宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲114 徹底抗戦

 ガトランティス艦隊と、ガルマン帝国、ガミラス連合軍による艦隊戦は続いていた。双方の陽電子砲の光跡やミサイルが飛び交い、航空戦力が互いの艦隊を攻め、激しさは頂点を極めていた。

 バーガーは、ガミラス軍として前線に出て、嬉々として指揮を執っていた。

「第二攻撃部隊は、もっと弾幕を厚くしろ! おい、攻撃機隊はどうした! 全然、活躍している様に見えねえぞ!」

 バーガーの乗る空母ランベアの周囲にも、ちらほらと敵艦載機のデスバテーターがやって来ては、対空砲火の餌食となっていた。

「バーガー副司令。戦闘は我軍とガルマン帝国軍が優勢となっています」

 バーガーは、艦橋の中央で、さもばかばかしいと言う顔で怒鳴った。

「敵さんは、無人艦隊ばかりだろうが。んなもん、あたりめえだろ! 後退した敵の艦隊が、倒さなきゃならねえ本当の相手だ。こんなのにいつまでも手間取ってんじゃねえ!」

「は、はい!」

 バーガーは、ため息をついて艦橋の窓の外の宇宙を見つめた。光跡が飛び交い、艦艇が爆発したと思われる光が時折輝いている。

「それにしても、怪しい雰囲気だぜ。白色大彗星が現れるんじゃあ、って話をさっき聞いたが……」

 先程から、彼はこれ以上、前線に留まるべきか否かを迷っていた。有利に戦闘が行われている今、後退すれば、敵が勢いを吹き返す可能性もあった。しかし、数時間前に、地球艦隊が白色彗星のワープによる攻撃で壊滅同然となった事を鑑みれば、いつ、何が起こるか分からない。

「だが……あれは、恐らく無人の白色彗星だった。だからこそ、あんな無茶が出来たんだろうな。今度の白色大彗星は、人が乗ってる筈だ。あんな自爆攻撃みたいな真似はして来ない筈……」

 そんな事を考えていた矢先、レーダー手は、敵の動きを報告してきた。

「バーガー副司令! 敵艦隊が、こちらに一斉に突撃してきます! 艦隊戦中の敵の全艦が、向かって来ます!」

 バーガーは、いらいらとして、再び怒号を上げた。

「ふざけやがって……! あんなのまともに相手に出来るかよ! おい、全艦後退させろ。正面から受け止めたら、こっちの方が数が少なくてやべえぞ!」

 

 時を同じくして、ガルマン帝国艦隊でも、その動きを確認していた。

 前線の指揮を執っていた西部方面軍のヒステンバーガー少将もその報告を受けていた。

「敵艦隊、全艦でこちらに突っ込んで来ます!」

 ヒステンバーガーは、この動きをどう捉えたら良いか躊躇した。

「グスタフ総司令に通信! 急げ!」

 通信士は、急ぎ通信を繋ぎ、スクリーンに、グスタフ中将の姿が映った。

「グスタフ総司令。敵の様子がおかしい。どう思う?」

 グスタフもその事を確認中だった。

「全艦でこちらに突撃をかけているようだな……」

「いくらなんでも、変だ。嫌な予感がしないか?」

 グスタフは、頭に浮かんだ事をそのまま口に出した。

「もしや、白色大彗星が来るのではないか……? その為に、出現座標を空けようとしているのかも知れないな」

「そう、かも知れん。艦隊を後退させるか?」

 グスタフは同意して頷いた。

「そうしよう。だが、大幅に下げる事は出来んが。全艦隊に発令する」

「頼む」

 ガルマン帝国艦隊とガミラス艦隊は、後退し始めた。しかし、ガトランティスの艦隊は、それに追い付こうと更に加速した。

 その時、突撃しているガトランティス艦隊の背後に、物体がワープアウトしようとしていた。

「空間の歪みを検知しました! 前方に、ジャンプで現れる大きな物体があります!」

 前線の艦隊の指揮を執っていたウォーゲン准将も、艦隊を後退させ始めた最中に、その報告を聞いた。

「とうとう来てしまったか……! 全艦、後退急げ!」

 その背後に、ガトランティス艦隊が迫る中、ガルマン帝国艦隊とガミラス艦隊は、後退を続けた。

 白色大彗星は、遂にその姿を現すと、ゆっくりと前進した。

 そして、それ以上後退出来なくなったガルマン帝国艦隊が停船すると、同じ様にガトランティス艦隊も停船した。彗星と惑星ガルマン本星との間で、双方の艦隊は、睨み合う形となった。

 

 山南は、遂にその時が来たことを確認した。

「俺たちの出番だ。主力戦艦は、直ちに波動砲の発射用意! それから、想定外の攻撃を警戒し、波動防壁の展開用意!」

 惑星ガルマン本星上空に待機していた山南率いる最後の地球艦隊は、艦首を白色大彗星に向けて前進した。惑星軌道上から離れると、そのまま更に前に進んだ。

「楠木! 古代から報告のあった、白色大彗星の真上と真下の弱点を探せ!」

「はい。もう始めています」

「頼むぞ」

 技術科の楠木は、自席のモニターで、艦外カメラが捉えた映像を確認していた。月軌道上に現れた白色大彗星は、ゆっくりと動いて迫って来る。

「駄目です。やはり、動いていると、報告のあった循環路というのは見当たりません」

 山南は、眉間にしわを寄せた。

 古代からの報告は、真田も確認していて、静止している時にしか見つけにくいという。あの白色大彗星は静止するのだろうか?

「なら、強引に止めるしかない……か。どうする?」

 山南は、楠木の顔を見ながらその方法を思案した。

 しかし、その時、ガトランティスから、集まった全艦隊に向け、通信が入っていた。

「山南艦長! スクリーンに出します!」

 

 その頃、白色大彗星の司令制御室では、カミラが、ミルへと促していた。

「大帝。敵に降伏を迫ります。お願い出来ますか?」

 ミルは、遂に計画を実行に移す時だと認識した。

「分かった」

 ミルは、立ち上がると、カメラに自身の姿が映るように、前に進み出た。

 ミルは、大きな声で命令した。

「直ちに、この白色大彗星を停止しろ! これより、ガルマン帝国に降伏勧告を行う!」

 この命令で、白色大彗星は静止し、循環路の位置を、地球艦隊は特定しようと動く筈だった。ミルの命令は、この時を、ずっと待っていて発せられたものだった。

「白色大彗星、停止します」

「動力をこのまま維持し、再始動に備えます」

 ミルは、満足そうに頷いた。

 そして、映像通信が繋がった事を確認すると、話し出した。

「ガトランティスの大帝ズォーダーが命ず。汝らに、選択の時が来た。我々を受け入れ、従う意志を見せるか、それとも、死を選ぶか。何れを選ぶも汝ら次第だ。汝らの時間で約十分、考えるがよい!」

 ミルは、そう宣言すると、映像を切らせて後ろに下がった。

 横の席にいるカミラは、嬉しそうに言った。

「立派な勧告でした。お疲れ様です、大帝」

 同じく反対側の隣にいたゲーザリーも、ミルを褒め称えた。

「お見事でした。大帝としての風格が出て来られたかと。感服いたしました」

「ありがとう」

 ミルは、二人に礼を言った。

 そして、この十分間が、ミルの裏切りの始まるまでの時間となる。ミルは、自身の心の昂ぶりを悟られぬ様に、気分を落ち着かせようと目を閉じた。

 

「今の降伏勧告で、白色大彗星が静止しました!」

 技術科の楠木の座席には、山南や、南部、航海長の仲村が集まった。

 楠木は、集まった彼らに分かるように、映像を指し示した。

「ここです。我々から見て、左側のこの位置を見て下さい」

 そこには、海流の渦の様な動きがあった。

「これか……!」

「そうしたら、ここと、この対極に、もう一方があるという事だな?」

「はい、ここからは、観測出来ませんが、そういう事になります」

 仲村は、山南に言った。

「この位置から撃ったのでは、彗星を破壊してしまいますね。射撃可能な位置を割り出して艦隊を動かしましょう」

「分かった。十分しかない。すぐにやってくれ」

「分かりました」

 仲村は、急ぎ足で自席に戻って行った。

「ところで、もし、波動砲を撃つ前に彗星が移動を始めても、この位置を把握し続ける事は可能か?」

 楠木は、自信を持って山南に答えた。

「はい。本艦の電算装置で映像を解析すれば、可能だと思います」

 南部は、楠木に言った。

「波動砲のターゲットスコープに、この解析映像を映す事は出来るのか?」

「それも可能です。まずは、波動砲を撃つ主力戦艦に、この解析データを伝送します。その後は、各艦の電算装置から、ターゲットスコープへ解析情報を送り出すのは、技術的には何も問題ありません」

 南部は、にやりと笑った。

「だったら、すぐにやってくれ。各艦の戦術長は、この解析データをターゲットとして狙いをつける事になる。でも、アンドロメダの波動砲が使えないのは残念だけどな」

 山南は、南部の肩を叩いた。

「やむを得んだろう。さあ、俺たちはこの艦隊を守るのが仕事だ。持ち場に戻れ!」

「はいっ!」

 こうして、地球艦隊は、射撃位置を割り出して移動を始めた。

 

 ガルマン帝国のキーリング参謀長官は、ガトランティスの降伏勧告の映像を見たあと、腕を組んで、目を閉じた。

 最初に地球艦隊に確認したところによれば、人質救出作戦を展開する為、白色彗星を破壊せず、彗星状態を解除しようと動くと聞いていた。

「参謀長! 地球艦隊が動きます。攻撃を準備するそうです!」

「分かった」

 本来であれば、地球艦隊には、直ちにあれを破壊しろと言いたいところではあった。しかし、ここまでの共闘で、彼らが信じるに値する種族である事を知った。彼らが、大切にしている人物の救助を優先したいというのも、今は尊重しようと、そう考えてもいた。

 それでも……。

「人質数名の命と、ガルマン帝国臣民数十億の命とを天秤にかける行為だ。彼らは、上手く行かない場合は、直ちに白色大彗星の撃破に動いてもらう約束となっているが……。今は信じるしか無いとはな」

 キーリングは、そう独り言を言って、降伏勧告を受け入れないという選択をする事に、緊張が高まっていた。

 そこに、グスタフが声を掛けてきた。

「参謀長、本星の民衆も、白色大彗星を地上から発見して、騒ぎが起きているようです。首都付近では、多数の人々が空を見上げて、太陽が二つある、と驚いているようです」

「先程のガトランティスの降伏勧告は、地上にも届いているのかね?」

「はい。我々の最新の戦況こそ、メディアは知りませんが、先程の映像は受け取ったでしょう。我々が劣勢だと、緊急放送を始めているメディアも出始めているようです」

「民衆に混乱しないように、何か声明を出す必要があるな。そうか……。総統や閣僚のいなくなった今、その役目は、私がやらねばならんのだな?」

「そうなりますね」

「分かった。用意してくれ」

「承知しました!」

 キーリングは、ため息をついた。

 この星の指導者など、そんな大役を引き受ける気などまるでなかったというのに。しかし、今は誰かその役目を引き受けなければならなかった。

「しかし……。それをやれば、ガトランティスへの回答をする事にもなってしまうな」

 キーリングは、話す事を頭の中で整理しようとした。原稿を用意する間もなく、重大な決断を話さねばならない。

 

「ガルマン帝国軍参謀長官のキーリングです。皆さん、先程は、ガトランティス帝国からの降伏勧告に驚いた事でしょう。いくつか、皆さんに、お伝えしなければならない事があります。今から話す事に混乱せず、冷静に行動して下さい」

 ガルマン帝国の人々は、自宅や、街頭のテレビモニターに映るキーリングの話しに注目していた。

 ガルマン人も、イスガルマン人も、その他の星系の人々も、皆等しくこれから起こる事が何なのか、彼の話を固唾を呑んで見守っていた。

「まずは、ボルゾン総統を始めとした政府の閣僚の事について、お話せねばなりません。彼らは、いち早くこの星から退避しようと皆さんを置いて逃げ出しました。その際に、ガトランティス軍の攻撃によって、全員亡くなりました」

 この話に、人々に動揺が走った。

「ど、どういうことなんだ!?」

「政府が、もう崩壊しているというのか?」

 キーリングは、地上の映像を見て、人々の間にどよめきが広がるのを確認した。

「その為、私が生存している最上位の政府機関の者として、臨時に、帝国政府の役割を負う事になりました。この一件の首謀者は、ボルゾン総統と、東部方面軍が主導して行われているようです。戦後処理として、この問題は、改めて、東部方面軍を追及する事になるでしょう」

 キーリングは、人々の動揺が広がるのが分かっていたが、今後の方針を決めるのが、自身だと知ってもらう必要があった。

「そして、ご存知の様に、我が国は、ガトランティスの侵攻を受け、帝国軍が対応にあたって来ました。これまでのところ、戦況は、ほぼ互角です。そして、戦いの中で、いくつかの敵の強力な兵器を我々が破壊した事により、最後の攻撃を仕掛けて来ました。それが、上空に見えている太陽の様なものであり、敵の本隊です。先程の勧告を出して来たのも、その本隊にいると思われる、敵の指導者のものです」

 キーリングは、人々が落ち着きを取り戻して、話を黙って聞いているのを確認した。これから話す事は、ガトランティスの降伏勧告への回答になる。キーリングは、少し躊躇したが、すべてを話す事にした。

「皆さん、我々は、先程の勧告には回答しません。何故なら、これより、我々は最後の戦いに打って出て、彼らに勝利するからです。我々は、必ずこの戦いに勝ちます。我々は、一人じゃありません。遠い国から、我々と共に戦ってくれている仲間もいます。どうか、我々の勝利を信じていて下さい。そして、落ち着いて行動し、家から出ないようにして下さい。私からは、以上です」

 キーリングは、グスタフに目配せして、映像を止めさせた。

「お疲れ様でした。とてもいい演説だったと思います。艦隊の士気も、今の演説で上がる事でしょう」

 キーリングは、緊張感から開放され笑みを浮かべた。

「だと、いいんだがね。地球艦隊はどうか?」

「はっ。現在、波動砲の発射準備中です。間もなく、攻撃が、始まります!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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