宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲 作:とも2199
小マゼラン銀河のどこか――。
約千年前、故郷を脱出したガトランティスの生き残りたちは、長い旅の中で、様々な文明を侵略し、高度なテクノロジーを手に入れていた。
特に、とある二重銀河の文明の科学奴隷は有能だった。頭部以外をサイボーグ化した彼らは長命であり、長い年月ガトランティスに様々な発明をもたらした。
ガミラスとの戦争で、ズォーダー大帝らは、テレサとイスカンダル人の精神侵食によって敗北し、改心することとなった。しかし、彼らが故郷のアンドロメダ銀河へと去った後も、精神侵食の影響を受けなかった者たちがいた。その彼らは、小マゼラン銀河のガトランティス大要塞で、大帝たちの帰りを待ち続けていた。
その間も、科学奴隷たちは、いつの日か大帝に捧げるべく、新たな兵器の開発を続けていた。そして、彼らが戻らないことが分かると、大要塞は、その地を離れ、行方不明となっていた。
ガトランティスの残党狩りを任されたフォムト・バーガー大佐は、約千隻の艦隊を率いて小マゼラン銀河にいた。旗艦であるゲルバデス級の新型戦闘空母ダライアスの居室から、作戦会議を行う為、司令室へと向かおうとしていた。彼は、部屋に据えられた端末へと、通信が届いているのに気が付いた。
端末を操作して、通信相手が出ると、それは彼の大切な友人からだった。
「ネレディア?」
「フォムト。久しぶりだな」
バーガーは、端末のデスクの椅子に腰掛けると、彼女に微笑んだ。相手は、古くからの付き合いのあるネレディア・リッケ大佐だった。
「急にどうした? 何かあったのか?」
ネレディアは、目を閉じて頭を振った。
「……大佐になったんだってな。これで、私と階級は同じという訳だ」
「ん? あ、ああ。まぁな。ガトランティスの残党狩りに出る時に任命された」
ネレディアは、少し照れたように頭をかく彼を、目を細めて優しげな表情で見つめていた。
「大した用事ではない。実は、またテロンへ行くことになってな。聞いているか知らぬが、移民団の護衛任務だ。半年以上はマゼラン銀河を離れることになるので、暫しのお別れを言っておこうと思ってな」
バーガーは、危険な任務に出かける訳ではないのを知り、ほっとして微笑んだ。
「そうだったのか。気をつけて行ってこいよ」
「フォムト。お前も気をつけてな。残党とは言え、油断するなよ」
「分かってるって」
通信が切れた後も、バーガーは、心配そうに彼を見つめる彼女の表情を思い浮かべた。
「やれやれ。俺は、子供じゃねぇっての」
胸の奥に暖かな感情を秘めつつ、彼は司令室へと向かっていった。
「バーガー大佐」
空母ダライアスの司令室にいたバーガーは、艦橋にいる艦長のメルキ中佐から、スクリーン越しに呼び掛けられた。
「どうした」
メルキ中佐は、体格の良い大男だった。にやりと笑った髭面の彼の表情は、まるで悪役のようだった。
「これまでの小マゼラン銀河の目撃情報を総合的に判断しました。ガトランティスの要塞は、ここを離れ、天の川銀河方面に向かったと推測されます」
バーガーは、天の川銀河と聞いて、ヤマト艦長の古代の顔を思い浮かべた。
いや、今はヤマトを降りて宇宙基地の司令官に出世したと伝え聞く。
そして、桐生美影の姿を思い出した彼は、頭を振って邪念をはらった。
「何の為にそんな遠い所に行ったんだ? それに、バラン星の亜空間ゲートの守備隊からも、あんなでけぇもんが通過したって話は聞いてねぇぜ」
メルキ中佐は、「これも推測ですが」と断った上で話を続けた。
「天の川銀河内の亜空間ゲートでの方舟出現の情報はご存知でしょう? 奴らの目的は、それかも知れません」
バーガーは眉をひそめた。
「ふん。そういやぁ、ガトランティスの小隊とテロンの艦隊の間で小競り合いがあったらしいな。なるほど、臭うな」
「大要塞が行方不明になったのは、ガトランティス戦争の後、しばらくたってすぐの事です。天の川銀河方面に向かって、既に五年ほど経ったと考えるのが妥当でしょう。恐らく、バラン星のゲートは使わずに移動したのではないかと。こっちで残党が時々出没していますが、本隊は既にこっちにはいないんじゃないですかね?」
バーガーは腕組みして思案した。
そうすると、奴らはエネルギーや資源の調達を、既に天の川銀河でやっているということか?
「元を断つには、天の川銀河に行くしかねぇってか。さしあたって、俺たちも天の川銀河に行って、まずはギャラクシーで情報収集してみるか? デスラー元総統やゲール少将に会っちまうかも知れねぇがな」
「そいつは、ぞっとしませんね」
バーガーは、スクリーン越しにメルキ中佐に指を指した。
「よし。艦隊から百隻程度の中隊を作れ。さすがに、全艦隊で行くわけにもいかねぇからな。こっちのガトランティスの残党狩りは副司令に任せて、俺たちで行こうぜ」
メルキ中佐は、ガミラス式の敬礼をして返事をした。
「ザーベルク!」
バーガーは、彼とのやり取りが終わった後、そう言えば、と思い出した。
「……向こうでネレディアに会えるかも知れねぇな」
思わず口に出して言った彼を、司令室の士官の一人が怪訝な顔で見ていた。バーガーは、それに気づいて咳払いをして言った。
「ぼやぼやすんじゃねぇ。長旅に出かける準備をしろ!」
バーガーは、艦隊を一部分けると、その艦隊を率いてバラン星に向かって出発して行った。
続く…
注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。