太一のアドベンチャー   作:はないちもんめ

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ようやくデジモンのアニメの放送も再開しましたか。嬉しいですね!


3 進展

「ヒカリちゃん、ごめん待たせちゃってって…誰なのこの人?」

 

「私も知らないわ…さっきいきなり話しかけてきて」

 

「悪いがタケル。説明している時間はない。姫川とか言ったな。お前は私たちの味方か?」

 

「その質問に意味ないでしょ?急いでるから、手早くいきましょう」

 

「なにぃ?」

 

「だって、そうでしょ?」

 

そう言うと姫川はフッと笑いながら続ける。

 

「ここで仮に私が貴方達の味方と言ったら…信用してくれるのかしら?」

 

その姫川の言葉にただでさえ鋭かったテイルモンの瞳がさらに鋭くなる。遅れてきて現状の把握ができていなかったタケルも、此処までの流れから大凡の状況は掴めたのか警戒しながら姫川という女性を見つめる。

 

それが分かっているはずなのだが、気にもせずに姫川は言葉続けた。

 

「とは言っても、本当に私は貴方達の敵じゃないわ。かと言って味方かと言われると微妙なところだけどね」

 

「どういう意味ですか?」

 

「そのままの意味よ、高石タケルくん。もう良いでしょ?私も時間がないから手早く質問させてもらうわ」

 

自分の名前を知っていたことにタケルは驚くが、それを無視して姫川はヒカリへと視線を向ける。

 

「八神ヒカリさん。最近、貴方の周りで奇妙なことが起こってないかしら?」

 

「答える義理はないぞ、ヒカリ。こちらの質問にまともに答えるつもりがない奴に何故私たちだけ答えねばならない」

 

「手厳しいわね。じゃあ、質問を変えるけど」

 

テイルモンの明確な拒絶に姫川は肩を竦めるが、内面は気にしていないのかそのまま別の質問を始めた。

 

「貴方のお兄さん…八神太一の周りではおかしなことが起こってるんじゃない?」

 

その質問にヒカリは目を丸くした。タケルも同様だ。テイルモンは流石に同様を表に出しはしなかったが内面では同様に驚愕していた。何故、この女は太一の今の状況を知っているのだ?

 

その反応だけで十分だったのか、姫川は表情を柔らかくして呟いた。

 

「正直な子ね」

 

そう言うと、そのまま背を向けて何処かへ歩き出す。

 

「おい、待て!お前は何なんだ!?一体何を知っている!何が起こっているんだ!」

 

「悪いけど、急いでるの。だけど、そうね。一つだけ答えてあげる」

 

テイルモンの質問に歩みを止めて、空を見上げながら噛み締めるように言葉を発する。

 

「今のところ、大したことは起こってないし、これからも起こらないわ。いいえ…違うわね。絶対に起こしてはならないの」

 

「余計に意味が分からないですよ!教えてください!太一さんに何が起きてるんですか!?」

 

「一つだけと言ったはずよ高石タケル君。それに貴方達が知ったところで何もできないわ」

 

「何だと!」

 

「テイルモン!そんなことしてる時間はないわ。急いでお兄ちゃんの所に行かないと。今、連絡したら学校の近くだって。待っててって言ってあるから早く合流しないと」

 

慌てて太一に連絡したところ、無事だと確認できたことでヒカリはほっと胸を撫で下ろすが思った以上に事態は悪化しているように感じられた今となってはゆっくりしている暇などなかった。

 

テイルモンもテイルモンとてあの女に言ってやりたいことは山ほどあったが、太一の安全を守ることが第一だと考えてヒカリに従うことにした。

 

しかし

 

「タケル君も急いで!早く!」

 

「悪いけど、太一さんの所にはヒカリちゃんとテイルモンで向かって。僕はあの女の人を追いかける」

 

タケルの発言にヒカリとテイルモンは絶句した。

 

パタモンが居るならともかく、タケルしかいない状態で今の発言は余りに無謀だ。

 

「無茶よ!相手がどんな人なのかも分からないのよ!?」

 

「だからこそだよ。僕らはあの人が誰なのかも分からない。この状態であの人を見失ったら、あの人から色々聞くのが難しくなる。僕らには圧倒的に情報が足りないんだ。多少、リスクを負っても情報を集めるしかない」

 

タケルの発言にテイルモンは歯を食いしばる。

 

タケルの言っていることは正論だ。仮にここにパタモンがいるならば、一も二もなく頷いてその役目をタケルに任せていただろう。

 

しかし、今、ここにパタモンは居ない。何かあったとしても対処は不可能だ。

 

とは言え、テイルモンがあの女の尾行に向かえば今度は太一を守る仲間が不足する。それ以前に、今の状態のヒカリに太一の所に向かわずに女の尾行をしろなどと言うことはできない。

 

「大丈夫だよ。距離をおいて尾行するし、人混みが少なくなったら諦めて太一さんの所に向かうよ。人が多ければ、向こうも手出しがし辛いだろうしね」

 

笑顔で言うタケルの言葉が嘘だとテイルモンは直ぐに気が付いた。

 

仲間想いのタケルが仲間のためになる情報が得られるとなれば、無茶をしない訳がない。

 

「…分かった。無理はするなよ」

 

「うん、当然だよ」

 

しかし、嘘だと分かっていてもその嘘にテイルモンは合わせるしかない。ここで揉めて時間を失うことが最も愚かな選択だと分かっているからだ。

 

当然、タケルの嘘に気が付いているヒカリも判断に迷っていたがタケルとテイルモンに後押しされて悩みながらもタケルを送り出した。

 

しかし、悩みながらもヒカリとテイルモンは決して振り返ることはしなかった。その選択が正解かどうかなど誰にも分からない。しかし、決めた以上、振り返らずに進むしかない。長いようで短いデジタルワールドでの冒険で身に染みて感じたことだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何なんだよ、ヒカリの奴。急に連絡してきたと思ったら動かずにじっとしててって。俺はガキかっつーの」

 

「それだけ信用がないんじゃないですか?」

 

「うるせーよ!」

 

自身の1人ごとに厳しいツッコミを返されたことに太一は反射的に声を荒げる。

 

そんなツッコミをした光子郎は大して気にもせずにそのまま話を進める。

 

「しかし、気になりますね」

 

「何が?」

 

「ヒカリさんがいきなりそんなことを言ってきたことがですよ。何かあったと考える方が自然じゃないですか?」

 

「何かってなんだよ」

 

「流石にそこまでは。ただ、何かなかったらそんなことわざわざ言わないと思っただけです」

 

言われてみればと太一も思う。何かがあったからこそ、ヒカリは自身に連絡をしてきたのではないだろうか。連絡をする余裕があるということは、ヒカリ自身には問題が起こってはいないようだが。

 

「まあ、こっちに向かってるらしいからその時に聞けば良いだろ。正直、こっちは打つ手がないしな。テントモンやゲンナイさんからも気になる連絡は来てないんだろ?」

 

「はい。それ以前にゲンナイさんからは一回も返信すら来ていませんが…」

 

「相変わらず肝心な時に頼りにならない爺さんだな…ああ、今は爺さんじゃなかったっけ」

 

太一の言葉に同意しかけた光子郎は咳払いで誤魔化した。

 

「とにかく、ヒカリさんにも言われましたし、ヤマトさんも空さんも用事があって集まれないと言ってましたから今日はリスクがある行動は控えるべきですね」

 

「リスクがある行動ってなんだよ。何が起きてるか分からない今の状態じゃ何もしないことがリスクの可能性だってあるだろ」

 

「それはまあ、そうですが…」

 

相変わらず突然確信をつく人だなと光子郎は感心する。自分で勝手に決めたり、無茶をすることは多いが流石はアレだけ個性の強いメンバーのリーダーだと改めて感じる。まあ、光子郎も立派にクセが強いと思うが。

 

「だろ?だからさ、今日こそはデジタルワールドに俺たちも言って何か異変が起きてないかこの目で確かめるべきだと思うんだが」

 

「ダメです」

 

内心で少し褒めたと思ったらこれである。やはり、自身か誰かが付いていなくてはダメだと気を引き締め直す。

 

「太一さーん!あれ、光子郎先輩も一緒っすか?」

 

「おお、大輔か。どうしたんだ?」

 

「どうも大輔君。こんにちは」

 

そんな話をしている所に全力で走ってきたのか息を乱している大輔が現れた。どうやら、ヒカリ達が一緒でない所から1人で走ってきたらしい。しかし、何故か焦っている大輔は息も絶え絶えになりながらも鬼気迫る表情で太一に迫る。

 

「どうしたもこうしたもないっすよ!太一さん!敵に狙われてるって聞きましたよ!大丈夫なんすか!?後は俺に任せてください!どんな敵からでも守ってみせますから!」

 

「…よし、とりあえず落ち着け。何を勘違いしてるか知らんが今は具体的な敵とかいねぇから」

 

(それ以前にチビモンも居ないのにどうやって戦うつもりだったんでしょうか…?)

 

何かを勘違いしている大輔に太一が事情を説明している最中に光子郎はそんなことを思った。

 

本人の名誉のために言っておくが、大輔は普段であればここまでアホな子ではない。皆から仲間外れにされたのと大好きな先輩である太一の危機に焦りを覚えた結果なのである。

 

…きっとそうなのだ。…そうだよね?

 

しかし、大輔の様子から見るとヒカリが慌てている理由をどうやら知らないらしい。学校では一緒だったようだから、大輔と離れた少しの間に何かがあったと考える方が妥当だろう。

 

とは言え、それ以上のことは分からない。

 

何となく余った自分にはできることなどないし、テントモン達からの情報などが来ていないかもう一度見てみるかと光子郎はパソコンを開いた。

 

「どうやら、違和感には気付いているようだな。選ばれし子供達よ」

 

突然、聞き覚えのない声が響いた。

 

3人とも瞬時に警戒態勢に入った。その3人の目の前には一体の獣型デジモン。成長期のように見えるが、誰もパートナーデジモンが近くに居ない現状では驚異以外の何物でもない。

 

「慌てるな。敵意はない」

 

3人の様子に気付いたのかそのデジモンはそんなことを口にした。言われてみれば、確かに敵意は感じない。怪しさは満点だが。

 

突然の展開に3人が言葉を発せない中、そのデジモンは言葉を続けた。

 

「我が名はハックモン。私は話をしに来ただけだ。勇気の紋章の子供よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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