はいすいませんでした。ちょっと練りすぎました。
他の小話書こうかな、いややっぱり本編進めようかなってやってたら一ヶ月優に過ぎてて、びっくらこきました。
毎度のことながら感想をお願いします。
ちなみに予定では雄英に入りません。僕ヒロってなんやったっけ。
『混乱しているところ悪いが、俺にも時間がなくてね。一回しか言えない、ちゃんと聞いてほしい』
今、ここがどこかもわからない。真っ白な空間に僕ともうひとりの誰かがいる。その人は僕よりも少し背が高くて、ほんの少し声が低くて。でも、顔が見えなくても、なぜか見たことも聞いたこともあったような気がして。
『この世界は本来の歴史と全く違う方向へと進んでいる。その要因は別の世界から来た、転生者と呼ばれる者たちだ』
ちょっとまってと喋ろうとした、だが、それは言葉にならなかった。喋れなかったからだ。
『これは俺が一方的に語りかけているだけだからなぁ。君から俺に話しかけることはできない。こんなとんでもない話、信頼するかどうかは、君が決めてくれ。時間がないから続きに行こう』
僕は黙るしかなかった。この人の声は本気だってことはわかった。聞かなきゃいけないって思った。
『この転生者という存在は本来一人いたら耳を疑うレベルなんだけど、何故かこの世界には最低でも
転生者っていうのが、何かわからない。他の世界からやってきた?
『世界のためと一応言うが、俺ができることは限られている。だから君の力を借りたい』
僕が、なにかできるの? 僕自身は何もできないよ。
『いや、君の大事な人である、ティアの力を借りてほしい』
どうしてティアのことを知っているの、と心のなかで問いかけてみた。返事が来ることを期待した。
『そうだな、君が力を貸してくれるなら、次の機会に教えよう。何度も言うけど、時間がなくてね。やってほしいことだけ伝えたい』
曖昧なものだった。でも、この人はもう一度僕と会おうとしていることがわかった。不思議に、それは嫌ではなく、むしろ嬉しかった。
『まずは俺の話をティアではなく、ドゥムジにまず話してくれ。ティアに話すかどうかもドゥムジに判断してもらってほしい』
ドゥムジに? 確かにドゥムジはいろんなことを知っているけど……。
『次に、転生者は二種類いて、平穏を望むものと壊すものがいるということを君が胸に留めておいてほしい。彼らにどう対処するのかは君の裁量にまかせる』
それは、危険な人がいるかも知れないってこと、だよね。それはちゃんと考えたほうがいいかも。
『本格的にこの世界が変わるのは、君が十五歳になったあとの春からだろう。それまでになるべく転生者を探してほしい』
ここまで勢いよく話していいた誰かが、初めて何も喋らない時間を作った。でも、その誰かはずっと僕を見ている気がする。
『……ごめんね、いきなりこんな話をして。君にとってはいい迷惑だろうが、知っておいて、損はな…いか……ね』
なんとなく見えていた輪郭が大きくぶれ始めた!
『も…時間……か。次……15…春……だ!』
待って! せめて名前を聞かせて!
『お……は、ヒ…イラ……ギだ』
「しゅうさん、しゅうさーん?」
「んにゅ……」
「寝ぼけてますか? もうついてますよー」
「はっ!?」
ここは、部屋の中? 外の景色がビル街ってことは、ここはフィニスカルデア? さっきまでノウム・カルデアにいたのに。
「途中、ケイローンがほんの少し目を離している間に、寝てしまっていたとお聞きしました。まだ他にも来てほしいところがあるといわれましたが、あなたの体調が最優先なので気にすることはありませんよ。また後日にしましょう」
ドゥムジがドゥムジ用の机でパソコンをカタカタといじっている。僕はソファに寝かされていて、体の上に毛布がかけてあって、寒くなかった。
「ティアさんは個性調整が終わったら飛んできますので、あと十分ほどお待ち下さい。あなたが帰ってきたと聞いて、急いで今日の分を済ませ……」
「ドゥムジ!」
「は、はい? どうされました?」
珍しく、ドゥムジが驚いている。でも、どうしても今伝えたくて、まくしたてるように話してしまった。ドゥムジは何度か驚くことはあっても、最後まで口を離さずに聞いてくれた。
「ふむ、だいたい把握しました。今回の件はティアさんには話さない方向性で行きましょう」
「……ドゥムジは疑わないの?」
「はい? まさか柊さんが私を騙そうとしてるとでも?」
「だって、夢の話だよ? いくらなんでもちょっと馬鹿だなぁって思わない?」
ドゥムジは目をよこに引き伸ばしたように変えて、冷蔵庫の中から缶コーヒーとりんごジュースを取り出してきた。
「むしろ柊さんが私を騙すような嘘を必死で作って話してくださったのなら、私は嬉々として騙されてあげたいのですが」
えっ、そうなの!?
「顔に出てます、柊さん。これほど嘘がわかりやすいのに、あなたの必死さがわからないほどポンコツでも人間不信でもないつもりです」
今まさに顔に出ていたみたいで、ジュース缶を僕に渡しながら、ソファの隣に座る。
「まぁ、大筋はわかりましたから、細かいことは後日にティアさんがいないところで。私、独自にその転生者とやらを探してみましょう」
「……何もできなくて、ごめんね」
「滅相な。私はもしあなたが世界のカラスが白くなったらいいのにと言ったら、それを実現させて見せましょう」
そんな無茶な!? 流石にそんなことお願いしないよ!?
「はっはっは。ジョークですよ、羊はやれないことはやりません。それに、柊さんの言っていたヒイラギという人物が特に気になります。善人か、悪人かの判断ぐらいはしなければいけません」
そ、そっか。何故かあの人は信用できるって思ってるけど、ドゥムジはそこも考えている。やっぱ賢いなぁ。
「すぐにティアさんが来るようなので、私は失礼します。他にやることもありますし」
「う、うん。わかった」
「たった数時間ですが、ティアさん、結構耐えているので、本当に、本当にお願いしますね」
「だ、大丈夫だよ?」
私は自分の執務室を出て、会社を飛び出し、まっすぐノウム・カルデアまで向かっていた。
柊さんが見たという夢に出てきた
私はこの人物が『前の世界線の北水柊』であるとしか思えなかった。わざわざ核心を言うことなく、それとなく近いものを匂わせて、それの対策を練らせようとする姿勢はあの人に間違いない。
ノウム・カルデアにたどり着き、その本棟ではなく、脇の道に入り、そのまま草花が露出した場所を駆け下りていく。本棟とは離れた場所にあり、街とはほど近い小さな横穴。この世界では、本当にただの小さな横穴。
「この世界に来ているのですか……? 何が目的で……?」
かつて我が父母が始まった場所。この世界に来た瞬間、向かおうとした場所。ここだけはティアさんから記憶を移されている完全な知性魔獣だけが場所を知っている。ノウム・カルデアに属するものはだれも知らないはず。
そこになにかがあったわけじゃない。だけどこの場所に誰かが訪れたような雰囲気を感じた。あくまで感じたに過ぎない。他の知性魔獣たちが来たのかもしれない。もし、来ているのだとしたら。
「あの人がわざわざ私に相談するように『こちらの柊さん』に言った。なぜ?」
理由の心当たりはまず1つある。このことを伝えれば、ティアさんが何が何でも探し回るはず。だが、その場合、こちら側の柊さんはどうなる?
「考えろ。あの人がただいたずらに情報を撒くか?」
私が選ばれたなら、私の知識で何かをしろということのはず。転生者は何が何でも探し出すとして、果たして本当にそれだけでいいのか?
「まず『向こうの柊さん』はいつから来た?」
年齢は? 時期は? 考えると、不可思議な矛盾が頭に思い浮かぶ。
「私は、私達は一体いつから来た?」
少なくともオールフォーワンの対決に関しては覚えている。そこに至る順序まで。他に、お二人の出会いや結ばれた日も覚えている。だがそれ以上の出来事に関して明確に思い出せない。その後、体育祭のこと、夏合宿のこと、お二人が教師になったことも、知性魔獣を使って訓練をしたこともその事実は覚えているのに、その光景が思い出せない。
「記憶が一部明確ではない……? 私は、いやティアさんはなぜこの世界に来た?」
あのときは深く考えず、ずるずるとここまで来た。だが、改めて考えれば、おかしな話だ。ティアさんが前の柊さんをおいて、この世界に来るなんてことがあるか?
「ない。ならば、ティアさんは望んでこの世界に来たわけではない? なにかの結果としてこの世界に来た?」
もしそのなにかが柊さんのためであるならば、納得がいく。この世界に来た理由がそうだとしたら、『向こうの柊さん』は何がしてほしい?
「…………。まず、転生者という単語はおそらくティアさんのことも含まれる。あの人は善悪の判断をするように言った。ならば、善の方は引き込み、悪の方は危害を加えてこない限り、監視がベスト」
無益な殺生の望まないあの人なら、これが譲歩できる最大。『こちらの柊さん』が十五になるまでにはまだ数年ある。それまですべてを終わらせる必要がある。
「それまでに記憶の整理もしておかねば」
記憶の混乱なのか、本当に覚えてないのか。そこは判断しなければいけない。『向こう』か『こちら』。二人の柊さんのどちらを優先なんて考えが出ることも、あの人にはお見通しなんでしょうか……。
「厄介な役割ですね。私に任せてよかったんですかねぇ」
いつもと変わらない夜。ベッドの上でティアに抱きしめられながら眠る。
親がいたときとは変わって、温かい布団とベッド。僕を愛おしそうに抱きしめるティア。不満なんてあるはずがない。
『いや、君の大事な人である、ティアの力を借りてほしい』
ティアは基本的に、ティアって呼ぶことをほとんどの人に許していない。許されているのは、僕とドゥムジくらい。
でもあの人はまるで長年そう呼び続けたみたいな自然さだった。僕よりずっと近くで。ずっと長く。
チクリとする胸の痛みを必死に押し込めて、眠気に身を任せる。どうか、この時間が続きますように。どうかこの胸の痛みがすぐに消えますように。
ワケガワカラナイヨって方は前作の柊も関わってくるよってことだけ覚えといてください。
このストーリー、あまり好評でないのは確かなんです。まぁ、依存対象が変わるって嫌ですよね。自分もです。
私は頭で組み上がってますけど、読んでいる方からすれば、ただ対象変わっただけじゃねってなりますもんね。
このストーリーでは自分なりにではありますが、後腐れないように仕上げます。なので、気長にお待ち下さい。