太一のアドベンチャー   作:はないちもんめ

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久しぶりの投稿です。

ここからは捏造設定のオンパレードの始まりです!

それが嫌な人は読むのを辞めた方が無難です。
別に構わないぜ!という方だけ読んでやってください。



8 再開

どのくらいの時間が経ったのだろうか。

 

前後左右の感覚が無い中で漂う太一は最早、自分が落ちているのか浮かんでいるのかすら分からなくなっていた。

 

そんな時に遠くから見えた僅かな光。自身の意思で進めるのかどうか不明だが、太一は何とかそちらに辿り着こうともがいた。

 

太一の行動の結果かどうかは不明だが、その光は徐々に近づいていき、暗闇の空間から投げ出された太一が最初にした行動は一つ

 

「え?」

 

海への落下だった。

 

叫び声を上げる暇もなく海へと落ちた太一は持ち前の運動神経で何とか泳ぎきり海に浮かんでいた丸太のような物へとしがみつくことに成功した。

 

「な…何なんだ一体?と言うかここは何処なんだ!?俺に何が起きた!?」

 

声を上げても答えてくれる人がいないことなど分かっているが、それでも声を上げずにはいられなかった。

 

太一に残った最後の記憶はナニカに引きずり込まれた所で止まっている。てっきり、そのままその声の主の所にでも連れていかれるものだと考えていたのだがどうやらそうではなかったらしい。

 

「俺一人で会って何かあっても困ってたが…これはこれで…困るよなぁ…」

 

丸太に捕まりながら太一はため息を吐く。場所が移動しただけでどうすれば良いのかは分からないままだったからだ。

 

とりあえず岸まで泳ぐかと太一がバタ足を始めてからすぐに頭上に薄らと光が放たれているのを発見した。

 

今度は何だと思いながらその光景を見つめているとその中から見覚えのあり過ぎるデジモンが飛び出して来た。

 

「太一ぃぃぃぃぃぃぃぃ」

 

「ア、アグモン!?って、馬鹿!ここに落ちてくんな!」

 

ザーンっと音を立てながら落下したアグモンは太一が捕まる丸太に直撃した。当然、太一も衝撃に巻き込まれて再び溺れることになり一人と一匹は何とかもがきながら岸へと向かうことになるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…やはり、とりあえず俺だけが行くほうが良いと思うんだが」

 

「まだ言うのかよ親父」

 

「言っとくけど、連れて行かなかったら無理矢理にでも行くからね」

 

自身の言葉を完全否定する息子達の言葉と他の子供達の顔に説得を諦めた裕明はため息を吐きながらハンドルを握り直す。

 

タケル以外の小学生組と中学生組に分かれて車に乗り込んだヤマト達は全員で防衛庁の方へと向かっていた。

 

昨夜、相手方と対面した直後、やはりああ言ったものの先に自分たち大人だけで話を通しておいたほうが良いのではないかと考えた裕明はその旨をヤマトに伝えたが、ヤマトは激昂。盛大な親子喧嘩が勃発した。

 

ヤマトと一緒に裕明からの電話を待っていた光子郎と丈はヤマトを宥めながらも、自分達が行かないという選択肢は持っておらず裕明を説得にかかった。

 

ヤマトは感情的に。

 

光子郎は論理的に。

 

丈は人情的に。

 

それぞれがそれぞれの理論武装で自分達も行くという気持ちを裕明に伝えると裕明は渋々折れた次第だった。

 

なお、太一の両親は着いてきていない。

 

余りに大勢だと話が進まないことと、自分がしっかりと話を聞いてくるということを裕明が伝えたことが理由だった。

 

「しかし、気になりますね」

 

「何がですか?コウシロウハン」

 

「防衛庁の人ですよ。何故彼等が僕らも知らない情報を握っているんでしょうか…」

 

「俺たちに知られたくないからじゃないのか?」

 

「それはそうですが、それ以前にどうやってデジモン側とコンタクトを取ったんでしょうか?」

 

「まあ、確かに大人はデジタルワールドに行けないから連絡の取りようがないわよね」

 

言われてみればと空は疑問に思う。

 

「ゲンナイさん達から連絡を取ったんじゃないの?」

 

「はい、僕も消去法的にそうだと思います。ですが、そうなると疑問が一つ」

 

光子郎は指を一つ立てる。

 

「どうやってゲンナイさん達はコンタクトを取る人を決めたんでしょうか?幾らゲンナイさん達と言えども、防衛庁のような組織構成を理解しているものなんでしょうか」

 

「そりゃまあ、不思議ですけど…現実にそうならそうなんでっしゃろ?」

 

疑問はあっても、現実にそうなんだから仕方ねぇ!というある意味、身も蓋もない意見がテントモンから出るがあながち間違いではない。

 

「そうよ!と言うか、それが太一さんが居なくなった件と何か関係があるの?」

 

「いやまあ、多分ないとは思いますが」

 

「じゃあ、今考えてもしょうがないじゃない」

 

「そうよ。今考える問題じゃないわ」

 

「光子郎ってば何時もそうやって違うことで頭を使うんだから」

 

ミミやデジモン達による批判によって光子郎の疑問は封殺される。全く考えなくて良い話ではない気もするが、確かに今考えなくてはならない話題ではない。

 

丈はポンと肩に手を置き、軽く同情するような目を向けてくるが光子郎側に立つ言葉を発することはない。どう庇った所で丈と光子郎ではミミに口で勝てるわけがないからだ。悲しい現実がそこにはあった。

 

「おい、どうやら着いたみたいだぜ」

 

話に集中していた面々がヤマトの言葉で前を向くと防衛庁のビルが目の前に立っていた。自然と全員の顔が引き締められる。

 

裕明も説得を諦めたようで無言のまま昨日指定された場所へと車を停める。すると、待っていたかのようにビルから出てきた男が裕明車の窓を叩く。

 

「石田裕明様ですね。お待ちしておりました」

 

「ああ、待たせて悪いな。アンタも関係者なのか?」

 

「いえ、私はただの案内係です。詳しいことは別の者がお話しさせていただきます」

 

なるほどと言うと、大輔たちも合流して案内されるがままに窓のない如何にも厳重そうな部屋に辿り着いた。

 

「うわー、殺風景な部屋」

 

「窓がないから換気が悪いわ」

 

「それくらいは勘弁してくれないかしら?盗聴とかを警戒すると、どうしてもこんな部屋になっちゃうのよ」

 

パタモンやパルモンが思うがままに感想を言っていると、別の扉から三人の大人が入ってきたが、その中の一人はヒカリやテイルモンには見覚えのある美人だった。

 

「お前は!」

 

「久し振りね。それと大部分の人にははじめましてかしら。姫川マキよ」

 

テイルモンの睨みつけるような眼差しを無視して姫川は淡々と挨拶をする。それを見てテイルモンの言葉は益々棘を帯びる。

 

「やはりお前もこの組織の一員だったんだな!何故、あの時そう言わなかった!」

 

「仕方ないでしょ。私たちだって八神太一君があんなことになるなんて予想外だったんだから」

 

「でも、僕たちだって太一さんと同じ選ばれし子供なんですよ?別に隠し事をしなくたって」

 

「そういう訳にもいかないのよ。こういう仕事をしているとどうしても秘密保持とかが大事になってくるから」

 

何処か拒絶じみた言動が滲み出る姫川を見て、隣に立っている明らかに目上の男性が咳払いをする。

 

「姫川君。挑発めいた言葉は控えなさい」

 

「い、いや、別にそんなことは」

 

「ごめんね、皆。マキちゃん少し人見知りのせいで攻撃的になることがあるんだ。怒らせる意図がある訳じゃないから許してあげてくれないか?」

 

「は、はい。それは大丈夫ですが…」

 

姫川とは対照的に随分とフレンドリーな男性に光子郎は戸惑ってしまう。と言うか、後ろから姫川さんが睨みつけていることに気付いているのだろうか。

 

「挨拶が遅れちゃったね。僕は西島 大吾。よろしくね」

 

「私は望月という。こんな所にいるが元々は研究畑の人間だ。堅苦しくなく接してくれるとありがたい」

 

他二人の自己紹介も終わり、少し間が生まれたことで大人である裕明が代表して話しかける。

 

「ご丁寧にどうも。こちらの自己紹介は不要ですよね?」

 

どうせ既に調べてるんだろ?という言葉を暗に含んでの確認だったが、案の定と言うべきか無言で肯定されたので裕明は話を続ける。

 

「それなら話は早い。では、単刀直入に聞かせてもらう。八神太一君は今何処にいる?」

 

「それは「そこから先の質問には私が答えよう」、ハックモンか!?」

 

「テメェは!」

 

口を出さずに見ていた大輔だったが自身が良く知る存在が突然現れたことで頭に血が上り駆け寄ろうとするが、賢とタケルによって阻止される。

 

「離せよ!コイツが何をしたか知ってるだろ!」

 

「落ち着け本宮!」

 

「そうだよ!今は喧嘩をしてる場合じゃない!」

 

怒り狂っている大輔をとりあえず放置して、裕明はハックモンに話しかける。

 

「君はハックモン…で良いのか?君が質問に答えてくれると?」

 

「そうだ。元々はコチラの問題なのだ。コチラが答えることが筋だろう」

 

じゃあ、あの時話せば良かっただろ!と怒鳴っている大輔がヤマトに静かにしろ!とキレられている中で話は進む。

 

「勇気の紋章の少年は今、デジタルワールドでも人間の世界でもない場所にいる。アグモンと一緒にな」

 

「デジタルワールドでも人間の世界でもない所だと?」

 

突然言われた良くわからない説明に裕明は疑問符を浮かべるが、そんなことを言われて黙っていられないのが光子郎だ。年長者である裕明に交渉は譲っていたが黙っていられず話に割って入った。

 

「ちょ、ちょっと待ってください!デジタルワールドでも人間の世界でもない所!?何処なんですかそれは!?」

 

「お前達は知っているはずだが?何人かは行ったこともあるはずだ」

 

そう言われて全員が今までの冒険を振り返り、答えを探すが数少ない行ったことのある人間のヒカリは一足先に正解へと辿り着いた。

 

「暗黒の…海」

 

ポツリと呟かれた小さな一言は何故か皆の耳に良く届いた。

 

「暗黒の海って…太一さんあんな所にいるの!?」

 

「直ぐに助けに行かないと!」

 

「慌てずとも勇気の紋章の少年であれば問題ない。相性的にあの世界に飲み込まれたりはしない」

 

行ったことはなくとも、その場所の危険性を垣間見ている京と伊織は慌てるがハックモンは何故か落ち着き払っている。その姿を見たところ本気で心配はしていないようだ。理由は不明だが。

 

「相性?それは一体どういうことですか?」

 

「待て、光子郎。今はそんな話をしている場合じゃないだろ。ハックモン。何で太一の奴はそんな所に行ってるんだ。太一の奴はナニカの声が聞こえるって言っていた。つまり、そのナニカが暗黒の海にいてそいつが太一を暗黒の海に巻き込んだってことか」

 

「その認識で問題ない。今回の事件をまとめるとそういうことになる」

 

「待て。確かお前はあの時結果として問題ないと言っていたな。つまり、ホメオスタシスの依頼も太一が暗黒の海に行かなければ対処できないことだったというわけか?」

 

「そうだ。どちらにせよ、勇気の紋章の少年にはあの世界に行ってもらう必要があった」

 

此方の疑問にスラスラと答えてくれるハックモンに光子郎と丈と賢は何故か嫌な予感が止まらなかった。今の内容的にホメオスタシスが自分達に情報を制限する理由が一切ない。ただそれだけの理由であるならば、最初から自分達全員に情報を渡して暗黒の海に行って貰えば良い話だ。

 

つまり、ホメオスタシス側にはそれができない理由があったということになる。

 

「じゃあ、さっさと俺たちも暗黒の海に連れて行けよ!別にできないわけじゃねぇんだろ?」

 

多少は落ち着いたが、まだ怒りが潜んでいる大輔が喧嘩腰で言うがハックモンは怒るわけでもなく無言で首を振った。

 

「それはできない。我々が事情を話したのも予想外の事態に陥ったからだ。そうでなければ我々から事情を話すことはしなかった」

 

「何でだよ!お前らの都合に太一さんを巻き込んでんじゃねぇ!」

 

「その結果、世界が滅んだとしてもか?」

 

突然の深刻すぎる話に大輔も次の言葉が告げられずに押し黙る。他の選ばれし子供達や裕明も同様だった。

 

その言葉が嘘ではないことはマキや大吾の顔が刻々と深刻な表情に変わっていることから窺えた。

 

それを認識しているのかは不明だが表情を変えないハックモンはそのまま話を続ける。

 

「全ての始まりは6年前の光ヶ丘での出来事だ。あれが全ての始まりだった」

 

そうして子供達は知ることになる。

 

最も短く、最も簡単で、最も救いのないアドベンチャーが始まっていたことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次話 真実
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