魔法の剣を作り出し、それを切り刻んでいる。
クソ! 際限がない、無限湧きとかどんなクソゲーだ!
バアルの元に集う魔獣の群れ……いや、あれはそんな生易しいものじゃない。無数の魔獣による悪魔の積層。純粋に物量でこちらを圧倒してくる。
このままじゃジリ貧だ!
まだだ、まだあるはずだ。この状況を切り抜ける方法が。思考を止めてしまえばそこで終わるぞ!
「ふむ、まだそんな目ができるとはね。君にも少し興味が湧いたかな。本当の絶望を知った時、君はどんな顔をするんだい?」
魔獣が喰い合わさり、十メートルを優に超え、百メートルにも届かんとする悪魔の巨人を作り上げた。
頭部は蛇の群体の間から無数の目がこちらを覗いており、腹部には巨大な口を備えている。
これが『貴族』の力……! 出鱈目にもほどがある!!
諦めるな。俺はまだ生きている! 命の灯が消えぬかぎり、どんなに無様だろうとあがいてみせる!!
「我を封じた身の程知らずの小僧と似た気配がするから起きてみれば、面白いことになっておるな。おい小童、何故諦めぬ? 彼我の力の差は歴然……無為に抗わねば楽に逝けよう」
俺の脳内に何者かの声が響く。
生憎だが、諦めるだの投げ捨てるだのって選択肢は前世に置いてきたんでね。
「何故戦う。無駄だと知りながら、どうして闘志を燃やし続ける」
守りたい人がいるからだ。それにバアルの野郎が気に食わない、勝手な理屈で攻めてきたヤツなんかに素直に首を差し出すつもりはない!
「その意気や良し、気に入ったぞ小童! 貴様に我の力を貸してやろう。心して聞け! 我が名は――」
ああ、そうか。ここは原作六巻で決戦の舞台になった……!
巨人の悪魔が振り上げた拳が迫る。一撃目はカリンが召喚した翼の盾が防ぐも、幾筋もの罅が入り、二撃目はとても持ちそうもない。
既に悪魔の巨腕は目前に迫っている。
振りぬかれた拳が盾を突き破り、二人を圧殺する寸前、不意に出現した鬼の面に阻まれた。
「礼を言う、カリン。おかげで間一髪間に合った。『
顕現するは全長六十メートルに達する、両面四手の巨躯の大鬼。「日本書紀」にもその名を記す飛騨の大鬼神・リョウメンスクナノカミ。
祭神としてリョウメンスクナノカミが祀られていた湖、そこから発生する水蒸気を媒介にしてみたんだが、なんとか成功したな。
原作では無手だったが、『O.S.両面宿儺乃神』の前面の右腕には大太刀が、肩甲骨のあたりから生えている腕は弓矢をつがえている。
もっとも「日本書紀」の記述にはこちらの方が近いのかな。
考察は後だ、この力でバアルをぶっ潰す!
大太刀を一閃させて悪魔の腕を切り飛ばすと、『水遁・水龍弾』でバアルの周囲にまかれた湖水の水蒸気で『O.S.』することで疑似的に瞬間移動し、不意をついて大太刀で切りつける。
地肌を抉りながら逆袈裟に振りぬかれた一太刀は、悪魔の巨体を真っ二つに両断した。
切断面から湧き出した魔獣が怒涛の勢いで殺到すると、再び湖面に『O.S.』することで神気を込めた矢で悉く打ち払う。
鬼神と悪魔。二体の巨人のぶつかり合い。形勢は僅かだが、こちらの優勢。
「馬鹿な! 貴様のような下等生物に私が!」
このまま押し切れれば――
「ガフッ」
吐血だと……さすがに力を使いすぎたか!
「アハハハハハ! ふん……底が見えたな人間。これで殺してやる!」
バアルから触手のように伸びた無数の蛇によって宙に縫い付けられ、大口を開けた魔獣が迫りくる。
クソ……! 体が動かない……!
あわや魔獣に食い殺される寸前のところで、けたたましい銃声が鳴り響き、俺の体を貫こうとした魔獣全てが撃ち抜かれた。
「元気ではなさそうだけど、なんとか生きているみたいね」
驚いて音のした方を見ると、スーツをボロボロにしながらも二丁のアサルトライフル型の魔法銃を構える明石さんの姿が。
「ボロボロジャネーカ! オ前エニ死ナレルト 御主人ガ面倒クセーカラナ 帰ッタラ鍛エナオシダ!」
次いで、チャチャゼロが蛇を切り裂き、俺を解放してくれた。
皆、来てくれたのか!
「そこの少年は私の友人の息子でね。傷つけられては困るんですよ。それに関西呪術協会の長としても貴方の蛮行は目に余ります!」
近衛詠春……! 彼の来援は心強い。
詠春が身の丈ほどもある野太刀を振るうと、不可視の斬撃が障壁をすり抜けてバアルの首を飛ばした。
即座に再生を開始したバアルの頭部に、投擲された十字架を模した黒いレイピアが数本突き刺さりその動きを阻害する。鏡を小脇に抱えた神父は、第二射目の支度を終えている。
巨体の悪魔ごと周囲一帯が凍り付く。これほどの氷結魔法の使い手は二人といない。エヴァだ‼
「ハルカ! 無事か!? 良かった……生きていてくれて……」
人目もはばからず、エヴァが力いっぱい俺を抱きしめる。
俺は弱いな。守りたいと思っている相手に助けられて、どうしようもなく安心してしまっている自分が悔しい。
「久しぶりだな、エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル。君のその反応……ベリトの言った通りその子供が君の――」
厚い氷の壁を突き破って来たバアルに最後まで言わせず、焔の剣が降り注ぐ。
この魔法はカリンか!
「バアル、貴様……よくも私のハルカに手を出してくれたな!」
エヴァのそのセリフが開戦の合図となった。
エヴァ、チャチャゼロ、詠春さん、カリン、明石さん、神父。この六人を相手取り一歩も引かないバアルの強さは、癪ではあるが認めざるを得ない。
俺に残された力はあと一撃分のみ。見極めろ、確実に攻撃を当てられるその一瞬を。
そして時は来た。エヴァの氷の茨がバアルを拘束したのだ。チャンスは今しかない!!
俺は『O.S.両面宿儺乃神』が両手持ちした一本の大太刀にありったけの力を籠めた。刃が虹色に輝く魔力を纏う。
これは飛騨の民を守るため大和の東征に立ち向かった宿儺の一太刀であり、エヴァを守るためにバアルに抗った俺自身の一太刀でもある。
共鳴する二つの意思を宿した一振りは、侵略者に対する絶対の斬撃へと昇華する。
「
俺達は巨体の悪魔諸共、横薙ぎに放った斬撃でバアルを一刀のもとに切り伏せた。
バアルが復活しない。
逃げたのかとも思ったが、バアルから感じていたプレッシャーと同等の圧を放つ発光体が俺の前に漂っている。
バアルの魂なのだろうか?
そしてそれは、あたかも既定路線であるかのように俺の体内へと吸い込まれていった。
自分の存在が今までとは違う何かに書き換えられた、そして自分の中で眠っていた何かが揺り起こされた感覚が俺を襲う。
極度の疲労で限界に達していた俺は、その己の身に起きたことの正体も知らぬままに意識を手放した。
気を失う直前、あのフード姿の『貴族』の声を聴いた気がする
「あばよ、バアル……いや、
と。
1999年3月11日
「お義父さんですか。ええ、木乃香の婿に関して有力な候補が見つかりまして――」
「ちょっと待て、詠春! それはハルカのことじゃないだろうな!? 私は認めんぞ‼」
「西の長、その計画を進めましょう。私も協力するわ」
「お二人とも、詠春様は電話中ですのでお静かに……」
なにやら騒がしい声で目が覚めた。
朝の陽射しが眩しい。気付けば俺は畳の部屋で寝かされていた。ここは関西呪術協会の総本山か?
何か聞き捨てならない言葉が聞こえたような気がするが、きっと思い過ごしだろう。
この喧噪が日常に帰ってきたことを実感させる。
結局俺は丸一日眠っていたらしく、起きた時にはもう最終日。
せっかくの旅行なのに、京都で行きたい場所の半分も回れずに終わってしまった。
俺が寝ている間に関西呪術協会との接見も終わってしまったようだし、蚊帳の外感が半端ない。
そういえば、今回の戦いを通じてログハウスの住人が三人増えることになった。
一人はカリン。まぁ、あれだけエヴァを慕っていればそうなるよな。
ただ、俺達戦友だよな。起きてから感じる視線が妙に痛いんだが……。
エヴァ、カリンに余計なことを言ってないよな?
だから、意味深な笑いで誤魔化すなって。
二人目は七尾・セプト・七重楼。ローブを着た長髪のイケメンなんだが、最初見た時は誰? ってなったよ。
なんでも、元はバアルが作った人工精霊でエヴァ達の足止めの役を担っていたらしい。
その後、光の精霊である性質を逆手にとられ鏡に封印。なぜか支配権が俺に移っていたらしく、麻帆良へ着いてくることになった。
これって俺が取り込んじゃった謎の光球がらみの案件だよな。
原作関係ないとこで、頭痛の種が増えるのはホント、止めてくれ。
最後にリョウメンスクナノカミだ。おれはスクナ様って呼んでいる。あの戦いの後も、気絶した俺を守るように傍にいてくれたらしい。
今も人魂モードでフヨフヨと俺の周りを浮いている。マスコットキャラにしては、いささか以上に威厳があり過ぎるけど、ネギにとってのカモミールしかり、相棒枠はお約束だよな。
それにしても、あの土壇場での『O.S.』はかなりの賭けだった。
何せ俺はせっかくスクナ様の助力を得られたのに、本体の封印を解く術を知らなかったのだ。
霊体では戦えないので、なんとかしてスクナ様に実体を与えようとして思いついたのが、漫画「SHAMAN KING」の知識を利用した『
俺達の魔法は魔力を対価に精霊の力を借りて発動している。そして「SHAMAN KING」では霊の力を借りて戦っているんだが、その作品中の技術に『憑依合体』というものがある。
これは霊を自分の体に憑依させることで、その力を扱えるようになるというものだ。そう、体内に取り込んだ魔法の力を行使できる「闇の魔法」とよく似ている。
そこで考えたわけだ。ならば何らかの媒介を用意して、スクナ様の霊体を『闇の魔法』における『
試しに『固定』してみたら、スクナ様は人魂モードになったから、これはいけると思ったよ。
古来より穢れを祓う神聖なものとされていた水は、スクナ様の媒介としては有効だし、幸い酸素を媒介にして『O.S.』を作り出しているキャラはいたから、気体を媒介にできることは知っていた。
今振り返れば、案外分の悪い賭けではなかったのかもしれないな。
なんにせよ、俺が今生きていられるのもスクナ様のおかげだ。これから宜しく頼むな、相棒!
「ああ、ハルカ君」
何か用だろうか?
「リョウメンスクナノカミを連れていかれては困るのです。この地の重要な守り神であらせられるので」
……嘘だと言ってよ、詠春……。
私としても予想外なバアルの退場。
当初は原作組と一緒にヨルダの討伐+オリ主チームでバアルの討滅の二つを話の軸にしようと思いましたが、バアルのキャラが掴めなさすぎてこのような運びになりました。
力は作中でも最強クラスなのに、おまそれ発言から急に小物化したり、「きゅう」とか言っちゃったり、ボスからギャグまでこなせる役どころが多すぎて、未だ私にはバアルを扱いこなせるだけの実力がありませんので。
おかげで、タグを増やす羽目になりました。
ああ、インフレが加速していく。
修正箇所
ver.1.2:オリ主が『o.s.』を使えた理由に関する記述を3月11日の日記部分に追記