宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲103 最終防衛ラインPart1

 ガルマン星系第三惑星、ガルマン帝星月軌道――。

 

 最終防衛ラインまで後退したガルマン帝国艦隊は、その数を二万八千まで減らしていた。これに、ガミラス艦隊の残存艦艇が約九百隻、地球艦隊の残存艦艇が約七十隻。対するガトランティス艦隊は、約三万の艦隊が、白色彗星一基を引き連れて侵攻中だった。

 この多国籍軍の艦隊は、それぞれ戦闘準備を行いながら、隊列を整えていた。既に、前衛艦隊、後衛艦隊として戦って後退した艦艇は、それぞれ何らかの損傷を受けており、合わせて補修作業も急ピッチで行われていた。

 

 戦闘空母ミランガルにて、ネレディアと共に艦橋にいたランハルトは、スクリーン越しにバーガー大佐と作戦の確認をしていた。バーガーは、戦闘空母ダイダロスを、メルキ中佐に任せ、自身はガイペロン級空母ランベアに乗っていた。

「何? 艦隊の総指揮を私に任せるだと?」

 ネレディアは、呆気に取られて、バーガーの話を聞いていた。

「ああ。この戦場に、お前と俺という同じ階級の人間が二人もいる。しかも、そっちには、大使閣下が座乗してるじゃねえか。その方が理にかなってるってもんだろう?」

 ネレディアは、憮然とした表情で、目を細めてバーガーを見つめた。

「フォムト……。まさか、本当に自分で戦闘機に乗って戦いに出るつもりか?」

 バーガーは、手と頭を振った。

「んな訳ねえだろ。勿論、戦いに行けるやつが、俺しかいなければ、そうする事もあるかも知れねえがな」

 ネレディアは、ため息をついた。そして、ランハルトの顔色を窺った。

「あんな事を言っていますが、如何なさいますか? 艦隊総指揮権限を、こちらに移譲するという件について」

 ランハルトは、腕を組んで、しばらく考え込んでいたが、やがてネレディアとバーガーの顔を交互に見た。

「……俺は、別に構わん。だが、俺自身も、必要なら出るかもしれんぞ。スターシャ女王や、二人の皇女を助け出すのは、俺がこの手でやらねばならんからな」

「……なっ!」

 ネレディアは、またしても無謀な事を言う、ランハルトに怒りが込み上げて来ていた。

「どいつもこいつも……」

 その横で、バーガーとランハルトは、意気投合している。

「大使閣下、あんたとは、気が合いそうだ」

「そうだな。必要なら、俺の援護を頼めるか?」

「いいぜ」

 ネレディアは、我慢が出来なくなって、作戦会議用のテーブルを両手で力一杯叩いた。流石のランハルトとバーガーも、それには驚いて、口を閉じて彼女に注目した。

「二人とも! いい加減にしないか! 大使ともあろうお方が、何て馬鹿なことを言う! 今日という今日は、言わせてもらうぞ! それに、フォムト! お前もだ!」 

「だってよぉ……」

「だってじゃない!」

 彼女の剣幕に押され、二人は途端にたじたじになった。

「まずは、大使!」

 ネレディアは、今まで見た事が無いほどの怒りを込めて、ランハルトを睨んだ。

「な、なんだ?」

「これまで、貴方の勝手な行動に、私は我慢に我慢を重ねてきた。今回ばかりは、そんな勝手な事をするのであれば、じっとしていられる様に、営倉に放り込ませてもらう!」

 ネレディアは、ランハルトが何か反論しようとする暇を与えず、今度は、スクリーン上のバーガーを睨んだ。

「それから、フォムト! いい加減に、目を覚ませ! 出来ぬのなら、このミランガルの砲台で、お前の艦が動けぬ様に機関を破壊してやる!」

 バーガーは、酷く焦った様子で、慌てて取り繕った。

「お、落ち着けよ、ネレディア。ほんの冗談じゃねえか」

「嘘を付け! お前と何年の付き合いだと思っている。私の目は、節穴じゃ無い!」

「わ、分かった、分かった。絶対に勝手な行動は取らねえ。だから、な?」

 ネレディアは、ふんと鼻を鳴らすと、ランハルトを再び睨んだ。

「艦隊総司令の役、バーガー大佐の提案通り、私が引き受けます。そして、大使は、ここを動かずに、戦況を私と一緒に見守って作戦行動を指示するのを手伝って下さい。決して、勝手は許しません。良いですね?」

 ランハルトは、ネレディアの鬼気迫る眼力を見て、慌てて頷いた。

「も、問題無い」

「……宜しい!」 

 ネレディアは、通信マイクを掴むと、全艦隊に発信した。

「全艦に告ぐ! 現時点をもって、ガミラス艦隊の指揮権は、バーガー大佐から、この私に移譲された。これより、作戦行動に移る。全艦戦闘配置! 各空母は、艦載機の発艦急げ!」

 ネレディアは、そこで通信を切ると、次の指示をした。

「地球艦隊の土方総司令に、ガミラス艦隊の指揮権が、私に移った事を伝えてくれ!」

 

 航宙母艦シナノ――。

 

 百合亜は、作戦指揮所の土方の元に小走りで向かっていた。

「土方総司令。ガミラス艦隊より入電! ガミラス艦隊の指揮権が、バーガー大佐から、リッケ大佐に移譲されたとの報が入りました。艦隊旗艦は、戦闘空母ミランガルに移ります」

 土方は、少しだけ眉をひそめたが、それ以上、表情に変化は無かった。

「分かった」

 土方の隣に居た古代は、その理由が気になっていた。

「いったい、どうしたんでしょうか?」

「詮索しても仕方が無い。リッケ大佐は、前にガミラスに行った時に、我々を先導してくれた。彼女の事は、俺も良く知っている。何も問題が無い」

 土方の目の前のスクリーンには、ちょうど山南と大村、そして井上が映った所だった。

「今の、お前たちも聞いたな?」

 アンドロメダに乗る山南は、スクリーンの向こうで頷いた。

「ええ。確か、女性の指揮官でしたね」

「非常に優秀な、だ。早速だが、山南。ここからは、お前が中心となって、作戦行動に移る」

 山南は、口角を上げている。

「お任せを」

 スクリーンに映る大村と井上は、憔悴しているように見える。無理もない、自身の隊が壊滅したばかりなのだ。

 土方は、古代に目で指示をして、スクリーンに星図を映し出した。

「これは、このガルマン帝星周辺の宇宙図だ。ガトランティスは、この方角から向かって来ている。ガルマン帝国艦隊も、それを待ち受ける為、月軌道のこの座標付近に集結させている。こちらの、ガルマン帝星軌道上にいる艦隊は、この戦闘には加わらないらしい。あくまでも、彼らの本星防衛の最後の砦となるようだ。そして、月軌道のガルマン帝国艦隊の更に後方に居るのが、我々とガミラスの艦隊だ」

 土方は、指し棒でスクリーンの一点を指した。

「ガトランティス艦隊の後方に居るこの点が、白色彗星だ。これまでの戦いでは、我々はガルマン帝国艦隊の後方に待機して、白色彗星に攻撃するチャンスを待って行動して来た。しかし、何れも上手く行かない事が分かっている。その結果が、島隊・北野隊、そして大村隊・井上隊に大きな被害を受ける事に繋がった。これは、作戦を指揮した俺の責任でもあるが……。この最終防衛ラインでは、プランを変更する」

 そこで、土方は、ある一点を指し棒で指した。その点は、アンドロメダ率いる山南隊を指していた。

「山南。この最終防衛ラインでは、我々はガトランティスの侵攻を待たない。逆に、こちらから戦いに打って出る」

「すると、プランBですね?」

 土方は、大きく頷いた。

「そうだ。我々は、ガトランティスが後方に白色彗星を待機させている、今の敵の陣形の弱点を突く」

 山南は、満足そうにしていた。

「私も、賛成です。では、早速準備にかかります」

「待て」

 土方は、別のデータをスクリーンに表示させた。

「知っての通り、ボラー連邦宙域で目撃された白色彗星は、敵の本陣である白色大彗星を除けば、四基あった事が分かっている。この星系では、一基をヤマトが撃破し、新たな一基が、ここに映っている物だ。つまり、まだ二基の白色彗星の姿が見えていない。ガトランティス艦隊の規模からも、総力戦を挑んで来ていると推測される事から、いずれ残りの二基も現れると考えるのが妥当だろう。これを撃破した直後に、もう一基が現れるかも知れないし、別の宙域に現れるかも知れない。予想は困難だが、どの場合でも対応出来る様に準備しておくべきだろう。そこで、だ」

 土方は、新たな艦隊の編成を画面に表示させた。

「このプランBによる艦隊編成は、波動砲を搭載した艦のみで構成された隊を、六隻づつ二隊用意する。メインは、山南の隊だ。もう一隊は……。古代、お前に頼めるか?」

 古代は、そんな話しがあるかも知れないと心構えが既に出来ていた。

「承知しました」

「お前の隊は、別の白色彗星が現れるまで温存する」

 大村は、疲れた表情ではあったが、声を上げた。

「待って下さい。もう一度、私にやらせて下さい」

 土方は、真剣な表情で言った。

「いや、お前と井上は、他の損傷を受けている艦と共に、この星系を離脱しろ。そして、地球にこの戦いの状況を伝えて、対策を打つように政府に働き掛けてくれ」

 井上も、これには食い下がってきた。

「土方総司令。我々は、まだやれます」

 土方は、冷静に言った。

「駄目だ。お前たちは、先程の敗北の体験から、身体も心も疲れ切っている。今は、まずは休むべきだ。それに、私と山南、そして古代が居れば、まだ我々は戦える。頼む、我々を信じて行ってくれ。お前たちには、我々にもしもの事があった時を想定し、早期に地球での新たな防衛体制の構築に務めていて欲しい。ガトランティスの持つ新兵器や戦術などの情報を、いち早く持ち帰るのだ。地球で待つスコーク宙将や、俺が不在の場合に日本艦隊を率いてもらう事になる山崎にとって、ここで知り得た情報は、大いに役立つ筈だ。これも、大切な任務だぞ」

 大村と井上は、苦渋の表情で頷いた。

「……分かりました。我々は、傷付いた艦を率いて、地球へ帰還します」

 土方は、すぐに古代の方を向くと言った。

「お前は、主力戦艦ハルナを使え。今の艦長には、副長に就任してもらう」

 古代は、こめかみに手を上げて敬礼した。

「はっ」

 そうして、古代は、その場を離れると、近くに居た百合亜にも敬礼した。

「岬さん。土方さんの事を頼みます」

 百合亜は、古代と同じ様に敬礼した。

「古代さんも、気を付けて」

 

 古代は、シナノの艦載機格納庫へ降りると、そこでは慌ただしく艦載機の発艦作業が行われていた。艦載機が、次々にエレベーターで甲板に押し上げられている。

 古代は、自分に割り当てられた百式空偵を探し当てると、コックピットに乗り込んだ。

 そして、エンジンを始動させると、甲板作業員の指示に従って、エレベーターへと機体を動かした。しかし、準備の出来たコスモタイガーを先に行かせるため、甲板作業員に止められた。その機体を眺めていると、コックピットに居るパイロットが古代の方をじっと見つめていた。宇宙帽の中の顔は見えなかったが、そのパイロットは、敬礼の姿勢をとった。

 

 誰だろう――?

 

 古代は、誰か知り合いなのだろうと考えたが、久しぶりの艦隊運用の事で、すぐに頭が一杯になった。

 そして、甲板作業員が、その機体の後に続くように指示を出した為、それに従って機体を動かした。

 

 そのパイロットは、背後から百式空偵を移動させる古代の事を気に掛けていた。

「お互い、無事に帰りましょう。古代さん……」

 山本は、機体をエレベーターに乗り込ますと、雑念を捨てる努力をしていた。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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