宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲100 拡散波動砲Part2

 ガトランティス艦隊のゼルビー中佐は、今起こった事に呆然としていた。

 そうしている間にも、拡散波動砲の次弾が自軍に撃ち込まれ、再び数百隻の艦艇が一瞬で失われた。

「な、なんという兵器だ……! あんな使い方が出来るとは……。このままではまずいぞ」

 ゼルビー中佐は、自分の支配下の前衛艦隊全艦に命じた。 

「無人艦隊を突撃させ、地球艦隊を殲滅しろ! 急ぐのだ!」

 この号令で、約四千隻からなるオートマタ兵が操艦する艦隊が突撃を開始した。駆逐艦、巡洋艦、そして戦艦多数が、エンジン出力を全開にして、ガルマン帝国艦隊が守る地球艦隊を目指した。

 

 この様子を、後方にいたユーゼラー提督は、がっかりした様子で見つめていた。

「ふむ……。あのゼルビー中佐というのは、ここまで無能だったとは。前衛艦隊を既に大幅に失っているというのに、同じ戦法が相手に通じると思っているのか?」

 レーダーチャートを睨んだ彼は、対策を思案した。

「あの攻撃を受ける訳には行かない。これより、新兵器を投入して、地球艦隊を殲滅する! 特務艦に通達!」

 ユーゼラーは、自ら作戦の指示を出した。

 

 ウォーゲン准将は、敵の動きに驚いていた。

「報告にあった命知らずのガトランティス艦隊の動きというのはこの事か……! 自軍の被害を顧みず突撃してくるとは……。全軍、地球艦隊を死守しろ! 絶対に地球艦隊に近付けてはならん!」

 ガルマン帝国艦隊は、一斉に突撃して来るガトランティス艦隊へと砲撃を集中させた。次々に被弾するガトランティスの艦艇は、それでも後から後から攻め込んで来て、地球艦隊に接近しようとした。

 ちょうどその時、井上のムツが波動砲の発射体勢に入っていた。

 井上は、正面から突進して来るガトランティス艦隊の姿に、恐怖を抱いていた。しかし、その恐れを艦橋の乗組員に気付かれる訳には行かなかった。

「あの突っ込んで来るガトランティスの部隊の中央に、波動砲を撃ち込め!」

 ムツは、拡散波動砲を発射した。ムツから伸びた光の帯は、真っ直ぐにガトランティス艦隊を捉え、一瞬で多数の艦隊が飲み込まれて行った。

 しかし、それでも、発射し終わったムツに向かって、ガトランティス艦隊は続々と向かって来る。後から後から。既に、短時間の間に数度の波動砲の砲撃で、千隻以上の艦艇を葬っているのにも関わらず。

「奴らは、命が惜しくないのか!? いったい、どうして……!」

 井上は、そう口走った自分の口を押さえた。そして、慌てて指示を出した。

「直ちにムツは後退! 後続艦に場所を空けろ!」

 井上は、後退しながら、大村に連絡をとった。

「……おかしい。ガトランティスは、狂っているのか?」

 スクリーンに映った大村は、眉間にしわを寄せている。

「俺もさっきから考えていた。まるで、島が使っていた無人艦隊のようだ。そうとでも考えなければ、辻褄が合わない」

「無人艦隊……!?」

「単なる思い付きだが……。案外、当たっているかも知れないな」

 

「無人艦隊?」

「ええ。敵艦隊のあの動きは、とても人が乗っている様に思えません」

 大村と井上は、自艦を後方に下げている間に、土方に連絡をとっていた。スクリーンに、土方の姿が映っている。その土方は、腕組みして考え込んでいた。

「なるほど。あり得ん話でもないな。古代、お前の意見を聞かせろ」

 土方は、近くに立っていた古代に声を掛けた。

「……」

「どうした、古代」

 古代は、まだヤマトとイセを失ったショックから立ち直っておらず、うつむいてぼうっとして、虚ろな表情をしていた。

 土方は、古代の気持ちを考えると、わずかに胸の痛みを感じたが、今は感傷に浸っている場合では無い。土方は、心を鬼にして言わねばならなかった。

「古代! どうした! 俺は、副官としてのお前の意見を求めている。しっかりせんか!」

 土方の怒号に驚いた古代は、顔を上げて慌てた様子で答えた。

「はっ、はい! な、なんでありますか!?」

 土方は、古代の注意が戻った事を確認して、怒気を収めて冷静に言った。

「……ガトランティスの無謀な突撃に関して、大村と井上から意見を求められた。二人は、敵の突撃して来る艦隊が、無人なのではと疑っている」

 古代は、気を取り直して、その事について考えた。

「……は、はい。確かに、前のガミラスとの戦争では、ガトランティスは大帝自らも出撃して、総力戦で挑んでいました。あの戦いでの人的損耗は、相当深刻だったと推測出来ます。彼らが無人艦隊を使っているかも知れないというのは、的を得ています」

 土方は、古代の顔を眺めた。彼の表情は、生気を取り戻していた。ほっとした土方は、彼に同意して頷いた。

「俺もそう思う。戦いが終わった後、現場でガミラスのディッツ提督とも話したが、ガトランティスがサレザー系に派遣した約二万隻程度が、あの戦いで失われたものと推測される。今回は、その倍の数が派遣されているが、あれからまだ数年しか経っていない。大村たちの言う、無人制御の艦隊を使っているという説は当たっているかも知れんな」

 古代は、それに対して考えを巡らせた。

「土方総司令。もし、そうだとしたら、後方にいる艦が、リモートで指示を送っているのでは無いでしょうか? 彼らの動きは、無謀ではあるものの、こちらの守りの隙間をついたり、トリッキーな動きも見られます。完全なコンピュータ制御では無い気がします」

 そのやり取りを見守っていた大村は、そこで意見を述べた。

「そうであれば、通信で指示を送っているかも知れませんね。それを妨害すれば、思うように動かせなくなるのでは?」

 土方は、少し考え込んで、近くに控えていた百合亜に声を掛けた。

「科学士官の佐野をここへ呼んでくれ」

「は、はい!」

 百合亜は、小走りに作戦指揮所の佐野の座席へと向かい、彼を呼び寄せた。佐野は、元ヤマトの乗組員だった。古代は佐野に向け軽く会釈すると、彼も同じ様に返していた。

「土方総司令、お呼びですか?」

 土方は、スクリーンにレーダーチャートを映し、敵艦隊の動きを彼に見せた。

「今、俺たちは、この辺りの艦隊は無人制御では無いかと疑っている。もし、無人制御だとしたら、何らかの指示を通信で送っているだろう。これを、妨害出来ないだろうか?」

 佐野は、レーダーチャート上の光点の動きをしばらく観察して、頷いた。

「確かに、機械的な動きが見られますね。しかし、ガトランティスの科学力なら、完全に無人で自律制御のAIを搭載している可能性も高いと思いますよ?」

 土方は頷いた。

「分かっている。しかし、細かな指示は、直接人が送っている可能性もあるだろう。やってみる価値はあると思う。あの突撃のせいで、ガルマン帝国艦隊の損耗も激しい。あれをなんとかせねば、敵との戦力差を埋めることが難しくなる」

 佐野は、頷いた。

「分かりました。それでは、陽電子砲の無効化ミサイルを使ってみましょう。レーザーや荷電粒子を使った指向性通信を断つ効果があります。それには、ミサイルをあの突撃艦隊と後方のガトランティス艦隊との間で自爆させる必要があります」

 古代は、それに意見した。

「いや、それは難しいと思う。あの数の艦隊の間をすり抜け、後方まで辿り着く間に、迎撃される可能性が高い」

 佐野は、古代ににやりと笑った。

「おっしゃる通りですが、そこはガミラス軍の力を借りましょう」

 

 大村隊と井上隊に同行していたガミラス部隊の指揮官メルキ中佐は、座乗する戦闘空母ダイダロスの艦長席で、古代からの通信を受けていた。

「ミサイルを?」

 古代は、大きく頷いた。

「そうです。我々の特殊なミサイルを、あの艦隊の後方で爆発させたい」

 メルキ中佐は、頭をかいた。

「そいつは構わんが、あれはミサイルみたいな高速に移動する物体には使えないぞ」

「はい。普通に発射したらその通りなので、大村隊の巡洋艦から、輸送機で運ばせます。輸送機からミサイル三十本を貴艦の前に投下するので……」

 メルキ中佐は、後を続けた。

「……瞬間物質移送器で、ジャンプさせればいいんだな?」

「はい。ミサイルは、投下後、二分後に自爆するようにタイマーをセットします。自爆する前にワープさせてもらえれば」

「分かった。やってみよう」

「お願いします」

 メルキ中佐は、通信が切れたスクリーンを見ながら、再び頭をかいた。

「上手く行くのかねえ。まあ、やってみるか」

 彼は、立ち上がって艦内の乗組員に指示した。

「直ちに瞬間物質移送器の起動準備! 地球艦隊の輸送機が下ろすミサイルをジャンプさせる!」

 

「ミサイルを積んだ輸送機を発艦させました」

 大村は頷いた。

「分かった。後は、ガミラスに任せよう」

 大村隊に所属する巡洋艦から発艦した大型輸送機は、滑るように戦闘空母ダイダロスを目指して飛んで行った。

 そして、輸送機は旋回し、ダイダロスの前に静止した。後部格納庫を開くと、乗組員が内部のクレーンを操作して、ミサイルを後方へと投棄した。輸送機のパイロットは、輸送機を空母ダイダロスから離れさせると、直ちに連絡した。

「既にタイマーは動いている。やってくれ」

「了解」

 メルキ中佐は、その連絡を受けて、指示をした。

「いいぞ。瞬間物質移送器起動!」

 空母ダイダロスの艦首に据え付けられた瞬間物質移送器が唸りを上げた。前方に漂う三十本のミサイルは、装置が作り出すフィールドに捉えられると、少しづつその空間から消えて行った。

 

 ガトランティス艦隊のゼルビー中佐は、無人艦隊の動きを指示していた。

「中央の敵艦隊の陣形が崩れている。そこに攻撃を集中させろ! 右前方に隙間があるな。そこに縦列隊形で突撃させろ!」

「敵ガルマン帝国艦隊、既に五百隻以上を大破させましたが、まだ地球艦隊の周囲から離れません」

「敵、波動砲がまた発射されました。我軍の艦艇、約二百隻が消滅! これで、約千三百隻が失われました」

 ゼルビー中佐は、唇をかみしめてレーダーチャートを睨んでいた。

「く……。何とか、地球艦隊に取り付け! 奴らさえ倒せば、ガルマン帝国艦隊は我々の敵では無い!」

 しかしその時、ゼルビー中佐の目に、無人艦隊の後方に現れた小さな光点が映った。

「これは、戦闘機部隊か? しかし、数が少ないようだが……」

 その瞬間、その光点が再び消滅したかと思えば、ゼルビー中佐の艦は、前方で発生した多数の爆発による輝きに包まれた。

「な、何だ!? 何が起こった!? 確認しろ!」

「敵のミサイルか爆弾が前方で爆発したようです」

「し、司令。無人艦隊への通信リンクが切れてしまいました! 無人艦隊の制御不能!」

 ゼルビー中佐は、驚愕した表情になった。

「な、何だと? どういう事だ!?」

「どうやら、地球艦隊が使用している陽電子砲を無効化するミサイルが爆発した様です。この影響で、無人艦隊への通信が出来なくなった様です!」

 ゼルビー中佐は、奥歯を噛み締めて怒りを抑えた。

「ま、まさかそのミサイルを、ワープさせたのか?」

「司令、無人艦隊は、AIによる自律制御に移りました。敵と認識される物体への攻撃を自動的に開始しています。現在、殲滅モードに設定しておりますので、敵と認識したら直ちに攻撃を加えて行きます」

「駄目だ……。それでは、ただの標的になってしまう……!」

 

 大村は、敵の様子を確認した。

「どうだ? 敵の突撃艦隊の動きに変化はあるか?」

「……はい。突然、先程までの様に突撃するのを止め、周囲にいるガルマン帝国の艦艇に攻撃をしています。明らかに変化があります!」

 大村は、その報告にほっと息を吐き出した。

「なら、本当に敵は、その多くが無人艦隊という推測が正しかった事ってことだな。よし、ガルマン帝国艦隊に作戦成功を連絡してくれ!」

 しかし、連絡を受けるまでも無く、ガルマン帝国後衛艦隊のウォーゲン准将は、この動きを見逃さなかった。

「敵の動きに統率が急に無くなった。ガミラスと地球艦隊の作戦が上手く行ったらしい。今がチャンスだ。一隻づつ、確実に仕留めて行け!」

 ガルマン帝国後衛艦隊は、接近したガトランティス艦隊を、一隻づつ複数の艦艇で囲み、しらみつぶしに沈めて行った。

「いいぞ、敵艦隊の動きはばらばらだ。すべて沈めてしまえ!」

 

 ゼルビー中佐は、呆然として、突撃させた四千隻の無人艦隊が、成す術も無く敵に沈められていくのを見守った。

 そんな彼の元に、ユーゼラーから通信が入った。スクリーンに映るユーゼラーの表情は、酷く冷酷なものだった。

「ユーゼラー総司令……!」

「ここからは、私が、全艦隊の指揮を直接とる」

「し、しかし……!」

「無様だな、ゼルビー。お前たち前衛艦隊は、そのまま、そこで敵艦隊を引きつけておきたまえ」

 ゼルビー中佐は、肩を落として言った。

「……は、はい。承知しました」

 ユーゼラーは、通信を切ると、全艦隊に司令を発した。

「これより、白色彗星を前に出す。各艦、道を空けるのだ!」 

 白色彗星は、加速してユーゼラーの艦の背後に迫っていた。ユーゼラーらの艦隊三万隻は、直ちに退避を始め、白色彗星はその間を通って前に進んだ。

「よし、敵艦隊が白色彗星に意識を奪われている時がチャンスだ。移送中継機の射出用意!」 

 ガトランティス艦隊の特務艦が複数動き出し、腹に抱えた大きな長い円筒形の物体を射出した。

 その物体の一つ一つは、ガトランティス艦隊から離れ、前方斜め方向の敵の居ない場所へと高速に移動した。そして充分に離れた座標で後方の一部を切り離し、そのまま前方に飛び去った。切り離された方の物体は、ドーナツ状の形状をしており、その場でスラスターをふかして位置を調整した。

 前方に進んだ物体は、弧を描いて少し進行方向を調整すると、再び後方の一部を切り離し、更に前に進んで行った。これを繰り返した物体は、次第にガルマン帝国や地球艦隊の方へと近付いて行った。

 

 主力戦艦は、確実に敵艦隊を仕留める為に隊列を組むガルマン帝国艦隊の動きと連動し、拡散波動砲による攻撃を続けていた。その攻撃を受けたガトランティス艦隊は、光の束となって輝いていた。既に、突撃して向かってきた敵の艦艇の数千隻を沈めていた。

 そんな彼らの戦線にも、遂に白色彗星の太陽の様な輝きが捉えられていた。

「白色彗星、加速しています。間もなく、波動砲の射程圏内に入ります!」

 大村の乗るナガトは、ちょうど波動砲を撃ち終わって後方に退避している最中だった。

 大村は、その時一番前に出て波動砲の発射準備を整えていた主力戦艦ムツに、指示を出した。

「よし、井上。敵艦隊への攻撃を止め、ターゲットを白色彗星に切り替えてくれ」

「了解、これより、ムツは、白色彗星への攻撃態勢に移行する」

 井上は、艦橋に居る乗組員に指示をした。

「波動砲、収束モード切り替え」

「了解、波動砲、拡散モードから収束モードに切り替え確認」

「艦首、白色彗星へ」

「了解、艦首、白色彗星へ向けます」

「波動エンジン、エネルギー充填百二十パーセントを維持」

「ターゲットスコープ、オープン。電影クロスゲージ明度二十。誤差修正、敵、白色彗星、波動砲の軸線に乗りました」

「ガルマン帝国艦隊へも警告済です」

「総員、対ショック、対閃光防御」

 井上を始めとした艦橋の乗組員は、耐閃光鏡を頭から被って目に装着した。

「白色彗星、波動砲の射程圏内に入っています」

「波動砲、発射します。カウントダウンを開始」

「十、九……」

 

「敵、地球艦隊、強力なエネルギーの増大を確認。波動砲で白色彗星を攻撃する模様」

 ユーゼラー提督は、そこで冷静に指示を出した。

「ゴルバに、直ちに作戦開始を通達」

 ユーゼラーの乗る大型空母のすぐ近くにいたゴルバは、既に開いていた砲門から、即座に大口径のレーザー砲を発射した。その輝く光の帯が、ガトランティス艦隊の間を抜けて直進して行った。

 その光は、真っ直ぐに先程特務艦から射出した移送中継機に向かって行った。そして、最初の一つに到達すると、その移送中継機のドーナツ状の穴を通過し、そこで向きを変えた。そのまま、更に進むと次の移送中継機の穴を通過し、また向きを変えてエネルギーは進んで行く。

 

「五、四……」

 カウントダウンを続けるムツのレーダー手は、大きな声で警告した。

「高エネルギー反応! 真横から来ます!」

「何!?」

 ムツの目前で、突然レーザー砲の束が横切ると、そこにいたガルマン帝国艦隊が一度に被弾していった。そして、大爆発が起こり、ムツの目の前は、光の洪水にさらされた。

「目標をロストしました! カウントダウンを停止します!」

 そうしている間にも、今度は左舷上方から、地球艦隊にも光の帯が向かって来た。

「いかん! 波動防壁、緊急展開!」

 井上の指示で、科学士官は慌てて波動防壁を稼働させようとした。ガルマン帝国艦隊の守備と、イージスシステムによる防御を行っていた為、波動防壁の展開はまだ行っていなかったのだ。

 しかしその直後、光の帯は、地球艦隊とガミラス艦隊の居る中央の、主力戦艦の隊列を貫いた。

 その瞬間、すべての艦が波動防壁の展開が間に合わず、直撃した中央の主力戦艦は、一度に大爆発を起こした。たまたま先頭と最後部にいたナガトとムツは

、直撃は免れたものの、大破した艦体の一部が衝突し、艦底部や舷側に大きな穴が空き大破した。

 この攻撃で、周囲を固めていた他の巡洋艦や駆逐艦もそれぞれ損傷し、大村隊と井上隊は、一瞬で壊滅していた。

「状況報告!」

 大村は、艦内の破損物の落下に見舞われ、腕から血を流していた。それでも、立ち上がり、艦橋に居る乗組員の様子を確認した。

 床に倒れていた者が、何人か立ち上がり、無事なのを確認すると、今度は倒れて動かない者の所へ急ぎ足で向かった。頭から血を流した通信士は、意識を失っているものの、呼吸をしていた。

「艦長! 艦は大破して戦闘不能です!」

 戦術長は、かろうじて無事だったらしい。しかし、航海長は、床に倒れて動かなかった。

「艦を動かせるか!?」

 機関長は、呻き声を上げながら、自席に無理矢理ついた。

「……波動エンジン出力低下。しかし、航行は可能……」

 そう言って、彼は再び力尽きた。大村は、一瞬蒼白になったが、艦の保護が最優先だった。

「よし、戦術長の君が艦を動かせ。出来るか?」

「や、やります!」

「急いでくれ。ここに留まっていたら、またあの砲撃でやられるか、白色彗星の餌食になる」

「はい!」

 大村は、急いで艦長席に戻った。天井からの落下物を退けて座席に着くと、操作パネルが無事か確認した。一部のパネルが破損していたが、通信機は作動しそうだった。

 通信マイクを掴むと、全艦に通信した。

「大村隊、井上隊、及びガミラス艦隊の残存艦艇に告ぐ! 直ちにこの場を離れ、最終防衛ラインまで後退してくれ。急げ!」

 大村は、艦橋のひびが入った窓の外に、同じくムツが回頭して移動する様子を確認した。

「良かった。ムツは無事か……!」

 大村は、今度は艦内通信に切り替えた。

「無事な者は、直ちに私まで被害状況を、報告してくれ!」

 そう言って、座席に寄り掛かった彼は、敗北感に苛まれていた。

「さっきの攻撃……。まるで、ガミラス軍の反射衛星砲のようだった。奴らの科学奴隷の仕業か……!」

 

 ガルマン帝国艦隊のウォーゲン准将は、どこからとも無く飛来する敵の攻撃により、次々に自軍の艦艇が被弾し、撃沈するのを目撃し、被害状況を確認していた。

「後衛艦隊の残存艦艇は、約八千隻。先程の最初の攻撃で、地球艦隊は、ほとんどの艦が大破して、壊滅してしまいました! また、白色彗星、更に接近! このままでは、あとわずかで、全艦隊が白色彗星の影響範囲に入ります」

 ウォーゲンは、椅子の手すりを握りしめ、怒りに震えていた。

「直ちに、全艦隊で最終防衛ラインまで後退! 急げ!」

「はっ!」

 ウォーゲン准将は、通信機を操作して、グスタフ中将に連絡した。

「敵の新兵器と思われる攻撃で、地球艦隊は壊滅。我々は、これより最終防衛ラインまで後退します」

 スクリーンに映るグスタフは、衝撃を受けている様だった。

「波動砲の攻撃も通じなかったというのか……」

 ウォーゲンは、頭を振った。

「いいえ。残念ながら、敵の方が一枚上手だったという事です」

「分かった。こちらも、直ちに準備する」

 グスタフ中将は、慌ただしく通信を切った。

 何も映っていないスクリーンを見て、ウォーゲン准将は、悔しそうな表情になっていた。

「このままでは、我々は……」

 

続く……




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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