宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲119 要塞都市帝国の出現Part2

 何年ぶりかで山本は、コスモゼロα2の機体に乗り、ヤマトのカタパルトで待機していた。その山本の頭上を、加藤や篠原たちのコスモタイガー隊が高速で駆け抜けて行く。古代の指示で要塞都市帝国の偵察に向かう為だ。

 ヤマトのもう一方のカタパルトには、揚羽がα1に乗って待機している。その揚羽から、山本に通信が入っていた。

「山本さん、篠原さんたち、大丈夫でしょうか?」

 山本は、鼻を鳴らして言った。

「あんた、あいつ等を誰だと思ってるの? そんな事より、その機体を任されたからには、あんたの腕を戦術長の古代さんが買ってるってこと。期待に応えられるように頑張んな」

 揚羽は、大役を任されたような気がして、プレッシャーを感じていた。

「わ、分かってます……!」

 その昔、ヤマトがイスカンダルへの大航海に向かった時、山本も同じ様にその腕を買われ、この機体を任されエースパイロットの称号を獲得したと言う。古代と二人、何度も危険な任務を乗り越えたのは想像に難くない。揚羽は、その事を思うと、自然と質問を口にしていた。

「……この機体って、以前古代さんが乗っていたって聞きました。確か……古代さんと山本さんのお二人だけが使ってたんでしたよね?」

 山本は、意識しないように、思い出さないようにしていた記憶を、あっさりと揚羽に呼び起こされた。

 主計科に所属していたにもかかわらず、勝手にコスモゼロを使って飛び出したあの時、古代に怒られるかと思いきや、その腕を買ってくれて戦術科への異動を勧めてくれた。あの時の古代の表情は、今でも鮮明に思い出す事が出来る。

 そんな事を考えている自分に、山本は苛ついていた。

「……だったら何?」

 揚羽は、明らかに腹を立てている山本に萎縮していた。惑星エトスでの潜入任務など、山本と何度も行動を共にして来たが、どうやら自分は彼女に嫌われているのかも知れない。彼の漏らしたため息は、通信回線を通じて山本のヘルメットのスピーカーからも聞こえていた。

 それを聞いた山本は、何も関係の無い揚羽に腹を立ててしまった自分に、嫌悪感を感じていた。

「……揚羽。コスモゼロは、今ではもう、この世に二機しか無い特別な機体だけど、量産型のコスモファルコンや、コスモタイガーよりも、運動性能は圧倒的に高い。誰が使っていた機体かなんて今は気にする必要はない。何故私たちがここに残されたか考えなさい。私たちの今の任務は、ヤマトの防衛。それだけだから」

「は、はいっ!」

 

 加藤と篠原は、コスモタイガーを駆り、それぞれ部隊を二つに分け、先頭を飛んでいた。コックピット越しに合図した二人は、要塞都市帝国の都市部と小惑星部とに分かれた。それぞれの機体の後には、彼らの部下たちの機体が編隊を組んで着いて行った。

 篠原は、都市部の方へと沢村たちを連れて向かった。ドームに覆われた都市のビル群からは、反撃がある訳でも無く、彼らは飛行を続けて観察した。

「篠原さん! 見てくださいよ。大勢の人が逃げ惑ってるみたいです!」

 沢村からの通信を聞くまでも無く、篠原もその様子を確認していた。多数のガトランティス人と思われる人々が、ビルの間の道を逃げ惑い、群衆は何処かに隠れようとしているらしかった。

「どうやら、俺たち怖がらせちゃってるみたいだね」

「そうみたいですね……」

 ビル群は、何層もの階層が積み重なっているらしく、ビル群の上に更にビル群がある構造になっている。人々は、奥へ奥へと入ろうとしているようだった。

 

 その頃、ゲーザリーには、次々に戦闘準備の完了報告が届いていた。

「高射砲台準備完了!」

「回転砲台、エネルギー充填五十パーセント」

「戦闘機隊、発艦準備完了!」

 ゲーザリーは、大きく手を振って指示を出した。

「ぐずぐずするな! 急ぐのだ!」

「参謀長! 市民がパニックを起こしているようです! 都市部で暴動のような動きがあります!」

 ゲーザリーは、苦々しい表情で言った。

「直ちに治安部隊を派遣して鎮圧しろ! 要塞都市帝国の防御は簡単には破れないと伝えるのだ!」

 

 その時、篠原には真田から通信が入っていた。

「こちら篠原」

 空電音に続けて、真田の声が聞こえてくる。

「真田だ。そのドーム状の物だが、センサーによる調査によれば、ドームの表面に、何らかの防御壁が張り巡らされている。簡単に言うと、ヤマトの波動防壁みたいな物だ。あまり接近しない方がいい。触れれば、機体は分解してしまうだろう」

 篠原は、口笛を吹いた。

「了解、真田さん。アドバイスどうも」

 通信が切れた後、篠原は部隊全体に警告した。

「みんな聞いた? あんまり近寄るなよ」

 篠原の部隊のコスモタイガーは、ドームから少し離れて飛行を続けた。

 しかし、突如銃撃が彼らを襲った。

 彼らは、編隊を少し崩すと、その銃撃を避けようと、翼を傾けて移動した。その間を、細いビーム砲の光跡が通り過ぎて行く。そのビームを放った対空砲台は、複数のビル群の上に現れると、次々に攻撃を開始した。

「敵の対空砲だ! ここからは、三機づつの編隊に分けて散れ!」

 篠原の機体にも、その砲撃が迫る。彼は、機体を傾けてぎりぎりの所を避けた。

「危ない、危ない。みんな、あんなのに当たるなよ!」

 どうやら、そのビーム砲は、ドームを壊す事無く貫通して彼らを襲っていた。沢村は、それを確認して疑問を漏らした。

「どうなってんだ。なんでドームが壊れないんだ?」

 篠原は、操縦桿を思い切り引くと、機体を垂直に上昇させた。

「ヤマトの波動防壁と同じ仕組みなんだろ! みんな、少し離れるぞ! 遅れずに俺に着いて来い!」

 篠原は、機体を上昇させ続け、都市の一番上まで見渡せる位置まで辿り着いた。そこからは、頭頂部と思われる部分に、丸い穴のような物が見えた。そこは、溶けて黒焦げになっており、少し煙が立ち昇っていた。そしてその縁は、まるでガラスを切り取ったかのような跡が生生しく残っている。

「あれって……!」

 沢村の声に、篠原は答えた。

「例の循環路って奴だろうな。恐らく、あそこを波動砲で撃ち抜いたってことじゃない?」

「だったら、あそこから、中に侵入出来ませんかね?」

「ちょっと、様子を見てみるか」

 篠原は、コスモタイガーの機体を傾けると、要塞都市の頂上を目指した。対空砲の光跡が激しくなる中、篠原は巧みにそれをかわしながら、真上から穴を撮影した。

 映像を早速ヤマトへと送ると、真田から直ぐに返事があった。

「篠原、その穴だが、隔壁で閉鎖されているようだ。ヤマトの主砲で砲撃すれば破壊出来そうに見えるが、恐らくドームを覆う防御壁に阻まれるかも知れない」

 その時、機体のレーダーが敵影を捉えていた。

「お客さんみたいだ。どっから出て来たんだ?」

 レーダーには、数百もの敵機イーターⅠが飛来して接近しているのが映っていた。

「各機、応戦しつつヤマトへ戻るぞ! 空対空誘導弾用意! 確実に敵機だけを狙うんだ。間違って都市部へ落とすなよ!」

 

 一方加藤率いる部隊は、小惑星部の方の偵察を開始していた。彼らは、眼下に小惑星部を見ながら、編隊を組んで観察を行っていた。

 坂本は、月の表面の様なクレーターが広がるその光景を見ながら、加藤に通信で呼び掛けた。

「加藤隊長! 何も無いですね。ちょっと攻撃してみますか?」

 加藤は、口をへの字にすると返答した。

「まだだ。何も無い所に撃ってどうすんだよ! ミサイルを無駄に使うんじゃない!」

 しかし、その時機体のセンサーは、小惑星部の表面に何かを捉えていた。

「くっ……! あれは敵の砲台だ! 各機散開して三機編隊に分かれろ!」

 加藤は、坂本のコスモタイガーを連れて大きく旋回した。そこへ、小惑星部から露出した砲台から発射された、強力な陽電子砲のビームが通り過ぎて行く。

「危ねえ。あれにかすっただけでも一溜まりもねぇぞ! みんな気をつけろ!」

 その時、坂本は、加藤の編隊から離れて、小惑星部へと急速に下降を開始した。

「坂本! 勝手な事をするな! 直ぐに戻れ!」

 坂本は、加藤の警告を無視して、小惑星部の表面に沿って低空で飛行した。

「あんな砲台、直ぐに破壊した方が良いに決まってる! 隊長、ちょっと待ってて下さい!」

「坂本! 貴様! 俺の言う事を聞け!」

 坂本の機体は、そのまま飛行を続け、機体のレーダーが陽電子砲の砲台を捉えていた。

「空対地誘導弾を選択……!」

 坂本は、正面のパネルをタッチして、兵装の選択を行った。そして、操縦桿に備え付けられたトリガーを直ちに押した。

 坂本のコスモタイガーの機体下部のパイロンから、一発の空対地誘導弾が離れると、直ちにエンジンに点火して飛び去った。そのミサイルは、小惑星に沿って飛行し続けると、砲台の間近で少し上昇し、まっしぐらに目標に落ちて行った。

 大爆発を起こした砲台は、木っ端微塵になって残骸を宇宙に散らした。

「へへっ……! 余裕だぜ」

 しかし、その坂本の背後には、敵のイーターⅠの機体がわらわらと迫っていた。ナビシステムから、多数の敵機からのロックオンを示す警告音が鳴り響いている。

 そして、イーターⅠは、続々と複数のミサイルを放つと、急速に坂本の機体を襲った。彼は、機体をきりもみさせてフレアを放ち、何発かミサイルを回避したものの、今度は複数のイーターⅠに背後を突かれて追跡され、機関砲による銃撃を受けた。

「や、やばい……!」

 顔面が蒼白となった坂本は、慌てて操縦桿を引いて上昇しようとするも、そこにも敵機が迫っていた。

「かっ、囲まれた……!」

 しかし、坂本の頭を抑えていた敵機は、突如として次々に被弾すると、小惑星部へと落ちて爆発した。

 加藤たち航空隊の多数の機体が、坂本の周囲に飛来すると、坂本を追っていたイーターⅠの更に背後を取った。加藤は、正面に捉えた敵機に向け、操縦桿を巧みに操作し、照準を合わせた。その瞬間、トリガーを引くと、機首に備え付けられた機関砲から大量の弾丸が吐き出された。そして、加藤の僚機も機関砲弾を放つと、イーターⅠは次々に被弾してばらばらになった。

 加藤は、坂本の機体の横に並ぶと、手を振って上昇する様に指示した。

「か、加藤さん……! ありがとうございます」

「この馬鹿野郎! 二度と勝手な真似をするんじゃねぇ! 良いから早く上昇しろ! ここじゃ、直ぐに敵に囲まれるぞ!」

 加藤たちは、急いで上昇すると、次々に現れる敵機との交戦を続けた。

 

 その頃ヤマトでは、真田が自席のセンサーの表示の確認を続けていた。

「たった今、要塞都市帝国の側面のリング状の部位が回転し始めた。エネルギー反応もかなり高まっている。間もなく、何らかの武器使用が行われる兆候だと思う」

 それを聞いた土方は、急いで島に指示した。

「本艦を、下降させろ! 急げ!」

「はいっ!」

 島は、思い切り操舵を押し込んだ。その操作により、ヤマトは、急激に艦首を下げて下降し始めた。

 その瞬間、要塞都市帝国の側面のリングから、強力なレーザー砲が発射された。ヤマトの真上を、そのエネルギー弾が通過して行く。その砲撃は、角度を変えながら止まることなく次々に発射された。

 真田は、早速分析した情報を艦内に伝えた。

「あの砲は、機動要塞ゴルバに搭載されているものと技術的には同じ物だ。しかし、出力が段違いにアップされている。しかも、連射可能となれば、波動防壁は簡単に突破されてしまう可能性が高い」

 それを聞いた土方は、即座に指示を出した。

「いかん……! 本艦を、要塞都市帝国の下部へと移動させるんだ。あの砲撃から逃れるには、それしかない!」

 土方の命令に、島は急いで応えた。

「了解、波動エンジン全開、よーそろー!」

 ヤマトは、波動エンジン噴射口を輝かすと、急速に下降しながら前進して行った。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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