宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲34 交渉Part2

 惑星アマール ガルマン帝国大使館――。

 

 ライアンとランハルトたち、外交団一行は、ガルマン帝国大使館を訪れ、応接室に通されていた。

 一行の前に現れたガルマン帝国大使のベラミーは、不機嫌な様子を隠さなかった。応接室では、ライアン、ランハルト、そしてスコークが席についており、彼らはベラミー大使の登場に、席を立って迎えた。彼らの背後には、キャッスルとケール、そして海兵隊隊長のディランが、立ったまま控えていた。

 しかし、ベラミー大使は、特に挨拶を交わすでもなく、前回の交渉に臨んだキャッスルにだけ、一瞬睨みをきかせると、先に自分の席についた。一行は、当惑しながらも、仕方なくもう一度席についた。

 ライアンは、最初に口を開いて、ベラミー大使に礼を言った。

「ベラミー大使。私は、地球連邦政府代表、外務長官のライアンです。この度は、このような機会を頂き、感謝しています」

 続いて、ライアンに促されて、ランハルトも挨拶をした。

「前にも会ったが、私は、地球駐在ガミラス大使のデスラーだ。ガミラス政府を代表して、彼らと共にここへ来た」

 ベラミー大使は、ランハルトを憎々しげに睨んだ。前回地球連邦軍に煮え湯を飲まされたのは、結局ガミラス軍の後ろ盾を、帝国政府が恐れたからだ。

「……はるばる遠い所から来てもらったが、少々我々は忙しい。用件が済んだらさっさと帰って欲しい」

 ベラミー大使は、腕を組んだままあからさまに迷惑そうな表情で、一行に言った。

 ライアンは、ランハルトに目配せすると、自ら語り始めた。

「それでは、手短に。今回、我々がやって来たのは、ご相談があったからです。ベラミー大使は、ガトランティス帝国の存在をご存知ですか?」

 ベラミー大使は、特に興味が無さそうに返事をした。

「知らんな」

 ライアンは、満足そうに頷くと、話を続けた。

「ガトランティス帝国は、かつて、強大な軍事力を持っていて、我々地球連邦とガミラス、共通の敵性国家です。我々は、協力して立ち向かい、ガミラスは全軍を持ってして、ようやく彼らに大きな損害を与えて、勝利をおさめました。その後、我々は、もはや彼らを脅威とはみなしていませんでしたが、どうも最近、以前のような戦力を回復させている疑いが高まりました」

 ベラミー大使は、いらいらを隠さずに言った。

「それがどうかしたのかね? 用件を早く言いたまえ」

 ランハルトは、そこで口を開いた。

「我々ガミラスは、地球連邦との平和条約を結び、先日移民団を地球連邦に送った。我々は、イスカンダルとも深い友好関係にあるが、先日、移民団の特使として、イスカンダルの二人の皇女が地球連邦を訪れた。しかし、そこにガトランティス軍が突如現れ、イスカンダルの皇女を拉致して逃げられたのだ。我々は、協力してこれを追跡し、この中立地帯からわずか十数光年の宙域で、ようやく足止めすることに成功した。しかし、イスカンダルの皇女たちが人質となっている為、迂闊に手を出すことが出来ず、膠着状態となっている」

 ベラミー大使は、いらいらを爆発させた。

「何が言いたいのかね!? 我々は、地球連邦も、ガミラスも、イスカンダルも、ましてそのガトランティスという連中にも、何も関係がないではないか!?」

 ランハルトは、これに冷静に返答した。

「……そのガトランティスだが、我々が掴んだ情報では、ボラー連邦と手を組んでいる。これは、かなり確度の高い情報だ」

「何……?」

 ベラミー大使は、それを聞いた途端に、表情が曇った。彼も、謎の異星人がボラー連邦軍に協力しているという情報は聞いていたからだ。

「……その情報は、確かなのか?」

 神妙な様子で、ベラミー大使は、初めて話に興味を持ったようだった。

 そこに、新たに部屋に入って来た人物がいた。ベラミー大使や一行は、驚いてそちらの方に注目した。その人物は、ガルマン帝国政府の正装をまとっていて、明らかに政府の高官らしいというのが見て取れた。彼は、静かに中に進むと、皆の前に立った。

「お話の途中、申し訳ありません。私は、ガルマン帝国軍の参謀長官を務めているキーリングと申します。失礼とは思いましたが、隣の部屋で皆さんのお話を聞かせて頂きました。少々、興味深い情報が聞こえて来ましたので、ここからは、私にもお話を聞かせて下さい」

 キーリングは、紳士的な態度で、皆に会釈すると、ベラミー大使に席を立つように促した。慌てた様子で、ベラミーは席を立つと、キーリングに席を譲った。

「ど、どうぞ。参謀長官」

 キーリングは、黙ってベラミーが座っていた席についた。その背後に、ベラミーは直立不動の姿勢で立っている。

 キーリングは、周りを見渡すと、呆気に取られている一行に向かって言った。

「話の腰を折ってしまって申し訳ない。どうぞ、話を続けて下さい」

 気を取り直したランハルトは、続きを話した。

「これまで、ガトランティスは、この銀河に数年前に移動したと推測されていたが、いくつかの証拠から、ボラー連邦と手を組んでいるのではないかと、我々は疑いを持っていた。しかし、最新の情報で、これが確かな事だと言うことが確認された。ボラー連邦の本星付近に、ガトランティスの本隊が発見されたのだ。彼らと同盟を組んでいるのは、もはや疑いようのない事実だ」

 キーリングは、それを聞いて考えを巡らせた。ガルマン帝国軍が苦戦している新兵器や、謎の異星人が何者なのか、と言うことが、その話で明らかになったのだ。彼は、ランハルトとライアンの顔を交互に眺めて、情報を共有するのが得策と判断した。

「貴重な情報に感謝します。現在我々は、休戦協定を破ったボラー連邦と交戦中です。私がここにいるのは、総統ボルゾンの命により、ボラー連邦の考えを探る事が目的です。しかし、彼らと会合を行おうとしておりますが、いろいろ理由をつけて断られていました。つい先日、やっと話し合いのテーブルにつくことに合意し、これから会合の場を持つ予定です。今うかがったお話は、話し合いの材料として、非常に有益な情報だと思います。しかし、先程のイスカンダル人の拉致問題と、どのような関係にあるのかまだお話頂いていないと思います」

 ライアンは、ランハルトの方を見て頷き合った。それから、ライアンは、そのことについて回答をした。

「我々は、これまで、ボラー連邦との接点がありません。しかし我々は、今回の拉致問題について、ガトランティスと手を組んでいるボラー連邦との話し合いの場を設けることで、この問題を打開したいと考えています。それには、貴国と協力するのが早道であると考えました。先程、貴国も興味がおありだろうという情報をお話したのは、その為です」

 キーリングは、興味深く話を聞いている。

「分かりました。しかし……。確かに有益な情報ではありますが、我々があなた方と協力する理由がありません。となると、まだ何かお話がありそうに思いますが、いかがですか?」

 ライアンは、それに頷いて言った。

「我々地球連邦とガミラスは、あなた方はもちろん、ボラー連邦とも敵対する意思はありません。しかし……。我々は、ガトランティスという共通の敵に対しては、協力可能だと思っています」

 キーリングの目は、色めき立った。

「つまり……?」

 ランハルトは、最後の提案を口にした。

「あなた方に、共通の敵であるガトランティスを排除する意思がおありなら、我々は、いかなる協力をも惜しまない。このことでボラー連邦に圧力をかけ、ガトランティスからイスカンダルの皇女たちを解放させるように働きかける……。これで、ご理解頂けただろうか?」

 キーリングは、驚きを持って、彼らの話を咀嚼した。

 彼らとの間で、実際に同盟関係を正式に結んでいなくても、ガミラスの後ろ盾があることを匂わすことが出来るだけでも、ボラー連邦との交渉において、有利に事を運ぶことが出来るだろう。現在の形勢不利な戦況を打開し、一時的にもボラー連邦との停戦が実現すれば、体制を立て直す時間稼ぎが出来る。

 キーリングは、ライアンとランハルトを見つめて、口元から笑みをこぼした。

「そういうことか……。いいでしょう。その提案に乗りましょう。ボラー連邦との会談は、明日に予定しています。あなた方にも同席してもらいたいが、よろしいですかな?」

 ライアンとランハルトは頷いた。

「ありがとう。これで、この交渉は成立だ」

 ライアンは、立ち上がってキーリングに地球式の握手を求めた。戸惑うキーリングに、ベラミー大使がアドバイスして、ようやく両者は手をとった。そして、ランハルトも同じように、キーリングと握手した。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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