宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲145 最後の戦いPart2

 超巨大戦艦内部――。

 

 サーダは、コスモフォワードシステムの起動後、その様子を確認しに、格納室を訪れていた。コスモフォワードシステムは、なんの物音もせず、完全に沈黙していた。装置を稼働させる為に配置したオートマタ兵らも、することがなくなり、電源が落ちたかのように、動かなくなっていた。

 サーダは、ぽつんとその場に立ち、火の消えたコスモフォワードシステムの前に佇んだ。

 

 逝ってしまったのだな……。

 

 サーダは、装置を見つめて、役目を果たしたシーラの生きた証だった光が消えているのを確認した。

 コスモフォワードシステムの周りに置いていた多数の黒い箱。その光も、既に消えていた。暗黒星団帝国のかつての仲間たち。それは、皆が渇望していた故郷の大切な記憶の集合体だった。この時の為に、ここに用意していたものだ。

 予想通り、シーラの旅立ちと共に、一緒に逝ってしまったのだろう。

 サーダは、寂しさにうち震えていた。

 

 コスモフォワードシステムの稼働を確実にする為にも、本当は、自分が逝くつもりだった。瀕死となってしまったシーラが、その自分の決意を揺るがせた。

 これで、私も一人ぼっちとなってしまった。

 遠い二重銀河で待つ、仲間たちは、この作戦の成功を祝ってくれるだろうか?

 しかし、彼女の胸中は複雑だった。

 それは、古代に言われたことのせいだった。

 本当に、私は自分の意思で、これまでのことをやっていたのだろうか?

 もはや、それを確かめる術は無い。

 そして、間もなく、別の宇宙の銀河が現れ、命を落としてしまうかも知れない。

 もし、古代の言うように、あの敵の策略に落ちているとしたら、取り返しのつかないことをしてしまったことになる。

 だが、それももう過ぎたこと。

 

 その時、小さな振動音が響いた。オートマタ兵たちは、音に反応したのか、急に息を吹き返したように、動き出した。

「何ごとだ!」

 オートマタ兵の一体が、サーダに報告した。

「異次元空間ヨリ、複数ノ艦船ガ現レマシタ。本艦ニ接舷シテイマス」

「何だと!?」

「侵入者デス。侵入者警報ガ発令サレマシタ」

 超巨大戦艦の艦内に、警報が鳴り響いた。

「異次元からだと……。防御システムの内側に入り込まれたのか!? 現在位置を特定して報告しろ!」

「……」

 報告をしていたオートマタ兵は、黙り込んでいる。

「どうした、直ちに報告しろ!」

「五箇所デス。両舷に三箇所、艦底部に二箇所」

 サーダは、青くなって言った。

「端末に映像を出せ!」

 コスモフォワードシステム格納庫に設置された端末の一台に、五箇所の分割された映像が表示された。

 映像には、ヤマトやアンドロメダ、ガミラス、ガルマン帝国、ガトランティスのそれぞれの艦船が接舷している様子が映っていた。砲撃により、穴を開けられ、そこから宇宙服を着た人々が入っていく様子が映っている。

「隔壁を閉鎖! 武装したオートマタ兵を、各個に配置急げ! 取り付いた艦船には、艦載機を出して、攻撃させろ!」

 サーダは、考え込んだ。

 もう、次元の裂け目が生まれ、コスモフォワードシステムも起動した。センサーによる観測によれば、予定した通り、別の銀河が裂け目から現れようとしていることも判明していた。観測した結果によれば、銀河がこちらに現れるのは、もうあと僅かな時間だった。

 この状況で、本艦に攻撃を加える意図が、彼女には分からなかった。

「悪あがきしているだけなのか、それとも、こんなことを仕出かした私に、最後に復讐するつもりなのか」

 だが、考えるだけ無駄だ。間もなくすべてが変わる。もう、どうでもいいことだと、彼女は暗い笑みを浮かべた。

 

 デウスーラの潜望鏡設置のハッチから、ガミラス兵たちは、一斉に飛び出した。そこは、イスカンダルの波動砲艦隊司令船の内部だった。艦載機の格納庫と思われるそこは、タランが選択した、比較的艦内でも広い空間だったのだ。

 ガミラス兵たちは、そこにいたイスカンダロイドを確認すると、銃撃を浴びせていく。破壊されたイスカンダロイドたちは、ばらばらになって沈黙した。

 ランハルトは、安全が確保されたことを確認すると、ハッチから飛び出し、シャルバートやスターシャたちに声をかけた。

「今のうちに、皆さん出てください」

 現れたシャルバートは、辺りを見回した。

「皆さん、あちらです。あの出入り口から出て、廊下を右に向かって下さい。艦橋に向かうエレベーターがあります」

「よし、急げ!」

 ランハルトの号令で、ガミラス兵たちは、そちらへと駆け出して行った。

 ユリーシャは、辺りを見て驚いていた。

「お姉様、見て。小さいけど、シェヘラザードにそっくり」

 そこに駐機していた複数の艦載機は、見慣れたイスカンダルの恒星間宇宙船のデザインに良く似ていた。

 

 その頃、古代は、戦術科の数名と共に、真田や技術科の乗組員を連れて、超巨大戦艦の内部に侵入し、廊下を先行して走っていた。すると、隔壁が閉鎖されてしまっていた。

 真田たちは、ムサシから引いてきたケーブルのロールを抱えている。そのロールから、ケーブルを伸ばしてここまで来ていた。

「古代、センサーによれば、コスモフォワードシステムのネットワークは、そちらの方向に伸びている」

 古代は、ヤマトから持ち込んだ無反動砲を、背中から回して、手に持ち替えた。

「真田さんたちは、少し下がっていてください」

 古代は、真田らが、通路の影に入ったことを確認すると、無反動砲を隔壁に向け、トリガーを引いた。

 大きな衝撃と共に、隔壁が吹き飛んで行った。

「よし、こっちですね? 急ぎましょう!」

 

 ヤマトから侵入した加藤や沢村と揚羽は、斉藤を引き連れて内部に侵入していた。

「加藤隊長さんよぉ! ここで大暴れして、注意を引き付けりゃいいんだよな!?」

 加藤と沢村、そして揚羽は、嬉々として暴れようとしている斉藤の様子に少し呆れていた。

「ま、その通りだ。俺たちの役目は陽動だからな」

 斉藤は、断りもせず、いきなり無反動砲を撃ち込むと、隔壁を破壊して行った。

「よし、行くぜ、野郎ども!」 

 加藤たちは、顔を見合わせていた。

「隊長……。俺たち、いなくても良かったんじゃありません? 白兵戦のプロがいるんだから」

「かもな。だが、何が起こるか分からねぇ。無鉄砲なあいつを、無事に連れ戻すのも、俺たちの役目だ。行くぞ!」

 

 ムサシやヤマトの近くで接舷したアンドロメダには、多数の敵の艦載機が迫っていた。

「波動防壁を舷側に展開して、迎撃しろ! 作戦の完了まで、俺たちはここで砲台になって陽動作戦を継続する!」

 山南は、にやりと笑っていた。

「泣いても笑っても、これが、最後の戦いだ。頑張れよ、みんな」

 

 ヤマトでも、同じように応戦を始めていた。

「弾幕を張れ! 決して、ムサシを攻撃させてはならん!」

 忙しく指示をしている、土方のそばには、いつの間にかサーベラーが立っていた。

「何とかなりそうか?」

 土方は、サーベラーを睨んだ。

「そうなるように、我々は動いている。あなたには、大人しくしていてもらいたいものだが」

 サーベラーは、自嘲した。

「そう言うな、土方。私だって、この事態に憂慮している。ことが無事に終わったら、我々は、イスカンダルに変わって天の川銀河の救済の任につくよう、ズォーダー様に進言するつもりだ」

 土方は、それには少し驚いてサーベラーの顔色をうかがった。

「そうか。本当に、君たちは改心したのだな」

 サーベラーは、目を閉じて言った。

「それに、可能なら同胞も救いたいと思っている」

 

 その頃、イスカンダル艦隊の司令船の艦橋に辿り着いたガミラス兵たちは、内部にいたイスカンダロイドを、次々に撃ち倒して行った。完全に沈黙したロボットたちを彼らは確認して行った。

 ランハルトも、内部に入って様子を確かめた。

「皆さん、大丈夫です。危険はありません」

 シャルバートを先頭に、イスカンダル人たちは、恐る恐る中に入って来た。

 ガミラス兵たちは、今度は出入り口付近に集まり、見張りについた。

 シャルバートは、最寄りの端末を確認して、その座席についた。

「今から、この船の制御を奪います。そうしたら、私が命令した艦隊の自動運用手順を停止させます」

 先ほどから、波動砲は、ひっきりなしに前方に発射されていて、眩しく艦橋の内部も照らされている。

「外を見てはいけません。艦橋の窓を閉鎖しなければ」

 シャルバートは、端末を操作した。

 すると、艦橋の窓に設けられた遮光機能が働き、外の輝きは収まっていた。

「これで、落ち着いて作業出来るわね」

「私に任せて下さい」

 シャルバートは、メニューを呼び出し、自動運用モードの設定を確認した。

「これです。停止させます」

 シャルバートは、恐る恐る指を伸ばして、画面に表示された停止命令の実行ボタンに触れようとした。

 しかし、シャルバートの手は、震え始めた。そのボタンには、やっぱり触れそうも無かったのだ。

「こんな……どうして。命令を止めさせるだけなのに」

 悔しそうにするシャルバートの手をスターシャは掴んだ。

「私たちなら出来る。一緒に、押しましょう」

 スターシャは、彼女の手の甲から力強く握って、震える手をボタンへと伸ばした。

 そして、その指の震えを抑えると、ボタンに触れた。

 その瞬間、画面の表示が変わり、命令実行中と表示された。

「見て!」

 ユリーシャが指差した先で、イスカンダル艦隊の波動砲の砲撃が、突然停止していた。

「止まったの?」と、スターシャ。

「大丈夫、成功だよ」とは、ユリーシャ。

「あら、ずいぶんとあっさりなのね。せっかく、ここまで来たのに、わたくしの活躍する場が無かったじゃありません?」と、サーシャ。

 シャルバートは、ほっと胸を撫で下ろしていた。

「良かった……」

 ユリーシャは、皆に言った。

「でもね。ここからが本番だよ。私たちにしか、出来ないことを。それを今こそやるべき時」

 スターシャは、微笑して、ユリーシャの近くに寄った。そしてサーシャも近くに寄ると、三人は手を繋いだ。

「シャルバート。あなたも来て」

 ユリーシャの呼び掛けに、シャルバートは、きょとんとしている。

「何をしようとしているの?」

 スターシャは、彼女に言った。

「あなたも、私たちと同じイスカンダル人。テレザート人の心を持った私たちは、最後の祈りを捧げるの」

 シャルバートは、異次元に現れたテレサのことを思い返していた。

「……テレザートは、私の母上が滅ぼしたのだ。そんな私の祈りなど、なんの役にも立たない」

 スターシャは、静かに頷いた。

「なら、尚更。きっと、テレサは、分かってくれるでしょう」

 

 その頃、真田は、携帯端末のセンサーの表示を確かめて、皆に立ち止まるように言った。

「やっと見つけたぞ。この先の通路に、コスモフォワードシステムが構成したニューラルネットワークのシナプスと思われるものを見つけた」

 古代は、その時、オートマタ兵を発見して銃撃を加えていた。

「本当に、あったんですね」

 古代は、オートマタ兵が完全に破壊されたことを確認し、真田を振り返った。

「ああ、想定通りだ。しかし……。この反応は、思ったより、コスモフォワードシステムの設置場所に、接近しているような気がする」

 古代は、真田の見ている端末を覗いた。

「見ろ。センサーの表示によれば、少し離れたこの大きな空間を中心に、ネットワークが伸びている。コスモフォワードシステムが、この場所に設置されているのではないかと推測される」

 古代は、戦術科の乗組員を集めて指示をした。

「よし、この作業場所の安全を確保する。皆、廊下のこの角と、この角に配置についてくれ。オートマタ兵を見つけたら、直ちに破壊する」

 

 その時、サーダは、端末に監視カメラで捉えた映像を確認していた。

「む……」

 そこには、地球人の兵たちが、壁のパネルを外して何か作業を行っていた。そして、その映像の中に、古代の姿を発見していた。

「古代……」

 サーダは、護衛の為、武装させたオートマタ兵につかつかと近寄った。そして、持っている銃を取り上げると、安全装置を解除した。

「お前たち、私について来い」

 サーダは、すたすたと、コスモフォワードシステムの格納庫から出ていった。その後を、オートマタ兵数体が追って行った。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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