宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲 作:とも2199
要塞都市帝国最下層――。
脱出用宇宙船格納庫にいたミルやスターシャたち一行は、既に、科学奴隷の研究施設からは、数キロは歩いた地点にいた。脱出路を探しているも、なかなかそのような場所は見つけられなかった。
しかし、広く暗い闇の中で、そのような場所を探すのは困難だった。アナライザーは、先頭に立って、頭部の投光器を光らせて、道を照らしていた。
「特殊ナフィールドガ周囲ニ張ラレテイテ、センサーガ十分ニ機能シマセン。先程マデハ無カッタノデスガ……」
サーシャは、アナライザーの横に並んで歩き出すと、その頭部を撫でた。
「あなた、本当に役に立つのね。丸くて可愛らしいし、気に入ったわ」
アナライザーは、頭のメーターを色とりどりに輝かせて反応している。
ミルは、サーシャを心配して彼女の近くに移動した。そして、油断なく周囲の警戒をした。
「サーシャさん。あまり、前に出ないで下さい。何処から追っ手が現れるとも限りません」
「あら、心配してくださるの?」
その声に、サーシャの方を振り向くと、彼女は必要以上に彼の近くにいて、顔を寄せていた。慌てたミルは、少し後ずさると、小さく咳払いをした。
「も、勿論です。私は、あなた方を救出しようとしているのですから。万一の事があったら、困ります」
スターシャは、その後ろから、黙ってついて行っていた。横に居たユリーシャは、そっとスターシャに話し掛けた。
「お姉様。あの……」
スターシャは、ユリーシャの顔を眺めた。ユリーシャが、言い難そうにしている為、彼女は黙って待った。
「……サーシャお姉様との事なんだけど……」
スターシャは、ユリーシャが言わんとしている事を理解した。ギャラクシーで三人で会った時に、救済の為に、自らを犠牲にしたのに、当の指示をしたスターシャが救済の役割を捨てた事を非難され、互いに勝手にすると話した時の事を言っているのだろう。
「私たちが、仲違いしたと心配してくれているのね?」
ユリーシャは、こくりと頷いた。
「確かに、私もこのままじゃいけないとは思うけれど」
スターシャは、ミルと楽しそうに話すサーシャの姿を眺めた。
「サーシャに言われた事は、その通りだったから。私は、使命感に囚われ、大切な家族の命さえ蔑ろにして、それぞれの人生を台無しにしようとした。それに、サーシャだけでなく、あなたにも、同じ様に酷いことをしてしまったのだから」
ユリーシャは、頭を振った。
「私は、そうじゃないの。地球への旅や、その後のガミラスの人たちとの関わりは、私を大きく成長させてくれたから。だから、そんな風には思った事は一度も無いよ?」
スターシャは、にっこりと笑った。
「そう言ってくれると、私も少しだけ気持ちが楽になるわ」
スターシャは、もう一度、前を向いてサーシャの後ろ姿を見つめた。
「いつか……。時が解決してくれると思っているわ。もう一度、三人で笑い合える時が来ると、私は信じている」
ユリーシャは、姉の手に触れて微笑んだ。
「その為にも、どうしても、ここから出なければならないわね」
「きっと大丈夫……」
ユリーシャは、後に置いて来た星名の事を考えると、不安が頭をよぎった。
透子は、最後尾のゼール中佐と一緒に歩いていた。
「あなたって、奥さんや恋人はいるのかしら?」
ゼール中佐は、後ろを気にしながら歩いていた。
「いや……いない。軍で上を目指していた私には、なかなかその様な機会が無かったから」
透子は、笑みを浮かべた。
「そうだったのね。なら、軍務以外の事も考えられる様に、変えられるといいわね」
彼は、透子の正体を知った今、いったいどのように反応すれば良いか困惑していた。しかし、本人がまだ正体を明かそうとしていない。あまり、気にしない努力をする必要があった。
「……大帝。出口、見当たりませんね。今頃は、私の部下たちも、痺れを切らしている頃だと思います。通信機を使えば、現在位置を掴まれる恐れがあるので、使えませんし……」
ミルは、前を向いたまま、返事をした。
「だろうな……。こんなに時間がかかる想定ではなかった。君の部下たちも、捕まって無ければ良いが……」
その時、突然アナライザーが立ち止まって、頭のメーターを光らせている。
「どうしたの?」
サーシャは、アナライザーの頭部を覗き込んだ。
「脱出用宇宙船ノハッチガ開イテイマス。誰カ、出テ来ルヨウデス」
アナライザーの照らした先に、確かに宇宙船のハッチが開いている。そして、人影が動いているのが、近くに見えた。
「不味い……! 隠れろ!」
ミルがそう言った途端に、突然明かりがついた。
脱出用宇宙船格納庫は、明るく照らされて、遂にその全貌が明らかになった。そこには、信じられない程大きな戦闘艦と思われる宇宙船が影を落としている。そして、周囲を見回しても、隠れるような所が何処にも無い事も明らかになった。ミルと、ゼール中佐は、慌てて前に出て、スターシャたちを守る様に、その人影に対峙することにした。
「……誰だ?」
ミルたちが見守っていると、宇宙船のハッチから現れたのは、数十名の科学奴隷たちだった。様々な星系の様々な異星人たちだ。彼らの瞳は、虚ろだったが、それぞれ、おかしな笑みを浮かべてこちらを見ている。
ミルは、またこの表情か……と思っていた。
サーシャも、彼らを見て気が付いた。
「あら、あの方、ガミラス人じゃないかしら? でも、何だか様子がおかしいですわね」
科学奴隷の中には、明らかにガミラス人と思われる肌が青い種族が居たが、イスカンダル人の彼女たちを見ても、何の反応も示さない。
すると、その人垣が開くと、よく見知った人物が現れた。ミルは、目を見開いて、その人物を見た。
「母上……!」
そこに現れたのは、ミルの母、女帝ズォーダーことカミラその人だった。そして、彼女の両隣には、科学奴隷の筆頭たるサーダとシーラが現れて並んで立った。
「く、くそ……!」
ミルは、震える手で、銃をカミラに向けた。ゼール中佐も、同じ様に銃を向けている。
カミラは、それに気が付くと、大きな声で笑い出した。
「……な、何がおかしいんです!」
カミラの笑い声は、それでも収まらなかった。
「……ほほほ。ああ可笑しい。ミル。この私に、銃を向けるというの?」
ミルは、一歩前に出たカミラの胸に、照準を合わせた。
「母親のこの私を、あなたは撃てるのかしら?」
また一歩、カミラは前に出た。
「くっ……来るな!」
ミルは、怯えたように後ろに一歩下がった。
「大帝……!」
ゼール中佐は、カミラに銃を向けると、狙いをつけた。
「……ゼール中佐。君は、銃を下ろすんだ」
ゼール中佐は、不安そうな表情をしていたが、ミルにそう言われては、やむを得ず銃を下げるしかなかった。カミラが、ミルの母親だと言う事は、周知の事実だった。ミルを差し置いて、カミラを撃つべきかは、彼にも迷いがあったのだ。
しかし、そのミルは、皆を守る為に撃つしか無いのかと、震える手を押さえ、引き金にかけた指に力を込めた。
その時サーシャは、ミルに近寄って咄嗟に叫んだ。
「ミルさん! そんな事をしては駄目よ! あなたのお母様なんでしょう?」
ミルは、サーシャ方をちらりと見た。その彼女の表情は、必死だった。決して踏み越えてはいけない一線を止めようと、彼女はミルの銃を持つ手に自分の両の手を重ねた。
「こうすると、わたくしには分かるの。あなたは、とてもお母様を愛してらっしゃる。そんな事をしたいなんて、微塵も思っていない」
ミルは、手を震わせた。
「わ、私は……!」
サーシャは、思い留まったミルに、追い打ちをかけるように、優しく言った。
「わたくしもそう。死を覚悟した任務を命じるお姉様の事が、信じられなかった。お姉様がそんな事を言う筈がないと。でも、それでも……わたくしはお姉様を愛していた」
スターシャは、サーシャの告白を聞いて驚いていた。
「サーシャ……」
「いけません、お姉様! あちらに近寄っては危険です!」
ユリーシャは、前に行こうとするスターシャを抑えた。
サーシャは、ミルの瞳を覗き込んだ。
「愛する人を傷つけるなんて、一生後悔しますわ。あなたは、お優しい方ですもの。どうかお止めになって」
そして、彼の手を掴んだまま、ゆっくりと下に向けさせた。ミルは、穏やかな表情になって、サーシャを見つめた。
「サーシャさん……」
その様子を間近で見ていたカミラは、いらいらとした様子で、自らの銃を腰の後ろのベルトから取り出すと、素早くミルの額に向けた。
ミルとサーシャは、驚いた表情で、その銃とカミラを見つめた。その視線の先のカミラの顔は、暗く歪んでいた。
「ミル……。この私を裏切るとは、失望させられたわ」
「母上……!」
ミルは、起きている事が信じられず、目を見開いて、カミラの事を見つめた。
「……どうするの? 始末する?」
カミラは、ミルから目を離さずに言った。
それを聞いたサーダは、視線だけをカミラから、ミルたちの方へとゆっくり動かした。そうして無表情の仮面を外し、暗い笑みを浮かべた。
「……カミラ。彼はガトランティスを裏切った。もう、ここでは不要な存在」
カミラは、その言葉ににたりと笑った。
「では、死んで償いなさい。裏切者には、罰を」
そして、一歩前に進むと、銃口をミルの額に押し当てた。
真っ青になったミルは、母の残酷な一面に打ち震えた。
嘘だ……。息子である私を、躊躇なく撃てるというのか……?
ミルの脳裏には、優しかった頃の母の顔、そして楽しかった子供の頃の思い出が駆け巡った。
サーシャは、慌ててミルの前に立ちはだかろうとした。
「お止めなさい! あなたが銃を向けているのが誰なのか、よく考えなさい!」
カミラは、笑いを漏らすと、銃の引き金に掛けた指に力を込めた。しかし、その手は震えている。そして、たちまち苦悶の表情に変わっていった。
そして、カミラはミルにしか聞こえない、小さな声で絞り出す様に言った。
「……ミル。私を撃ちなさい。私が私であるうちに……。早く……!」
ミルは、一瞬見せた母の顔に、驚くと同時に、考えを巡らせた。
私が私であるうちに……とは?
その時、背後からサーダの声が響いた。
「カミラ。早く、始末なさい」
その言葉を聞いた途端に、カミラの表情は、再び冷徹な笑みを浮かべた。そして、銃を持つ手の震えが止まった。
ガトランティスは、暗黒星団帝国に操られている――。
ミルの頭には、ゼール中佐からもたらされた情報が頭に浮かんでいた。しかし、時すでに遅く、カミラの構える銃口は、確実にミルの眉間を捉えていた。ミルは、彼を庇おうと身体に被さってくるサーシャを無理矢理引き離した。
「危険です! 私から離れて!」
「ミルさん!」
「……!」
カミラは、苦悶の表情を浮かべて、再び動きを止めた。そして、懸命に銃を持つ手を、ミルから逸らそうとした。
その瞬間、銃声がこだました。
カミラの胸に、黒いしみが広がった。そして、手をミルに伸ばすと、その場に崩れ落ちようとした。彼女の背後には、銃を構えたサーダの姿があった。
「は……母上!」
ミルは、カミラの身体を抱きかかえると、膝をついて支えた。
「母上……」
カミラの胸から溢れ出る鮮血は、その命が急速に失われようとしている事を意味していた。彼女は、目を見開いた状態で、あらぬ方向を見ている。
ゼール中佐は、慌てて自身の銃をサーダに向けた。しかし、その瞬間、その場に居た科学奴隷たちが、一斉に銃を構えて、その銃口をゼール中佐に向けた。
「中佐。銃を捨てなさい」
「くっ……!」
ゼール中佐は、銃を右に左に向けるも、多勢に無勢で、とても勝ち目は無いと悟った。
その間、ミルは咄嗟にカミラの身体から流れる血を止めようと、胸に開いた穴に手を当てた。しかし、溢れ出る血は止まりそうも無く、後から後から流れ落ちた。
「母上……」
カミラは、息も絶え絶えの様子だったが、ミルに視線を向けた。
「許して……。私の大切なミル……」
カミラは、咳き込むと口からも血を吐いた。
ミルは、涙ぐんで彼女の身体を抱いた。
「それ以上、喋らないで、母上」
しかし、ミルは気が付いた。流れ出る鮮血に混じって、どす黒いオイルが流れ落ちていた。カミラの胸に開いた穴には、内部に機械が覗いている。
それを見た瞬間、ミルははっきりと悟った。
母上は、サーダたちが改造し、操っていたのか……!
ミルは、カミラを抱いたまま、憎々しげに、サーダとシーラを睨んだ。
「お前たち……! お前たちの仕業なのか!?」
サーダに代わって、今度はシーラが答えた。彼女も、無表情の仮面を外すと、嬉しそうに笑っていた。
「私は、あなたを大帝として招き入れる事に反対でした。カミラは、息子を取り戻すという意志が強く、その点だけは、制御出来なかった。あなたの事になると、カミラはまるで役に立たない。私たちとしても、もう不要になった、という事です」
ミルは、唖然としてシーラを見つめた。
彼女たちは、従順なふりをして、この国を実質的に支配している事を隠し通してきた。いったい、何の為に?
シーラは、手を振って合図した。すると、科学奴隷たちは、銃を向けて彼らを取り囲み、ミルとゼール中佐の銃を取り上げた。
「く、くそ……!」
ミルは、カミラを床に静かに寝かせると、仕方無く立ち上がって手を上げた。ゼール中佐も、同じ様にしていた。
「大帝……。このままでは……!」
「分かっている……」
カミラは、このままにしておけば、間もなく息を引き取ってしまうだろう。しかし、そろそろ、星名や斉藤たちが追い付いてくる頃だと、彼は考えていた。この状況を打開するには、その可能性に賭けるしかない。
他の科学奴隷たちは、イスカンダルの皇女三人に近寄ると、同様に銃を突き付けて手を上げさせた。そして、彼女たちを拘束しようと手錠をはめようとしていた。アナライザーは、大人しくしていたが、どうやって拘束したものか、科学奴隷たちも迷っているようだった。
ミルは、サーシャを拘束しようとする科学奴隷の一人に向けて叫んだ。
「乱暴に扱うな! 君たちにとっては、大事な人質なのだろう!?」
しかし、彼らは何も答えない。
サーシャは、自分を後ろ手に手錠をはめた科学奴隷に話し掛けてみた。
「……あなた、ガミラスの方でしょう? このような事は、お止めになって」
しかし、サーシャは、そのガミラス人が虚ろな表情で、反応がほとんど無い事に気が付いた。
「あなたも……改造されているの? 他の方々も?」
スターシャも、彼らの様子を確かめた。明らかに、虚ろな顔をしていて、自らの意思を感じられなかった。
「……どうやら、そのようね」
ユリーシャは、拘束されながら祈った。
「星名……」
必ず、星名が助けに来てくれると、彼女はそう信じていた。
そして透子は、同じ様に拘束されながらも、特に抵抗しなかった。しかしその瞳は、静かにサーダとシーラを見つめていた。
「遂に、正体を現したという事は、彼らの目的が達成されつつあると言う事ね……」
その時だった。
巨大な宇宙船の上から、二人の人物が、ワイヤーを伝って降りて来た。宇宙船に磁力でロックしたワイヤーが長く伸び、斉藤と星名が速い速度で降りて来た。
「お前ら、こっちだ!」
斉藤が、大きな声を出して、彼らの注意を引く。
それに気を取られた科学奴隷たちは、二人に向けて、銃を構えようとした。
しかし、宇宙船の上から、古代や加藤、山本たち航空隊のメンバーが銃を構えて彼らに狙いをつけていた。
「撃て!」
古代の命令で、航空隊のメンバーが一斉に発砲した。
科学奴隷たちは、次々に倒れて行く。
サーダとシーラは、慌てて宇宙船の下に入り、その銃撃を逃れたが、科学奴隷たちは、古代たちの攻撃でばたばたと倒れて行った。
その頃には、斉藤と星名は、ワイヤーを伝って床に降り立っていた。
「ユリーシャ!」
突然の星名の登場に、ユリーシャも色めき立った。
「星名!」
星名は、駆け寄る彼女を抱き止めると、油断なく周囲を見回した。
しかし、その時、走って来たサーダが、スターシャを捕まえて、後ろに下がって行った。
「お姉様!」
「くっ!」
星名は、銃を構えるも、スターシャに当たってしまう為、発砲する事が出来なかった。
斉藤は、まだ倒れていない科学奴隷たちを殴り付けると、次々に拳で倒して行く。
「撃ち方止め! 僕たちも下に降下する!」
古代は、そう命ずると腰のワイヤーパックからワイヤーを引き出すと、先端の磁力を開放して宇宙船に接続した。そして、次々に床へと降下して行った。
その頃には、ランハルトたちガミラス部隊も床を走って接近し、周囲を取り囲んで銃を構えた。
「貴様ら、大人しくしろ! イスカンダル人は返してもらう!」
ランハルトの叫びに、まだ無事だった科学奴隷たちも、その場で動かなくなった。ガミラスの兵士たちは、床に落ちていた科学奴隷の銃を蹴りつけて、彼らから遠ざけた。
しかし、その時、宇宙船のハッチの付近で、サーダはスターシャを捕えたまま、自分の銃を彼女のこめかみに押し当てた。そして、スターシャを盾にして、その場に立っていた。
その横に立つシーラは、特に焦った様子も無く、冷静に言った。
「そうは行きません。大人しくするのは、あなた方の方です」
床に降り立った古代も、そしてランハルトも、そちらを確認して銃を向けた。
「スターシャさん……!」
「貴様……!」
シーラは、余裕の笑みを浮かべている。
「たった一人の人質でも、あなた方は、躊躇してしまう」
宇宙船のハッチからは、今度は十数体のオートマタ兵士たちがぞろぞろと降りて来た。そして、並んで立つと、彼らに銃を向けた。
古代は、やむを得ず銃をおろした。そして、倒れたカミラに、ミルが付き添っているのを確認した。
「ミル。その人は、女帝ズォーダーと名乗っていた人だったな? 何があったんだ?」
ミルは、辛そうな表情で返した。
「この人は……私の母だ。あの女ども……暗黒星団帝国の手先に、母は改造され、操られていた。母を撃ったのも、そこにいるサーダだ」
古代は、敵がサーダと呼ばれる人物なのを知った。そして、スターシャに銃を突き付けているのが、その女である事を悟った。
「どういう事なんだ?」
揚羽に拘束を解かれた透子は、古代とランハルトのそばに近寄った。
「暗黒星団帝国は、千年も前からこれを計画し、ガトランティスを操って来た。私も、つい最近知ったのだけれども」
古代とランハルトは、彼女の方をちらりと見た。
「桂木さん。危険ですから、後ろに下がっていて下さい」
透子は、ふと古代に笑いかけると、片手を首筋に回して長い黒髪を広げ、もう片方の手で、首筋の装置に触れた。彼女の身体は、青白い光と共に、ちらちらとぶれ始め、本来の姿が顕になった。
透子の黒髪は、真っ白に染まり、眉毛や長いまつ毛まで、白く染まっていた。
その姿をミルも、古代もランハルトも、彼女の姿をかつて見たことがある人々は、一様に衝撃を受けた。
「あなたは……!」
ミルは、震える声で言った。
「サーベラー丞相……!」
透子=サーベラーは、にこりと笑って言った。
「私は、ガトランティス帝国の元丞相、シファル・サーベラーだ。これ以上、やつらに、ガトランティスを好きにさせる訳にはいかない!」
続く…
注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。