宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲117 白色大彗星との戦いPart2

 通常空間に亜空間から露出した潜望鏡は、周囲の様子を捉えようと動いていた。

 

 白色大彗星は、既に月軌道の内側に侵入し、自軍の艦隊を次々に飲み込みながら、ガルマン帝星へと迫っている。地球艦隊の波動砲は、ブラックホール砲の前に沈黙しており、ガルマン帝国艦隊は追い詰められ、やむを得ず退避しようとしている。それでも、ガミラス正規軍と一部のガルマン帝国艦隊が白色大彗星を目前にその場に残り、最後の戦いを繰り広げている。しかし、誰が見ても、もはやガルマン帝星の命運は尽きたように思われた。

 

 次元潜航艦の艦橋で潜望鏡を覗いていたフラーケンは、顔を離すと、通信マイクを掴み取った。そして、にやりと笑って言った。

「……総統、狩りの時間だ」

 フラーケンは、艦を直ちに移動させると、付近で待機していたヤマトの艦艇部に逆さまに張り付き、牽引ビームで固定した。その状態でも、潜望鏡は長いケーブルを伸ばして通常空間に出したままだった。

 ヤマトは、先程から波動砲の発射準備を行っており、艦首の砲口が輝き始めている。

そのヤマトのすぐ横に、巨大な艦体を誇示したデウスーラ三世が漂っている。デウスーラの艦首デスラー砲の砲口も、同じ様に輝いている。

 

 デスラー総統は、フラーケンの報告を聞きながら、前髪の乱れを指で直した。

「デスラー砲の発射用意は整ったのかね?」

 タランは、彼の前でガミラス式敬礼のポーズを取ると、かしこまって言った。

「はっ。デスラー砲、発射準備完了しています。我々も、ヤマトの方も、亜空間ではゲシュタム機関のエネルギー流出が起きる為、長くは準備しておく事が出来ません。直ちに作戦を開始するべきかと思います」

 デスラーは、落ち着き払って言った。

「よろしい。作戦開始を彼らに伝えたまえ。タイミングを合わせて浮上、そして攻撃開始だ」

「承知しました」

 デスラーは、艦橋中央に床からせり出した、大きな銃のような形状をしたデスラー砲の発射装置の前に立ち、安全装置のレバーを引いた。

「やっと、この時が来たんだね」

 デスラーは、スターシャと再び会える事を願い、瞳を閉じた。

 

 一方、ヤマトでも波動砲の準備を終え、今か今かと作戦開始のタイミングを待っていた。

 徳川は、焦っていた。機関室に居る薮と、先程から何度もやり取りをしていた。

「薮、どうじゃ?」

「駄目だよ、親父さん。波動エンジン内のエネルギーがどんどん流出してる。このままじゃあ……」

「諦めるんじゃない! 回避する方法を考えるんじゃ!」

「そうは言ってもなぁ……。分かったよ、親父さん」

 徳川は、土方の方を振り向いて報告した。

「波動エンジンのエネルギー流出が止まらんようです。早く作戦を開始せんと、波動砲の発射が出来なくなりますからな」

 土方は、骨折して吊った腕を少し気にしながら、静かに頷いた。

「徳川さん、ありがとう。真田、古代。白色大彗星の真上と真下の循環路の位置特定の状況はどうなっている?」

 真田は、土方を振り向いて説明した。

「先程、白色大彗星が静止していたので、位置を特定済みです。今は、動いていますが、映像を解析して特定した位置が何処にあるか、僅かな変化を捉えられています。現時点で、何も問題がありません」

 古代も続けて状況を説明した。

「既に、真田さんによって解析済の映像は、ターゲットスコープに表示可能な事を確認しています。浮上したら、直ちに波動砲による攻撃が可能です」

 百合亜は、次元潜航艦の潜望鏡を経由して傍受した、周囲のレーダーによる観測結果を確認して報告した。

「白色大彗星は、間もなく、ガルマン帝国本星に最接近する様です!」

 島も、航海科として外の様子を観測していた。

「白色大彗星の接近に伴い、ガルマン帝星の気候に変化の兆しが見られます」

 土方は、黙って静かに頷いた。

「土方さん、どうしますか!? もう、時間がありません!」

 古代は、土方を振り返ると、現在の状況に焦り、思わずそう口走っていた。

 土方は、語気を強くして言った。

「狼狽えるな! 古代」

 古代は、突然怒鳴られて驚いていた。周りを見れば、徳川や真田は冷静に行動している。確かに、言われて見れば、一人で焦っていたようだった。

 土方は、努めて冷静に話した。

「我々は、デスラー総統の艦と同時に動き、更には敵に対策を打つ余裕を与えない、というのがこの作戦の肝だ。俺たちは、デスラー総統が判断するまで、ここで留まると約束した。まだ時間はほんの少しだがある。お前が落ち着かずにどうする?」

「す、すいません。仰る通りです」

 古代は、申し訳無さそうに、自席に座り直した。

 正にその時、相原は、タランからの連絡を受けていた。

「タラン閣下から連絡! 今から十秒後に浮上開始。その後、同時に波動砲を発射するとの事です」

 土方は、その報告に眼光を鋭くして頷いた。

「直ちに発進準備! 浮上後、本艦は次元潜航艦を切り離す。その後、波動砲で白色大彗星を攻撃した後、救出作戦を展開! 航空隊も、直ちに発艦準備!」

 

 フラーケンは、ハイニの方を見て言った。

「時間だ」

「了解、隊長! 次元タンクブロー!」

「次元タンクブロー始めます」

「次元深度、二百……、百五十……、百、九十、八十」

 ヤマトとデウスーラは、少しづつ浮上していた。上部に、まるで海面のようなさざ波が近付いてくる。

 ヤマトでも、百合亜がヤマト浮上までのカウントダウンを行っていた。

「次元深度二十、間もなく通常空間に、艦橋露出します! 深度十五、十四……」

 ヤマトとデウスーラの艦橋は、通常空間を歪めながら、少しづつ顔を出して行った。そして、レーダーと第一艦橋が露出すると、ヤマトのレーダー機能が通常空間の状況を捉えていた。

「周囲の状況確認! 現在、本艦は白色大彗星の斜め後方に出現! 周囲に、敵艦隊の姿はありません!」

 古代は、いよいよだと思い、生唾を飲みこんだ。そして、波動砲のトリガーを握り締め、ターゲットスコープに、白色大彗星の姿を捉えていた。

「古代、たった今、次元潜航艦からの映像を、本艦自身が捉えた映像に切り替えた。これで、照準に誤差は全く心配無い」

 古代は、正面を見据えたまま返事をした。

「真田さん、ありがとうございます。総員、対ショック、対閃光防御!」

 ターゲットスコープには、真田が映像から特定した、真上の循環路を示すマーカーが表示されていた。

 ヤマトとデウスーラの艦体は、今や主砲塔などが露出し、間もなく攻撃可能になる。

 徳川は、波動エンジンの状況を皆に伝えた。

「通常空間に復帰した事により、波動エンジンのエネルギー流出は収まったようじゃ。いつも通り、フルパワーで波動砲が撃てるじゃろう」

「徳川さん、ありがとうございます」

 島は、ヤマトを操舵し、艦体を完全に露出させようとしていた。

「補助エンジン、出力最大。ヤマト、完全に浮上します」

 それにより、まだ亜空間に潜っていた補助エンジンノズルから、炎のような光が噴射した。

 その瞬間、ヤマトは一気に亜空間から抜け出し、海面から飛び出したかのように、完全に通常宇宙空間に現れた。そして、艦艇に張り付いていた次元潜航艦は、牽引ビームを切り離して、再び亜空間に戻って沈降した。

 土方は、その時を待って言った。

「古代、落ち着け。ガルマン帝星の命運は、その一発にかかっている」

 古代は、瞳を大きく開け、ターゲットスコープの中心から目を離さなかった。

「はい……!」

 その時、島は古代の方を見て言った。

「これより、戦術長に艦の操艦を渡す。……頼むぜ、古代!」

 古代は、操縦桿から手を離した島の方をちらりと見た。そして、自分に操艦が移った時の艦の重みの様なものを感じていた。

「……任せてくれ。直ちに波動砲を発射する。発射三秒前!」

 同じ時、デスラー総統は、デスラー砲のターゲットを見ながら、タランが数えるカウントダウンを聞いていた。

「三、二、一……」

 デスラーは、白色大彗星の真下の循環路を捉えて、トリガーに掛けた指に力を込めた。

「デスラー砲、発射……!」

 デスラーは、トリガーを引いた。

 古代も、その同じ瞬間、波動砲のトリガーを引いた。

「発射!」

 ヤマトとデウスーラは、艦首波動砲口を煌めかすと、大きく膨らんだ光が瞬いた。そして、同時に波動砲のエネルギーが放出された。

 二本の強力な波動エネルギーの光の帯は、それぞれ白色大彗星の真上と真下のターゲットを真っ直ぐに目指して伸びて行く。

 

 その頃、白色大彗星では、ヤマトとデウスーラの攻撃を探知していた。しかし、時既に遅かった。

「左舷後方に、新たな艦影! 高エネルギー反応を探知! この反応は……波動砲の発射体勢に入っているものと思われます!」

 カミラとゲーザリーは、突然の事に、驚く事しか出来なかった。

「う、後ろから……!」

「ブラックホール砲を用意しろ!」

「もう、間に合いません!」

 ミルも、後方からという、予想外の位置からの攻撃に驚いていた。しかし、その時は遂に来たのだ。カミラも、ゲーザリーも、そしてシーラまでもが、レーダーに捉えた艦影に注目していた。彼の事を気にする者は、今なら居ない。

 ミルは、席を立ってそっと駆け出した。階下に降りるエレベーターまで、一気に走り抜けるのだ。

 

 波動エネルギーの光は、その瞬間、白色大彗星の真上と、真下に命中し、貫通してそのまま通り過ぎて行った。その光跡は、ガルマン帝国艦隊の上方と下方を通り過ぎ、ガルマン帝国本星をかすめて飛び去った。

 白色大彗星は、命中した箇所に稲妻の様な光が瞬き、大爆発を起こした。白色大彗星は、まるで全体が爆発したかの様な光に包まれている。

 

 白色大彗星の司令制御室では、命中した時の衝撃が、全体を覆っていた。乗組員たちは、横方向の激しい衝撃で倒れ、床に転がっていた。カミラやゲーザリーたちも、例外では無かった。

 

 一人、階下に降りるエレベーターに乗ったミルも、中の揺れで壁面にぶつかって床に倒れた。

「つ、遂に来たか……。しかし、本当に大丈夫なのだろうか!?」

 エレベーターは、それでも止まらずに、下降して行った。

 

 床に這いつくばったゲーザリーは、その姿勢のまま、乗組員に確認した。

「じょ、状況報告……!」

「敵、波動砲が命中した模様!」

「人工太陽エンジンから伸びるプラズマエネルギー循環路の先端が破壊されました! エネルギー流出が要塞内に波及中! 直ちに、保護シールドを展開」

「要塞内の安全を維持する為、これより人工太陽コアを閉塞します」

「主動力を、人工太陽機関から、要塞都市帝国の通常動力炉に切り替えます」

 カミラとゲーザリーは、真っ青になっていた。

「そ、それでは……!」

「もう、彗星化出来んと言うのか!?」

「大規模な修理が必要です。それまでは、彗星化する事は不可能です!」

「外殻が、残留したプラズマエネルギーで破損し、炎上しています! このままでは、この内部も溶解してしまいます!」

 カミラは、急ぎ指示を出した。

「ならば、外殻の外装を全て外しなさい! 蒸し焼きになりたいの!?」

「は、はい! 直ちに外殻を放棄します!」

 シーラは、ゆっくりと立ち上がり、服についたほこりを払った。辺りを見回すと、ミルの姿が見当たらなかった。カミラとゲーザリーの様子を窺うと、今はそれどころではないようだった。シーラは、ゆっくりと司令制御室の出口を眺めた。恐らく、カミラの息子は、裏切りを実行に移したのだろうと、彼女は考えた。いつ、カミラたちにこの話を伝えるべきか、彼女は思案し、結局本人たちが気付くまで、放っておく事にした。

 一方、カミラたちは、この事態に至っても、けらけらと笑っていた。

「小賢しい! この、要塞都市帝国自身の防衛力と攻撃力、それに後方に下がらせたユーゼラーの艦隊が、我々にはまだある! 我々は、この程度では倒せないという事を、奴らに思い知らせてやるまでよ! 要塞都市帝国全体の戦闘配置を急がせなさい! 各種砲台用意! 戦闘機隊は、発進準備!」

 

 白色大彗星は、大爆発を起こしている様に見えた。山南も、この姿を見て、驚きを隠せなかった。

「こ、こいつは、どういうことなんだ?」

 アンドロメダのレーダー手は、レーダーチャートを確認し、何が起きたのか確認しようとした。

「か、艦長! 白色大彗星の後方に、新たな艦影を発見! これは……ヤマトです!」

 山南も、南部もその報告に驚愕していた。

「ヤマトだって!? おい、ヤマトは、白色彗星に飲み込まれて沈んだんじゃなかったのかよ!?」

「それから、もう一隻、ガミラスのデウスーラと思われる艦艇が近くにいます。どうやら、この二艦が白色大彗星を波動砲で攻撃したものと思われます!」

 山南は、白色大彗星が崩壊して行く様子を眺めた。

「そいつは良かったんだが……これ、大丈夫なのか? 完全に彗星を破壊しちまったのか?」

 

 ガルマン帝国艦隊でも、この状況を確認していた。

「や、やりました! キーリング参謀長! 地球艦隊がやってくれたに違いありません!」

 キーリングも、突然の事に呆然としていた。

「し、しかし、さっきまで地球艦隊は、ブラックホールの影響で攻撃不能に陥って居たはずだが……」

 

 そして、ヤマトでは古代が耐閃光ゴーグルを外すと、肉眼で前方で爆発する白色大彗星を見つめた。

「目標には、正確に命中しました。しかし、我々は、白色大彗星を破壊してしまったのでしょうか!?」

 真田は、先程からセンサーで様子を確認していた。

「センサーで確認中だ。あの宙域全体に高エネルギー反応があり、外殻が分解して、彗星全体が崩壊している様に見える。もう少し待てば、事態ははっきりするだろう」

「やばいな。どう見ても爆発しちまったみたいに見えるな……」

 島や古代たちは、前方に注目したまま、動きが完全に止まっていた。

 土方は、徳川と目が合うと頷きあった。そして、土方は、騒然とする乗組員に活を入れるべく、大きな声で指示した。

「……総員、本艦は、これより人質救出作戦を実行に移す!」

 土方の声に、古代と島は、我に返って振り返った。艦長席に座る土方は、落ち着き払って命令した。

「島、波動エンジン始動! 古代! 全砲門開け! 目標、前方に出現予定の敵要塞! ぼやぼやするな! 直ぐに用意しろ!」

 突然の土方の指示に、古代と島は、慌てて前を向いて自席のパネルを操作した。土方は、眼光も鋭く彼らを睨んだ。

「復唱はどうした!」

「は、はいっ」

「わ、分かりました!」

 古代は、島と顔を見合わせて苦笑いした。まるで、士官になりたての時のようだと思ったのだ。

 そして、土方もまた、自らの苦痛を乗り越える為、彼らの力になろうと懸命に努力をしていた。

 古代と島は、互いの今やるべき事をすべく、動き続けた。

「全砲門開け! 目標、前方敵要塞! 航空隊は、直ちに発艦!」

「波動エンジン始動! 敵要塞に向けて発進用意!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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