宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲23 ガトランティスの謎

 少し前、宇宙基地ギャラクシー――。

 

 ギャラクシーの司令室では、中央に設置されたテーブルの宙空の三次元モニターに、火星で撮影された映像が映し出されていた。

 そのテーブルの周りを、古代、島、北野、そしてギャラクシーに到着していたバーガーが囲んで映像を眺めている。それは、火星軌道上で数時間前に撮影されたゴルバと名乗る巨大な機動要塞と、ガミラス艦隊の戦闘の様子だった。

「もういい、止めてくれ!」

 バーガーは、不機嫌な表情で、古代に言った。

 古代は、黙ってその映像を止めた。

「そうか……。空母ダレイラが撃沈とはなぁ」

 バーガーの瞳は、怒りを堪えているのがはっきりとわかるほど赤くなっていた。

「ガトランティスめ……! 奴ら、絶対に許さねえ!」

 バーガーは拳をテーブルに叩きつけて、わなわなと震えている。古代は、バーガーが落ち着くのを待って、冷静に話した。

「バーガー大佐。火星で行われた不可解な作戦。そして、ここを脱走したガトランティスの士官に、拉致されたデスラー総統と、ユリーシャとサーシャ。この短い間に、余りにも多くの事件が起こってしまっている。我々は、この基地の防衛の為に、ここから動くことが出来ないが、ガトランティスの不穏な動きを危惧している。脱走したガトランティスの士官を乗せたガトランティス艦隊は、ボラー連邦方面に移動したと思われていたが、昨日、次元潜航艦隊で出たタラン副司令の報告で、これが間違いが無いことがわかった。ボラー連邦領内を、更に奥地へと移動しているそうだ。今の推測では、ボラー連邦の本星へ向かっていると思われている。この動きは、彼らがボラー連邦と同盟関係にあることを示唆している。更には、この映像に映る大きな機動要塞。既に二隻を我々も目撃している。彼らは、ガミラス戦争で敗北した残党だと思われていたが、以前のような戦力を回復しているんじゃないのか? 僕は、そう考えている」

 バーガーは、古代が話す間、彼を目を細めて睨んでいた。そして、目を閉じると大きなため息をついた。

「そうだな。その推測は正しいかもな。奴らは、俺たちに戦争を仕掛けて来たときに、小マゼラン銀河に巨大な要塞を構えていた。直径百キロもある馬鹿でかいもんだ。戦争が終わったあと、そいつの処分をどうするか、俺たちの軍でも話し合っていた。中を確認したところ、中はもぬけの殻だった。その時の調査で、設備が余りにも立派なもんだったんでな、破壊するよりも、再利用したほうがいいという結論になった。基地を接収しようともう一度訪れてみたら、どういう訳か同じ座標から消えてたって訳だ。それからしばらくして、大小マゼラン銀河のあちこちに、奴らの残党と思われる小規模な艦隊が出没していた。そこで、俺はディッツ提督の命令で約一年前に、ガトランティスの残党狩りを専門に行う大艦隊を与えられた。出没する残党を片づけつつ、俺たちは、大要塞の行方も捜索を始めた。最近になって、要塞の目撃情報から推測して、この天の川銀河に移動したんじゃねぇかって話になった。それで、俺は情報収集する為に、艦隊を分けてここまでやって来た。まさか、こんなことになっているとは思わずにな」

 バーガーは、持っていたメモリーカードを、テーブルのスロットに差し込むと、三次元モニターを再び起動した。

 そこに、鋼鉄で作られたと思われる球体が映っていた。

「これが、行方不明になる前に撮影された大要塞の立体図だ。どう見ても、推進機らしきものはついてねえ。この時調べた結果では、動かせるようなしろもんじゃなかった」

 三次元モニターに映る大要塞は、バーガーの手の動きに合わせて三百六十度回転した。

「だが、こいつは、消えちまった」

 バーガーは、モニターに手を突っ込んで、手を握りしめると、映像が消えた。

「調査では、ガトランティスの連中は、中にいない、という結論だった。だから、大要塞は放棄されたと思われていた。だが、本当は、中に隠れていたんだろう。奴らご自慢の科学奴隷とやらが、中に潜んでいて、密かに改造を進めていたのに違いねぇ。これだけの大きさのもんだ。隠れるところはいくらでもあったんだろう」

 バーガーは腕を組んで古代の方を見た。

「奴らは、大要塞で移動しながら戦力を回復し、この銀河に移動した。そして、どうやってか、ボラー連邦の連中と手を組んだ。恐らく、そんなとこだろう。だが、いったい、何を目的にしてるんだろうな。奴らは、今までは、自分たち以外を滅ぼしながら勢力を拡大してきたはずだ。誰かと仲良く手を組むような奴らだとは思えねぇ」

 島は、それまで黙って話を聞いていたが、何かに気づいたように、唐突に話を始めた。

「なぁ。もしかして、これをあの大彗星に改造したんじゃないのか?」

 古代とバーガーは、その話に驚いて島の方を見た。

「大彗星だって?」

「まさか……。こいつは、とんでもねぇ大きさだぜ」

 島は、少し思案して、頭を整理した。

「ボラー連邦だって、そう簡単に、どこの誰かもわからない、外宇宙から来た異星人と手を組むとも思えない。それなりの戦力があることを知った上でなら、話は別だろ? それに、大彗星に改造したとなれば、俺たちの銀河系に移動するんだって、簡単なことなんじゃないか?」

 古代とバーガーは、呆気に取られて互いの顔色をうかがった。

 北野も、その話を聞いて、疑問を挟んだ。

「待って下さい。あの大彗星の何倍もある巨大な彗星を作ったとして、それでどうしてボラー連邦を滅ぼさずにいるんです? 彼らのこれまでの行動原理からすれば、それはありえないですよ」

 バーガーは、頷いた。

「……確かにな」

 古代は、鋭い目で北野を見た。

「しかし、もう、ズォーダー大帝はいない。彼らが、再び戻ってきて、前と同じことを繰り返すとは思えない。恐らく、別の指導者がいる。それなら、以前の彼らの行動原理は当てはまらない。火星でガトランティスに接触したガミラス艦隊の報告では、『女帝』ズォーダーの指示で活動していると、直接彼らから聞いたという証言もある」

「女帝……だと?」

「詳細は不明だ。だが、新たな指導者が、何らかの新しい目的を持って、動いている。そう、考えるのは自然だと思う」

 そこに集まった者たちは、それぞれ考えを巡らせた為、その場がしんとなっていた。

 しばらくして、古代がその沈黙を破った。

「バーガー大佐。火星でユリーシャとサーシャを拉致したガトランティス艦隊は、銀河系中心部方面へと移動しているそうだ。地球艦隊と、リッケ大佐率いるガミラス艦隊が、それを追って来ている。バーガー大佐の艦隊に、挟み撃ちでガトランティスの足止めに協力してもらえないだろうか? これは、地球艦隊の旗艦アンドロメダに乗っているデスラー大使からの要請でもある。デスラー大使からは、あなたの残党狩りの艦隊すべてを、この銀河に呼び寄せて構わないと聞いている。大統領の許可をもらっているそうだ」

 バーガーは、真顔で古代の顔を眺めた。

「イスカンダルの皇女が、二人も乗ってるんだろう? いくら数を揃えたって、迂闊に手出しは出来ねえな」

 古代は頷いた。

「これから、外交交渉で事態を打開する作戦だそうだ。だから、彼らを足止めするだけでいい」

 バーガーは、不満そうにしていた。

「奴らを八つ裂きにしてやりたいところだがな。イスカンダルの二人を救い出してからでも遅くねぇか……。わかった。引き受けてやるよ」

 古代は、少しだけほっとしていたが、真剣な表情で言った。

「我々は、ガトランティスはもちろん、ボラー連邦とも星間戦争になるようなことだけはしたくない。可能な限り、穏便に、ユリーシャたちや、一緒に連れて行かれた地球人の救出が出来ることが、最大の目標だ。その為にも、ガミラス軍の後押しは非常に助かる。ボラー連邦だって、ガミラスと敵対するのは望んでいないだろう」

 バーガーは、ふんと鼻を鳴らした。

「俺たちの方だって、ボラー連邦と戦争になるのは望んじゃいねえ。だがな、ガトランティスの連中だけは、許すことはできねえ」

 古代は、不安げな表情で、バーガーの目を見つめた。

「ガトランティスの目的は、現時点でも不明だ。慎重な行動をお願いしたい」

「分かってるよ」

 バーガーは、手を上げて、司令室から出て行った。早速、艦隊を動かす準備を行うのであろう。

 しばらくして、バーガーは艦隊に戻り、戦闘空母ダライアスの艦橋にやって来た。そして、艦長のメルキ中佐を呼び寄せると、早速先程の話を共有して、指示を出した。

「分かりました。全艦発進させます」

「頼む……。ああ、艦長、もう一つ。小マゼランにいる全艦隊をこっちに呼び寄せてくれ。大統領からの直々の命令だそうだ。確かに、向こうで、残党狩りなんてもうあんまり意味がねえ」

 メルキ中佐は、ガミラス式敬礼で答えた。

「ザー・ベルク!」

 

 その頃、雪は、司令室を訪れていた。

「古代司令、古代雪、司令の秘書として今日から着任しました」

 古代は、軍帽を脱ぐと司令席から立ち上がった。

「ご苦労。これから、よろしく頼む」

 二人は、並んで司令室のレーダースクリーンを見つめた。

 古代は、小さな声で周りの士官らに聞こえないように話した。

「助かるよ、雪」

 雪は、少し口元を緩めて言った。

「防衛軍の仕事に復帰するのは二年半ぶりぐらいかな。美雪は、保育所に預けてるからね」

 古代は、前を向いたまま頷いた。雪も、前を向いたまま、不安そうな表情になっている。

「古代くん……これからどうなるの?」

 古代は、少し沈黙してから答えた。

「分からない。ライアン外務長官が上手くやってくれれば、それで解決だが、そんなに簡単なことじゃない。この交渉は、困難を極めるだろう。でも、星名と、空間騎兵隊の優秀な指揮官の斉藤という男が、ガトランティス艦に潜入している。彼らが捕まっていなければ、協力して救出作戦を実行出来る可能性もある。しかし、僕たちは、この基地の防衛を厳とする必要がある。この状況では、ガトランティス艦隊に強襲される可能性は否定出来ない。ユリーシャたちの救出作戦は、ライアン外務長官や、山南准将、そしてバーガー大佐たちに任せるしかない」

 雪は、古代の方を見た。

「歯がゆいでしょ。ヤマトで、自分で解決しに行きたいんじゃない?」

 古代は、苦笑いをした。

「ヤマトは、北野に任せたんだ。僕は、ここで皆を信じて、出来る事をやるだけだ」

 二人は、それから黙ったまま、バーガー率いる艦隊がガトランティス艦隊の到着予想宙域へと移動して行く光点を見つめていた。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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