宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲107 地球艦隊の壊滅Part1

 総統ボルゾンや、ガルマン帝国政府の閣僚が、ガイデル艦隊と共に亡くなったとの情報は、瞬く間にガルマン帝国艦隊にも駆け巡った。この戦闘のさなかに、確認は困難ではあったが、ほぼ間違いないと、艦隊の総司令官たるキーリング参謀長官の元にその連絡が届いていた。

 キーリングとグスタフは、顔を見合わせて、互いにまさかの報告に驚きを隠せなかった。

「聞いたか、グスタフ。何と言う事だろう」

「はい。このような結末になるとは、流石に予想出来ませんでした」

 しかし、しばらく間を置いたあと、キーリングは、冷酷に言い放った。

「これは、我々同胞を見捨てた彼らに定められた運命だったのかもしれない。寧ろ、戦後処理が簡単になって、私は、これで良かったのではないか、と思っている……。こんな私を、冷たい男だと思わないで欲しい」

「参謀長……。そのような事は、決してありません。私も、言ってみれば……同じ意見です」

 キーリングは、レーダーチャートを見つめ、戦況を確認した。

「これで、くだらない政治に振り回されずに、この戦いだけに集中する事が出来るというものだ」

 そこへ、部下からの状況報告が入った。

「敵味方双方、約五千隻が撃沈しています。戦況は変わらず、互角です!」

 グスタフは、渋い表情になった。

「戦況は変わりませんね。酷い消耗戦だ……」

 

 ガトランティス艦隊を率いるユーゼラー提督は、作戦指揮に慌ただしく動いていた。

「後方から接近中の地球艦隊に、ゴルバや戦艦クラスをあてろ! 絶対に白色彗星を落とされてはならん!」

 そんな彼の元に、部下からも、矢継ぎ早の報告が入る。

「もう一基の白色彗星は、ガルマン帝国本星の反対側に行かせていますが、守備艦隊がガミラス艦隊と交戦中です。一緒にいる地球艦隊に撃破される危険があります」

「最悪、その白色彗星は落とされても構わん。囮として、地球艦隊の分断に使えればよい!」

「ガルマン帝国本星から脱出しようとした艦隊約千隻は、待ち伏せさせていた別の白色彗星で殲滅しました! この艦隊には、ガルマン帝国の総統が乗っていたという情報があります!」

 ユーゼラーは、気を良くして言った。

「それはいい。敵の士気が落ちるかもしれん」

 しかし、その人物は、内部でも敵の多い独裁者との情報もある。過度な期待は禁物とユーゼラーは考えていた。

「続いて、地球艦隊の本陣を叩く! その白色彗星をワープさせ、奴らが逃げられないように敵のど真ん中に出現させろ。これを回避するのは不可能だ」

 ユーゼラーは、にやりと笑った。あらかたの指示は終わった。あとは、結果を待つだけだった。ある程度地球艦隊を殲滅しておけば、ガルマン帝国艦隊はもはや敵では無い。まだ後方に本隊を残すガトランティスの勝利はほぼ確実だと、彼は考えていた。

「気を緩めるな! 地球艦隊を骨抜きにし、我々の艦隊でガルマン帝国を落とすつもりで臨め!」

 

 アンドロメダは、波動砲の発射準備が完了するまで、あと僅かという所まで来ていた。

「敵、機動要塞からの砲撃が始まりました! 前衛の主力戦艦が防御しています! 本艦には、何の影響もありません! 敵戦艦多数による砲撃も始まりました!」

 山南は、前方に飛び交う砲撃の勢いが止まらず、激しさを増すのを肌で感じていた。

「前方の主力戦艦の波動防壁の状況は?」

 技術科の楠木は、すぐに返答した。

「既に、劣化が始まっています。このまま、砲撃を受け続ければ、あっという間に波動防壁が崩壊してしまうかもしれません!」

 続いて、レーダー手の橋本も青くなって報告して来た。

「敵艦載機、物凄い数です! 四方八方から攻撃が来ています!」

「前衛の主力戦艦に弾幕を張らせろ! 本艦は、今は手も足も出ない!」

 敵の攻撃が命中し、アンドロメダの艦体は、先程から衝撃や激しい揺れに襲われ始めていた。

「南部! 波動砲はどうなっている!?」

 南部は、冷静に状況を報告した。

「間もなく、波動エンジンのエネルギー充填が完了します。総員、直ちに対ショック、対閃光防御態勢でお願いします!」

「分かった」

 山南を始め、それぞれが、耐閃光ゴーグルを装着した。

「ターゲットスコープ、オープン。電影クロスゲージ明度二十。白色彗星、アンドロメダの軸線に乗せます」

 先程からの艦体の揺れで、南部は白色彗星を正面に捉えようと懸命になっていた。

「く、くそう、言う事を聞けよ、この野郎!」

 そうして、彼は波動砲の発射装置の微調整を続け、何とか軸線に乗せた。

「今だ! 最終セーフティ解除。カウントダウン開始!」

 それを受けて、砲雷長の滝川は、カウントダウンを始めた。

「波動砲、発射まであと三秒! 二、一……!」

「てー!」

 南部は、そこでようやく波動砲のトリガーを引いた。

 アンドロメダの二つの艦首波動砲口に閃光が走ると、強力なエネルギーの束が前方に撃ち出された。

 艦橋にいた乗組員の姿は、その閃光の真っ白な輝きで照らされている。

 発射された波動砲のエネルギーの束は、真っ直ぐに突き進み、前方で攻撃を続けている敵戦艦を何隻か一瞬で消滅させ、更に前に突き進んだ。そして、それはあっという間に白色彗星の中心を貫いた。

 その瞬間、白色彗星は、巨大な火の玉と化し、大爆発を起こして四散した。

 付近に居たガトランティス艦隊は、白色彗星の爆発に巻き込まれ、多数の艦隊が一緒に爆発する憂き目に遭っていた。

 ユーゼラーの座乗する大型空母も例外では無く、艦体は吹き飛ばされ、激しい揺れが艦内を襲っていた。

「状況報告急げ!」

 ユーゼラーは、床に倒れたまま、艦内の部下に命じた。

「艦尾付近に損傷を受けました! 火災も発生しています」

「隔壁を閉鎖して対応しろ!」

 立ち上がったユーゼラーは、自身の座席に着くと言った。

「白色彗星を破壊した後方の地球艦隊を逃すな! 取り囲め! 必ず全艦沈めるのだ!」

 

 一方、その時南部は、耐閃光ゴーグルを外すと、立ち上がって、白色彗星が崩壊して行く様子を見て喜んだ。

「艦長! やった! やりました!」

「お疲れ! 良くやったぞ、南部」

 山南は、喜びもそこそこに、急いで状況確認に移った。

「任務は達成した。ここを撤退するぞ! 直ちに周囲の状況を報告しろ!」

 レーダー手の橋本は、我に返ってレーダーを確認した。

「艦長! 敵艦隊に囲まれています! 脱出路を塞がれました!」

 山南は、渋い表情になった。

「分かった。佐藤、他の艦の状況を直ちに確認してくれ!」

「は、はい!」

 通信士の佐藤は、慌てて通信で状況を確認した。

「他の艦は、みんな、波動防壁が、間もなく崩壊すると言っています」

 山南は、それを聞いて思案した。

 

 まずいな……。

 これは、波動防壁があるからこその、強襲作戦だった。

 俺たちは、ここで波動砲をぶっ放して、すぐに退避する予定だった。しかし、敵艦隊の対応が思った以上に早かったのは、想定外だった……。

 

 そうしている間にも、取り囲んだ敵艦隊の砲撃で、艦内は揺れ続けた。

 山南は、これ以上考えている場合じゃないと、そこで決断することにした。

「みんな、よく聞け! まだ、本艦の波動防壁は十分に保つ筈だ。アンドロメダを先頭に、脱出路をこじ開けてここを離脱する! すぐに行くぞ、発進準備!」

 アンドロメダの乗組員たちは、慌ただしく準備を始めた。

 山南は、そうは言ったものの、逃げる途中で何隻か失う可能性が頭をよぎった。

 

 だが。

 これ以外にいい方法が今は無い……!

 

 山南が下したのは、考える余裕の無い中での苦渋の決断だった。

 

 その頃、古代隊を任された主力戦艦ヒエイは、ようやく波動砲の発射準備を終え、今まさに発射しようとしていた。

 バーガー率いるガミラス艦隊は、激しいガトランティス艦隊の攻撃で、被害が拡大していた。

「波動砲は、まだかよ!」 

 バーガーの苛つきは、既に限界に達していた。

 彼の乗る空母ランベアにも、敵の艦載機の攻撃が届き、舷側や艦底部などに被弾していた。

 揺れる艦内で床に転がった彼は、その床を叩いて叫んだ。

「ちくしょう! 早く撃ちやがれ!」

 通信士は、そこでやっとヒエイからの連絡を受けていた。

「地球艦隊より通達! 波動砲発射による、退避勧告です!」

 バーガーは、立ち上がって全艦に指示した。

「よし、波動砲発射に備えて、直ちに退避する! 反転百八十度、全艦この場から直ちに離脱しろ!」

 ガミラス艦隊は、波動砲の射線を確保しつつ、反転して急速に撤退を始めた。

 この動きに、ガトランティス艦隊は、追従せず、その場に留まっていた。その一瞬が、彼らの明暗を分けた。

 主力戦艦ヒエイの波動砲口が眩く輝くと、波動砲のエネルギーは、撤退するガミラス艦隊の間を抜けて、真っ直ぐに進んだ。そして、更にガトランティス艦隊の間を通り抜けると、そのまま白色彗星へと突き刺さった。

 真っ白い光を放った白色彗星は、その途端に爆発し、そこに留まっていたガトランティス艦隊を巻き込んで粉々に砕け散った。

 間一髪、バーガーたちの艦隊は、その被害を免れ、離れた場所に再集結をかけた。

 壊滅的な被害を受けたガトランティスの残存艦艇は、 大幅に数を減らした上、陣形もばらばらに、ガミラス艦隊と地球艦隊を追うべく動き出した。

「どうなってんだ!? 何であいつら撤退しない!?」

 バーガーの疑問に、科学士官か答えた。

「恐らく、あれも無人艦隊だったのではないでしょうか。遠隔操作で、動きを指示していたと思われますが、白色彗星の爆発の影響で、それが途絶えたと推測されます」

 バーガーは、再び腹を立て始めた。

「む、無人艦隊だぁ……? 俺たちを舐めやがって……。だったら、さっさと全部沈めろ!」

 

 一方、地球艦隊の旗艦である空母シナノでは、土方に立て続けに報告が入っていた。

「白色彗星二基を撃破しました。山南隊は、敵艦隊に囲まれて、現在脱出を試みている最中です」

「ガルマン帝国の本星防衛艦隊は、三つ目の白色彗星の待ち伏せを受け、壊滅したようです。その白色彗星は、こちらに真っ直ぐ進んできます。我々を狙っているものと推測されます」

 土方は、レーダーチャートをひと睨みして状況を確認した。そして、間髪入れずに指示をした。

「主力戦艦各艦に通達! 二連横列マルチ隊形で白色彗星を迎撃する。波動砲の発射準備を急がせろ!」 

「はっ!」

「はい!」

 土方のそばに立っていた百合亜は、土方が見つめるレーダーチャートを同じ様に凝視した。そして、一つの光点の動きに彼女は注目した。

「土方総司令……! これを見てください。古代さんが乗った主力戦艦ハルナが、古代隊を離れて一隻で白色彗星を追いかけています。これは、かなりの速度です」

 土方は、白色彗星の少し後方から移動する光点を見つめた。彼は、この動きに疑問を感じた。

 何故、自身の隊を離れてまで、追い掛けているのか?

 その時ちょうど、通信士が報告して来た。

「古代艦長より入電! 我々地球艦隊に対して、直ちにその場を離れるようにと警告がありました。白色彗星が、小ワープする可能性があるとのこと」

 土方は、目を見開いた。

「波動砲の発射準備を中止! 白色彗星がここにワープで出現する疑いがある。全艦、直ちにこの場を離れろ! 飛行中の航空隊全機も、他の艦を気にせず離脱しろ!」

 土方の旗艦艦隊として集結していた約五十余隻の艦艇は、徐々にその場を離れるべく移動を始めた。しかし、多数のガミラス艦隊にも囲まれており、集結していた艦隊を、急に移動させるのは困難だった。艦隊の中央に配置されていた空母シナノも、周囲の艦艇の移動に合わせて微速前進で移動するしかなかった。

 シナノの周囲を飛行していた山本も、コスモタイガーを駆り、自身の部隊を必死にその場から離れさせようとしていた。

「私について来い! みんな遅れるな!」

 シナノに所属していた約七十機程の航空隊は、遅い艦隊の動きを気にしながらも、艦の間を縫って、素早く移動した。

「土方さんのシナノが、遅れているぞ……!」

 誰かが通信機越しに呟いていた。山本は、歯を食いしばって言った。

「土方総司令の指示は、他の艦を気にするなというものだ。みんな、前を見ろ! 後ろを振り返るな!」

 地球艦隊よりも先に離脱を開始したガミラス艦隊でも、混乱は広がっていた。

 戦闘空母ミランガルは、既にかなり移動していた。ネレディアは、冷静に状況を確認して各艦に指示を発していた。

「地球艦隊の逃げ場を確保するんだ! 各艦、急げ!」

 ランハルトは、ネレディアの近くに立ち、腕を組んでレーダーチャートに映った艦隊の配置図を見つめていた。その見ている目の前で、白色彗星を示す光点が消えた。

「……! 白色彗星はジャンプしたぞ!」

 ネレディアは、急いで通信機で全艦に呼び掛けた。

「総員、来るぞ!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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