俺の友達に変なアダ名の女誑しがいるんだけど、
そいつがまた節操のない女誑しでさ。10股とか平気でしてやんの。
俺には愛する妹がいるんだけど、そんな妹を11股目の女にされるなんて許せるか?
スマホの機種変でフリック機能の使い心地が悪くなり、
時間がないのと合わせて暫く読み専に戻っていましたが、
連載書く体力はキツいけど短編ならいけるかなと生存報告代わりにノリで書いてみました。御目汚し失礼致します。
「いってきまーす」
「「行ってらっしゃい(お兄ちゃん)」」
初夏の日差しを憎々しく思いながら
玄関を出る俺の背中に二つの声が掛けられる。
最早ルーチンと化した高校への通学路。
目を瞑ってだってたどり着けるこの道をまだ抜けきらない眠気に負けて、大きく伸びをしながら、欠伸という名の深呼吸をかましながら歩きだす。
と、その直後、オレの背中に軽い衝撃。
「おはよっよしおっ!」
「何だ朝比奈か…はよっす…ふぁ~~」
見ると、白い半袖の夏服の制服に身を包んだ赤毛の女がウィンクを一つくれる。
世間一般的に見て、、美少女の部類に入るとは思うのだが、
残念だが、こいつに対しての俺の思春期は既に振り切り、遥か彼方だ。
「何だよよしおっ!?朝からこんな美少女に声掛けて貰えてるのにその反応は?!」
「あーハイハイ嬉しみ嬉しみ」
相手をしてやりたいのはやまやまなのだが、いかんせん眠くてだるい。
「何?随分眠そうじゃん?」
「あー…宿題忘れててな。夜中に起きてやってた…」
「はえー…良くやるねえ…これが若さか…で?科目は何?外人モノ?それとも…何だっけ?よしおの好きなアイドル…甲玉…リコ?」
「オナニーじゃねえよっ?!勉学だ勉学!それにマリ姉は好きだが、おかずになんて恐れ多くてできんわっ?!」
…ったく…朝から下品な女だぜ…
とまあこれがオレとこいつの距離感だ。
男女というより悪友のような関係。
高校入学して直ぐに知り合いなんとなく馬が合い、何度か遊びに行ったりして、オレにも春が来たなんて思ったのは、もはや遠い昔のことだ。
「違うのかー…じゃあ由美ちゃん?」
「由美のことは愛しているが、妹でマスかいたら、兄としてダメだろうよ…」
「ハイハイシスコンおつー」
「うるせーな…お前こそ、あいつとどうなんだよ?」
「ウェッ?!…それは…まあ…色々と…?」
オレの問い掛けに朝比奈は顔を沸騰したように真っ赤に染めると、顔の前で両手をモジモジさせつつ目を泳がせる。
こうして乙女の顔をしていればちゃんと可愛いのにな…。
「進展無しか…」
わざとらしくため息をついてやると。
朝比奈はわたわたと、両手を振り回しながら、まくし立て出した。
「今作戦決行中だし!」
「へえ~?どんな?」
「廊下とかで…見掛ける度に…わざとぶつかって…みたり…とか?」
「でデーン!朝比奈ーアウトー!」
「それただの当たり屋じゃん…」
「うっせーし!アウトじゃねーし!」
そう。こいつには好きなヤツがいる。
俺の友達の男だ。
アダ名はこなみまんという。
名前に何もひっかからないが、何故か本人がそう主張している。
はっきり言って変だと思うのだが、顔はイケメン、文武両道と、アダ名以外非の付け所がないやつだ。完璧な分、アダ名で愛嬌を出しているのかもしれない。
そんな完璧超人と、俺は入学式の日に隣の席だった縁もあり、仲良くしている。
…そう言えば、非のつけ所が一つあったな…
ヤツは節操がなかった。
まあ、これは俺も関係してなくもないんだが。
俺は話のタネによかれと思ってヤツに学園の可愛い女の子の情報を流した。
元々そういうのを調べ、チェックするのが趣味だったオレは、
宝物を自慢するかのように、ヤツに情報を渡した。
するとあれよあれよと言う間に、ヤツは彼女らとデートを取り付け、一時期は10股をしていたらしい。
10って何だよ…毎週違う娘とデートしても5人余っちゃうよ?
ダブルブッキング無しで、そんなハードスケジュールをこなしていたなら人間業じゃないよ。
才能の無駄遣いだよ。
しかし、そんなヤツのハーレムの隆盛が長続きするはずもなく、何度かヤツが女の子を傷付けたという噂が流れ、ヤツも流石に反省したのか、今は少し大人しくしている。というかいい加減絞れと忠告はしたのだが、未だに絞ったという報告は来ない。
今はコンスタントに片桐さんとデートをしているみたいだが、
片桐さんに決めたのだろうか。
かと思いきや、幼なじみも棄てがたいとか言ってたし、
あいつはもうダメかもしれんな。
しかし、気掛かりもある。
妹、由美の存在である。
由美はまだまだ子供でミーハーな所がある。
そんなあいつがこなみまんに出会ったら?
こなみまんは節操無しのクズだが、文武両道でイケメンな学園のアイドルだ。
断言しよう。速攻で惚れるだろうな。
今までは対岸の火事みたいな感覚でいたが、
家族が関わるなら話は別だ。
由美は可愛い妹だ。
こなみまんは基本来るもの拒まずだ。
その結果、由美が傷付くのは間違いないだろう。
だってそうだろ?今まで多種多様な学園のマドンナ達が落とせなかったんだから。
「…しおー…よしおってばー?」
気が付くと、朝比奈がオレの制服の端をつまんで、呼び掛けていた。
「ん?どうした?」
「どうしたはこっちのセリフだよー!急に怖い顔して黙りこんじゃってさー」
どうやら考えに没頭してしまっていたらしい。
「悪い悪い。聴いてなかったわ…んで?なんの話しだっけ?」
「だからー次の休みはどこ行くかって話だよー」
「そだなー映画でも行くか?」
「映画かー…うーん。パーっと遊びたい気分なんだよねー」
「パーっとね…んじゃ遊園地…は今の時期あれか…ナイトパレードやってるしな…んじゃカラオケはどうだ?」
前に聞いたことがある。朝比奈の夢は好きな男と遊園地でナイトパレードを見ることだ。
…つまりオレの役目じゃない。
今はたまたまお互いの来るべき日の為にデートの練習をしているだけのウィンウィンな関係に過ぎないのだ。
「えー?また女々しい野郎ども?」
「なんでや?!女々しい野郎どもの唄良い曲だろ?!」
「んー?メロは良いと思うけどねー…ぶっちゃけ歌詞は…ないかなー…」
「」
「アハハ…ウソウソwじゃ次の日曜日は駅前集合ね!」
ショックを受ける俺にペロッと舌を出しながら朝比奈は言い捨てて先に学校へと走り出した。
==============学校終了=========================
「ただいま~」
声をかけつつ、玄関をくぐるも、返答はない。
シン…とした家の中に違和感を覚えつつも、靴を脱ぎ、家の中へと入る。
いつもならこのくらいの時間には、母ちゃんが台所で晩飯の用意を始め、先に帰った由美が、テレビを見て、腹を抱えて笑い転げているはずの時間だ。
電気も着いていない暗いままのリビングのドアを恐る恐る開けてみると…
いきなりパッと
視界が光に覆われた。
眩しい光源から目を守るように腕で顔を隠しがら、横に顔を向けると、
そこには由美が、
いたずらっぽく歯を見せながら、
こちらに向かって来ていた。
どうやら、オレが光で怯んでいる内に、死角から襲い掛かり、プロレス技をかけようとした…。といったところだろう。
だが、残念ながらオレは気付いてしまった。
気付いた以上むざむざとやられはせんよ。
それにこいつ手加減が下手だから間接技も筋を痛めるまで曲げるからな。
由美の突進をひらりとかわし、すれ違い様に由美の振り上げた腕に俺の腕をひっかけてやる。完全に体を入れ替えて、背後に回ったところで此方に引き付けつつ、もう片側の腕も脇から腕を通し、両手を由美の頭の裏でがっちりホールドする。
俗にいう、ドラゴンスリーパーの完成だ。この体制になれば、身長もオレより低く、力のない由美には逃れる術はない。
もがく由美の首筋からふわりと甘い薫りが鼻腔をくすぐった。
また、由美が暴れるせいで、オレの腕の内側に微かに柔らかい感触が度々当たる。
けしからん。
「ん…っ!痛い!痛いよ!お兄ちゃん!」
変な声を上げるんじゃない!
一瞬変な気持ちになりかけたせいで、力が弱まり、由美はもう少しと判断したのか、更に暴れだす。
その結果、由美の柔らかい尻が、オレの敏感な所を
擦り上げた。
けしからん。
たまらず俺は由美を解放した。
急に解放された由美は、たたらを践みつつ、前に2~3 歩…
そのまま転びそうに見えたので、思わず手を伸ばし、由美の手を掴むと、そのまま引き寄せた。
由美の身体は想像以上に軽く、思っていたほどの抵抗もなく、
すんなりと俺の方に引っ張れたので、オレは大切に由美の身体を抱き止めた。これで大丈夫だ。
オレはふう。と、安堵の息を漏らし、そっと思わず瞑っていた目を開けると、そこにはアップで由美の顔があった。
目は潤み、何故か頬を染めて、少し息の荒い由美の顔がそこにあった。
何だろう?ドラゴンスリーパーそんなに痛かったかな?と、思いながら、オレは思わず由美の顔に見とれてしまっていた。
「…あの…」
どれくらいそうしていたかわからないが、遠慮がちな由美の声に俺は唐突に我に帰り、その後、とてつもない恥ずかしさがこみ上げてきた。
「そ、そういえば母ちゃんは?」
「…ぁっ…」
恥ずかしさを誤魔化すように由美を離し、離れながら質問を投げかける。
身体を離した際の寂しそうな声は聞こえなかった振りをしつつ、俺は必死で由美から顔を背け続ける。
「うん…お母さん、急にパートで欠員が出たとかで、お仕事行っちゃった…」
「そ、そうか…」
マジかよマミー…。よりによってこんな変な雰囲気の時に2人きりにしないでくれ。
いや、変なふいんき…何故か略にしたのはオレか。とりあえず、飯にしよう。仕切り直さないと。
オレは台所に行き、サッポロ一番のしおの袋を取り出した。
えーと、具になりそうなものはあるかなーっと冷蔵庫を開けると。親父のつまみの切り出しチャーシューでもあればよかったんだが、あえなく撃沈。
仕方なくもやしと玉子を取り出し、鍋に麺と一緒に投入。
麺も解れ、程好い加減で火を止め、母ちゃんが居ると出来ない鍋にそのまま箸を突っ込み食べるという暴挙にでる。
しかも立ったままである。
もしこんな姿をみつかったら、ゴッチ式バックドロップだろうな。しかし!今!ここにヤツはいない!
せっかくだからオレは行儀悪く食べるぜ!
うまうま…と、俺がやったった感満載で箸を進めていると、
台所の入り口から此方をジト目で見つめる由美と目があった。
「いーけないんだーそんなお行儀悪く食べてーおかーさんにいってやろー」
おいやめろ!お前は兄を殺す気か!
俺があたふたとバツが悪い顔をしていると、由美はクスクス笑いながらトテトテとこっちにやってくると、
鍋の中を覗き混むと、こちらに目を向けると満面の笑顔で口を開けた。
「あーん」
食べさせろということらしい。
いやいや、自分の箸持ってこいよ。
と、俺が躊躇していると、
くっ…
妹相手に間接チューを意識するのは兄として締まりが悪い。
これはするしかない。
俺は火傷しないように念入りに麺を冷ましてから、覚悟を決めて、由美の口にオレの箸とラーメンを入れた。
由美は美味しそうにモグモグと咀嚼していた。
オレはというと、そんな由美の桜色の薄い唇をじっと見ていた。
けしからん。
「ありがと…お風呂入ってくるー!」
と、由美は一言礼を述べると、
お風呂場に向かって走って行った。
だが、オレは見逃さなかったぜ。
俺じゃなかったら見逃しちゃってただろうけどな。
走り去る由美の耳が真っ赤だったことに。
そんな由美の心中を考え、くっくっと笑いがこぼれるが、
俺は俺でまだ一仕事残っている。
俺はラーメンの残りと、自分の握る箸の先端を交互に見る。
少逡巡のあと、オレは意を決してラーメンを食らった。
「…伸びてやがる…」
くそ…これじゃ由美を笑えないな…。
だって今、オレの耳も真っ赤だろうから。
やっぱこなみまん…お前にゃ由美は渡せないよ…。
書いてて懐かしくてなんか楽しかったですw
またご縁があればノシ