宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲26 救出の機会

 カミラやミルたちを乗せたガトランティス艦隊は、ゆっくりとボラー本星のある星系内を移動していた。

 その艦隊の中型空母内には、捕らえられたデスラー総統が、拘禁室に入れられていた。粗末なベッドに腰掛けたデスラーは、目を閉じて、静かに物思いに耽っていた。

 目を閉じて思い浮かぶのは、ただ一人の愛する女性、スターシャのことだった。

 彼女の為にも、このような場所にいつまでもいる訳にはいかない。さて、どうしたものか……。

 デスラーは、脱出方法を思案し続けていた。

 拘禁室の外に、複数の足音が聞こえた為、デスラーはその気配に耳を傾けた。小さく息を吐き出して、彼はゆっくりと立ち上がって身構えた。

 その気配は、拘禁室の前にやって来ると、勢いよく扉を開いた。

「出るんだ」

 そこには、ガトランティスの二人の兵士が、銃を構えて立っていた。

「おやおや。やっとここから出してもらえるのかね?」

 兵士たちは、全く怯える様子もないデスラーの姿に警戒しつつ、彼に通路を進むように促した。デスラーは、素直に拘禁室から通路へと足を運んだ。

「どこへ連れて行くのかね?」

「黙って歩け!」

 兵士の一人が、デスラーの背後に回って背中に銃を押し付けた。デスラーは、手を上げて少し後ろを振り返った。

「そんな物騒な物は、降ろしたまえ。私は、逃げも隠れもしないよ」

 それを聞いたもう一人の兵士が言った。

「そんなことを言っても我々は騙されん。女帝の所へ連れて行く。きりきり歩け!」

 女帝……?

 デスラーは、その言葉に、考えを巡らせてた。

 ズォーダーの代わりを務める女がいると言うことか……。

 

 彼らが空母の艦橋へ上がると、そこには、ミルと、中年の女が待ち受けていた。ガトランティスの正装と思われる服装から、女が女帝と呼ばれる人物に間違いなさそうだ。隣に立っているミルは、以前ズォーダーが着ていたのと似た衣装をまとっている。

 デスラーは、それらの少ない情報から、ミルがガトランティスにとって重要な役割を果たす為に祭り上げられようとしているのを見て取った。

「ようこそ、我がガトランティス帝国に。……デスラー総統。いいえ、元、総統でしたわね」

 女が、明らかに下々に語りかける物言いなことに、デスラーは思わず失笑をしていた。

「ふふふ……。ふはははは!」

 ミルは、不敵な笑みを浮かべるデスラーの態度に怒りを込めて言った。

「何がおかしい! 母上、この男を信用してはなりません。拘束して、閉じ込めておくべきです!」

 デスラーは、それでも笑い続けていた。それに対してカミラは、微笑んだまま、鋭い目つきで黙ってそれを見つめていた。

「ふっふっふ……。母上、か……。なるほどね、そういうことか。君は、これからガトランティスの新たな大帝になるのだね。お祝いに、部下に花でも送らせようじゃないか」

 軽口を叩いたデスラーの瞳は、酷く冷静で冷たかった。デスラーに対して、何か言い返そうとしていたミルは、カミラに手で制された。

「おやめなさい。さすがはガミラス帝国を率いていただけのことはあります。ミル、この男のように、常に余裕と、威厳を保つのです。いちいち、怒りを顕にするのは、小者のすることですよ」

 ミルは、ばつの悪い思いのまま、苦渋の表情で押し黙った。

 カミラは、兵士に星図を表示するように指示して、デスラーにそれを見るように促した。

 デスラーが艦橋の大きなスクリーンを見ると、そこに銀河系の星図が映し出されていた。

「ここが、今私たちがいる場所です。おわかり? ボラー連邦の中枢、ボラー星系です」

 デスラーは、内心動揺していたが、気取られぬように冷静に振る舞った。

「ほう。君らは、いつの間にか、ボラー連邦と懇意にしていたようだね」

 カミラは、妖艶な笑みを浮かべた。

「ええ。彼らとは、この銀河系を半分づつ支配することで合意しています」

 デスラーは、それに興味を示して言った。

「半分? 君たちにしては、随分と殊勝な目標に思えるがね。この銀河系のすべての文明を破壊し、あらゆる資源と、科学技術を強奪する……の間違いではないのかね?」

 カミラは微笑んだ。

「それは、ズォーダー大帝らが進めていたこと。彼らはもういません。これから我々は、ここで国を作り、骨を埋めて生きていくことにしました」

 そこで、スクリーンは別の映像に切り替わった。

 そこには、惑星が映っていたが、少しづつ、その影から丸い大きな物体が現れていた。

「あの星は、ボラー星系第五惑星です。ご覧なさい。あの影から見えるものこそ、我が帝国の中枢、要塞都市帝国です」

 第五惑星の影のそこには、鋼鉄で作られた人工の天体があった。

 あれは……。

 デスラーは、過去の記憶を辿った。あれは、ガトランティスで以前囚われていた時にいた場所だった。確か、小マゼラン銀河にあったはずだ。

「……あれをわざわざ、ここまで運んできたのかね? それはそれは、ご苦労なことだ」

 カミラは、誇らしげにそれを見ている。

「しかし……。我々が、この銀河系の半分を支配するのを実現するには、まずは邪魔者を排除しなければなりません」

「邪魔者とは? ガルマン帝国かね?」

 カミラは、デスラーの瞳を覗き込んだ。

「まさか……。イスカンダル人ですよ」

 それを聞いたデスラーの表情は、途端に曇った。

「ほう……」

 カミラは、突然笑い出した。

「イスカンダルの女王が、あなたの弱点という情報は、本当だったみたいね。ご安心なさい。別に消そうと思っているわけじゃありません。もちろん、邪魔立てするようなら容赦するつもりはありませんけど。然るべき設備の整った施設に入ってもらって、余計なことをしないように、大人しくしていてもらうだけです。私は、ズォーダー大帝のような失敗をするつもりはありませんからね。そこで、あなたには、女王をおびき寄せる餌になってもらいます」

 デスラーは、明らかに怒りを溜め始めた。

「おお怖い。ミルが乗ってきたガミラス艦は、既にエンジンを破壊しておきました。あなたと、あなたの部下の方々には、それに乗ってそこらに漂っていてもらいます。救難信号でも発信させてね。女王も、あなたのことが大切なら、きっと助けに来るでしょう。ボラー連邦の中枢まで、果たして来るかどうかはわかりませんけど。その時は、こちらから行くまでです」

 カミラは、兵士に指示をした。

「デスラー総統をガミラス艦までお連れしなさい。丁重にね?」

 

 次元潜航艦艦内――。

 

「ゲール少将、見てください」

 ゲールは、科学士官の示す光点を見つめた。

「なんだ? これは?」

「我軍の駆逐艦です。デスラー総統の発信機の電波が、この艦から発信されています」

「なっ、なんだと!?」

 科学士官は、その近くの光点を指し示した。

「しかし、五隻ほど、ガトランティスの艦が取り囲んでいます」

 ゲールは、別の光点の集まりに気がついて言った。

「こっちの……離れたところに、何かたくさんいるようだが……?」

 科学士官は、残念そうな声で言った。

「……そこに、この星系の第五惑星があります。どうやら、こちらは、ガトランティスの本隊のようです。以前、小マゼラン銀河で発見された大要塞と思われる巨大な天体も、そこにあるようです」

 ゲールは、ボラー連邦の本星守備艦隊や、ガトランティスの本隊のいるこんな危険な場所で、デスラー救出の最大の機会が訪れたことに複雑な心境だった。

「タラン司令に繋げ!」

「はっ!」

 

 デウスーラ艦内――。

 

「ふむ……。では、その艦にデスラー総統が乗艦しているのだな?」

 デウスーラの艦橋のスクリーンに、ゲールの姿が映っていた。ゲールは頷いている。

「タラン司令。これは、最大のチャンスです! 異次元からの魚雷攻撃で、邪魔なガトランティス艦五隻を一気に沈め、デウスーラの牽引ビームで、駆逐艦を異次元に引き込めば良いのです。他の艦に気づかれぬうちに、短時間でことを成せば、作戦は完了です!」

 タランは、返事をせずに、暫し考えた。

 ゲールの作戦そのものは、確かにそれしかないと言うものだった。しかし、タランは、罠の可能性を感じて、少し迷っていた。だからと言って、これを逃せば、救出の機会は二度と訪れないかも知れない。

「タラン司令! ご命令を!」

 ゲールの悲痛な叫びが、デウスーラの艦橋に響いた。

 タランは、背後にいたスターシャの顔色をうかがった。

「女王。如何がなさいますか? 私も、ゲール少将と同じ意見です。やるべきだと思います」

 スターシャは、目を細めている。彼女も、罠の匂いを感じているのだろう。

 少し間があったが、彼女は口を開いた。

「やりましょう、皆さん。私たちの手で、アベルトを救い出しましょう」

 スターシャは、ゲールに向かって真剣な表情で言った。

「これより、デスラー総統救出作戦を実行します。次元潜航艦隊全艦に命じます。魚雷戦用意!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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