宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲144 最後の戦いPart1

 それから――。

 

 ムサシの艦橋にいた桐生美影は、やって来たヤマトの乗組員を、敬礼して歓迎した。

「真田さん、ムサシの重力制御は、皆さんが戦っている間に、回復させておきました。磁力ブーツも、もう必要ありませんから」

 真田は、にこやかに彼女に頷いた。

「助かる。これから、ピストン輸送で、コスモリバースシステムを動かす為に必要な要員を、一部ヤマトからこちらに移す。磁力ブーツは必要ないと伝えておこう」

 桐生は、ムサシの技術科の座席に陣取って、準備を始めた真田の背後から話しかけた。

「真田さん、上手く行くって確信があるんですか?」

「そんなものはないさ。奇跡を期待する非科学的な要素も多い。どのみち、誰も成功する確率の高い、打開策を見いだせなかった。しかし、その中でも、賭けてみる価値のある策だった。それだけだよ」

 桐生は、艦橋の窓の外に、大きく見えるテレサの像を眺めた。

「本当に、あの人は、コアになるって言ったんでしょうか?」

 真田は、少し手を止めて、桐生と同じように、窓の外を少し見た。

「確認したよ。明確に、古代にそう言った訳では無いそうだ。多分、この世界の出来事に明確な意図をもって干渉出来ない理由があるのだろう。思えば、前のガミラスとガトランティスの戦争の時もそうだった。雪が、自分たちがやるべきことに気付くまで、彼女は明快な意志をもって干渉をしなかった。結局、これは古代という人物の資質、異星人とも、必ず分かり合えるという、彼の思想が招き寄せた解なのだろう。これでも駄目なら、仕方無いと、みんな納得するしかない」

 

 デウスーラは、少し浮上して、いつでも通常空間へ出られる準備をしていた。

 タランは、作業を進めながら、デスラーに再びぼやいていた。

「また、無茶な依頼で困ります。もし、失敗したら、この艦は大きな損傷を負ってしまうんですよ?」

 デスラーは、小さなサーシャと手を繋いだまま、にやりと笑っている。

「だが、君なら上手くやれる。私は、これでも君のことを信頼しているんだよ?」

「それは、知ってます」

 デスラーは、苦笑していた。

「なら、大丈夫だろう?」

 小さなサーシャは、笑顔でタランに言った。

「タランのオジサンなら大丈夫!」

 タランは、苦笑いで答えた。

「これは、これは。では、お二人の信頼に答えなければなりませんね」

 艦橋の少し後方では、天井の潜望鏡へ至るラダーが降りていた。そこには、武装したガミラス兵たちが集結し、装備の確認を行っている。

 その近くに待機してたシャルバートは、イスカンダルの皇女たちと話をしていた。

「私が、行って止めてきます。私が起こしたことですから、私が終わらせなければ」

 そう言うシャルバートの表情は硬かった。彼女は、責任を深く感じており、暗い顔をしていた。

「駄目。こういう時こそ、他の人を頼るべき」

 ユリーシャは、そんな彼女の肩に触れた。そして、スターシャとサーシャの方を向いた。

「スターシャ姉様、サーシャ姉様。私、シャルバートに協力してくる」

 ユリーシャに付き添っていたランハルトは、困惑して言った。

「な、何を言っているのですか。そんな危険にあなたが、飛び込む必要はありません」

 スターシャも、不安そうな表情をしていた。

「ユリーシャ。ランハルトの言う通りよ。危険だわ」

「そうよ。一人でやれることでしょう? どうして、あなたが、行かなければならないの?」と、サーシャ。

 ユリーシャは、三人のイスカンダル人のそれぞれの顔を見つめた。

「私にも、出来ることがきっとある。だから行ってくる。今、私に出来ることを。私にしか出来ないことを」

 シャルバートは、ユリーシャの手を振りほどいて言った。

「今のあなたたちには、責任の無いことよ。だから、気にする必要は無いわ」

 ユリーシャは、頭を振った。

「私たち、イスカンダル人は、長い年月、帝国時代の贖罪にすべてを捧げて来た。その過去の忌まわしい歴史に、終止符を打つ時が来たんだと思う。それが、今、私たちの手で出来るんだよ?」

 スターシャは、そう言われて、何も言い返せなくなっていた。確かに、その通りかも知れない。ユリーシャに気付かされ、スターシャは考え込んだ。

 スターシャは、ふうと息を吐き出した。

「そう……そうね。あなたの言う通り……。分かったわ、ユリーシャ。でしたら、私も行かなければならないわね」

 それには、ユリーシャとサーシャも目を丸くした。

「お姉様……」

 スターシャは、シャルバートと、ユリーシャの手に触れた。

「私は、一方的に、イスカンダルの贖罪に終止符を打つと宣言した。でも、本当はまだ終わっていなかった。あなたの言う通り、今度こそ本当に、終わりに出来る気がします」

 スターシャは、ユリーシャだけで無く、サーシャの方も交互に見た。

「サーシャ、そしてユリーシャ。二人には、贖罪の役割を背負わせて地球へ行かせ、辛い思いをさせてしまった。ギャラクシーであなた方に言おうとして言えなかったのだけれど、今度こそ、ちゃんと謝らせて。本当に、ごめんなさい」

 スターシャは、二人に頭を下げた。

「お姉様……」

 ユリーシャは、スターシャに頭を上げるように言おうと思ったが、思い留まった。そもそも、この件は、サーシャとスターシャの間で、わだかまりがあったことだ。

 サーシャは、複雑な表情をして、スターシャの下げた頭を見つめていた。

「もう止めて、お姉様」

 サーシャは、口を尖らせて言った。

「わたくしは、一度火星の地で死んだ。こうして、今、二人に会えたことは奇跡みたいなもの。わたくしは、お姉様に、一言労いの言葉をかけて欲しかった。ただ、それだけなの……」

 スターシャは、頭を上げてサーシャの顔を見ようとした。しかしサーシャは、スターシャと目を合わせず、他の方向を見ている。

「サーシャ……。そうね。私は、一番にそうしなければならなかったのに。私が、間違っていた」

 サーシャは、口を尖らせたまま言った。

「わたくしも、お姉様が、子供のことや、アベルト兄様のことを大切にしている気持ちは、見ていて理解したつもり。羨ましいって、そう思っていただけですの。わたしくも良い人、早く見つけたいですわ。その為にも、こんなことを、終わらせないと。ですから、わたくしも一緒に行かせて頂きます」

 ユリーシャは、スターシャとサーシャが、ようやく和解出来たことに安心して、目を潤ませた。

「良かった……。お姉様!」

 ユリーシャは、まだ微妙な距離感のあった二人に抱き着いた。

「ユリーシャ」

「どうしたの、急に」

「ううん。また、三人で仲良く出来るかなって思って、嬉しくなっちゃった」

 ランハルトは、微笑んでユリーシャの様子を眺めていた。そこで、ふと気が付いた。

「ユリーシャ様」

 ユリーシャは、はっとして二人から離れた。

「な、何? ランハルト」

 ランハルトは、優しく彼女に言った。

「やっと、皆さんの気持ちが一つになったのではありませんか?」

 そう言われて、三人の皇女たちは、互いの顔を見合わせた。

「そう……、そうかも知れない。テレサも来てくれた今なら……」

 ランハルトは、潜望鏡のラダーの所に集まっていた兵士の一人に声をかけた。そして、無理矢理装備を譲り受けていた。

「仕方ありませんね。あなた方まで行くと言うのならば、俺も行かない訳にはいきません。お供しますよ、スターシャ様、サーシャ様、それから……ユリーシャ様」

 そこまでのやり取りを見守っていたシャルバートは、寂しそうに薄く笑っていた。

「ガミラス人と、イスカンダル人が、こんなにも仲良く出来る未来があったなんてね。私たちが生きていた時代……。あれは、何だったのかしらね」

 スターシャは、微笑んだ。

「仕方ないわ。誰だってその時代に翻弄されるもの。その時の常識に縛られるのは、今だって同じことよ。私だって、ほんの何年か前まではそうだった」

 シャルバートは、その言葉を咀嚼して、自分を納得させようとした。それでも、彼女の生きた時代の運命は、彼女を弄び、大切な人を失わせた。

「とにかく、この責任は、私が取る。あなた方に、迷惑をかけるつもりはないわ」

 その瞬間、三人のイスカンダルの皇女たちは、憤慨して言った。

「駄目よ。これは、イスカンダル人皆が負うべき責任だから」

「そうそう、お姉様の言うとおりですわ」

「だから、私たちも、手伝わせてもらいたいの」

 シャルバートは、不思議そうに、三人の皇女を見つめた。

 こんな風に、私にも出来たのだろうか。戦いに明け暮れたイスカンダル帝国では、家族はお世辞にも仲が良かったとは言えなかった。

 

 ミルの乗ったガトランティスの巡洋艦でも、これから行う作戦の準備に追われていた。

 艦長を務めるゼール中佐は、ぼやいていた。

「この取り返しの出来ない状況を、本当に覆そうとするとは……。信じて、いいのでしょうか?」

 ミルは、ふと笑った。

「だが、上手く行けば、ほんの少しでも、皆に申し訳が立つというもの。私も、出来ることを手伝いたい」

 そんな彼らの横では、ネーラーたちは、白兵戦の準備をして、装備を確認している。

「私も一緒に行こうか」

 ネーラー大尉は、ミルに言い返した。

「こんな仕事は、我々にお任せを。それよりも、通常空間に戻ったら、我が艦隊の提督たちにも、協力を呼び掛けて頂けませんか?」

 ゼール中佐も、それには同調していた。

「ユーゼラー提督や、ナスカ提督たちは、まだ何が起きているか、ちゃんと認識していないでしょう。大帝が呼び掛けて、本当の意味で、この戦いを終わらせましょう」

 ミルは、ガトランティスへの反逆に協力してくれた彼らへの感謝で、胸がいっぱいになっていた。

「そうだな。分かった。やってみよう」 

 

 その頃、古代と島は、ムサシの第一艦橋に雪と美雪を連れてやって来た。

 土方は、ヤマトから降りず、古代に、この作戦の全権を移譲していた。その為、ムサシの指揮も、古代が取ることになっている。

「じゃあ、俺はムサシを動かすから。後は頼んだぜ、古代」

「ああ。頼む、島」

 島は、軽く敬礼のポーズを決めると、すぐに操舵席へと向かった。

 雪は、古代の背にそっと触れた。

「それじゃあ、私はレーダー手をやらせてもらうから。艦長、頑張ってね?」

「パパ、ガンバ!」

 美雪も、舌足らずな声で古代の足元で言った。

 雪が、敬礼のポーズをとると、それを美雪も真似してこめかみに手を伸ばしている。

「二人とも、ありがとう」

 本当は、ゲールの次元潜航艦へ、雪と美雪を戻すべきかと思っていたが、雪に強く反対されていた。何があっても、三人一緒の方がいいと。

 古代は、にこやかに敬礼を返すと、すぐに艦長席に向かった。

 すると、真田が古代に声をかけた。

「古代、桐生くんが、コスモリバースシステムの制御室に待機して、起動準備をしてくれている。私の方は、技術科のメンバーと、超巨大戦艦に乗り込んで、ネットワークの接続作業の指揮をとる。戦術科から護衛の選抜をしておいてくれないか?」

「僕が、真田さんにお付き合いしますよ」

「艦長自らかね?」

「ムサシを接舷させたあとは、私がやることはありませんから」

 真田と古代は、顔を見合わせて互いに笑顔になった。

「分かった。頼んだよ、古代」

「ええ、こちらこそ」

「通常空間の状況を報告しておこう。既に、二分の一程度の速度で時間が流れている。予想通り、少しづつ、元に戻り始めている。恐らく、残り時間はあと三時間。上手く行けば、充分に間に合うだろう」

「真田さんのやることですから、信頼していますよ。あとは、テレサ次第ですが」

 真田は、口元を緩めて、古代の方を見ていた。

「きっと上手く行く。お互い、作戦が成功することを祈ろう」

 

 土方は、ヤマトの艦長席で、報告を聞いていた。

「戦闘空母ミランガル、空母ランベアともに、発進準備完了したそうです」

「ガルマン帝国艦隊、及びガトランティス艦隊も、発進準備完了しました」

「デスラー総統から入電!」

「スクリーンに出せ」

 ヤマトの大スクリーンに、デスラーの姿が映った。

「土方総司令。作戦通り、我々は、これよりイスカンダルの波動砲艦隊に乗り込む」

「艦隊の司令船は、判明したんですか?」

 デスラーは頷いた。

「タランが、艦隊全体への指揮命令を出している艦を特定した。彼の仕事に、間違いはない。この通信が終わり次第、デウスーラは通常空間へ出る」

 土方は、デスラーに敬礼した。

「デスラー総統。ご武運を祈ります」

「なに、私の船は戦う訳じゃない。君の方こそ、充分に気をつけるがいい。成功を祈る」

 通信が切れると、ヤマトの上方にいたデウスーラは、徐々に浮上して行く。

「よし、本艦は、ムサシと共に行動する。予定した座標に移動した後、次元潜航艦に牽引の依頼をしてくれ」

 土方は、通信マイクを掴んで、全艦に連絡を入れた。

「これより、予定通り作戦行動に入る。各艦、通常空間に出たら、直ちに超巨大戦艦の舷側に接舷し、あの防御システムの内側に入り込む。それぞれ、白兵戦の準備をして、内部への侵入を行って頂きたい。デスラー総統のデウスーラには、我々とは別行動で、波動砲艦隊の動きを止めて頂く。以上、作戦の成功を祈る!」

 

 タランは、土方の通信を受けて、艦内に命じた。

「本艦は、これより一足先に作戦を開始する。予定の座標に浮上開始!」

「了解、次元タンクブロー」

「次元深度、三十……二十五」

「潜望鏡で目視確認。浮上予定座標、微調整」

「イスカンダル艦隊司令船の動きに同調」

 タランは、冷や汗をかいて、部下の操艦を見守っている。

「慎重にやってくれよ」

 タランは、自ら潜望鏡を覗いて、確認した。

「よし、その位置で、司令船の座標に同調、位置固定!」

 タランは、冷や汗を拭うと、デスラーに報告した。

「予定通り、イスカンダル艦隊司令船内部に、潜望鏡のハッチ部分だけを露出しました」

 デスラーは、当然と言わんばかりに頷いた。

「さすがだね。良くやってくれた」

「さすがだ、タランのオジサン」

 小さなサーシャは、デスラーの真似をしている。

 デスラーとタランは、ふと笑ってしまっていた。

「ありがとうございます」と、タラン。

 デスラーは、通信マイクで、艦橋の真上の潜望鏡設備にいるメンバーに声をかけた。

「スターシャ。準備が出来た。くれぐれも、気をつけてくれ。ランハルト、スターシャたちの護衛を頼む」

「分かったわ」

「了解した」

 

 ムサシとヤマトは、発進準備が完了し、フラーケンとゲールの次元潜航艦が、艦体下部から押し上げ始めた。

「次元深度、五十、四十五……」

 島は、ムサシの舵を握り、通常空間へ出るタイミングを睨んだ。あと、僅かで到達する。

「古代。ムサシは、浮上後、直ちに超巨大戦艦の位置を特定し、ロケットアンカーを撃ち込む。ロケットアンカー射出用意!」

「次元深度、二十、十五……」

 島は、前方の風景が変化し、通常空間へと露出を始めたのを確認した。

 真田は、超巨大戦艦への潜入の準備の為、座席から立ち上がった。

「古代、通常空間に出れば、時間の流れが遅くなる。しかし、これはあくまでもこの異次元空間との相対的なものだ。通常空間に出た後は、それが起きていることも我々には分からないだろう。タイムリミットにだけは注意しておいてくれ」

「分かりました。接舷したら、僕もすぐに行きます」

「分かった」

 真田は、いそいそと、艦橋を出て行った。

 雪は、通常空間に出て、機能の回復したレーダーチャートを確認した。

「超巨大戦艦、予定通り本艦の真横、約十メートル!」

 古代は、島に指示をした。

「ロケットアンカー、照準合わせ! ヤマトの主砲発射を確認した後、射出! 命中したら、直ちに鎖を巻き上げて接舷する!」

「了解!」

 ヤマトは、ムサシの斜め上方に同時に浮上していた。金田は、古代の代わりに戦術長の席につき、主砲の発射準備を進めていた。

「通常空間に戻り、波動エンジンの正常稼働を確認。主砲、いつでも撃てます!」

「一番、三番主砲発射用意! 目標、超巨大戦艦接舷予定座標! 三式弾装填完了!」

 ヤマト前部と後方の主砲がそれぞれ旋回して横を向き、ムサシの接舷予定位置へと照準を合わせた。

「砲撃開始!」

「了解、うちーかた始め!」

 土方の号令で、金田は主砲を発射した。

 至近距離で発射された三式弾の砲弾は、ムサシの間をすり抜けて超巨大戦艦の舷側に命中すると、その装甲にめり込んだ。その直後、砲弾は大爆発を起こし、舷側に大きな穴を開けた。

 ムサシでは、その瞬間を待っていた島が、命令を下した。

「ロケットアンカー、射出!」

 ムサシの舷側から発射されたロケットアンカーは、至近距離で超巨大戦艦の舷側にめり込んだ。

「錨あげー!」

 ムサシは、するすると超巨大戦艦の舷側へとあっという間に接舷した。

「接舷成功!」

 そのムサシの舷側に、同じようにヤマトも接舷した。

 土方は、通信マイクを掴んで連絡した。

「超巨大戦艦への取り付きに成功! 航空隊のメンバーは、白兵戦の用意をして、内部に侵入を開始! 本艦は、波動防壁を展開し、ムサシの盾になる!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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