宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲112 復活のヤマトPart1

 主力戦艦ハルナ率いる古代の撤退する部隊は、ガルマン星系の外縁で停船し、土方から聞いた通信を傍受しようとしていた。

「見つけました! 内容は、短い圧縮された暗号文です。十分おきに発信されているようです」

 古代と百合亜は、ハルナの艦橋で、通信士の席に集まっていた。艦長の葉山も、同じく集まって状況を聞いている。

「解析出来たのか?」

「はい。少し手間取りましたが、国連宇宙軍時代の日本艦隊の暗号電文でした。内容を読み上げます。『イセ、及びヤマトは健在なり。しかし、ヤマトに多数の負傷者あり。その為乗組員が不在であるが、戦況により戦力が必要な場合、連絡を待つ』……以上です」

 古代は、多数の負傷者ありのくだりで不安を覚えたが、確かめてみるしかなかった。

「発信源は分かるか?」

「はい。ガルマン星系の第七惑星付近から発信されています。ここから、そう遠くない位置です」

 古代と百合亜は、顔を見合わせた。

「土方さんの言うとおりだった」

「はい。ヤマトとイセがそこに無事でいるんですね……でも、乗組員は大丈夫なんでしょうか?」

「分からない。確かめて見なければ」

 古代は、葉山の方を向いて話し掛けようとした。しかし、話を察した葉山の方が先に言った。

「古代さん。では、そこに寄り道と行きましょう。我々は、怪我人を運ぶという任務を与えられていますから」

 古代と百合亜は、途端に笑顔になった。

「すまない、葉山艦長。では、早速行ってみよう」

 葉山は、頷くと艦内の乗組員に指示した。

「艦隊を一時このガルマン星系外縁のカイパーベルト天体に隠そう。そして、このハルナは、ガルマン星系第七惑星に急行する。直ちに発進用意!」

 

 それからしばらくして、ハルナは、ガルマン星系第七惑星に到着していた。

「敵影はありません。我々は、ガトランティス艦隊に気付かれていないと思われます」

「念の為、発見されにくい様に、惑星の影に入って待機しよう」

 葉山は、てきぱきと指示をしていた。その様子に、古代も安心して任せていた。

 その時、艦橋へと入って来た人物が居た。現れたのは、土方と、それに付き添う百合亜だった。土方は、右腕を固定し、包帯で肩から腕を吊っていた。そして、その後ろには、山本がぽつんと立っている。ハルナがヤマトとイセを探しに行くと聞いて、航空隊のメンバーを心配して、同行を志願して来たのだ。

 葉山ら、艦橋の乗組員は、皆一斉に起立し、土方に敬礼した。土方も、無事な方の左腕を上げ、敬礼を返した。

「土方さん。無理をなさらない方が……」

 古代の言葉に、土方は睨みつけた。

「しつこいぞ、古代。腕を折っただけだ。俺はまだ動ける」

 古代は、百合亜が困った顔をしているのを見て、苦笑いをした。

「発信源は、掴めたのか?」

 古代は、スクリーンに映った第七惑星の星図を指し示した。

「あそこです。ちょうど、本艦の、右舷前方になります」

 土方は、肉眼で艦橋の窓の外を眺めた。

「何も無いか……」

「向こうは、それでも定期的に通信を発信し続けています。これから、こちらからも、同じタイミングで通信を送ってみる予定です」

 通信士は、古代に言った。

「間もなく、そのタイミングになります。これから、発信します!」

「頼む」

 土方と古代、そして百合亜は、通信士のところに集まった。

「今、送信しました。指向性通信ですので、ガトランティスに気付かれる事は無いと思います」

 そのまましばらく待つと、技術士官が報告をして来た。

「問題の座標に、空間の歪みが発生しています! 何かが、現れてきます!」

 古代たちは、艦橋の窓の外に注目した。そこには、比較的小さな艦が、まるで艦艇を真っ二つに切り取った様に姿を現している。

 古代は、ひと目でそれが何なのか理解した。

「あれは……! ガミラスの次元潜航艦……!」

 通信士は、古代たちに報告した。

「先方から通信が入っています! スクリーンに出します」

 古代たちは、頭上のスクリーンを見上げた。

 そこには、フラーケンと、副長のハイニの姿が、映っていた。

「フラーケンさん……!」

 フラーケンは、古代の姿を一瞥すると不敵な笑みを浮かべた。

「お前も来たのか。なら、これでヤマトを使えるな」

「そうか……! 君たちが亜空間にヤマトとイセを隠していたのか!」

 ハイニは、フラーケンが答えずに黙っているので、慌てて補足した。

「お、おう。あのな、これからよ。牽引ビームで引っ張って、一緒に亜空間に潜航してもらうからよ。準備、してくれっか?」

 古代は、頭の中で、亜空間の注意点を思い出していた。そして、葉山の方を向いて説明した。

「大人しく、彼らの言う事を聞こう。亜空間では、波動エンジンが役に立たない。波動エンジンを停止し、補助エンジンの出力を上げておいくれ」

「分かりました。全艦、これより亜空間へと進入する。波動エンジン停止! 続いて補助エンジン、出力上げー!」

 

 亜空間に、次元潜航艦と共に沈降したハルナは、牽引ビームを解かれると、接触しないように艦の間を離した。

 そこで、最初に目に入ったのは、巨大な艦体を誇示しているデウスーラ三世の姿だった。

 そして、そのすぐ近くに、イセと、ヤマトの姿があった。しかし、そのヤマトは、何故か二隻そこに居た。

「ヤマトとイセは、本当に無事だったのか!」

 土方や山本も、窓の外を見て、ほっと胸をなでおろしていた。しかし、喜ぶ古代の横で、百合亜は、頭をひねっていた。

「で、でも。なんでヤマトが二隻居るんでしょうか?」

 古代は、確かに不思議だと思って、戦術長の座席に向かい、双眼鏡を借りた。双眼鏡で二隻のヤマトを確認すると、もう一隻は、主砲塔などが無い。古代は、すぐにもう一隻が、ムサシである事に気付いた。双眼鏡を顔から離すと古代は、慌て始めていた。

「な、なんでムサシがこんなところに……! ま、まさか雪も……?」

 古代は、雪がこの戦場に来てしまったのでは無いかと、蒼白になった。土方は、冷静に彼に言った。

「慌てるな、古代。直ちに連絡をとってみろ」

「そ、そうですね。分かりました!」

 

 その時、真田は、船外活動中で、ヤマトの艦底部に潜り、イセの乗組員と共に艦体の修復作業を手伝っていた。

「ほう。主力戦艦がここに来るとは。誰の船だろうか?」

 真田は、その艦の艦首が大破してもぎ取られているのに気付いた。

「なるほど。いよいよ、ヤマトが必要になった……という事か」

 そう呟くと、真田は、再び作業に戻った。

 

 しばらくして、イセと連絡のついた古代と百合亜、そして土方は、山本の操縦で、コスモシーガルを飛ばして、イセに乗り込んでいた。

 艦載機格納庫の入り口で、古代たちは、島の出迎えにあった。

「島! 無事だったのか!」

「古代! お前も、無事だったんだな」

 二人は、抱き合って、互いの背を叩きあった。

「百合亜ちゃんに、玲ちゃんも、みんな元気そうで良かったよ」

「島さんも、ご無事で、本当に安心しました」

 山本は、島に加藤や篠原の事を聞こうとしたが、彼が土方に挨拶を始めた為、言い出せなかった。

「土方総司令! ご無事で何よりです!」

 土方も敬礼を返した。

「お前もな。俺は、見ての通りこの有様だ。察してくれ」

「は、はい。艦隊の通信は傍受していましたので、現在の戦況はこちらも把握しております。私たちも、戦闘に参加出来ず、大変申し訳ありませんでした」

「……それから、俺はもう総司令ではない。その役目は、山南に引き継いだ」

 暗い表情の土方に、島は困惑した。

「は、はあ」

 百合亜は、土方に気付かれぬように、こっそり島に耳打ちし、土方の様子を説明した。

 島は、改めて古代たちを艦内に案内した。

「ヤマトの乗組員の状況は、こちらに入って頂ければわかります。艦載機格納庫に向かいましょう」

 古代たちは、艦載機格納庫に入ると、そこが野戦病院と化している事を知った。

 古代は、思わず大きな声を上げてしまっていた。

「み、みんな……!」

 百合亜は、簡易ベッドに並べられた多数の乗組員が、そこで寝かされているのを確認すると、足がすくんでしまっていた。

「そ、そんな……!」

 土方は、黙ってその有り様を見つめていた。島は、四人に、詳しい状況を説明した。

「ヤマトは、白色彗星を撃破する際に、第三艦橋をもぎ取られてしまいました。艦内に慣性制御が効かない状態で、白色彗星の爆発に巻き込まれてしまって、このようになってしまいました。不幸中の幸いといいますか、死者は数名で済みました。なお、北野以下、士官たちは無事です」

 古代と百合亜は、寝かされている人々の間を通って、見知った顔に声を掛けて行った。土方はと言うと、彼に気付いた人々は、怪我人であっても、無理して敬礼をしていたので、彼は、軍帽を深く被り、黙って敬礼を返しながら進んで言った。

 山本は、惨憺たる様相を目にし、篠原たちが何処にいるかを探していた。

 そうして歩いて行くと、艦橋の乗組員の看病をしていた桐生美影の姿があった。

「古代さん!」

「桐生さん!」

 古代は、彼女の無事を確かめて、安堵していた。

「私は、イセの方に乗っていましたから、ぴんぴんしています」

 古代は、ほっとして足元に並ぶ士官たちを眺めた。どうやら、彼女は、新米の看病をしていたようだったが、本人は今は眠っているらしい。

 そこには、また古代が驚く人物が居た。

「徳川さん!」

「やあ、古代か。無事だったようじゃな」

 徳川のそばには、彼の息子である太助が寝かされていた。頭や、足に包帯が巻かれている。意識はあるようで、力無く古代に挨拶をして来た。

「古代さん……。すいません、こんな事になってしまって」

「気にするな。無事で良かったよ」

「全く、情けない。何をやっとるのかと、説教をしていたところじゃ」

 太助は、苦笑いをしている。古代と百合亜は、そんな二人の姿を見て、笑顔になった。

 その時、徳川は、古代たちの後ろに、暗い表情で土方が立っているのを見つけた。

「土方さんじゃないか! おお、あんたも無事だったか!」

 徳川は、笑顔で立ち上がり、土方のそばに寄った。しかし、土方は、ばつの悪そうな顔をしていた。

「……久しぶりだ。徳川さん」

「なんじゃ、景気の悪そうな顔をして! そうだ! 景気付けに、わしと酒でも飲もうじゃないか」

「さ、酒? い、いや……」

「いいから、いいから」

 徳川は、土方を無理矢理連れて、何処かへ去って行った。

 古代は、島に尋ねた。

「この船に、酒なんてあるのか?」

 島は、苦笑いしている。

「いや。オムシスの合成酒ならあるけど、本物は無いよ。そういえば、徳川さん、ムサシから持ち込んでたような……」

 古代は、くすりと笑った。確かに、年配の徳川に、今の土方は任せた方が良さそうだ。

 古代は、続いて太田の様子を見た。太田は、いびきをかいて寝ている。

「神経図太いんだよな、こいつ」

 島は、ぼやいているが、やはり無事を喜んでいるようだった。

 そして、古代は次に北野の姿を確認した。

 北野は、西条未来が付き添っていた。

「北野!」

「古代さん……!」

 古代が声をかけると、北野は、無理矢理身体を起こそうとした。

「そのままでいいよ。お前も無事だったんだな。本当に良かったよ」

 北野は、申し訳無さそうにしていた。

「す、すみません。こうなったのは、私のせいです。本当に申し訳ありません」

「何を言ってるんだ。君は、最善を尽くした。何も気にする必要はない」

「し、しかし、残念ながら、亡くなった乗組員も出てしまいました」

 古代は、彼の肩を叩いた。

「その気持ち、大切にな。そうでなきゃ、誰もお前についてこないさ」

「そうだよ。もう、気持ちを切り替えて。怪我が治ったら、今度は、地球の防衛で働かなきゃいけないんだから。私も、一緒に頑張るから」

「西条さん……」

 二人の仲睦まじい様子を見て古代は微笑んだ。彼女がついていれば、きっと北野は大丈夫だと、古代は判断した。

 百合亜はというと、西条のそばに走り寄ると、互いに無事を確かめ合っていた。

 古代は、立ち上がって、島と話をした。

「話があるんだ。僕が、ここまで来たのには、理由がある」

 島は、にやりと笑った。

「ヤマトに乗りたいんだろ?」

「な、なんで? まだ、何も言ってないのに?」

「お前って、本当に年取っても変わらないな。分かるよ。顔に書いてある」

 古代は、自分の顔を触って確かめていた。島は、そんな古代に、思わず吹き出していた。古代は、心外だと言う様に、顔が怒っている。

「ごめん、ごめん」

 島は、真面目な顔になって古代に言った。

「ヤマトは、乗組員がこんな感じだからな。それに、イセもこの有様で病院船状態だ。俺と、お前、それに真田さんも来てくれた。徳川さんもいるし、相原も来てくれた。あとは、百合亜ちゃんもいるから……」

 古代は、話を聞いて気が付いた。

「ヤマトを再認証して動かす事が出来る……」

「そういう事」

 古代は、いろいろ考えて見ると、本当に良いのか不安になった。

「真田さんや、徳川さんは、今は軍人じゃない。予備役としてヤマトの認証者として登録されたままだと思うけど……。本当に、みんなやってくれるのか?」

「やってくれるってさ。俺も、ちょっと驚いた」

「そうか……」

 そんな彼らのもとに、加藤と篠原もやって来た。それに最初に気付いたのは、山本だった。

「加藤さん、それに篠原も!」

 山本は、いち早く彼らの元に駆け付けると、互いの無事を喜びあった。

「お嬢か。無事だったんだな」

「隊長も。心配してたんですよ」

「玲ちゃん、元気してた?」

「篠原、こんな時でも変わんないなぁ。他の皆は大丈夫なの?」

「ああ、皆無事だから、安心してもいいよ」

「良かった……!」

 古代も遅れてその輪に合流した。

「加藤、篠原!」

 加藤は、上着のジャケットのポケットに手を突っ込んだまま、軽口を叩いた。

「よう、古代副司令殿」

「か、勘弁してくれないか」

「ま、本当にそうなんだから、照れる事無いんじゃない?」

 古代は、加藤に篠原に山本の姿を感慨深く眺めた。彼らは、以前と何ら変わらず、ヤマトで過ごした日々が帰ってきたかのように感じられた。

「ヤマトを動かす気なら、俺たちも一緒に行ってやるよ」

「ほ、本当に? そうしてくれたら、本当に心強いよ」

 四人は、その後も話し合って、本当に久しぶりに楽しそうに笑いあっていた。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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