宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲105 最終防衛ラインPart3

 ガルマン帝星、惑星軌道上――。

 

 東部方面軍のガイデル少将は、艦隊の発進準備を急がせていた。彼は、落ち着かない様子で、座乗する大型空母の艦橋の中を歩き回っていた。

「直ちにこの宙域を離れるのだ! 発進準備を急げ!」

 そのガイデルの元に、求めていた連絡があった。

「ガイデル司令! ボルゾン総統一行が到着しました!」

 ガイデルは、立ち止まると、破顔して声を上げた。

「そうか!」

 その後、ガイデルは艦橋の入り口の前に陣取り、今か今かと、総統が上がって来るのを待っていた。

 そして、扉が開くと、側近に身体を支えられて、その巨体を揺らすボルゾン自身が現れた。

 ガイデルと、その部下たちは、手を上げて、敬礼して彼らを迎えた。

「総統! 乗艦を歓迎します!」

 ボルゾンは、不機嫌そうにガイデルを睨みつけた。

「そんな挨拶はいい。早く出発しろ。間もなく、ここは戦場になる」

「は、はっ!」

 ガイデルは、手を下ろすと部下たちを遠ざける様に手を振った。

「持ち場へ戻れ! 発進するぞ!」

 ボルゾンは、ガイデルの為に設けられた艦橋中央の座席に、側近に手を引かれて腰を落とすと、息を切らしていた。

「どうやら、間に合ったようだな」

 そこでようやく、ボルゾンは一息ついた。

 エンジンを始動した大型空母とその艦隊は、ゆっくりと動き出し、ガルマン帝星の軌道から離れ始めた。

 

 一方、最終防衛ラインを形成するガルマン帝国艦隊は、既にガトランティス艦隊との交戦を開始していた。数万からなる艦隊同士の砲撃戦は、これまでの戦いよりも、更に激しさを増していた。色とりどりの陽電子砲の光跡が、宇宙空間を飛び交い、時折眩しい輝きに包まれて、いくつもの命がその度に失われていった。

「砲撃の手を緩めるな! 砲身の稼働限界まで撃ちまくれ!」

「第三守備隊は、この座標まで移動させ、第五攻撃部隊を支援させろ!」

「敵、戦闘機部隊接近! 弾幕を張り続けろ! 我々の艦載機部隊は、どうなっているか!」

 グスタフ中将は、キーリングと共に、部下たちが懸命に指示を出す様子を見守っていた。

「参謀長、またも互角です。この消耗戦が続けば、やがて我々が戦い続けるのは困難になります」

「グスタフ。敵は、無人艦隊を多数運用している可能性が高いと地球艦隊から報告があったが、その情報は確かなのか?」

「確度が高い情報です。ですので、我々の人的消耗は、敵とは比べ物になりません」

 キーリングは、小さくため息をついた。

「惑星破壊プロトンミサイルが、最初の人工太陽爆弾の攻撃で、枯渇しているのは痛いな……。あれが使えれば、まだしも」

「そうですね。現在、帝国領内のあちこちに配備されていたプロトンミサイル特務艦を呼び戻していますが、この戦いには間に合いそうもありません。本星に配備されている約百発のミサイルがまだ残っていますが、本星防衛の為、今はまだ使う時では無いかと」

「む……? グスタフ、これを見ろ」

 キーリングは、レーダーチャートの一点を指差した。

「これは……ガイデルの艦隊が本星から移動していますね」

 キーリングは、苦々しい気持ちで、グスタフに言った。

「やはりな……総統は、我先にと逃げ出したようだ。我々、ガルマン帝国臣民を見捨てて」

 二人は、戦いの喧騒の中、黙ってレーダーが示す光点が本星から離れて行く様子を見守った。

 グスタフは、気を取り直してキーリングに言った。

「我々、北部方面軍、そして西部方面軍は、あなたに忠誠を誓ってこの戦いに参加しています。この戦いが終わった暁には……」

 キーリングは、ふと笑みを浮かべた。

「内戦か……」

 グスタフは、期待を込めた瞳でキーリングを見つめた。

「例え、この戦いが終わっても、我々の前途は多難と言う事だな、グスタフ」

「しかし、真の愛国者が、このガルマン帝国を統べるのが、道理かと」

 二人は、しばし国の未来に思いを馳せた。

「しかしそれも、この戦いに勝利してからの話だ。今は、母国を守る戦いに集中しよう」

「もちろんです」

 

 その頃、ルカの所属するガミラスの偵察部隊は、ガルマン帝星を挟んだ戦場とは反対側の月軌道付近を飛行して、警戒を続けていた。長い時間飛行して来た彼らは、そろそろ補給を必要としていた。

「そろそろ、第二偵察隊と交代しよう。各機、ミランガルに帰艦するぞ」

 隊長機からの指示で、彼らは編隊を組み直し、帰投する準備を行った。

 ルカも、その編隊に加わろうと機体を傾けた時、センサーに小さな反応があり、パイロットランプが点灯したのに気付いた。恐らく、デブリを検知したのだろうと、パイロットランプを消そうとパネルに手を伸ばしたルカは、機外に人工物を発見して、ぎょっとしてその手を止めた。

「た、隊長! 左翼方向に何か人工物があります!」

 空電音が響いた後、ルカのヘルメットのスピーカーから、隊長の声が聞こえて来た。

「どうした? 何があった?」

「分かりません。戻って確認します」

「気を付けろ」

 ルカは、先程の反応のあった場所に引き返すと、機体を旋回させて、周囲を確かめた。

 そこには、三十センチ程度の小さな棒状の物体が浮かんでおり、やはりデブリだったか、とルカは判断しようとした。

 しかし、よく見れば、同じ形状の物が周囲に散らばっている。ルカは、もう少し調べようと周回を続けた。その時、何も無い暗い宇宙だと思っていた空間に、何かがある様な気がした。レーダーには何も映っておらず、ルカは、目を凝らして辺りを肉眼で確かめた。

 そうして、彼女のすぐ目の前に、巨大な黒い球状の物体が潜んで居るのを発見した。

 ルカは、慌てて機体をその場から離れさせると、通信機をオンにした。

「隊長! レーダーには映っていませんが、何か大きな物体が近くにあります!」

 その報告で、隊長機は、ルカと同じ様に、肉眼で辺りの様子を探った。確かに、宇宙に浮かぶ星々の光が一部欠けた様な空間が存在した。

「大きいな……この大きさはいったい……!」

 隊長機は、通信機をミランガルに繋ぐと、急ぎネレディアに報告した。

「偵察隊よりリッケ司令に緊急通信! 惑星ガルマン月軌道付近に、巨大な物体を検知。ガトランティスの兵器かも知れません。座標を転送し、我々は直ちにこの場を離れます!」

 ルカは、隊長機に従って編隊に戻ろうと旋回した時、それが一瞬目に入った。小さな稲光のような閃光がちらちらと、その巨大な物体の表面に光っている。

「ま……まさか! 白色彗星なのか!?」

 

 ネレディアは、偵察隊からの矢継ぎ早の報告に眼光を鋭くした。

「レーダーを妨害する何らかの装置を使って知らぬ間に接近させたのだな……!」

 ネレディアは、即断した。

「直ちに地球艦隊に発信! 戦闘宙域と反対側月軌道付近に白色彗星と思われる物体一基を発見! 攻撃を要請する!」

 ネレディアは、更にその後、すぐに通信をバーガーへと繋いだ。

「惑星間弾道弾は、何基持ってきている!?」

 突然呼び出されたバーガーは、スクリーンの向こうで目をぱちくりとさせている。

「二基だ。いったいどうしたんだ?」

「偵察隊が白色彗星と思われる物体を発見した。しかも、まだ白色彗星化していない。今なら、惑星間弾道弾でも撃破出来る筈だ。座標を送る。急げ、フォムト!」

「わ、分かった」

 バーガーは、通信が切れると、直ちに部下に命じた。

「今すぐ、惑星間弾道弾を全基発射準備にかかれ! 目標座標は、リッケ総司令が送ってくれる。お前ら、急げ!」

 バーガーの配下の部隊は、惑星間弾道弾への制御システムのリンクを起動し、直ちに発射準備に入った。

「三分以内に発射出来ます!」

「惑星ガルマンを迂回する進路を設定、準備出来次第、すぐに撃て!」

 バーガーは、突然の大物の相手に戸惑っていた。しかし、冷静に考えれば、白色彗星一基で攻撃を開始するとも思えなかった。必ず、白色彗星を守る為の艦隊を派遣するに違い無い。

「リッケ総司令に通達! 惑星間弾道弾による攻撃と並行して、一部の部隊を現場に派遣する。俺たちも行くぜ!」

 バーガーは、自身の指揮する百隻程度の部隊を直ちに現場へと発進させた。

 ネレディアは、その報告を事後で受けていた。

「バーガー大佐の部隊が、直ちに現場に急行すると報告がありました!」

「あいつ……! また、勝手な事を!」

 そう言っているそばから、艦橋の窓の外で、多数の艦隊と、巨大な惑星間弾道弾を牽引して緊急発進する様子が見えた。

 ランハルトは、苛つく彼女に言った。

「こんな場所で、味方の援護もなく、白色彗星だけを動かすとも思えん。地球艦隊を守る為にも、俺たちも艦隊を動かした方がいい」

「それは、そうだが、私の指示を待たずにやったのが問題だ!」

 ランハルトは、彼女に分からぬようにため息をついた。恐らく彼女は、無鉄砲なバーガーの事を心配しているのだろう。そう、ランハルトは、彼女の心の内を推察した。

「だが、一分一秒でも急いだ方がいいのは間違いない。彼の判断は正しい。伊達に、これまで艦隊司令を任されてはいなかったということではないか?」

「……ふん!」

 ネレディアは、怒っているようだが、それには反論しなかった。

 

 土方は、ネレディアからの要請を聞いて、直ちに判断した。

「古代隊に通達! 指定座標に白色彗星と思われる物体を発見。部隊を直ちに派遣し、波動砲による攻撃を命ずる!」

 土方は、レーダーチャートを睨むも、その座標にはまだ何も映っていなかった。

 土方らの艦隊の中央に居た古代の乗る主力戦艦ハルナと、他の古代隊の主力戦艦五隻は、ゆっくりと回頭して発進準備を行っていた。

「新たな白色彗星一基発見の報が入った。これより、我々の部隊は、指定座標に急行して、波動砲の発射態勢に入る。全艦発進用意!」

 古代は、全艦に指示を送ると、艦内の乗組員に命じた。

「この、ハルナの波動砲を使用する。艦隊から離れ次第、小ワープで接近し、その場で波動砲の発射態勢に移行する。波動防壁の展開も同時に行うのを忘れるな。皆の腕を見せてくれ」

「はいっ!」

「了解です!」

 若い乗組員たちは、まるでヤマトに乗艦していた時の自分の姿を見るようだった。古代は、少しだけを笑みを浮かべた後、表情を引き締めた。

「ハルナ、発進!」

 古代のその号令に、航海長が復唱して答えた。

「ハルナ、発進します」

 古代隊は、ハルナ発進に呼応して、次々にエンジンを吹かしてその場を離れ始めた。

 

 時を同じくして、山南隊は、小ワープを敢行しようと速度を上げていた。

「俺たちは、小ワープで敵の後方に一気に移動する。後方に居る白色彗星周辺のガトランティス艦隊は手薄だ。ワープで出現した後、直ちに本艦の波動砲の発射態勢に移行。南部、頼むぞ」

 南部は、少し振り返って山南の方を向いた。その顔は、やる気にみなぎっていた。

「もちろんです、俺に任せて下さい!」

 山南は、にやりと笑うと、続けて言った。

「波動防壁展開用意、ワープ終了後に、直ちに展開しろ」

「了解です!」

「ワープ、十秒前!」

 山南は、土方の決めたプランBによる一種の奇襲攻撃作戦に、自信を持っていた。白色彗星さえ撃破すれば、ガルマン帝国艦隊は、有利に戦況を変えられる筈だと信じていた。

「だが、戦場では何が起こるか分からないってのが、悲しいねえ」

 山南は、独り言を呟いて、作戦成功を祈った。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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