戦姫絶唱シンフォギア 聖遺物試験運用部隊の元隊員達 作:のうち
エルザ視点
あれは今から10年以上前のことだ。ゼルマや私はドイツ軍の特殊部隊にいた。その特殊部隊は国軍の中でも特に機密事項にあたる部分であった為、顔ぶれは軍の人事にとどまることなく変わることはなかった。
部隊間の仲はとても良好だったと思う。
そんなある日、ゼルマが隊長としてある機密物資の護送任務を行っていた。
だが、その任務はドイツがテロリストの目をこちらに向けることによって民間人が避難を終える為のスケープゴートにされた。
そして私達が待たされていた荷物もまた爆弾だった。
軍のスケープゴートに使われた挙げ句、ゼルマ達ごとテロリストを一掃する命令がなされていたこと、更には自分を庇い、部下を死なせてしまったこと、それだけが当時のあいつの心を後悔で塗りつぶしていた。
何とか、そして部下に庇われ、自分だけが生き残り、命からがら帰還した基地でゼルマはテロリストに情報を流したという冤罪をかけられて投獄された。そしてそんな時にゼルマは日本の機関から助け出され、日本にやってきたらしい。
ゼルマはまたあの時と同じように君を失うことを利用されてその命を落としてしまうことを恐れていたのだろう。
どす黒い感情を持っている人間ほど御するのが簡単なものはない。
ゼルマはそんな気持ちを持ち続けている以上、いつか奏が自分や自分の部下と同じ様な目に遭うことを恐れているんだいうことを・・・・もっとも私がこの話を聞いたのは軍を退役した後だったのだから彼女の親友失格だったのはいうまでもないがな。
エルザ視点終了
エルザからゼルマの過去を聞いた奏は考えた。何で経緯は違えど似たような経験をしたゼルマが自分と同じ考えに行き着くに至ることなどは考えるに難しくない。
エルザ「だが、ゼルマは決して復讐という言葉を口にはしなかった。ゼルマは決して死者のことをわすれない。自分だけが生き残ってしまった。そしてそうさせた死者達のことを」
エルザのその言葉に奏は家族が自分の目の前で死んでしまった時のことを思い出した。自分を庇って死んだ。だが自分を庇って死んだ家族は皆良かったと笑顔で消えていった。奏は今まで何故、家族は自分を庇ったのか、何故死ぬ間際、自分に微笑みかけていたのか、ノイズに対しての憎しみに支配されていた自分では考えたことがなかった。
ただひたすらにノイズを倒す。家族の仇を取ることだけを考えていた自分にはそんなことを考える余裕は無かった。
そんな考えを巡らせているといつの間にか奏の頬を大粒の涙が何度も流れていくのを感じた。
家族が死んだ時に、目一杯泣いたはずなのに何故か涙は止まってくれなかった。
奏「何でだよ。何で止まらないんだよ。」と奏は涙が止まって欲しいのに止まってくれない。いくら拭っても次から次へと目から溢れ出てくる。そしてゼルマにした事、ゼルマの考えに気付かず噛み付いてしまったこと、様々な後悔が頭を過ぎる。
そして暫くして奏は泣くのをやめる。
エルザ「大分すっきりしたようだな。それならば今のゼルマにも思いは届くことだろう。」
奏「はい、よし!」と奏はすっかり冷めたごはんを食べて
奏「ありがとうございました。私、ゼルマさんに謝ってきます。」
エルザ「大丈夫か?、もう大分遅い時間だ。止まっていった方がいいんじゃないか。」
奏「大丈夫です。今は一刻も早くゼルマさんに会いたいそんな気分なんだ。」
エルザ「そうか、表通りまで送っていこう。」
と奏はエルザに表通りに案内され、自宅はの帰路につくのだった。
今回も最後まで読んでくれてありがとうございました。