宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲130 暗黒星団帝国の真実Part1

 数時間前、惑星ファンタム――。

 

 シャルバートは、冷凍保存装置から、一人の人物を蘇らせていた。

 その初老の男性は、最後にシャンバルに代わって、冷凍保存装置に入ったという、イスカンダルの科学者の代表ダルメシアだった。

 二人は、部屋のテーブルの椅子にそれぞれつくと、シャルバートは、彼にお茶を振る舞った。恐れ多いと遠慮する彼に、シャルバートはお茶を入れたカップを渡すと笑顔を振りまいた。

 シャルバートは、彼にどうしても話しておかなければならない事があったのだ。

「お久しぶりね、ダルメシア」

 彼は、きょろきょろと辺りを見回している。

「シャルバート様。お久しぶりです。今は、いったい、いつになりますか?」

「あれから、約千年は経ってしまったわ。でも、あなたはあの時のまま」

 ダルメシアは、にこりと笑った。

「シャルバート様もですよ」

 シャルバートは、肩をすくめた。

「私の身体はもう無いわ。これは、イメージライフのものよ」

 ダルメシアは、その事に何の反応も示さなかった。シャルバートは、相手が驚いて理由を問い詰められるだろうと考えていたので、拍子抜けしていた。

「……ところで、私を起こしたのは何故でしょう?」

 シャルバートは、本題に入る事にした。

「あなた方が開発したコスモフォワードシステムだけど、実は盗まれてしまったの」

 ダルメシアは、今度は驚いた表情になった。

「いったい誰に……?」

「ガトランティス帝国よ」

 ダルメシアは、更に目を見開いて驚いている。

「なんと……!」

 シャルバートは、話を続けた。

「あなたを起こしたのは、その事を聞きたかったから。あの装置だけど、いったい何の役に立つものなのかしら? そもそも、それを調べようと地球人に貸し出した時に、奪われてしまったの」

 ダルメシアは、急に顔を伏せてしまい、その表情が窺えなくなってしまった。そして、身体を彼は小刻みに震わせていた。

「ダルメシア? どうかしたの?」

 ダルメシアは、まだ同じ姿勢になっており、身体の震えが大きくなっている。

「ダルメシア……?」

 彼は、ようやく顔をあげた。しかし、その表情は虚ろで、何を考えているか分からない暗い笑みを浮かべていた。

「我々は、目的を達成しました。これで、暗黒星団帝国の計画は成就するのです」

 シャルバートは、感情の無いその声に、驚いていた。

「な……何を言っているの?」

 ダルメシアは、今度は苦悶の表情を浮かべた。

「……シャルバート様。わ、私をイメージライフに移し替えるのです。あの端末に私を繋ぎ、『転送』と設定するだけです」

 突然、ダルメシアは、立ち上がると、シャルバートの首を締めた。

「ダ……!」

 シャルバートは、苦しそうに声も上げられなくなっていた。

 しかし、彼はその手を緩めると、テーブルの上のお茶の入ったカップを掴み、床に投げ付けた。陶器の割れた音が鳴り響くと、彼は、その欠片を掴んで自分の太ももに突き刺した。その痛みに、彼はうめき声を上げている。

「な、何を……!?」

 ダルメシアは、大きな声で叫んだ。

「早く! 私の意志があるうちに……!」

 ダルメシアは、シャルバートに端末の方へ向かう様に誘った。シャルバートは、何が何だかわからぬまま、彼に肩を貸して、別室の端末のある部屋に移動した。

 ダルメシアは、ヘッドセットを被ると、端末を起動し、シャルバートに説明した。

「メニューから、記憶転送を選択して、『転送』ボタンを押して下さい」

 再び、ダルメシアは苦しみ出した。そして、立ち上がってシャルバートの首を締め始めた。

 シャルバートは、そのまま息も出来ない状態で、端末のメニューを言われた通り操作した。しかし、首を締める力が増し、シャルバートは顔を真っ赤にして、端末の画面に表示された『転送』ボタンに指を伸ばした。イメージライフの身体が、精巧に作られている事を後悔しながら。

 そして、意識を失う寸前に、そのボタンに触れた。

 すると、突然彼の身体は、糸の切れたあやつり人形の様に、力無くそこに倒れた。

 装置は唸り続け、何かが動いている事は確かだった。

 シャルバートは、それを確認すると、しゃがみこんで咳き込んだ。彼女は、暫くそのような姿勢で息を整えていた。ようやく、息を整えたところに、部屋に誰かが入って来た。

 シャルバートは、それがダルメシアのイメージライフである事に気が付くと、再び襲われるのでは無いかと身構えた。

 しかし、ダルメシアは、深々とお辞儀をしている。

「シャルバート様……! 大変申し訳ありませんでした。もう、大丈夫です。私は、私の意思を取り戻しました」

 シャルバートは、訳が分からないといった表情で、床に倒れているダルメシアと、イメージライフとして新たに現れた二人のダルメシアに戦々恐々としていた。

 ダルメシアは、黙って倒れている自分の元の身体を探り始めていた。

 そして、身体をうつ伏せにすると、背中の中央の背骨の部分を強く押した。

「何を……やっているの?」

「まあ、見ていて下さい」

 すると、がちりと骨の折れる様な音がした。

 目を丸くするシャルバートの前で、ダルメシアは、元の自身の身体の腕を引くと、乱暴に頭部を引っ張った。

「や、止めなさい! そんな事をしたら……」

 ダルメシアの元の身体は、首の部分が抜けてしまった。

 悲鳴を上げて、顔を両の手で覆ったシャルバートに、ダルメシアは、優しく言った。

「驚かせて申し訳ありません。しかし、これを見て頂ければ、私が何に苦しんでいたのか、すぐにお分かりになるかと」

 シャルバートは、恐る恐る、両の手の指を広げて、何が起こっているのかちらりと見た。

 そこには、外れた首の部分の血溜まりから、内部にある精巧な機械部品が覗いている。

「……!?」

 ダルメシアは、自分も居心地が悪かった頭部を端末の影に隠し、その首の内部について指し示した。

「私は、このように身体を改造され、頭部を残して機械の体に置き換えられてしまいました」

 シャルバートは、震える声で言った。

「いったい何故? 誰にそのような、恐ろしい事を……?」

 ダルメシアは、ため息をついて言った。

「暗黒星団帝国です」

「……? あの、二重銀河で出会った?」

 ダルメシアは、静かに頷いた。

「そうです。覚えている範囲でお話しましょう」

 ダルメシアは、シャルバートを誘って、元の部屋のテーブルへ戻った。そして、散らばったカップの欠片を拾い集めた。シャルバートも、しゃがんでそれを手伝った。

「我々は、アンドロメダ銀河でガトランティス帝国に滅ぼされたという国々を訪ねた後、彼らを追って二重銀河に辿り着いた。両者の戦闘に巻き込まれ、我々の一部の船が彼ら暗黒星団帝国に乗っ取られた」

「覚えているわ。あの時、艦隊を危険に晒す為、乗っ取られた艦艇を私は処理する事にした」

 ごみの処理をした後、二人は再びテーブルの椅子に向かい合って座り、続きを話した。

「彼らのやり方は、まずは何らかの方法で意識を失わせた兵士の脳に、小さなチップを埋め込む。それが、脳を制御して強制的に意思を奪う。その後、そのような、兵士が増えたところで、今度は身体の改造施設を作り、頭部以外の身体も含めて、完全に乗っ取ってしまいます」

 シャルバートは頷いた。

「そうして、仲間を増やして行く。よく覚えているわ。とても奇妙だったし、恐ろしいやり方だと思っていた。でも、全て処理して、全滅させたと思っていた……。まさかあなたが、そうだったなんて……」

 ダルメシアは、改めて新しいカップをテーブルの上から取り出すと、もう一度シャルバートと自分に、ポットに入ったお茶を注いだ。

「シャルバート様、我々イスカンダル人に紛れ込んだのは、私が最後の一体でした。あの状態では、自分の本来の意思は、心の奥底に留められ、強い思いが無ければ、本来の自分の意思をあらわす事は出来なくなってしまいます。私は、それに負け、彼らの良いように私の科学者としての知識を利用されたのです。そして、あれを作ってしまった……」

「コスモフォワードシステム……ね?」

 ダルメシアは頷いた。

「前にもご説明した事がありますが、コスモリバースシステムは、過去のある時点を再現するものですが、あれは無数に分岐する可能性世界の、未来を確定させる技術なのです。つまり、簡単に言いますと、こうなって欲しい、と願う未来を、実現させる事が可能なのです」

 シャルバートは、その事に感心した。

「以前の説明より、分かりやすいわ。でも、そんな事、本当に可能なの?」

 ダルメシアは頭を振った。

「無論、簡単ではありません。コスモリバースシステムでも、惑星規模の多くの人々やあらゆる物の波動があって、初めて過去のある時点の再現を行う事が出来ます。未来ともなれば、それぞれの人々の行動次第で、無数の分岐する未来の可能性があり、その中から、一つの望む世界の再現など、普通の状況ではあり得ません」

 シャルバートは、頭を悩ませた。

「でしょうね。なら、あれを盗んだガトランティスは、何に利用しようとしているのかしら?」

 ダルメシアは頭を振った。

「それは、記憶が欠落しているのか、私も分かりません。しかし、千年も前から暗黒星団帝国が計画し、私にあれを作らせた。そして、ガトランティスにあれを引き渡した事で、何かが達成されようとしているというのは、私にも何となく分かります。彼らは、何か、恐ろしい企てをしているのだと思います。恐らく、ガトランティス自身も、私と同じ様に、暗黒星団帝国の意思に操られているのでしょう」

 シャルバートは、頭を悩ませた。

「彼らを、ガトランティスと、彼らを操る暗黒星団帝国を止めなければ、この宇宙に大きな災いを起こされてしまいそう……ってことね?」

 ダルメシアは大きく頷いた。

「そうですね。その可能性は否定出来ません。それに……。それだけではありません」

「まだ、何かあるの」

 ダルメシアは、言いにくそうにしていた。しかし、言わねばならないと決意し、口を開いた。

「我々のこの意識を箱に閉じ込め、イメージライフという入れ物に移す技術。これは、もともと暗黒星団帝国の物です」

 シャルバートは、また意味が分からなくなって首をかしげた。

「これは、私の母上たちが、コスモリバースシステムの開発で作り出した技術が元になったのでしょう?」

 ダルメシアは首を振った。

「箱に記憶を保存する技術については、その通りです。しかし、この身体、イメージライフという発想は、彼らの物です。彼らは、生身の身体に戻る技術を探していました。この技術も、その過程で生まれた派生物ですが、生殖能力も無く、彼らの中では失敗作だったのです。あくまでも、本物に限りなく似せた偽物に過ぎません」

 シャルバートは、真っ青な顔をして確認した。

「え……? 何を言っているの? あなた、本物の人間と見分けがつかないと言っていたわ」

「見た目は確かにそうです。肝心の、生殖機能が不完全な為、この身体では子孫を残すことが不可能なのです」

 シャルバートは、足元が崩れ落ちるような感覚を覚えていた。

 ダルメシアは口ごもった。しかし、最後まで話さなければならない。

「あの時、もっと別の方法もあったかも知れません。この惑星を飛び出し、ガミラス人たちの包囲網を逃れ、運が良ければ、一部の人々は逃げ延びられた可能性だってありました。にもかかわらず、私が私の意思を奪われている間に、皆さんをここに閉じ込める提案をしてしまった……。つまり、私たちを、この惑星で箱に閉じ込め、千年もここに留まらせたのは、暗黒星団帝国の意思で行われたことだったということです」

 シャルバートは、衝撃を受けていた。そして、立ち上がって大きな声を出した。

「そ……そんな! なら、私たちは、もはや人間とは言えない! せっかく生き残っても、なんの意味も無いじゃない! これを受け入れてくれた大勢の人たちに、私はなんと言って説明すればいいの!?」

 ダルメシアは、俯いていた。

「私の意志では無かったとはいえ……本当に申し訳ありません」

 シャルバートは、ふらふらとテーブルを離れ、呆然と部屋に整然と立ち並ぶ棚を眺めた。たくさんの黒い箱に納められた民の記憶の光。あの一つ一つには、生き延びる為に、いつの日か、元の生活に戻れることを信じて、シャルバートの話に耳を傾けてくれた。

 ガミラス人から逃れるには、これしか方法は無いと考えたあの日、あの時。苦渋の決断をして、すべての民にこの決断をのませたあの時。

 そして、その決断によって、一番大切だった人、シャンバルも失ったあの時……。

 

 シャルバートは、膝から崩れ落ちて、叫び声を上げた。それから暫くの間、部屋に長い長い叫び声がこだました。

 

 ああ……!

 私は取り返しのつかない決断をしてしまった。

 そして……シャンバル……!

 私の愛する人!

 彼も、その犠牲となってしまった。

 

 シャルバートは、怒りに打ち震えると、突然立ち上がって、部屋を出た。

「シャルバート様……?」

 ダルメシアが着いて行くと、シャルバートは端末に向かっていた。

「シャルバート様……。私は、大変申し訳が無いことを……」

 シャルバートは、端末を操作しながら言った。

「……分かってる。あなたのせいじゃ無いわ。暗黒星団帝国がやらせた事なんでしょう? 彼らが、ガトランティスを操って、盗んだコスモフォワードシステムで何かやろうとしているのが分かっているのなら、すぐに止めさせないと。絶対に彼らの好きにさせる訳には行かない」

 端末の画面には、月に秘匿した波動砲艦隊の自動航法システムの設定画面が映っていた。

 艦隊を連続ワープでガルマン帝国本星に向かわせ、そこでガトランティスに対して波動砲を敵が滅びるまで撃ち続ける。

 そのような設定を打ち込むと、シャルバートは、画面に映った命令実行のボタンを押そうとした。しかし、手が震えて、どうしても押せない。

「シャルバート様……」

「くっ……! テレザートの呪いよ。あの病が、私に戦いを拒否させる……!」

 シャルバートは、端末の乗ったテーブルを叩いた。そして、ダルメシアをちらりと見た。

「あなたにも、出来ないかしら」

 ダルメシアは、頭を振った。

「無理です。イスカンダルの王族の方々にしか、その操作は認証出来ないようになっています。この仕組みを改修するにしても、すぐには出来ないでしょう」

 シャルバートは、頭を巡らせて考えた。そして、出来る人物を一人思いついた。

「サーシャ……。彼女なら出来るわ。千年後のイスカンダルの王族の子孫。彼女なら、この呪いの影響は私たちほど強くは残っていない」

 

 サーシャは、ゲールの次元潜航艦で、シャルバートからの通信を受け取っていた。

「澪ちゃん、どうしても駄目なのかしら」

 新見薫は、彼女に付き添って、ガミラスの兵士に、艦の通信室へと案内されていた。

「シャルバートさんは、私とだけ話したいって言うから」

 新見は、仕方無く通信室から出ると、最後に言った。

「一人で考えなくてもいいのよ。あの人、何を考えているか分からない所があるから」

「薫ママ。大丈夫だよ。その時は、呼ぶから」

 不安げな新見は、ためらいながら、部屋を出て、扉が閉まった。

 サーシャは、一人小さな通信室の座席に座ると、スクリーンの向こうのシャルバートに言った。

「これで、私一人だよ」

 シャルバートは、笑顔で彼女を迎えた。

「ありがとう」

 サーシャは、首をかしげた。

「それで、何の用なの?」

 シャルバートは、慎重に言葉を選んだ。

「あなたのママ、今はどうなったのか気になってね。あなた、何か知ってる?」

 サーシャは、記憶を辿ってから話した。

「この船のゲールに、さっき聞いた話だと、ママたちを助けようと、今、皆が頑張ってるって。でも、大変みたい」

 シャルバートは、嬉しそうに微笑んだ。

「でも、良かったじゃない。もうすぐ、ママに会えるわね」

 サーシャは、頷いた。

「うん。私も、そう思って薫ママたちと祈っているの。ママが助かりますようにって」

 シャルバートは、更に慎重になった。

「実はね。私にも何か出来ないかなって、今思っているの。私たち、あなたのママにイスカンダルに連れて行ってもらいたいから。それでね、私たちの船を、その戦いに何時でも駆け付けられる用に、準備だけでもしておきたいの」

 サーシャは、嬉しそうにしていた。

「ありがとう、シャルバート。でも、きっと大丈夫だよ?」

 シャルバートは、それでも食い下がった。

「でも、皆にもしもの事があったら、困るでしょう?」

 サーシャは、頭を悩ませた。

「うん……。そんな事無いって思ってるけど、ほんとはね、ちょっと不安なの」

 シャルバートは、その返事ににっこりと笑った。

「だからね、念の為、準備だけはしておかない? 簡単よ、今から映す画面のボタンを押すだけ。そうしたら、何時でも、私たちの船が皆のお手伝いが出来るから」

 サーシャは、頷いた。

「ボタンを押すだけ? なら、いいよ」

 シャルバートは、にっこりと笑った。

「これよ。右下の、命令実行と書いてあるボタン。それを押して」

 スクリーンには、シャルバートの姿に代わって、先程の端末の画面がリモートで映し出された。

「これ?」

「そうよ。押してもらえる?」

 サーシャは、そこに書いている文字を少し読んだ。

 連続ワープで、船をガルマン帝国本星付近に移動というのが、最初の方に書いてあった。サーシャは、首をひねっていた。

 ボタンがなかなか押されず、シャルバートは少し焦っていた。

「……大丈夫よ。準備するだけだから」

「うーん、分かった!」

 そう言うと、ボタンに指を触れた。

 すると、音声が画面から聞こえて来た。

「命令は、承認されました」

 画面が切り替わると、再びシャルバートの姿が映し出された。

「ありがとう……。じゃあ、通信を切るわね」

 そう聞こえると、スクリーンは突然、何も表示されなくなった。

 サーシャは、一人頭を悩ませた。

「?」

 

 通信を切ったシャルバートは、疲れ切って端末を前に突っ伏していた。

「これで……奴らの企みはお終いよ。サーシャには悪いことをしたけれども」

「シャルバート様……」

 ダルメシアは、酷く項垂れていた。シャルバートにも、もうそんな彼を気遣う気持ちの余裕は無かった。

「もう、私は疲れてしまったわ」

 シャルバートは、この後、自らの記憶の箱を壊して全てを終わらせようと考えていた。

 そうすれば、シャンバルの元へと行ける……。

 

 ゲールは、その時惑星ファンタムの月に、異常が起こっている事を探知したと報告を受けていた。

「なっ、なんだ? 何が起こっておるのか?」

「少将、見て下さい!」

 ゲールは、スクリーンに映った外の様子を眺めた。

「なっ……!?」 

 その時、月に大きく無数の線が走ると、ばらばらに分解して行った。そして、その中から、多数の宇宙船が現れていた。

「見たことの無い船です。艦種識別不能、数、約五百! 艦首に地球艦隊の戦艦の様な、大きな砲門を備えています」

 ゲールは、その船の意味する事を悟った。

「ま、まさか……。イスカンダルの波動砲艦隊なのか?」

 その艦隊は、エンジンを始動すると、一斉に動き出した。そして、どんどん月軌道を遠ざかると、ワープして消えて行く。

 ゲールは、おろおろとその様子を見つめた。

「いったい、何処へ行くというのだ……?」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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