宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


第三章 ボラーの陽のもとに
白色彗星帝国の逆襲24 ボラー連邦


 ボラー連邦――。

 

 ボラー連邦本星は、地球から遠く離れた位置にあった。地球から見て、銀河核を超え、ガルマン帝国も超えて更に奥地の銀河腕の対極にあった。

 ボラー連邦本星は、七つの惑星を抱える恒星系の四番惑星で、豊富な水を包含する地球型の惑星だった。しかし、楕円形の公転軌道により、惑星全体が極寒の地となる時期があり、今はまさにそのような季節だった。

 ボラー連邦は、首相ベムラーゼを最高権力者とする星間国家で、二千年以上の昔から天の川銀河に存在していた。様々な星系を軍事力で制圧し、圧政を強いて星々を従わせていた。しかし、約千年前にやって来たガミラスからの移民が住みついた時から、激しい戦闘が行われた。長年抵抗する者もなかったボラー連邦は、ガミラスからの移民と共に反旗を翻した多くの星系の反乱軍に不意をつかれ、その結果国土を二分することになった。ボラー連邦の国土の半分を制圧して新たに誕生したガルマン帝国とは、それ以来長い間戦争を続けている。

 ボラー連邦からの圧政を逃れようと、ガルマン帝国民として戦った人々は、いつしか、ガルマン帝国でも、ボラー連邦と何ら変わらぬ圧政を強いられるとは、思ってもみなかったであろう。

 また、その戦いにおいていつの間にか広まったマザー・シャルバートへの信仰は、ボラー連邦でも、多くの人々の希望となっていた。

 

 ギャラクシーからミルを脱出させるのに協力したガトランティス艦隊は、既にボラー本星付近に停泊しており、機動要塞ゴルバからは、シャトルが発艦して本星へと降りて行った。

 その一部始終を、密かに観察している者たちがいた。

 ギャラクシーから、さらわれたデスラー総統を追って来たデウスーラⅢ世と、次元潜航艦隊四隻は、異次元に身を潜めたまま、ボラー本星付近に待機していた。

 ゲールは、狭い次元潜航艦の艦橋で、乗組員による観測の様子を早く知りたくて、歩き回っていた為、低い天井からの突起物に何度も頭をぶつけていた。

「どうだ?」

 ゲールは、額を抑えて顔を歪ませて痛みを堪えていた。

 質問された科学士官は、ゲールに首を振った。

「デスラー総統の靴に仕込んだ発信機の反応は、変わらずあの大きい奴の中です」

 大きい奴とは、ゴルバのことを指していた。ゲールは、複雑な表情をしていた。

「ボラー連邦の本星などに連れて行かれたら、救出はほぼ不可能になってしまうからな。まだ我々にもチャンスがあると考えるべきか……。観測を続けろ。絶対に見失うなよ。必ずや、総統をどこかで降ろすはずだ」

「微弱な電波なので、かなり難しいんですよ」

「お前は、科学士官だろう! 何とかするのだ!」

 次元潜航艦からは、有線ケーブルを伸ばして観測器を通常空間に露出させていた。その装置で小さな発信機の微弱な電波を捉えるのは至難の業だった。

 その時、レーダー手が、別の発見をしていた。

「ゲール少将。ガトランティスとは別に、ボラー連邦艦隊と思われる艦影を多数捉えています。守備艦隊だと思われますが、千隻以上はいるようです。データがありませんので、艦種識別不能です」

 ゲールは、振り返ってそちらに行こうとして、また頭をぶつけていた。

「ちょうどいいではないか。データを収集しておくのだ!」

「少将、これを見て下さい」

 ゲールは、レーダー手が指すレーダーの光点を眺めた。

「一つだけ、非常に大きな艦影を捉えています。ガトランティスの大きな奴とそれほど変わらない大きさです。恐らく、これも機動要塞ではないかと」

 ゲールは、内心青ざめていたが、部下に悟られる訳にはいかなかった。

「もう一人、科学士官を呼んで、どのような艦か調べさせておけ!」

 

 デウスーラの艦橋でも、ゲールの艦から送られたデータを確認していた。タランは、通常空間に伸ばした潜望鏡を覗き込んで、周囲の様子を目視していた。

 タランは、ため息をついて潜望鏡を降ろそうとした。

 すると、いつの間にかスターシャがそばに寄って来ていた。

「ヴェルテ、わたくしにも見せて頂けますか?」

 タランは、素直に天井から下ろした潜望鏡の場所を明け渡した。

「構いませんが、手短にお願いします。通常空間に露出している時間が長いと、発見される恐れがありますので。なにしろ、ここは敵地の中枢ですから」

「分かっています」

 スターシャは、潜望鏡のハンドルを掴むと、外の様子を覗いた。

 その様子をタランは黙って見守った。多少、疲れた様子も見られるが、気丈に振る舞っている。

 スターシャはもちろん、皆の為にも自分自身の為にも、早くデスラーを救出したいのはタランも同じ気持ちだった。しかし、ゴルバに囚われている限り、それは容易なことではない。タランも疲れを感じていたが、ここは機会が訪れるのを待つしかないと思っていた。

 そして、スターシャの方は、潜望鏡越しに、ガトランティス艦隊の中央に鎮座するゴルバに焦点を合わせた。そうすることで、意識を集中すると、何となくデスラーの気配を感じていた。

 アベルト……。私が、必ず救い出します。

 スターシャは、そっと心の中で誓った。

 

 その頃、ゴルバから発艦したガトランティスのシャトルは、ボラー連邦本星の首都の、ひときわ高い建築物の屋上に着陸していた。艦隊指揮官ユーゼラーと共に、ミルはそこに降り立っていた。

「ミル様。間もなく迎えが参りますので、少々ここでお待ち下さい」

 ミルは、恐る恐るユーゼラーの顔を眺めた。彼には、自身よりもかなり年上の精悍な顔をした上官にしか見えなかった。

「……あなたは、将官ですよね? なぜ士官でしかない私にそのような態度を? 私が、大帝の実子だというのを、あなたも信じているのですか?」

 ユーゼラーは、少し困ったような表情になった。

「あなたが大帝の実の子であることは、事実ですから。それがわかったことで、争っていた我が帝国の内部抗争は沈静化しました。そのような、質問はお止めください。あなたが、こうして無事に戻ったからには、更に結束は強くなるでしょう」

 ミルは、そう言われても、居心地の悪い思いをしていることは変わりなかった。

 なかなか、迎えが現れなかった為、ミルは更に疑問を口にした。

「ところで、この惑星は……ボラー連邦というのは、何なのですか?」

 ユーゼラーは、ミルの方をちらと見てから、再び正面を向いた。

「我が帝国と同盟関係にあります」

 ミルは、心底驚いていた。

「今まで、そのようなことは、したことがないのではありませんか?」

 ユーゼラーは、静かに頷いた。

「その通りです。その理由については、大帝代行のカミラ様にお尋ね下さい」

 ユーゼラーは腕を動かして、ミルに正面を見るように促した。

 ミルがそれに従うと、建物の屋上の入り口に、数名の男女が現れていた。

 そして、中央に立っていた中年の女性が彼らの前に近づいて来ていた。彼女は、ガトランティス帝国の正装をまとっている。

「ミル。よくぞ無事で。生きていると、ずっと信じていましたよ」

 その女性は、涙ぐんでミルを見つめていた。

「母上……!」

 ミルは、その目で、それが自分の母に間違いがないことを確認し、自身も瞳から涙を溢れさせた。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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