宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲18 火星宙域の死闘Part2

 その少し前、防衛軍の第二艦隊は、ようやく戦線にたどり着いていた。

「何? ガミラスの旗艦が撃沈!?」

 その時山南も、空母ダレイラ撃沈の報を受けていた。山南自身も、この数年交流してきた経験豊富で勇猛なあのガミラス人のガゼル提督が亡くなったのかと衝撃を受けた。

 あの要塞は、火星のマゼラン市を攻撃しようとしていた。それを防ぐ為、決死の覚悟で砲門の前にワープしたのだろう。あの提督のこと、恐らくは、ゼロ距離から、あの砲門を潰すつもりだったに違いない。しかし、ぎりぎりで間に合わず、砲が撃たれてしまったのだろう……。

 山南は、唇をきつく結んで、頭上に映る要塞のゴルバの映像を睨んだ。

 だが、感傷にひたっている暇もなく、事態は待ってはくれなかった。再び、ゴルバが地上攻撃態勢を取ろうとしていたからだ。技術科の楠木が、山南に報告した。

「艦長、敵要塞被弾していますが、また砲撃するようです!」

「あれはまだ撃てるのか?」

「はい。恐らく砲ごとに区画が分かれているのでしょう。しかし、先程被弾したせいで、砲の回転機構に問題が発生しているのだと思います。現在、艦体自体を回して、再砲撃しようとしていると予想されます」

「よし、我々も砲撃して、あれを沈めるぞ! 南部!」

 しかし、その南部が難色を示した。

「艦長、要塞の周囲で、ガミラス艦隊がガトランティス艦隊と交戦中です! この位置から砲撃すると、味方に当たる可能性があります!」

 山南は、眉間にしわを寄せてもう一度スクリーンを見た。

「仲村航海長、射線を確保しろ!」

「了解、おもーかーじ!」

 第二艦隊は、砲撃可能位置を確保しようと全艦で、転舵した。

 だが、第二艦隊の火力を持ってしても、巨大なゴルバを簡単に沈められるとも思えなかった。現に、既に交戦中のガミラス艦隊が放った砲撃が当たっているものの、決定的な打撃には至っていない。

 その時、その楠木は、山南に向かって大声で言った。

「艦長! 敵、要塞が回転を止めました! センサーが、要塞内部のエネルギー増大を探知! 間もなく砲撃するものと見られます!」

 山南は、苦渋の表情で楠木と目を合わせた。

 これでは間に合わない……。

 どう対処する? 何が今出来る?

 山南は、一瞬の間で決断を下さねばならなかった。

 しかし、誰かが何かやらねば、地上にいるライアンや、ランハルト、そしてイスカンダル人と移民団、そして地球人の命が失われてしまう。

 だが結局は、咄嗟にはガゼル提督が取ったのと、同じ方法しか思いつかなかった。

 山南は、あのおっかない顔をした提督を思い浮かべ、口角を上げた。

「仲村! 緊急ワープだ! 目標、火星とあの要塞の射線上! 急げ!」

 その命令で、アンドロメダは、たった一隻だけで第二艦隊を離れて急加速した。

 

 ガレンは、攻撃準備が完了したことを受けて、再び砲撃手に命じた。

「今度こそ、命中させろ! 撃て!」

 そして、再び回転砲塔から、大出力のレーザーが発射された。

 ネレディアは、ガトランティス艦隊との戦闘で身動きが取れず、その瞬間を、絶望的な気持ちで見つめていた。

 提督の犠牲が無駄になってしまう……!

 しかし、火星の成層圏に達する前に、照射した光の束は、何かにぶつかって跳ね返り、シャワーのように細かな線になって地表に落ちて行った。

 ゴルバの艦内では、ガレンが不機嫌な様子で、砲撃手に尋ねた。

「今度は、どうした!?」

「射線上に、何か物体が出現して砲撃を遮っています!」

 スクリーンの拡大映像には、ワープで出現したアンドロメダが、砲撃を遮っている様子が映っていた。ガレンは、あきれた表情で、そのスクリーンを眺めた。

「な、何だ、あれは!」

「どうやら、テロン軍の新型艦だと思われます! 回転砲塔の攻撃を受け止めています!」

 こやつら、次から次へと邪魔しおって……!

  

 アンドロメダの艦橋では、敵の砲撃の光が激しく瞬き、山南は、乗組員に、波動砲用の対閃光鏡を装着するように指示した。

「楠木、状況報告!」

「波動防壁は稼働中です。この敵の砲撃は、大出力のレーザーです。予想では、発射してから三十秒間照射されます。しかし、アンドロメダの艦体だけでは、完全に覆うことが出来ていないようです。跳ね返ったレーザーがマゼラン市の付近の地表に落ちてしまっています」

「何だと!?」

 

 その頃、地上では、星名たち情報部の護衛部隊は、人々を輸送船に誘導していた。

「押すなよ! 慌てずに急いでくれよな!」

 斉藤たちも、その避難誘導を手伝って、人々の列に声をかけていた。既に、工事に参加していた空間騎兵隊の部下たちも加わり、避難は順調に進んでいた。

「隊長、もう少しだね」

 永倉は、斉藤のすぐ近くで、同じ様に誘導を手伝っていた。

「そうだな。残り、五十人ってとこか……ん?」

 その時、頭上で大きく光が輝いたのに、人々は気がついた。

 かと思えば、その頭上から、光のシャワーのように、周囲に青白い光の線が落下してきていた。

 悲鳴が上がり、走り出した人々で、辺りは急に混乱していた。

 その光は、マゼラン市の周囲の地面に落ちて、地響きがした。落下した地面には、砂埃が大きく舞い上がり、辺り一面は砂塵で急激にうす暗くなった。そして、その光の落下は収まる気配もない。

「隊長、どうしたんだろう、これ!?」

 永倉は、不安げな声を上げている。

「俺たちが慌ててどうすんだ。おい、皆! 装備品のライト持ってるか? それで照らして誘導を続けるぞ!」

「ああ、もう! 分かったよ!」

 その頃、星名と山本は、壇上の袖で、要人たちのそばにいた。ライアン外務長官を始め、ランハルトやイスカンダル人姉妹、そして市長の透子がまだ残っていた。市民たちより先に、逃げるわけにはいかないと、彼らは同じことを言った。ふらついていた透子も、今は体調が回復しているようだった。

 星名は、通信機で、上にいるアンドロメダに状況を確認していた。

「はい、はい……。分かりました」

 通信を切った星名は、不安そうに彼の表情を窺う周りの人間の様子に気が付き、小さくため息をついた。そして、ランハルトの方へ顔を向けて言った。

「大使。大変残念な報告が。……空母ダレイラが撃沈したそうです」

 ランハルトは、大きく目を見開いた。しかし、その報告だけでは、とても事態を信じることは出来なかった。

「……上で、何があった?」

 星名は、努めて冷静に話をした。

「ガトランティスが、浮遊大陸の中に潜んでいたようです。艦隊と共に、機動要塞が現れました。そして、イスカンダル人の引き渡しを要求されました。先程の山の向こうに落ちた光の束は、機動要塞からの警告のデモンストレーションでした。大使の護衛艦隊は、当然この要求を拒否し、移民団の護衛艦隊と共に、戦闘を始めました。しかし、機動要塞は容易に撃破出来ず、ここへ砲撃しようとしたそうです。その砲撃の盾となって空母ダレイラは沈んだそうです。現在、ガゼル提督配下の残存艦艇は、移民団の護衛艦隊のリッケ大佐の指揮下にあるそうです」

 ガゼル提督や、バルデス艦長たちが死んだ……?

 ランハルトは、地球へ大使として着任してからの様々な出来事を思い出した。危険な任務に関わる度、それを助けてくれたのは、いつも彼らだった。

 ランハルトは、退任して帰国したら、素直に彼らに礼を言おうと思っていた。しかし、それも、もう叶わぬことになってしまったのだ。

 そこまで聞いたランハルトは、少しよろけると、倒れそうになった。山本は、彼に近寄ると、肩を抱いて支えた。

「大丈夫……?」

 ランハルトは、しっかりしなければと思い、山本に会釈すると、彼女の手にそっと触れた。

「すまない。ありがとう……」

 それは、およそ彼らしくない返事だった。

 しかし、彼と同じ様にふらついたのは、ユリーシャだった。

「ガトランティスは……なんの為に私たちを……?」

 星名は、心配そうにユリーシャを見つめながら話した。

「残念ながら、理由は分かりません。引き渡しか、死か選べと言っていたそうです」

 サーシャとは対象的に、ユリーシャの落ち込みは酷かった。

「ま、また私のせいで……。私を守ろうとして、たくさんの人の命が失われたなんて……。耐えられない……!」

 涙を溢れさすユリーシャを、そっとサーシャは抱きしめた。

「ユリーシャ……。何か、今までにもつらい経験をしたのね?」

 星名は、更に状況を伝えなければならず、辛そうな表情で、話を続けた。

「現在、宇宙戦艦アンドロメダが、機動要塞とマゼラン市の射線上に入り、砲撃を波動防壁で遮っているようです。この光のシャワーのようなものは、アンドロメダが弾いたものが落ちたことによるものです。地球連邦防衛軍の第二艦隊も、戦闘に加わっているようですが、機動要塞の高い防御力と、ガトランティス艦艇に翻弄され、要塞撃破は簡単には、いきそうもないそうです」

 山本は、周囲の青白い光のシャワーを見て考えた。

「そうすると、輸送艦隊で逃げ出そうにも、ここから出ようとするとあれにあたってしまうな……」

 

「あれをマゼラン市の付近に落ちないようにするには、あと何隻必要だ!?」

「少なくとも五隻分の波動防壁が必要です!」

 山南は、通信用マイクを掴んで、艦隊に指示を出した。

「第二艦隊全艦に告ぐ! アンドロメダは、敵の攻撃を波動防壁で遮断している。主力戦艦のうち五隻は、ここに移動して、攻撃を遮断するのを支援してくれ。他の艦は、要塞への射線が確保出来次第、砲撃を開始してくれ! 急げ!」

 山南がマイクを切ると、楠木が報告した。

「たった今、先程のレーザー照射が終わりましたが、要塞は、すぐに次弾を発射しました! かなり強力なエネルギーで、波動防壁の劣化が始まっています。このままだと、通常の1/3の時間しか持ちません!」

「なんだと……。おい、佐藤、至急土方総司令に繋げ!」

 アンドロメダの周囲には、五隻の主力戦艦が小ワープで現れた。六隻が展開する波動防壁が、地表に落下する大出力レーザーのエネルギーを、マゼラン市からかなり離れた場所まで落下させるようになっていた。

 その時、スクリーンに土方の姿がようやく映った。

「山南、戦況はどうなっている?」

 山南は、早口で話始めた。

「土方総司令。あまり時間の猶予がありません。直ちに、波動砲の使用許可をお願いします! あの要塞を一撃で倒すには、波動砲を使うしかありません!」

 土方は頷いた。

「分かっている。既に上に確認をしている。少し待て」

 山南は、艦長席の肘当てを思い切り叩いた。

「冗談じゃない! そんなの待ってられませんよ! 大勢の人の命がかかってるんです! ガゼル提督も既に命をかけて戦ってくれました。だったら、俺の判断で撃ちます! あとで、軍法会議でも何でもやって下さい!」

 土方は、眼光を鋭くして言った。

「待て!」

 土方は、軍帽を取ると山南に頭を下げた。

「……すまない。お前の覚悟は分かった。これは、お前だけの責任には出来ん。俺が許可を出す。波動砲を含む、すべての兵装の使用を許可する。急げ、山南!」

 山南は、口もとを緩めると、スクリーンの向こうの彼に敬礼した。

「承知しました。これより、波動砲を使用致します」

「頼むぞ」

 通信が切れると、山南は大きな声で言った。

「南部! 波動砲の使用許可がおりた。直ちに波動砲の発射用意をしろ!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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