ところで新シリーズの太一ですけど、旧シリーズの太一知ってるから違和感が凄い笑
「はあ…」
自身は本当に兄の側に居なくて良いのだろうか。
朝から自身に繰り返し尋ねていた質問を八神ヒカリは再び自問自答する。
本当であれば、学校などサボって兄の側に張り付いていたかったのだが、兄によってそれは止められた。まあ、当然と言えば当然だが。
一応、妥協案として空達には連絡しており、出来るだけ危ないことはしないように見張ることをお願いはしたのだがそれで不安が消えるのかと言うと決してそんなことはない。
そんな不安の思いを抱えたままの授業など当然頭に入る訳がない。テイルモンが心配してくれていることは知っているが、それを気遣う余裕すら今のヒカリにはなかった。
流石は最強のブラコ…ゴホンゴホン!美しい兄弟愛である。
そのヒカリの様子を見て気になったのか帽子を被った少年が側へと寄ってきた。
「ヒカリちゃん…どうしたの?大丈夫?」
「タケル君…うん、大丈夫」
弱々しく笑いながらヒカリは答えるが、その様子は『大丈夫ではありません』と答えているようなものである。
長い付き合いでそれが十分過ぎるほど分かっている高石タケルは不安げな表情になる。ヒカリが何に対して不安を感じているのかについて良く分かっているから尚更だ。
何故知っているのかと言えば単純にヒカリから聞いたのだ。
ここ最近、ヒカリの様子がおかしいことに気付いていたタケルはヒカリにどうしたのかと問いただしたのだ。
その結果として、最近太一の様子がおかしいということがタケルにも伝わり空にも相談するようにヒカリに言ったのだ。
「ヒカリちゃん、無理しないで。昨日の事情は兄さんから聞いたよ。僕も太一さんが言う違和感の調査を手伝うからさ。ヒカリちゃんも元気だしてよ。太一さんのことを心配してるのはヒカリちゃんだけじゃないんだからさ」
「…ふふ。そうだね」
「うん、やっぱりヒカリちゃんには笑顔が似合うよ」
こんなやり取りしながら信じられるか?この二人付き合ってないんだぜ?
まあ、そんなことは置いといてやはり天然タラシのこの少年は息をするように少し恥ずかしいことを言うが、それがヒカリには少し支えになったのは確かだ。気を使える男というのはやはり小学生からそうなのだろう、
「ヒッカーリちゃーん!タケルなんかと話してないで俺と話そうぜー!放課後にさ!美味しいアイス売ってる店見つけたんだ!二人で行こうよ!」
全く気の使えないこの二人目の主人公と違って!
そんな空気の読めない発言をしたゴーグル少年、本宮大輔は自身がどれだけ場違いかに気付くこともなく、ニコニコ笑いながらヒカリの言葉を待っている。まあ、結果など聞くまでもないが。
「ご、ごめん、大輔君。今日はちょっと」
「そ、そっか。じゃあ、明日は?」
「あ、明日もちょっと」
「な、なら明々後日は!?それなら大丈夫でしょ?」
「明後日も…」
「…ならさ!逆にヒカリちゃん何時なら空いてる?俺、合わせるからさ」
「え…と…暫くは無理かな」
申し訳なさそうながらも好きな人の否定の言葉を聞いて、大輔の反応は予想通りのものである。まあ、つまりは
「…どうせ…俺なんて…」
激しく落ち込んだ。思わず体育座りになるレベルだ。見えないが間違いなく大輔の心の中では大輔の頭上から雷雨が降り注いでいることだろう。
別に大輔を嫌っているわけではない(かと言って別に異性として好きなわけではない)ヒカリは大輔の様子を見て慌ててフォローに入った。
「ごめんね大輔君。別に大輔君と出かけるのが嫌ってわけじゃないの。ただ、例のお兄ちゃんの件で不安になっちゃってできればなるべく一緒に居たいと思ってて」
そう。別にヒカリは大輔のことが嫌いでこんなことを言っている訳ではない。ただ、優先順位として八神太一の方が高いだけである。
酷いように聞こえるかもしれないが、八神ヒカリにとって八神太一よりも大切な存在などいない。まさにトップオブザトップ!ブラコンのゴホン、ゴホン!兄弟愛の鏡だ。
大輔はヒカリの言葉にパッと顔を輝かせたが、直ぐに疑問を感じているかのように首を傾げた。
「え?太一さんの件って何のこと?」
「え?」
「え?」
大輔の疑問にヒカリだけでなく、タケルも疑問で答える。そして、思わず顔を見合わせる。何で大輔君は知らないの?
その反応でタケルは事情を知っていると感じた大輔はギラリと目を輝かせながらタケルに詰め寄る。
人はこれを嫉妬と呼ぶ。
「タケルテメェ!何でお前だけ太一さんのこと知ってんだよ!!」
「いや…と言うか、何で大輔君は知らないの?」
「お前が言わねぇからだよ!ちょっとばかし、ヒカリちゃんと付き合いが長いからって俺たちだけ省きやがって!京と伊織だってこの話聞いたら傷つくぞ!」
そして放課後
「「知ってるけど(ますけど)」」
友だと思っていた者達の言葉を聞いて大輔は再び項垂れる。まあ、アレだ…ドンマイ!
放課後になったので別のクラスの選ばれは子供達の仲間である火田伊織と井ノ上京を呼び出した大輔は自分と同じく省かれた者達で慰め合おうとしたのだがまさかの自分以外は全て知っているという結果に終わった。流石に可哀想である。
「何でお前らも知ってんだよ!てか、俺は!?何で俺だけ知らねぇの!?」
「さっき思い出したんだけど、確かその日大輔君休んでたんだよ」
「そう言えばそうでしたね」
「次の日教えてくれれば良かっただろ!?」
「いや、教えようとしたんだけど次の日京さんと伊織君が話してるの見えたから教えたのかなって」
「教えようとしたんだけど、ヒカリちゃんの話を私たちが勝手に言うのも無いかなと思ってやめたのよ」
「その後はタケルさんとヒカリさんが同じクラスなので教えてくれたのかなと」
「私はタケル君が言ったとばかり…」
皆の話を聞いて思わず涙目になるレベルで大輔は更に落ち込む。要するに皆が皆して誰かが言うだろう精神でいたせいで誰も大輔に事情を伝えなかったのだ。
あまりの大輔の落ち込みようにタケルや伊織はフォローに入るが、京は面白そうにとどめを刺した。
「嫌われてるんじゃない?」
ピシッと大輔のガラスのハートにヒビが入ったのを皆が確かに感じた。
「うっせぇ!もう、こうなったら省かれ者の俺と賢は直接太一さんに聞いてやるさ!覚えてろよ薄情者ども!)
(((賢(一乗寺)君も事情を知ってるって言ったら、尚更落ち込むだろうなぁ)))
やられ役のような台詞を吐きながら、走り去る大輔の背中を見ながら皆がそのようなことを思ったが口には出さなかった。世の中には知らないで良いこともある。まあ、この後賢に会ってそのことを知り激昂するのだがここでは割愛する。
「京さん…」
「あはは。ごめん、ごめん。反応が面白かったからつい」
ため息を吐きながらのタケルのセリフに悪びれることもなく京は返事をするが、少し真面目な顔をして話を切り替える。
「話は変わるけど、タケル君から事情は聞いたわ。ヒカリちゃん大丈夫?」
「私は大丈夫。お兄ちゃんは…分からないけど」
困ったように笑うヒカリを見てタケルと伊織は何とも言えない表情になるが、京だけは違ったのかガシッとヒカリの肩を掴むと真面目な顔で告げた。
「ヒカリちゃん。無理しないで。早く太一さんの所に向かってよ。私たちも後で行くからさ」
「で、でも、私これを持っていくように先生に言われたから」
「僕たちがやっときますから、タケルさんと先に向かっててください。僕たちは他にもやることありますし」
ヒカリの言葉を受けて伊織はヒカリの手の中にあった資料を少し強引に奪うと、ニコリと笑いながらそう言った。
「そうそう。こんな時ぐらい頼ってよ。こんな時こそ仲間でしょ?」
「2人とも…」
「ヒカリちゃん、ここは甘えようよ。心配なんでしょ?太一さんのことが。僕も心配だからさ。先に向かってよう」
「タケル君まで…うん、分かった。ごめんね、2人とも。先に行ってるね」
そう言うや否やヒカリは小走りで下駄箱まで向かう。本当は直ぐにでも向かいたかったというヒカリの心情がそこに現れていた。
「ヒカリ!」
「テイルモン!何でここに?」
「心配だから来たんだ。太一の所にそのまま行くんだろ?」
先に出て校門でタケルを待っていようと思っていたヒカリの懐に家に居たはずのテイルモンが飛び込んできた。何故と問うと、流石はパートナーと言うべきかヒカリの行動パターンを完全に把握していたが故の行動だった。
これにはヒカリも笑うしかない。
「当たり」
「無茶するな。万が一のことがあったとしても私抜きでは戦えないだろう?」
「うん、そうだね」
自身を分かってくれているパートナーの心にヒカリも少し笑顔になる。
そんなヒカリの側に2人の人間が近寄ってきて話しかけてきた。若い男と女のようだ。
「ごめん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど良いかな?」
突然話しかけられたことにヒカリは驚き、慌ててテイルモンのことを誤魔化そうとするが2人の内、女の方は不要だと言わんばかりに手で止める。
「必要ないわ。貴方が選ばれし子供達だってことは知っているから。八神ヒカリさん」
本名どころか選ばれし子供だと言うことまで知っている女にヒカリの思考は停止するが、テイルモンはそうではなかったのか臨戦態勢に入る。
「何だお前らは。ヒカリに何の用事だ?」
「そんなに警戒しなくても良いわ。少し確認したいことがあるだけだから」
「確認?」
「ええ。最近、貴方の周りで変なことが起こっていないかを知りたいだけ。危害を加えるつもりは全くないから安心して良いわ」
「信用ならないな。お前らは一体何者だ?」
テイルモンの警戒心たっぷりの質問に女は少し思案したが、暫くしてから答えた。
「姫川 マキ…よ。よろしくね。選ばれし子供とそのパートナー」
また次の更新はダラダラ書いてきます。