宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲111 白色大彗星来襲

 ガトランティス艦隊のユーゼラーは、白色彗星を撃破した地球艦隊を全艦撃沈出来なかった事を受けて、少し落胆していた。

「忌々しい奴らだ。敵の波動砲を搭載した艦艇は、あと何隻残っているか?」

「正確ではありませんが、恐らく十隻以下まで減らしたと思われます」

 ユーゼラーは、その報告を聞いて考えた。

「それでは、まだ本隊の白色大彗星をこちらに呼ぶのは早いか……。何としても、我々の艦隊で、ガルマン帝国艦隊を撃破し、地球艦隊の残存艦艇を沈めよう」

 ユーゼラーが新たな命令を出そうとした所に、本隊からの通信が入って来た。

「ゲーザリー参謀長官からの通信です。スクリーンに出します」

 ユーゼラーは、命令を出すのを止め、スクリーンを注視した。

「ユーゼラー」

 スクリーンに映ったゲーザリーは、無表情だった。

 ユーゼラーは、少し緊張した。これまでに、白色彗星四基すべてを撃破され、その事について責めを負うかもしれなかったからである。

「はい。なんでしょう? 参謀長官」

「白色彗星をすべて失ったというのは聞いている。これからどうするつもりだ?」

 やはりそう来たか、とユーゼラーは考えていた。どう説明したものかと思案していると、向こうから話があった。

「答えにくいか。白色彗星も、艦隊の損耗も我がガトランティスには、さほど問題では無い。侵略した惑星から採取した資源で、奴隷労働者を使ってまた建造すれば良いからな。しかし、我々は、人的な損耗が、今は一番避けねばならない。その為、君にもオートマタだけで運用する無人艦隊を多数与えて、それを避けてきた。現在の残存艦艇のうち、人が運用している艦隊は無事なのかね?」

「……はい。ほとんどの艦が無事です」

 ゲーザリーは頷いた。

「よろしい。では、これより白色大彗星をそちらに動かす。一気に決着をつけよう。君は、無人艦隊を前線に残し、白色大彗星に道を開けるのだ。君らは、我々の後ろに下がり、動かずに様子を見ていれば良い」

「はっ!」

 去り際に、ゲーザリーは捨て台詞を残して行った。

「そんな事では、ナスカ提督の復権の話、前向きに考えねばならんな」

 ユーゼラーは、映像の消えたスクリーンをそのまま眺めて屈辱に耐えていた。

 

 要塞都市帝国の司令制御室にいたゲーザリーは、ユーゼラー提督との通信を切断した後、大きな声で指示を出した。

「これより、この白色大彗星を、ガルマン星系に侵攻させる! 加速して、ワープでガルマン帝国本星の月軌道に一気に進む。発進準備!」

「白色大彗星、増速します」

「ワープ用意!」

 白色大彗星は、加速して速度を上げていった。そして、ガルマン星系外縁から星系内に突入して行った。

 ミルは、カミラと並んで司令制御室に設けられた座席に座っていた。カミラは楽しそうににこにこと笑っている。他の者に聞こえないように、ミルは小声で話した。

「母上、そんなに楽しいですか?」

 カミラは、満面の笑顔を向けて来た。

「ええ。遂に、ガルマン帝国は最期を迎えます。長年準備を進めてきたこの計画も、いよいよ節目。これが、楽しくない筈がないでしょう?」

 今のカミラは、多くの兵士がそうであるように、血に飢えた凶暴な一面を見せている。彼は、彼女が本気でそう考えていると確信した。時折見せる母の顔と、まるで二重人格のようだと思っていたが、最近は母としての優しさを見せる事も少なくなったと感じていた。

 ガルマン帝国艦隊は、既に一万隻強程度まで艦隊の数を減らしており、更に通常の白色彗星による攻撃で、地球艦隊も壊滅同然の状態になっている。恐らく、何千、何万もの命が、あの宙域で失われた事だろう。

 古代は果たして無事でいるだろうか?

 しかし、彼がいようがいまいが、これからやることは何ら変わらない。それよりも、その地球艦隊の残存艦艇が失われれば、ミルの策略も今回は終わりを告げる。もしもそうなった時は、どうするか?

 例え、このガトランティスの暴挙を止められないとしても、少なくともサーシャやスターシャを助け出すのを止めるつもりは無かった。この戦いが落ち着けば、そのチャンスは、すぐに訪れるだろう。しかし、ここから連れ出すのに成功したとしても、ガトランティスの追手から逃げきる事が出来ればの話だが。

 最下層に行ったゼール中佐と透子の二人は、上手くやっているだろうか? 今頃は、人質の解放の準備を行っている筈だった。

 もしも、地球艦隊が白色大彗星を止める事に成功したら、その混乱に乗じてミルも彼らと合流して、一緒に脱出する計画だった。

 その時、シーラは、二人の会話に割り込んで来た。後ろにぴったりとついた彼女には、どんな秘密の会話も出来はしないのだ。

「良かったですね、カミラ様。私も、今回の計画のお役に立てて、本当に良かったと思っています」

 カミラは、シーラにもご機嫌な様子で話を返した。

「天の川銀河で戦力を整えて、イスカンダル人を抹殺するという今回の作戦は、あなたの案が無ければ成り立たなかったわ。それに、息子も見つける事が出来たのは、あなたの案に乗ったからですものね」

 ミルは、シーラの様子を窺った。

 彼女は、普段は愛想笑いをする事はあっても、感情を顕にするところを見たことが無い。しかし、今回は、明らかに楽しそうにしている。

「君は、そんな風に楽しそうにすることもあるのだな」

 シーラは、ミルにそう言われて途端に無表情に戻った。

「私は、とうの昔に感情を失いました。そんな風に見えましたか?」

「見えたよ。君も、この計画を楽しんでいた。君の故郷だって、ボラー連邦や、ガルマン帝国と同じ様に、我々に滅ぼされたのだろう? 前にも聞いた事があったと思うが、楽しそうにしているので不思議に思ったのだ」

 これには、カミラも黙り込んでしまった。まるで、興味が無いかの様に、前を向いて話を聞いていなかった。

「……何を気にされているのですか? 私が、あなた方を裏切ろうとしているとでもお思いですか?」

 ミルは、彼女の感情の無い顔をまじまじと眺めた。

「そんな事は言っていないだろう。ならば尋ねるが……。君たちは、我々ガトランティスよりも、高度な科学技術や戦略立案能力を持っているようだ。それを使えば、この国を支配出来るとは思わなかったのかね?」

 シーラは、少し沈黙して、ミルから目線を反らした。

「サーダと私は、昔、科学技術だけでなく戦略立案も、得意分野でした。それを活かせる場を提供してもらったので、それにお応えしているだけです」

 ミルは、明らかに、彼女が何か誤魔化そうとしていると感じた。

 彼女たちが、この国を遠い昔から支配していたという、まるで陰謀論のような信じ難い話。これを追求することで真実を突き止め、母の変化の謎や、ガトランティス人が何故、長い年月定住せずに宇宙をさすらっているのかといった、自身が抱いた不可思議なこの国の謎を確かめてみたいのはやまやまだった。

 しかし、これ以上彼女を揺さぶっても、真実を確かめるには、何か証拠が必要だった。生半可な証拠では、誰もこんな陰謀論を信じる事は無いだろう。

 それに、あまり騒げは、この後ミルが起こそうとしている策略を邪魔されないとも限らない。

「そうか。すまなかったな……」

 結局、ミルは、それ以上の追及を止めた。

 シーラは、ミルから少し離れると、彼を凝視した。

 

 彼は、真実に気付いている……?

 

 シーラは、サーダへこの事を伝える必要があると考えた。ミルは、イスカンダル人を助けようとする裏切り者である事を把握していたが、この事は、彼女とサーダしかまだ知らない。

 

 サーダは、彼の事を放っておけと言うが、本当にそれでいいのだろうか……?

 

 その時、カミラは立ち上がってゲーザリーのそばへと行った。そして、大きな声で宣言した。

「間もなく、この白色大彗星はワープして、敵陣に攻め込む。総員、戦闘配置!」

 ミルは、いよいよその時が来たと身構えた。

 その数十秒後、白色大彗星は、ワープして消えた。

 

 一方、その少し前、ガルマン帝国のキーリング参謀長官は、ガトランティス艦隊の一部が撤退して行くとの報告を受けて困惑していた。

 グスタフ中将は、キーリングに詳しく報告していた。

「約三千隻のガトランティス艦隊が、後方に下がりました。このお陰で、敵の艦隊は約一万二千弱、我々は約一万と数百隻。大幅な戦力差が改善しています」

 キーリングは、それまで後方に下がっていたガミラス艦隊が、前線に戦力を投入して来るのを確認していたので、ほぼ互角と言っても良い状態だった。

「もしかしたら、奴らの無人艦隊が残ったのでは無いか? 後退したのは、有人艦隊だった……とかな」

「なるほど。考えられますね。だとすれば、今後の戦闘が優位になる可能性もあります」

「しかし、それよりも、何故この三千隻が後退したか、だ。白色大彗星の本隊が来る前兆かも知れん。全艦に警戒を呼び掛けてくれ。と言っても、あまりやりようもないがね」

「地球艦隊は、残存艦艇六隻で、ガルマン帝国本星の衛星軌道上まで下がっています。土方総司令と交代した山南総司令からは、艦隊戦には参加せず、白色大彗星のみを相手にするとの報告を受けています」

「問題無い。寧ろ、あれだけの被害があったのに、ここに留まってくれた事に感謝しかないだろう」

 グスタフは、その言葉を聞いて、ここまで行ってきた戦いでの地球艦隊の活躍について、自身の思いを語った。

「この戦いに勝って、ここにいる味方が生き残ったとしたら……。地球連邦、それにガミラスも。彼らと我々は、友人になれるのではないでしょうか? これまで、我が帝国は、相手を併合するか、または占領する事しか考えて来ませんでした。しかし、彼らとは、初めて、対等な関係の友好国になれる気がします」

 キーリングは、頷いた。

「ボルゾン総統が生きている時には、そのような事は言えなかったがね。私も、それには大いに同意する。生き残って、そんな未来を築いて行こう。その為にも、勝たなければな」

「はい。そうですね……勝ちましょう!」

 

 地球艦隊は、穴だらけでぼろぼろになったアンドロメダを応急処置で修復し、それを旗艦とした艦隊を新たに編成していた。アンドロメダと、主力戦艦ヒエイを含む五隻の、六隻の小隊だ。

 アンドロメダは、艦首付近の波動砲の発射機構が破損しており、波動砲の発射には、既に耐えられる状態では無かった。一番主砲塔も破壊されており、ミサイル発射管や、パルスレーザー砲台の一部も破損していた。

 乗組員の死傷者は、既に撤退させた艦に収容し、補充も受けていた。

 そこには、八隻のガミラス駆逐艦と、空母ミランガルが付き添うように待機していた。その他のガミラス艦隊は、バーガーを筆頭にして、前線に戦力を投入し、艦隊戦に参加していた。

 

 その一方、古代は主力戦艦ハルナに乗り、既にガルマン星系を離れようとしていた。それぞれ、まだ航行可能な艦艇は、大破したシナノのような艦艇を牽引し、ゆっくりと移動している。

 元シナノの航空隊は、空母シナノが機体を艦載機格納庫に収容出来なくなった為、その甲板に多数の機体を固定し、更にガミラスのガイペロン級空母一隻が付き添い、そこにも機体を収容していた。山本も、そのガミラス空母の艦載機格納庫に居た。

 多数の死傷者が出ていた為、それぞれの艦内は、死傷者を寝かせる為に、食堂や、会議室に簡易ベッドを並べて、そこで治療などを行っている有様だった。確かに、山南の判断は正しく、無傷の艦艇にも、そのような光景が広がっており、これらを残留させ、戦闘に参加させていれば、収容する場所が無かったに違いない。

 その時、古代はハルナの医務室で、土方に付き添っていた。土方は、今は眠っており、身体のあちこちに包帯が巻かれていた。

 シナノで、死に場所を探そうとする土方を、わざと怒らせたりなだめたりしながら、古代はここまで連れてきた。ガミラスとの戦いでも、多くの指揮官が、同じ様な苦悩を背負い、それでも戦って来た筈だ。その事に思いを馳せると、古代の胸は熱くなるばかりだった。

 あの沖田も、ヤマトで共に旅するまでに、大勢の兵士を戦場で死なせて来ており、きっと今の土方の様に苦しんでいたであろう事は想像に難くない。しかし、その沖田はここに既に無く、土方からそれを学ぶ事になる。

 古代は、沖田と同様に土方を尊敬していた。雪の父親代わりとしても、ここ数年深い付き合いをして来た。だからこそ、土方が任務を離れれば、ただの頑固親父と化す事も知っていた。そんな彼を、雪は娘として、そして良き理解者として、とても良い関係を保っていた。

 土方が、以前のように元気を取り戻す事で、雪も安心するだろう。その為にも、早く怪我を治してもらう必要があった。

 古代が、そんな事をぼんやりと考えていると、そこに百合亜が近付いて来た。

「古代さん」

 古代は、顔を上げて彼女の方を見た。

「岬さん。大丈夫なのかい?」

 彼女は、やはり身体のあちこちに包帯を巻いていたが、にっこりと笑った。

「他の人に比べれば。だから、ベッドを空けろって言われちゃいました」

 古代は、つられて微笑んだ。

「土方さん、どうですか?」

「大丈夫。頭部の打撲や裂傷も、大した事が無いのが分かったので、大きな怪我は、この腕の骨折だけみたいだ」

「良かった……」

 古代の横の椅子に、彼女はちょこんと座った。

「古代さん」

「何?」

 百合亜は、うつむいて話しづらそうにしていた。

「何か、話したい事があるんだね?」

 百合亜は、こくりと頷いた。

「良かったら、話してみて。僕で良かったら、力になれるかも知れない」

 百合亜は、顔をうつむけたまま、少しづつ話し出した。

「私、シナノにいる時、生きている人を探さなきゃ、助けなきゃって、一生懸命だったみたいなんです。でも、ここで治療を受けて、しばらくベッドに寝てたんですけど、やっと気持ちが落ち着いて来て、いろんな事を考えました。本当は、自分もシナノで死んじゃってたかも知れない、とか、一緒にお仕事してた、あの人も死んじゃったんだ、とか……。そんな事を考えていたら、とてもショックで、さっきまで、頭が変になりそうでした……」

 古代は、黙ったまま彼女の顔を見つめて、言いたい事を吐き出すのを待った。

「そうしたら……星名くんの事を思い出して……」

 古代は、はっとした。彼女が、星名と交際している事をそこで思い出した。様々な事が立て続けに起こり、忙殺されている間に、彼女がそのような不安を感じながら任務に着いていた事が、すっぽりと頭から抜け落ちてしまっていた。 

 百合亜は、そこで顔を上げて古代に訴えた。

「私……。考えたんですけど! ……やっぱりあそこに戻りたいんです!」

 古代は、目を丸くした。

「き、君は……」

 百合亜は、大きな声を出した事を後悔したのか、立ち上がって、周りにいる患者に頭を下げて回った。

「ご、ごめんなさい……」

 彼女は、恥ずかしそうにしながら、もう一度椅子に座り直した。

「大丈夫。慌てないで話してみて」

 百合亜は、古代の優しさに感謝して、小さく頷いた。

「私……。そうしたら、今、ここに彼が居てくれたらって考えてしまったんです。でも、そうじゃなくて、私が彼を助けに来たのにって、思い出したんです。だから、こんなところでめそめそしてないで、もう一度、あそこに戻らなきゃって……。私、いつもいつも、彼の優しさに甘えてばかりで、わがままを言って困らせたり、そんな自分が恥ずかしくなりました。私、何やってるんだろうって……。今度こそ、私が彼の為に何かしなきゃって思ってたのに……。そう考えたら、もう一度頑張ろうって。そうしたら、居ても立っても居られなくなってしまって……」

 彼女は、酷く混乱してはいたが、彼にも考えている事は理解出来る。確かに古代も、本当に、あそこを離れるべきなのかと、同じ様に疑問に思っていた。

「大丈夫、落ち着いて。話は僕にも分かったから」

 百合亜は、そこまで話すと、今にも泣き出しそうになっていた。

「君は、星名くんを助けたいんだね。その気持ち、良くわかるよ」

 古代は、またうつむいている彼女に、出来るだけ優しい言葉を探そうと考えた。

「僕も、同じような気持ちなんだ。あそこに戻るべきなんじゃないかって、さっきから思っている」

「古代さんも……?」

 古代は、微笑んだ。

「ここでは、戦える艦艇は、もう限られている。山南さんの言う様に、地球で戦力を整えるのにひと役買った方が、将来の事を考えたら良いと言うのも頭では理解しているんだ。でも、島や北野たちが居なくなってしまって、そんな犠牲を払ったにもかかわらず、まだ何も出来ていない事に気が付いたんだ。大切な人を守り、助ける為に何か出来ないか……。その為に、ここに来たのにって……。僕もそう思ってる」

 百合亜は、ほんの少しだけ笑顔を取り戻した。

「同じかもしれませんね。何だか、少し安心しました」

 古代は、ため息をついた。

「しかし……。あそこに今戻っても、邪魔になるだけだ。もう、僕らが戦える船も無いし……」

「そうなんですけど……何か。私たちに出来ることは、もう何も無いんでしょうか?」

 その時、古代は、いつの間にか土方が目を開けてこちらを見ている事に気付いた。

「土方さん……!」

「土方さん! 大丈夫ですか!?」

 土方は、黙って天井を見つめた。

「……そうか。俺は、助けられたんだな?」

 古代は、わざと大袈裟にぼやいてみせた。

「そうですよ、大変だったんですから!」

「良かった……」

 土方は、二人の話を聞いて、記憶を辿っていた。

「……そうだったな。シナノはもう……」

 古代は、土方に気を使って話し出した。

「土方さんは、そんな事を気にする必要はありません。なんと言っても、今は病人なんですから。早く、怪我を治すのに専念してもらわないと!」

 土方は、暗い表情で黙った。古代と百合亜は、そんな土方が心配になったが、これ以上、何を言って慰めればいいか、言葉が思い付かなかった。

 しかし、土方は、意外な事を口にした。

「……船ならある」

 古代と百合亜は、互いに顔を見合わせた。

「……はい?」

 土方は、痛そうにしながら、身体を起こした。

「お、起きちゃ駄目ですよ!」

 百合亜は、土方を心配して身体を支えようとした。その手を優しく払った土方は、ゆっくりと身体を起こした。そして、背中を丸めて、息を切らした。

「骨折しただけだと聞いている。俺の心配はいらない」

 土方は、呆気にとられた二人の顔を、交互に眺めた。

「……戦える船は、ある、と言ったんだ」

 古代は、土方がどうかしてしまったのではないかと疑っていた。

「イセとヤマトは健在だ。白色彗星に襲われる少し前、シナノで、島からの通信を傍受していた。通信士から聞いていたが、これを最後の手段とする為、俺の胸に留めて誰にも話さなかった」

 古代は、口を大きく開いたまま、唖然としていた。

「ほっ、本当……なんですか?」

 土方は、ぎろりと古代を睨みつけた。

「お前は、俺が気が触れたとでも思っているようだな」

 古代は、慌てふためいた。

「とっ、とんでも無い!」

「この船の通信士に、直ちに通信の傍受に務めるように言って、発信源を調査しろ」

 古代と百合亜は、もう一度顔を見合わせると、敬礼した。

「はっ! 直ちに、通信の傍受を実行します!」

 土方は、痛そうに顔を歪めていたが、力強く言った。

「船は必ずある。……それも、戦艦がな」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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