宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲127 救出作戦Part5

 要塞都市帝国、司令制御室――。

 

「敵戦艦により、対空砲台が一基破壊されました!」

「東南地区の弾幕が薄い! 直ちに対応させろ!」

「戦闘機隊の攻撃で、敵戦艦一隻、離脱して行きます!」

 ゲーザリーは、立ったまま、部下の兵士たちの動きを見守っていた。正面の大スクリーンには、アンドロメダや、ミランガルなどの艦艇約十隻が要塞都市帝国下部に集結しており、一進一退の攻防が続いているのが見て取れた。

「ユーゼラーの艦隊はどうか?」

「現在、月軌道付近で、ガルマン帝国、及びガミラス艦隊との交戦は続いています。現時点で、我軍の方が優勢です。ナスカ艦隊も先程合流しております」

 ゲーザリーは、満足そうにしていた。

「やはり、有人艦隊の方が優秀という事か。当たり前の事ではあるが」

 その時、部下の一人が、彼の元に近寄った。

「ゲーザリー参謀長官、都市部の暴動の鎮圧が完了したと報告がありました。市民は、ほぼ、各自の居室に戻ったとの事です」

 別のスクリーンには、都市部で発生した暴動による火災の消化活動が行われている様子が映っている。

 また、別の部下の一人が近寄ってきた。

「参謀長官。地球人とガミラス人が、十数名、内部に侵入し、現在交戦中です。オートマタ兵に対応させておりますが、このままでよろしいですか?」

 ゲーザリーは、興味の無さそうな表情で応えた。

「たった十数名で何が出来る。そのままで構わん。兵士たちは、艦船格納庫で出航準備をさせておけ」

「はっ。承知しました!」

 ゲーザリーは、部下を下がらせると呟いた。

「そう。生きた人間の命は、出来る限り守らねばならないからな……」

 彼は、暗い笑みを浮かべて、スクリーンをじっと見つめていた。

 

 その頃、アンドロメダでは、山南は土方とネレディアと交信して戦況を共有していた。

「こっちは、主力戦艦二隻が敵の陽電子砲と攻撃機による攻撃で大破した。戦線を離脱させる。そちらは、どんな状況だ?」

「こちらは、駆逐艦の残存数は、四隻となった。月軌道付近でガトランティス艦隊と交戦中のバーガーも苦戦していると報告があった」

 山南は、苦々しい表情で土方を見た。そうしている間にも、アンドロメダは敵の攻撃で大きく揺れ続けていた。

「土方総司令、この調子じゃあ、あんまり長くは持ち堪えられそうもありませんね。敵の陽電子砲台も、いったいいくつあるのか、潰しても潰しても、なかなか攻撃が止みませんし」

 土方も、内心どうすべきか判断を迷っていた。しかし、今撤退すれば、人質救出に向かった古代たち航空隊への注意をそらすことが難しくなる。

「……もう少しだけ耐えるんだ。我々は、ぎりぎりまで、救出部隊を支援する」

「ですよね……。じゃあ、もうちょっと頑張ってみますか」

 ネレディアは、艦橋に居座っているケールにも苛ついていた。

「ここにいる、大使の秘書の話によれば、今のところ、作戦は成功すると見込んでいる。こやつの、予知能力とやらを信じるのであればな」

 ケールは、三人に向けて笑顔を振りまいた。

 それを見た山南はぼやいた。

「予知能力ねぇ……。だったら、俺たちがこの後も無事かどうか、教えてもらいたいもんだね」

 

 要塞都市帝国、メンテナンス用通路――。

 

 古代たちは、ネーラー大尉の手引で、メンテナンス用のハッチから中へ入った後、通路を暫く進んで、今度は、下へと続く狭い入口から梯子を降りていた。その梯子を降りると、かなり最下層へ近付くらしい。

 沢村は、下を見て怯えていた。

「こっ、古代さん! 高くないですか!?」

 沢村より先に降りていた古代も、下を眺めて見た。下には、ネーラーらが先行して降りているが、穴は何処までも続いており、いったいどれだけ降りれば良いかも分からなかった。

「そうだな……。あまり、下を見ない方が良いかもな。梯子だけを見て降りて行こう」

 その時、動きの止まっていた沢村の手に、別の航空隊の隊員の足が降りてきた。

「ちょっ……。おい、焦るなよ! まだ俺、降りてないから! 手を踏まれたら、落ちちゃうだろ!」

「あ、すいません!」

「勘弁してくれよ」

 古代は、苦笑いして、再び梯子を降り始めた。

 そうして、彼らは、数十分間も降り続け、ようやく下に辿り着いた。

 一行は、少し広い通路に出て、一度集まった。

「古代一佐。あちらへ向かいましょう。次は、エレベーターを使ってみるつもりです」

「エレベーターなんて大丈夫なのか? 見つかったら逃げ場が無い」

 ネーラーは頷いた。

「メンテナンス用のエレベーターですが、誰か居るようなら勿論使いません。その時は、非常階段を使います」

「ま、まだ下りるの? 流石に、さっきので疲れちゃったよ」

 ぼやく沢村に、ネーラーは少し笑っていた。

「私もです。エレベーターが使える事を祈りましょう」

 

 その頃、古代たちより遅れていた加藤やランハルトたちは、エレベーターを使って一気にかなりの階層を降りていた。そして、更に下行きのエレベーターを探して、通路を歩いていた。

 大胆なガミラス人部隊と共に、一行は先を急いだ。

「待て!」

 先頭にいるガミラス人士官が声を上げて、皆を止まらせた。

「どうした?」

「敵兵が前方にいます!」

 一行は、急いで一斉に来た道を戻って、通路の曲がり角に隠れた。

 山本と揚羽は、曲がり角で腰を落として銃を構えて並んだ。反対側の通路には、ガミラス兵たちが同じ様に並んで銃を構えている。

 そして、少し待つと通路に現れたのは、またしてもオートマタ兵だった。

 彼らは、一斉に銃撃を加えた。通路に居た十数体のオートマタ兵は、ばらばらになって崩れ落ちた。

 一行は、周囲を警戒しながら通路に出て、オートマタ兵が間違いなく破壊されたかを確認した。

 ランハルトは、オートマタ兵を眺めてぽつりと言った。

「ガトランティスには、こんな奴らしかいないのか?」

 山本も、腰を落としてその残骸を眺めていた。

「分からない。上の都市部の方を偵察した篠原の話では、民間人と思われる人々が多数いたと報告があった」

 そう言ってから、山本ははっとした。

 自分で篠原の名を出してしまい、途端に彼の事を思い出すと、再び山本は苦痛に襲われていた。

 突然苦しそうな表情を浮かべる山本に、ランハルトは声を掛けた。

「おい、山本一尉? 大丈夫か?」

 山本は、苦痛に顔を歪めて肩で息をしていたが、無理して立ち上がった。

「……行かなきゃ。早く、行かなきゃ……」

 ランハルトは、彼女の肩に触れた。

「落ち着け、ほんの少しだけでも、休んだ方がいい。深呼吸して、息を整えるんだ」

 山本は、その手を振り払った。

「私に触るな!」

 ランハルトは、驚いて手を引っ込めた。

 彼の表情を見た山本は、壁に寄りかかると、すぐに言った事を後悔していた。

「す、すまない。私は大丈夫だから、放っておいてくれ」

 しかし、彼女は次第に呼吸が困難になり、ぜいぜいと息を荒くした。

 ランハルトは、唖然として加藤と目を合わせた。加藤は、すまなそうな顔をして視線を合わせた。そして、彼も山本に声を掛けた。

「山本。大使の言う通りだ。ほんの数分でいい。落ち着いて息を整えるんだ。その様子じゃ、先に進むなんて無理だ」

 山本は、血相を変えて加藤に言った。

「駄目です! 一分一秒でも早くこの任務を終わらせないと……! そうしないと……! 篠原のところに戻らないと……!」

 加藤は、眉をへの字に曲げて、後ろ頭をかいた。

「……山本。篠原は、死んだ。奴は、もういないんだ。頼むから、目を覚ませ」

「違う! 彼は、脱出して宇宙を漂っている。早く迎えに行かないと、助からなくなってしまう……!」

 加藤は、どうしたものかと困り果てていた。揚羽やルカも、山本を心配そうに見つめている。

 ランハルトは、人目をはばからず顔を覆って泣き出した山本を見て、驚いていた。普段は強気でクールに振る舞う彼女が、こうまで感情を顕にしている。よほど、篠原という人物が、彼女にとって大切だったのだろう。

 ランハルトは、数年前の冥王星での事件の時の事をふと思い出した。医務室のベッドにいる彼女に付き添って、手を握っていた男がいた事を。きっと、あれがその篠原という人物だったのに違いない。

「山本一尉……。見たのか? その彼が脱出したところを」

 彼女は、ゆっくりと頭を振った。

「だが、お前は、奴が脱出していると信じているんだな?」

 山本は、小さく頷いた。

 それを見たランハルトは、目を閉じて、少しだけ黙り込んだ。そして、目を開くと、再び彼女に言った。

「ならば、篠原が生きているという事を、俺も信じよう」

 山本は、そこでようやく顔を覆っていた両手を離した。彼が次に何を言おうとしているのか、聞いてみようとしていたのだ。

 ランハルトは、話を続けた。

「俺たちは、ガミラス人として、イスカンダルの皇女たちを助けたいと決意してここへやって来た。しかし……。本音を言えばな、俺はユリーシャ様個人を助けたい一心でここに来た。彼女がもう死んでいるかも知れないとか、今はそんな事は一切考えていない。必ず、この手で救い出して、イスカンダルに連れて帰る。俺は、そうなると信じてここに居る。お前も、俺と同じだ。任務を終わらせて、大切な人と一緒に地球へ帰る。そうだろう?」

 山本は、ユリーシャや、メルダと三人で築いた絆を思い出した。彼女は、ユリーシャの事を思う事で、次第に落ち着きを取り戻し始めていた。

 火星で、サーシャを二人で助け出した時の事。そして、古代の結婚式の後の三人での宴。彼女を助け出さねば、永遠にそのような機会は失われてしまうだろう。篠原だけで無く、ユリーシャも、自身にとって大切な友人だった筈だ。

 山本は、落ち着いた表情で、ランハルトと視線を合わせた。

「……そういえば、あんたは、ユリーシャに好意を持っていると言って憚らなかったな」

 ランハルトは、苦笑いを浮かべた。

「ガミラス人なら、皆そうさ。だが、本人曰く、俺はタイプじゃ無いらしいがな」

 山本は、そのやり取りをしていた時の事を何となく思い出した。

「だが、そんな事は、どうでもいい。そもそも、今の俺では、彼女に釣り合う器では無いからな。でも、俺が、そう思っていると言う事が大切なんだ。誰かを大切に思う気持ちは、俺だけのものだ。俺は、間違っているだろうか?」

 山本は、頭を振った。

「いや……。嫌いじゃない。そういうの、私も良く分かるから」

 ランハルトは、山本に手を差し伸べた。

「なら、欲張って行こう。ユリーシャ様は勿論、スターシャ様やサーシャ様、それに星名と斉藤、それから桂木さんも。さっさと助けて、その後篠原も助けに行く。やれるか?」

 山本は、ランハルトの手を取った。

「勿論だ。情けないところを見せてしまった」

「知っている。お互い様だ」

 加藤や揚羽、そしてルカは、二人のやり取りをぽかんとした表情で眺めていた。

「見世物じゃない。先へ進もう」

 山本は、顔を赤らめて加藤たちの方に頭を下げた。

「ご迷惑を掛けました……。もう、大丈夫ですから」

 加藤は、真面目な顔になって、彼女に言った。

「さっきは、すまなかった。俺も、篠原が生きていると信じる。あいつの事だ。退屈で寂しがっているに違いねえ。とっとと、任務を片付けて、奴を迎えに行ってやろうぜ!」

 山本は、加藤の言葉に感謝した。

「はい……!」

 

続く…

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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