太一のアドベンチャー   作:はないちもんめ

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期待してたアニメのできは…うん…まあ、今後に期待…


1 仲間

「声がする?」

 

「ああ。何か良くわかんねぇ声がな」

 

ヤマトの確認のような問いかけに太一は頭をかきながら返事をする。

 

ヤマトと空と光子郎に詰め寄られた太一は諦めたように公園へと場所を移してから、最近の異常の半分について話した。視線について言わなかった理由としては声と違って比較的最近の出来事であることから、確証が持てなかったというのもあるが何より余計な心配をさせたくないという理由が大きい。それが逆に皆を心配させることに繋がっているのだが。

 

「一体何時頃からですか?」

 

「正確には覚えてねぇけど…大体一ヶ月前くらいからって痛ぇな!何すんだよ!」

 

光子郎の質問に答える太一に無言で頭を殴ってきたヤマトに太一は怒鳴りつける。しかし、構わずに青筋を浮かべたヤマトは返答する。

 

「それはこっちのセリフだ!お前、一ヶ月も何で相談もせずに黙ってんだよ!」

 

「声が聞こえるってだけで何を相談すんだよ!!事実、何も起こってないだろ!」

 

「結果論だろうが!何かあったらどうするつもりだ!」

 

徐々にヒートアップしてきた二人の争いを静観していた空だったが、流石に仲裁に入る。

 

「落ち着いてヤマト!ヤマトの気持ちは分かるけど、今更そんなこと言ってもしょうがないでしょ」

 

空の言葉にチッと舌打ちをしながら、ヤマトは太一から離れるが太一としては何とも気不味い。まだ話していないことがあるから特に。

 

そんな太一の心情など知る由もない空は太一と向き直り、太一を見つめるが同時に深くため息を吐いた。

 

「一応、ヤマトのことは止めたけどね…私の心情としてはヤマトと同意見。アンタのことだから、自分で何とかしようとか思ってるんでしょうけど…心配するのは私たちなのよ?」

 

「…分かってるよ」

 

思わず太一は空から視線を外す。ヤマトのように声を荒げて怒ってくるのはまだ良いが、この幼馴染みのように心からの心配を向けられると太一としても少々辛い。まあ、だからと言って今更「実は視線も感じます」などと言えるはずもないが。

 

「太一さんの身勝手さは置いておいて話を戻します…では、太一さんが妙な声を感じるようになったのは一ヶ月前くらいの話らしいですが…そこから継続して聞こえるとの認識で問題ありませんか?」

 

「ああ。間違いない」

 

「その声に聞き覚えは?」

 

「全くない」

 

「…ヴァンデモンとの関係はありそうですか?」

 

光子郎の質問は最もだと思う。ヴァンデモンを倒して一ヶ月。今まで三回倒して二回蘇ってきたデジモンだ。二度あることは三度あるという訳でもないが、三度目がないと考えるほどこの四人は甘くない。

 

「気持ちは分かるが…多分、ないと思う」

 

「その根拠は?」

 

「いやまあ、その…勘…だけど」

 

「…」

 

周囲の3人のシラーっとした視線が突き刺さる。しかし、これには太一としても反論がある。今のところ声しか聞こえてきていないのだ。その声の主の特定などできる方がどうかしている。

 

「仕方ねぇだろ!声しか聞こえねぇんだから!」

 

「まあ、良いです。それに太一さんが僕たちに話さなかった理由が少し分かりました。悪意など感じないから、放っておいても大丈夫だろうと考えたんですね」

 

「そう、そう!そうなんだよ!流石は光子郎!分かってるな!」

 

「だからと言って、別に何も話してくれない太一さんを庇う訳でもないですよ」

 

味方が現れたと感じて顔を輝かせた太一をバッサリと光子郎は切り捨てる。

 

声を詰まらせる太一を光子郎は無視して話を進める。

 

「情報が少な過ぎてどうすることもできませんが…とりあえずテントモン達にデジタルワールドを調べてもらいます。もう少し前から知っていればもっと早くに情報収集ができたのですが」

 

「まあ、しょうがないわよ。誰かさんがもっと早くに言ってくれれば助かるんだけどね」

 

「ああ。誰かが自分で言ってくれればこんな手間は省けたんだけどな」

 

3人からの次々と発せられる嫌味に最初は黙って聞いていた太一だが、徐々にその場にいるのが辛くなってきたのか耳を塞いで帰る準備をする。

 

「わーったよ。俺が悪かったよ!もういいだろ!?俺は帰るからな!」

 

「帰るのは良いけど、ちゃんとヒカリちゃんにも事情を話しなさいよ」

 

後ろから聞こえる空の言葉に太一は渋い顔をする。基本的に妹に甘い…というかただのシスコンな太一にとっては、ヒカリを心配させるようなことは伝えなくなかったのだ。

 

まあ、シスコンだということを考慮しても太一の意見は分からない訳ではない。

 

八神ヒカリには特別な力がある。それは選ばれし子供達に選ばれた仲間達の中にあっても特別な力だ。そしてその力の反動かどうかは知らないが、妙に危うい所がある。闇を引きつける力も備わっているからだ。

 

八神ヒカリは闇に対して強烈に反応する。そのことが分かっていながら兄の太一がその妹を危険なことに巻き込むことを許容したいはずがない。

 

そしてそのことを分かっている幼馴染みの空にとって太一の反応は想像の範囲内の物であったし、太一の妹を思う気持ちは十分に分かっているがそれでもなお、太一には伝えなくてはならなかった。

 

「隠そうとしたって無駄よ。言っとくけどね。アンタの様子が変なことに気付いたのはヒカリちゃんが最初なんだからね。そのヒカリちゃんから相談されて私たちはこの場に集まったの。そのヒカリちゃんに何も話さないなんて選択肢がある訳ないでしょ」

 

それに、と空は続けようとしたが寸前で止めにした。それ以上のことは言わずとも分かっているだろうと思ったからだ。

 

そして空が続けようとしたことを何となく悟った太一は天を見上げてため息を吐く。できれば心配させたくなかったんだが、どっちにしろ心配させてしまうならば同じか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お帰りお兄ちゃん」

 

「お、おう」

 

何と切り出そうかと悩んでいる間に家に着いてしまった太一は、何とかなるかと思考を放棄して玄関のドアを開けた瞬間にジト目の妹から挨拶をされたことに驚いて吃ったような返事をしてしまう。

 

しかもその腕の中にはパートナーであるテイルモンも揃っており、ヒカリと同じようなジト目で太一を見てくるのだからたまらない。俺が何をした。いや、心当たりしかないけどさ。

 

「…」

 

「…」

 

「…そんなに見るなよ」

 

ポリポリと頬をかく。ここまで来たらヤマト達に話したことまでは喋ろうと決めていたが、そんな決意を決めなくとも喋らざるを得なかったろう。

 

「とりあえず、飯にしよう。話すのはそれからで良いだろ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「とまあ、こんな訳だ」

 

事情をある程度話し終えた太一は一息つくが心配そうな顔でコチラを見てくる妹に何とも言えない気持ちになる。こんな顔にさせるのが嫌だから言いたくなかったのだ。

 

とは言え、時は戻らない。話したのならこちらとしてもヒカリには聞きたいことがあった。

 

「ヒカリ。ここ最近で何か違和感とか変わったことはなかったか?どんな小さな事でもいいからさ」

 

先程も言ったが、ヒカリには特別な力がある。そのヒカリならば自身が感じない違和感でも感じ取れているのではないかと思ったのだが、その期待も虚しくヒカリは首を振った。

 

「ここ最近、変な感じとか怖い感じは特にしてない。お兄ちゃんは本当に怖い感じとかはしてないの?」

 

だめだったか。まあ、ある程度分かっていた事ではあったのでそれ程気にせずに太一はヒカリの質問に肯定した。

 

流石に悪意を感じるレベルであればヤマトや光子郎には相談している。ヒカリにはまあ…言わないかもしれないが。

 

それでも心配は無くならないのか繰り返し質問をしてくるが、太一としてはこれ以上答えられる事などない。なので心配するなと笑いながら答えて逃げるように風呂に入った。

 

とは言え、その程度のことでヒカリが諦めることもなく風呂を出てからも暫くは私とかヤマトさんとか空さんとかと行動を共にした方が良いのではないかと言ってくる。気持ちはありがたいが、それぞれの生活がある以上それは無理だろう。

 

太一がそう言うと、ショボンとした顔でヒカリは太一から少し離れるが去り際にテイルモンから言われた「あんまりヒカリを心配させるなよ」という言葉にはグサッときた。心配させないようにという気持ちで行動してきたのだが。

 

漸く解放?された太一は気分転換にベランダへと出た。まあ、出た所で敵が出てくるなどとはカケラも思っていないし、実際何も事態は進展などしなかったが結果として気分転換にはなった。

 

「光子郎の調査で何か分かると良いんだけどなぁ」

 

1人で呟いた言葉に1人で苦笑する。今まで相談もしなかったくせに、いざ相談した途端に頼りにするのだから我ながら都合が良い話だ。こんなことなら、最初から頼りにすれば良かったのか。と今更過ぎる真実に気付いて苦笑はより広がる。

 

何気なく携帯を見ると、もうある程度事情は伝わったのか丈からも『今後は報連相に気をつけること』などと言ったメールが来ていた。言う言葉は皆同じか。

 

そう言えばと今更気付いたのだが、ヤマト達と会った時くらいから妙な視線を感じなくなっていた。やはり、気のせいだったのか?と思うと同時にもしかしたら変な声も聞こえなくなったのではないかと思ったのだがどうやらそう甘くはないらしい。

 

『…イヨ…イチ』

 

全くこの声の主は自身に何を期待しているのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




更新遅いですが、のんびり書いてきます。
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