宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲123 救出作戦Part2

 要塞都市帝国の小惑星部の下――。

 

 アンドロメダと、主力戦艦が応戦する中、ヤマトでは、真田が、土方や古代を集めて説明をしていた。

「アンドロメダが来てくれたお陰で、落ち着いて調査する事が出来ました。要塞都市帝国の小惑星部の一番下に、波動砲で撃ち抜いた循環路と思われる穴があるのが分かりましたが、非常に狭く、コスモタイガー等の戦闘機を侵入させるのに適していない事が分かりました。その為、敵の戦闘機の発着口を探していた訳ですが、カモフラージュされていて、発見するのに手間取りました。それが、先程ようやく見つかりました。小惑星部のこの場所に、特殊な位相空間がある事が分かったのです。巧妙に隠していますが、それこそが、ここに何か隠している証拠でもあります。この映像を見てください」

 真田の座席の端末のスクリーンに、映像が映し出された。

「ここです。何も無い空間から、突然敵の戦闘機が現れています。つまり、ここに敵の戦闘機の発着口が存在していると見て間違いないでしょう。このような場所が、他にも数箇所存在する事が分かっています」

 古代は、そこで真田に意見した。

「どうしたらいいでしょう? 主砲による精密射撃で破壊してみますか?」

 真田は、大きく頷いた。

「恐らくは、それで開口部を無理矢理作る事が出来るだろう。しかし、そうなると宇宙空間への穴が空くことになる。内部の気密性の確保の為、何らかの防壁が機能して、直ぐに侵入出来なくなる可能性が高い」

 土方は、骨折した腕の痛みを堪えながら、意見した。

「航空隊を、穴が空いている短い時間の間に、中に飛び込ませる必要があるな。となると、腕の確かな者に行かせる必要がある」

 土方は、古代の顔を睨んだ。

「古代、お前の戦闘機を扱う腕は、鈍っていないだろうな?」

 古代は、土方が言わんとしている事を察知した。

「はい。ギャラクシーに居た時も、訓練を欠かした事はありません」

 土方は、無事な方の腕で、古代の肩を叩いた。

「なら、お前が自分でこの作戦の指揮を摂れ。そして、突入部隊のメンバーを選ぶんだ」

「分かりました」

 古代の表情にも、緊張が走っていた。

「可能なら、十名程度の部隊を突入させたい。人質を乗せる事を考慮し、複座式のコスモタイガーを十機、連れて行け。この部隊が、救出作戦を実行するのだ。頼んだぞ」

 土方は眼光も鋭く、古代を睨んでいる。

「はい! 任せて下さい!」

 古代は、振り返ると島に声を掛けた。

「島! イセから移乗した金田に、ヤマト戦術長の任務を引き継ぐ。そして、敵の戦闘機発着口の撃破は、我々とタイミングを合わせて金田にやってもらう事になる。後の事は任せた」

 島は、操艦に集中する為、振り返らずに返事をした。

「金田ならやってくれるさ。心配せずに行って来い。だけど、お前も気をつけろよ」

「分かってるさ」

 土方も、古代に敬礼して来た。

「俺からも言わせてくれ。必ず、生きて帰って来い。必ずだ。いいな?」

 土方と古代は、暫し目を合わせて互いの瞳を覗き込んだ。

 死ぬんじゃないぞ……!

 土方の強い思いが、古代にも伝わった。

「……はい。必ず、人質を救出してここに戻ります。古代一佐、これより、人質救出作戦の任に就きます」

 古代も、土方に敬礼した。

 そうして、古代は第一艦橋を出ようとしたその時、百合亜が古代に走り寄った。彼女は、うつむいて言葉を選んでいるようだった。

「……岬さん?」

 百合亜は、顔を上げると、瞳を潤ませて言った。

「古代さん……。星名くんの事、よろしくお願いします。きっと、無事に連れ戻して下さいね」

 古代は、笑顔を浮かべて彼女の肩に手を乗せた。

「君が戦場に戻りたいと言った事が切っ掛けで、僕たちはヤマトに乗る事が出来た。今、救出作戦を実行に移す所まで来たのも、君のその強い気持ちがあったからこそ、実現出来たんだ。君のその思い、確かに受け取った。あともう少しだけ、待っていてくれ」

「はい……!」

 古代は、彼女にも敬礼すると、黙って踵を返して、第一艦橋から出て行った。

「古代さん……。本当に、よろしくお願いします……」

 百合亜は、古代の出て行った扉に向けて、しばらくの間、頭を下げ続けた。

 

 古代は、航空隊のブリーフィングルームへとやって来た。航空隊のメンバーは、先程までの出撃で疲れ切ってはいたものの、その表情は、まだやる気に満ちている。

 座席には、加藤を始めとして、篠原、山本の姿もあり、頼もしい面々が揃っていた。

「ここで皆と話すのは久しぶりだな。今から、作戦の概要説明と、人質救出作戦の参加メンバーの選別を行う」

「おっ? 入り方、分かったの?」

「ああ。真田さんが、発見してくれた」 

 声を掛けてきた篠原に回答すると、古代は背後のスクリーンに要塞都市帝国の図を表示して説明を始めた。

「我々は、まずはこの戦闘機の発着口付近に向かう。その後、ヤマトの主砲がその発着口を破壊するの待ち、そこから中に入る。但し、その発着口は、何らかの方法で直ぐに塞がれると予想される。だから、あまり長くは通れない可能性が高い。充分に気を付けてくれ。内部は、恐らくガトランティスの戦闘機の駐機場か、艦船の格納庫となっている筈だ。滑走路を見つけて機体を降ろし、そこから人質救出作戦を開始する。ガトランティスのミルから得た情報によれば、最下層と呼ばれる場所に人質は収容されている。最下層というのは、要塞都市帝国の中心部に当たる。外から見ると、中央のリング状のこの辺りの一番奥だ。我々は、そこを目指して侵入する。何か質問は?」

 加藤が手を上げたので、古代は指差した。

「中は、敵の本丸だろう? ここに居る全員で行ったって、数は少ねえと思うがな」

 古代は頷いた。

「その通りだ。だからこそ、戦闘機の腕だけで無く、ある程度白兵戦も得意なメンバーを選別する」

 篠原は、とぼけた声を上げた。

「あらぁ? 全然、答えになってないんじゃない? 敵さんが大勢待ってるから、多勢に無勢って話だと思うんだけど?」

 古代は、それにも冷静に頷いた。

「それも分かっている。篠原の言うとおり、非常に危険な任務だ。しかし、可能な限り、敵との戦闘は避けて行くつもりだ。自信の無い者は、指名を断っても構わない。他には?」

 そこで、ブリーフィングルームは、しんとなった。加藤と篠原は、その場に居る全員に、この任務の危険性を訴える為に、古代に質問していた。そうすれば、指名された者も、覚悟を決めやすいだろうと、二人は考えていた。

「よし、では、メンバーを発表する。因みに、僕自身も出撃するので九名の名を呼ぶ」

 古代は、最初に、加藤の顔を真っ直ぐに見た。そして、腕を上げて指差した。

「加藤」

「おう」

「篠原」

「はい〜」

「山本」

「……はい」

「沢村」

「はいっ!」

「揚羽」

「はっ、はい」

 ……

 こうして古代は、九名のメンバーの名を呼んだ。

「では、直ちに機体に乗り込むぞ。人質を乗せる為、複座式の機体を使う。山本と揚羽を含め、全員コスモタイガーを使ってくれ。では行こう」

 そこで、坂本が手を上げた。

「何だ、坂本」

 坂本は、不満そうな声を上げた。

「何で俺を選ばないんすか? ほとんど新人の揚羽とか選ぶのはおかしくないすか!」

 古代は、彼が言いたい事を話すのを黙って待っていた。

 加藤は、篠原に耳打ちした。

「面倒くせえ奴だな」

「古代さん、何て言うのかね?」

 古代は、坂本が話し終わったのを確認してから、坂本に言った。

「……言いたい事は、それだけか?」

 坂本は、古代が怒り出すのかと思って身構えた。しかし、古代は無表情で、何を思っているかは読み取れない。

「は、はあ……そうすけど」

 古代は、壇上から一歩前に出ると話し出した。

「今からこの任務で、加藤や篠原たちベテランが出払う事になる。しかし、ヤマトの防衛も、同じ様に重要な任務だ。その任務を任せられるメンバーとして、君には残ってもらい、皆を率いて行って欲しいんだが……、それでは不服なのか?」

 皆を率いて、という言葉を聞いた坂本は、途端に機嫌が良くなった。

「あ、いえ! 分かりました。坂本二尉は、残りのメンバーを率いて、ヤマト防衛の任に就きます」

 古代は、真剣な表情で頷いた。

「よし、頼むぞ」

 

 その後、暫くして、アンドロメダから出撃した航空隊が、周囲を飛び、ヤマト航空隊の発艦を支援していた。

 ヤマト艦底部の艦載機発着口からは、次々にコスモタイガーが飛び立って行く。古代は、その先頭に飛び出して、旋回して部隊が出撃するのを待った。

「皆、出たな? これから、編隊を組んで、要塞都市帝国の戦闘機発着口の一つに向かう。この部隊以外のメンバーは、まずは我々のサポートをしてくれ。では行くぞ!」

 古代のコスモタイガーに続いて、篠原、山本、加藤らの機体がダイヤモンドを組んで続く。エンジンを最大出力で吹かすと、あっという間に飛び去って行った。

「金田、こちら古代。およそ、三分で、目的の座標に到達する。突入三十秒前に主砲で敵の戦闘機発着口を撃ち抜いてくれ」

 ヤマトでは、島の横の戦術長の座席に、イセの戦術長の金田が座っていた。

「古代さん、了解です。ヤマトを任されるなんて、とても光栄です」

 島は、その連絡に口を出した。

「おい、無駄口をきいてる場合か?」

「す、すいません。つい」

 古代は、通信機越しに、島の小言が聞こえて来て、苦笑いした。

「そんな事より、古代にちゃんと任務の事を報告しろよ」

「は、はい。古代さん。既に、目標を捉えて発射準備は整っています。そちらからの合図で、いつでも撃てます」

 古代は、笑いを抑えると言った。

「頼んだぞ。我々は、これから敵機との交戦も考えられる。予定通りには行かない可能性もあるので、認識しておいてくれ」

「問題ありません」

「それから、主砲を撃つ前に、真上に居るアンドロメダの山南さんにも、ちゃんと警告しておくのを忘れずにな」

「了解です」

 古代たちは、その後、機体の真下に要塞都市帝国の小惑星部を見ながら飛び続けた。

「アンドロメダと主力戦艦五隻が来てくれたお陰で、だいぶ敵の戦闘機も数が減ったみたいだな」

「そうだな。さっきとは大違いだ。ひどい乱戦だったんだぜ」

 そう言った加藤は、古代には、更に文句を言おうと意気込んだ。

 しかしその時、レーダーが敵機の来襲を捉えていた。いち早くコメントしたのは、篠原だった。

「おっと、お二人さん。そんな事言うから、敵さんが来ちゃったみたい。また数百機現れたみたいだぜ」

 古代は、通信機で命令を出した。

「我々の部隊は、可能な限り、内部への侵入を優先する。坂本、お前の出番だ。我々に、敵機を近付けさせるな!」

 坂本は、生き生きとした声で返答した。

「了解! 野郎ども、行くぜ! 俺に着いてこい!」

「分かりました!」

「了解です!」

 坂本たちは、二機編隊を組むと、それぞれ一斉に近付く敵機に襲い掛かって行った。

 古代たちの部隊は、敵機が飛来するのを無視して、真っ直ぐに飛び続けた。しかし、やはり撃ち漏らしたイーターⅠが迫って来る。古代の機体に、ロックオンされた時の警告音が鳴り響いた。

 古代は、目を見開いてレーダーに表示された相手の機体の光点を睨んだ。

「くっ……! 早速か。どうする?」

 古代は、操縦桿を傾けようと、腕の力を込めた。そして、加藤と篠原、そして山本もその事態に気付いた。彼らも、反転して敵機を攻撃しようと、操縦桿に力を込めた。

 しかしその時、坂本は、古代の機体に迫る敵機に気付くと、追い掛けていた別の敵機を諦めて反転した。そして、素早く照準をロックすると短距離空対空誘導弾を放った。

 古代にロックオンしていた敵機は、それに気付くと旋回してミサイルから逃れようと逃げて行った。

 古代たちは、ほっとして再び前方に集中した。

 その時、山本は、通信で古代に呼び掛けた。

「古代さん。坂本たちはある程度やってくれると思いますが、流石に一機も近寄らせないなんて不可能です。その時は、私がやります。皆さんは、突入に専念して下さい」

「山本、さっきのような場合は、直ちに交戦して構わないんだ。僕も次はそうする」

「いいえ。古代さんは、そうなれば、部隊が乱戦に巻き込まれて、満足な数の部隊を中に送り込めなくなる事を懸念している。だから、編隊を崩す事に躊躇した。判断が遅れれば、撃墜される危険が増すだけです。それなら、私が皆を守ると言えば、安心してくれますか?」

 古代は、返答に困った。正に図星を突いていたからだ。そして、一騎当千の山本が守ると約束するのであれば、かなり成功の確率は高くなる。

 加藤と篠原は、この通信を聞いている筈だったが、沈黙している。古代の判断に任せようとしているのだ。彼らの後続の沢村や揚羽も黙って聞いている。

「……分かった。済まないが、僕らの編隊を守ってくれ。だが、決して無茶はするなよ」

「もちろんです。古代さんたちも、私が失敗したら、直ぐに逃げると約束して下さい」

「分かった。約束する」

「了解です。早速ですが、九時の方向から新手が来たようです」

 坂本たちの部隊が撃ち漏らした敵機が、再び古代たちに迫っていた。山本は、その方角を鋭い目で睨むと、機体を左に僅かに旋回させ、ものの数秒で照準に捉えた。

 山本の機体下部のパイロンに吊り下げていた短距離空対空誘導弾が離れると、エンジンに点火してその敵機に向かって飛んで行った。山本は、そのミサイルの命中を確認せずに、直ぐに右に旋回して加速し、再び編隊へと戻って行った。

 山本が放ったミサイルは、確実に敵機を捉えると、それは爆発して粉々になった。

 彼女は、今度は前方の上から迫る二機の敵機を捉えていた。坂本たちは、まだそれに気付いていない。彼女は、機体を上向きにして加速させると、長距離空対空誘導弾二発を放った。ミサイルは、古代たちの機体の真上に上昇して、それらの機体を捉えて爆発した。

 山本は、再び機首を下げて、編隊に戻ると古代から通信が入った。

「山本、助かった。ありがとう」

 山本は、こそばゆい感覚を覚えていた。

「……いえ。当然の事をしたまでです」

 彼女は、こんな程度で心の奥底を揺さぶられてしまうなど、重症だと思ってため息をついた。この数年、古代を忘れようと努力してきた事が、こうも呆気なく元に戻ってしまうとは、予想だにしていなかった。

 古代からの通信は、続いて全機に向けて発せられた。

「……目標の敵戦闘機発着口まで、あと一分。各機、ここからは、編隊を一列にして突入体制に入る。出来るだけ編隊を乱さない様に注意してくれ」

 古代は、通信を切ると、今度はヤマトへと連絡をとった。

「古代より金田へ。間もなく目標座標だ。三十秒後に、主砲発射だ。用意してくれ」

「分かりました」

 ヤマトに居る金田は、既に、第一主砲の自動追尾を設定しており、発射指示を出せば、必ず命中する筈だった。

「主砲発射まで、あと二十秒」

 土方は、金田に低い声で言った。

「金田。この任務の成功は、その一撃にかかっている。外すなよ」

「……はい、分かっています」

 横に居た島は、笑顔を向けた。

「プレッシャーだな。頑張れよ」

 金田は黙って頷いた。

 自動追尾装置に頼っている為、外す事はありえない。それでも、この一発にかける皆の気持ちが痛い程伝わって来る。

「あと、十秒。九、八……」

 一方、古代たちは、編隊を一列に変更して旋回すると、正面に小惑星部を捉えて接近した。

「確かに、何も見えないね」

「本当に、あそこに発着口があんのか? 何も無ければ、皆あそこに激突してお陀仏だぜ」

 篠原と加藤が、とぼけた声を出している。

「真田さんの観測した結果を信じるしかない。行くぞ、あと五秒で主砲が発射される!」

 同じ頃金田は、カウントダウンを続けていた。

「四、三、二、一、てーっ!」

 その指示で、ヤマトの第一主砲は火を吹いた。螺旋状のエネルギーの束は、真っ直ぐに斜め上方へと突き進んだ。そして、古代たちの眼の前を通過すると、小惑星部の所定の場所へと命中した。

 そこでは、一瞬光を発すると、カモフラージュされていた戦闘機発着口が現れ、爆発した際の破片が飛び散っていた。そして、そこには戦闘機が充分に通れる位の穴が空いていた。

「たった今、侵入口を確認した! 各機、いつ閉鎖されるか分からない。速度を上げ、一気に通り抜けろ!」

 古代の機体の次には、篠原の機体、そしてその後には、山本と加藤の機体が続いた。もはや、あと十秒もすれば、その開口部へ突入する以外に、機体を旋回させるスペースがなくなる。そうしなければ、要塞都市帝国の小惑星部に激突してしまうだろう。

 しかし、今度は斜め下方から接近する敵機に、山本は気が付いた。接近する敵機は、先頭の古代の機体に散発的に機関砲を撃ち始めた。先行する古代は、もう回避する事が困難な位置だった。

「くっ……。古代さん!」

 山本は、小惑星部に激突する事も覚悟して、とっさの判断で機体を加速させ、自分の機体を古代の機体の下に重ねようとした。しかし、山本の機体の動きを察知した篠原が叫んだ。

「待て!」

 篠原は、編隊から僅かに離れると、山本の機体の前に出て、その進路を妨害した。

「篠原! どけ!」

「お前、死ぬ気かよ!?」

 古代もその動きに気付いて、慌てて言った。

「山本、篠原! コースを変えては駄目だ!」

 しかし、遂に敵機から放たれた機関砲の弾が、古代の機体にぱらぱらと当たり始めた。

「くそ……!」

 古代のかなり間近に、開口部が迫っていた。もはや、そこに飛び込む以外に道はない。古代は、撃墜されることも覚悟して、そのまま更に加速させた。

 篠原は、やむを得ず古代の機体の下に重なる様に急加速した。すると、機関砲の弾が、雨あられと篠原の機体に命中した。彼の機体は、右翼をもぎ取られて、バランスを崩して編隊から離れて行った。

「篠原!」

「しっ、篠原!」

 古代と山本の通信の呼び掛けに、篠原の返答が返ってきた。

「悪いけど、先に行っててくれ!」

 その通信が聞こえたわずか数秒後、篠原の機体は爆散した。その残骸は、小惑星部に激突して更に大きな爆発を起こした。

 山本は、真っ青になってその輝きを見つめていた。一瞬の事で、脱出したかどうかも分からなかった。

「篠原……?」

 彼女は、何が起きたのかすぐには理解出来なかった。そして、その爆発は、大切な仲間の命が一瞬で燃え尽きた事を意味していた。

「いっ、今、助けに行く! 篠原!」

 その時、加藤から通信機が割れる程の大きな声が届いた。

「止めろ、山本! もう時間がねぇ!」

「隊長! だって……」

「だってじゃねぇ!」

 古代も、ショックを隠しきれずにいたが、山本に声を掛けた。

「すまん、山本……! 今は、任務の遂行を優先させてくれ。篠原は、必ず捜索させる!」

 山本は、瞳から涙を溢れさすと、唇を噛んだ。

「わ、分かりました……」

 古代は、後方の山本が編隊に戻るのをちらりと確認すると、もう目の前に敵の戦闘機発着口の開口部が迫っていた。

「中に入ったら、二機編隊を組んで進め! 行くぞ!」

 コスモタイガーは、その穴に次々と飛び込んで行った。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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