宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲28 静かなる戦いPart2

 試作潜宙艦は、先程魚雷を放った時に敵艦隊を探知した場所へと、全速力で接近していた。

「艦長、敵艦隊は見当たりません」

 艦長ミハイルは、操舵手に言った。

「恐らく、エンジンを停止した際の移動方向へ、慣性で動いたのだろう。方位は分かるか?」

「おおよそしか分かりません」

「それで充分だ。この付近の周辺を探れ」

「しかし、あまり接近すると、我々が発見される恐れがあります」

 ミハイルは、にやりと笑った。

「大丈夫だ。試作艦だったのが、幸いした。彼らは、我々を見つけることは出来んよ。本星の守備艦隊には連絡はついたか?」

 通信士が、それに答えた。

「はい。こちらに、十隻程度の小隊と、試作機動要塞を出すとのことです」

 ミハイルは驚いて、彼に聞き直した。

「機動要塞を?」

 通信士は、頷いた。

「何でも、いい機会なので、テストをしたいとか」

 ミハイルは、顎を撫でて思案した。

「ガトランティスのゴルバを参考に建造された、我軍の機動要塞も、まだ試作段階の艦。強力な砲を搭載しているとは聞いているが……。まあいい。どのみち、異次元の敵に対応出来るのは、試作潜宙艦だけだ。索敵に集中しろ!」

「はっ!」

 

 一方、デウスーラでは、攻撃準備を進めていた。

 タランは、冷静に確認した。

「攻撃の用意はどうか?」

「前方と、後方の魚雷発射管に、バッテリーの電源をバイパスして、四門発射可能です」

「分かった。他の艦はどうか?」

「二番艦から四番艦、同じく魚雷発射管一門を使用可能にしたと報告がありました」

 重武装のデウスーラⅢ世は、多数の砲門と魚雷発射管が設けられている。しかし、エンジンを停止したことで、陽電子砲などの高エネルギーのビーム兵器は使えなかった。

「うむ。では、ゲール少将の一番艦に、いつでも作戦開始して良いと連絡してくれ」

 タランがふと見ると、スターシャは、また潜望鏡で通常空間を眺めている。

 自分たちが危険な状態だというのに、デスラー総統のことを気にかけていらっしゃる……

 タランは、少し遠慮がちにスターシャに言った。

「作戦行動中です。潜望鏡は降ろして頂けますか?」

「……」

 スターシャは、少し間をあけてから、潜望鏡を降ろした。

「ガトランティス艦隊五隻と、ガミラス艦の位置はそのままです。ですが……」

 タランは、訝しげな表情で、スターシャを見守った。

「別の艦隊が接近中です。恐らく、ボラー連邦の艦隊ではないかと」

 タランは、潜望鏡から得られた情報を、スクリーンに表示した。まだ遠いが、別の艦隊十隻と、大型艦と思われる光点が一つ映っている。

「ここに潜んでいるのが、上にばれたということか……」

 タランは、ため息をついて腕を組んだ。

 

 ゲールの座乗する次元潜航艦一番艦にも、各艦の準備が整ったことが伝えられた。

「全艦、攻撃準備完了との連絡を受けました」 

「ゲール少将、機関始動、いつでも出来ます!」

「魚雷、機関始動次第、全門発射出来るよう待機中です」

 ゲールは、目を閉じて冷や汗をかいたまま、沈黙している。

「少将! ご命令を!」

「ぐぬぬ……!」

 ゲールは、目を開けて、周りを確認した。艦の士官たちは、今か今かとゲールの命令を待っていた。諦めたゲールは、遂に鞭を振って命令を発した。

「機関始動! 全速前進!」

「了解! 機関始動、前進半速から全速へ!」

 機関室では、ゲシュ・ヴァール機関が唸りをあげ、後部プロペラが回転した。そして、どんどん速度を上げて、移動し始めた。

「センサーの表示を見逃すな!」

「了解!」

 

「敵艦を発見しました。方位、1−8−0! 全速で一分の位置です!」

 ミハイルは、即座に艦内に指示した。

「一番、二番、魚雷装填。艦回頭百八十度!」

 潜宙艦は、ゆっくりと回頭を始めた。

「艦長、発見した敵艦は一隻だけです」

 ミハイルは、科学士官の席のセンサーの表示を確かめた。確かに、敵艦を示す光点は、一つだけ映っている。

 彼は、艦の回頭が完了する間に暫し考えた。

「ふむ。これは囮だな。我々が魚雷を発射すれば、位置が特定出来ると考えているに違いない」

 そうしている間にも、艦の回頭が終わっていた。

「敵艦、やや右舷方向、深度五十。艦首の向き、調整します」

 ミハイルは、にやりと笑った。

「賢い奴らだ。だが、奴らに我々は見つけられん。魚雷発射と同時に、全速でこの場を離れる。始めろ!」

「了解! 一番、二番、魚雷発射!」

「機関全速、面舵一杯!」

 潜宙艦の艦首の魚雷発射管から、二本の魚雷が、連続で放たれた。

  

 ゲールの乗る次元潜航艦一番艦は、敵艦が撃った魚雷を探知していた。

「敵艦、魚雷を撃ちました! 本艦の後方から、魚雷二本、三十秒で到達します!」

「ち、近いではないか!?」

 一番艦は、全速力で航行していたが、魚雷の速度の方が速かった。

「だめです! 振り切れません!」

 ゲールは、慌てて指示をした。

「もう一度、機関を停止して、回避するのだ!」

「だめです! 近すぎて間に合いません!」

「魚雷到達まで、あと十秒!」

 ゲールは、死にものぐるいで考えた。

 この異次元空間には、隠れる所すらない。

 もはや、これまでか……。

 あとは、魚雷二本で艦が沈まないことを祈るしかない……。

 隠れる所……?

 ゲールは、成功するかは分からなかったが、咄嗟に思いついた案を実行に移した。

「通常空間へ緊急浮上!」

「ええっ!?」

「早く! やるのだ!!」

 ゲールの剣幕に押された操舵手は、慌てて復唱した。

「了解! 通常空間へ浮上します。次元タンクブロー!」

 

 その頃、デウスーラでも、敵艦の魚雷発射を探知していた。

「敵艦、魚雷発射しました! 方位、2−7−0!」

 タランは、すぐに指示した。

「敵の魚雷発射地点へ、艦首魚雷発射!」

「了解、魚雷発射します!」

「これで、本艦の位置は敵にばれる。機関始動用意。他の艦には撃たせるな!」

 デウスーラの艦首から、四本の魚雷が発射された。

「魚雷、目標座標に向け航走中!」

 タランとスターシャは、黙ってスクリーンに映る魚雷の光点が敵艦が存在すると思われる座標へと向かっていく様子を見つめた。

「魚雷、目標到達まで、あと一分。……タラン司令、最初に魚雷発射を探知した位置とはまったく別の場所です。敵艦がいったい何隻存在するのかも分からず、この状況は、非常に危険です」

「ふむ……」

 タランはそのことについて思案した。確かに、これまで、敵艦の位置が特定出来た訳ではない。未だ、エンジンを始動した形跡もない。少々不審な点があるのは間違いない。

 それも、デウスーラが放った魚雷が命中するか、外れるかで判明する。もしも、外れた場合、敵艦には、高エネルギーの反応をさせずに異次元を航行する技術が存在するという可能性がある。

 だが、そんなことが可能なのか?

「魚雷、間もなく目標に到達します!」

 タランとスターシャが注目していたスクリーンの魚雷を示す光点は、目標座標を通り過ぎて行った。

「我々の魚雷、外れた模様!」

 タランは、それを聞いて即座に決断した。

「機関始動! 全速で周辺の索敵を始める。全武器システム起動!」

 

 潜宙艦は、既に魚雷発射地点から大きく移動していた。そして、敵味方が放った魚雷の位置を、注意深く観測していた。

「敵、大型艦が機関を始動しました!」

 ミハイルは、それを機会と捉えた。

「恐らく、その艦を沈めれば、我々の勝ちだ。その艦の後方に回り込め!」

「はっ!」

 潜宙艦は、全速力で異次元空間を航行し、デウスーラに探知されぬよう、慎重に距離をとって回り込んでいた。

「敵艦の後方につけました!」

 ミハイルは、にやりと笑った。

「魚雷発射用意!」

「了解、三番、四番魚雷発射管、魚雷装填!」

 

 その頃、ゲールの一番艦は、通常空間へと鼻先を突き出したかと思えば、一気に艦体全体が宇宙空間へと飛び出した。

「浮上しました!」

 艦の後方から接近していた魚雷も、一緒に通常空間に飛び出していた。

「レーダーに感! 敵魚雷、まだ追って来ています! あ、待ってください、すぐ前方に、円筒形の物体があります! 間もなく衝突します!」

「つ、次から次へと! か、か、回避するのだ!」

「面舵一杯!」

 一番艦は、円筒形の物体を左舷に擦りながら、前方へと移動した。艦内には、激しい金属音が響いて大きく揺れていた。艦内で立っていたゲールは、床に転げ回っていた。

「ど、ど、どーなっておるのだ〜!?」

「ゲール少将! 大丈夫ですか!?」

 ゲールは、床に這いつくばったまま、次の命令を下した。

「ええい! も、もう一度、潜航するのだ!」

「了解! 緊急潜航!」

 一番艦は、飛び上がった鯨のように大きく跳ねると、再び潜航を開始した。

 その時、敵魚雷は、艦のすぐ近くにあった円筒形の物体に命中し、大爆発を起こした。

 異次元空間に戻ったゲールの乗る一番艦は、爆発の影響を受けて損傷していた。

「状況報告!」

「艦後方に損傷を受けました! 艦内に火災発生。隔壁を閉鎖して対応します」

「負傷者数名あり。医務室へ移送中!」

 ゲールは、ふらふらと床から起き上がった。

「ど、どうにか助かったか……」

 科学士官が、そのゲールを呼び寄せた。

「少将、これを見てください!」

「な、なんだ。まさか、次の魚雷が来たんじゃあるまいな……」

 科学士官は、艦首カメラで捉えた映像を見ていた。

「んん……? これはなんだ?」

 科学士官は、映像に映る長細い物体を指差した。

「これは、ケーブルですね……。先程、通常空間で衝突しそうになった円筒形の物体から、異次元に伸びていたものと思われます」

「どういうことだ?」

 科学士官は、楽しそうに笑顔を浮かべている。

「このケーブルが、どこまで伸びていて、どこにつながっているか……ですが。これは推測です。これを辿ると、敵の次元潜航艦がそこに存在すると、私は考えています」

 ゲールは、それを聞いて慌てて通信士に指示した。

「至急、タラン司令に繋げ!」

 その連絡を受けたデウスーラのスクリーンには、ゲールの姿が映っていた。

「ふむ。なるほど。ゲール少将、良くやってくれた。恐らく、君の艦の科学士官の見解は正しいと私も思う。そのまま、ケーブルを見失わないように監視していて欲しい。こちらに、ケーブルの座標を送ってくれたら、後はこちらで対処する」

 ゲールは、手揉みしながら嬉しそうに頷いていた。

 タランは、すぐにデウスーラの艦橋の士官に指示をした。

「ゲール少将の艦からの情報にあるケーブルを捜索する。すぐに始めてくれ!」

「了解!」

 デウスーラは、ケーブルを発見した座標へと針路を変更し、捜索を開始した。

「見つかったら、すぐに知らせてくれたまえ」

 タランは、科学士官へと冷静に言った。

「はい。航海士に捜索ポイントを連携します」

 

 その時、潜宙艦では、デウスーラが回頭して向きを変え、周囲を旋回する様子を捉えていた。

「どうした!? 何が起こっている!」

 ミハイルは、血相を変えて兵士たちに声をかけていた。電源が、非常用バッテリーに切り替わり、艦を動かすことが出来なくなっていた。

「艦長……。どうやら、通常空間にあるメインエンジンとの接続ケーブルが切断されてしまったようです」

 ミハイルは、それに衝撃を受けていた。

「な、何だと……!」

 艦の航海士は、残念そうに言った。

「この艦は、もう動くことも、魚雷を撃つことも出来ません。バッテリーの電源があるうちに、浮上しなければ、我々は、二度と異次元空間から脱出出来なくなります」

 ミハイルは、歯噛みして悔しがった。

 あと、もう少しだったというのに……!

 ミハイルは、感情を抑えると、努めて冷静に言った。

「分かった……。浮上してくれ」

「……了解しました」

 潜宙艦は、ゆっくりと、異次元から抜け出そうと浮上を始めた。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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