(刀使ノ巫女に鬼滅要素入れたら面白そう)
(親衛隊も幸せな感じにしたいな)
という軽い気持ちで書き始めた駄文です。
ご了承ください。
──走る、走る、走る、走る。
……まだだ、もっと、もっと速く
──走る、走る、跳ぶ、走る。
……今は、考えるな。ただ、
──走る、滑る、跳ぶ、走る。
……呼吸を続けろ。感覚を研ぎ澄ませろ。人の気配はあるか
──走る、走る、走る、走る。
……あった! 家だ! 人もいる!
──走る、走る、走る、止まる。
……まだ息はある。だが、こんな寒さでは、襤褸一枚纏っただけでは長くは持たないだろう
──深呼吸、降ろす、……泣く。
襤褸を纏った少年は、涙を流し呟く。
「……ちくしょう」
何で、何で、俺達が、こんな目に
「俺達が何をしたってんだよ……」
思い出すのは、侮蔑と憎悪、そして恐怖の入り交じった視線。傍らで震える少女。自分達に向かってくる拳。
六歳の子供には、耐えられないような仕打ちの数々を、鮮明に思い出した。
「……ごめんな」
そして、そんな人々を殺して回った、化け物を思い出す。
……その化け物が“荒魂”と呼ばれていることは、今の少年には知る由もない。
頭に流れ込んできた技をもって、化け物の群れを一掃した少年は、しかし、何よりも大切な人が傷ついていることに気づいていなかった。
「……何が、守ってやるだ……何も出来なかったクセに」
『……私を……守って、くれますか? 』
『勿論! ずっと一緒にいてやるさ』
「……約束も、守れそうにないや」
何よりも信じられない、“人間”に頼るしかない
その事が、この少年にとって一番の不安だった。
……でも! こうしないと、この子は助からないんだ!
直感的に、これが最善だと何となくわかっているのも事実だ。
(ああ、クソ)
(いるかもわかんねぇし、いたとしても俺達を助けることもなかった神様、今度こそ)
約束を破った自分が、居やしないと思い込んでいる存在に対して願うなど、馬鹿げている。
少年は、わかっているのだ。そのような事。しかし、祈らずにはいられたかった。願わずにはいられなかった。
(……この子を、危ない目、怖い目に遭わせないでください。俺の事を忘れさせてやってください。……)
「幸せに、してやってください」
雪降る夜空を見上げ、悲痛な声で、弱々しく洩らした。
そして民家の扉を全力で殴った。綺麗な風穴が空いた。これならすぐ気づいてくれるだろう。
「……ありがとう」
元来た道を、走る、走る、走る、走る。
その後、少女はその家に引き取られ、“皐月”の娘として可愛がられた。
──同時刻、とある山奥の村
「……何が、起こったのかしら」
高校生程の少女が呆然と言葉を紡ぐ。
この少女、“刀使”と呼ばれる荒魂専門の役職に就いており、今回この村に訪れたのもその任の一環だった。
のだが
「……生存者は無し。荒魂も、もう斬られてる」
副隊長らしい少女が現状を整理する。
彼女の言う通り、生存者はいない。村民と思しき人々は既に物言わぬ屍となってしまっている。
そして、この事態を引き起こしたであろう荒魂も、ノロへと変化していた。
「私たちが来る前に刀使がいたってことですか? 」
中学生程の少女が、そこから考えられる考察を述べるが、隊長格の少女が首を横に振る。
「そう考えることも出来なさそうね。これほどの量のノロよ? 荒魂も相応に強かったか、数が多かったんじゃないかしら? とても1人で抑えられないほどね」
「……なのに、戦った痕跡がない。周りに人が立ち去ったような痕跡もない。御刀も見つからない。不自然ね」
「じゃあ、どうして……」
「……何もわからないけど、とりあえず報告しないと」
「わかったわ、一度戻りましょう」
そうして彼女達は、村の人達に黙祷を捧げ、報告とノロの回収のため村を後にした。
この事が悲劇として広く知れ渡ることになったのは言うまでもないだろう。