宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


第五章 銀河の長い夜
白色彗星帝国の逆襲47 暴虐のスカラゲック海峡星団


 スカラゲック海峡星団、ダリウス星系――。

 

「ダリウス2、敵艦隊、発見出来ません」

「ダリウス3でも、未だボラーの艦隊発見出来ず!」

「ダリウス4には、敵艦隊は見当たりません」

 二万五千からなる艦隊を任された、ガルマン帝国の准将ウォーゲンは、四重連星のダリウス星系に逃げ込んだボラー連邦艦隊一万隻の捜索を行っていた。

 ダリウス星系は、四つの恒星から成る幻想的な光景だった。その光景をウォーゲンは落ち着いた表情で眺めている。自身の旗艦を含む護衛艦隊は、星系から少し離れた宙域で待機させ、そこから指揮をとっていた。

「四重連星の恒星が干渉仕合い、この影響を避ける為、艦隊は限られた宙域の捜索しか出来ません。また、ダリウス1は白色矮星なので、接近するのは危険と判断し、捜索対象外にしています」

「分かった」

 艦橋の窓の外には、青白く輝くダリウス1の成れの果ての白色矮星の光が眩しく見えている。報告では、近い将来、超新星爆発を起こす兆候があるらしいが、今はまだその時では無い。

 ボラー連邦艦隊は、この恒星系のレーダーが上手く機能しない宙域が多い環境を利用して、隠れていると読んでいたが、もしかしたら、既に逃げたあとという可能性も否定出来ない。この状況では、ワープによる空間航跡を探すのも困難だと思われる。

「あと三時間は捜索を続けてくれ。それでも見つから無ければ、既に艦隊を見失ったものと判断し、残念だが我々はこの宙域を離れる。全艦隊に連絡を頼む」

「承知しました」

 ウォーゲンは、内心じりじりとしながら、恒星の光を見つめていた。

 

 その相手となるボラー連邦艦隊は、ダリウス1が飲み込んだ惑星群の外周軌道にある小惑星帯に身を潜めていた。

「偵察機からの報告がありました。ガルマン帝国艦隊は、ダリウス2から4の捜索を続けています。我々には、まだ気がついていないようです」

 ガルマン帝国への侵攻作戦を行っていた艦隊一万隻を集め、わざと彼らは、この星系へと逃げ込んでいた。艦隊指揮官のユーリは、ため息をついて報告に頷いた。

「本当に、ガトランティスは来てくれるのか? このままでは、発見されるのも時間の問題だ。ガルマン帝国軍と正面からぶつかれば、数の上で我々は太刀打ち出来ない」

 そのつぶやきに、彼の副官はそっと答えた。

「今の所、ガトランティスは、我々との同盟の約束は守ってくれています。信じて待ちましょう」

 ユーリは、事前にゴルバ四、五隻を含むガトランティス艦隊の大隊が派遣されることを聞いていたが、果たして形勢を逆転出来るか半信半疑だった。数千隻の艦隊から攻撃を受ければ、ゴルバと言えども、あっという間に沈められてしまうに違いない。

「何か策があるとは聞いているが……」

 

 その頃――。

 

 ウォーゲンらが待機しているのとは、ダリウス星系を挟んだ反対側の宙域に、ガトランティス艦隊三十隻の小隊が待機していた。

「ほとんどのガルマン帝国艦隊は、ダリウス星系内を捜索中です。一部、反対側の星系外の宙域で、旗艦艦隊と思われる約千隻が待機しています」

 報告を受けた艦隊指揮官テーザーは、ガトランティス空母の作戦指揮所で、偵察機が報告した敵艦隊の配置図を確認していた。

「ボラー連邦艦隊はどこにいる?」

「ダリウス1の小惑星帯に隠れていると聞いています。確認はしていません」

 テーザーは、頷いた。

「まあ、奴らがどうしているかはどうでもいいか。ガルマン帝国の星系外にいる千隻は、逃がしてしまうかも知れないな。だが、それも仕方が無いだろう。星系内にいる約二万四千隻の艦隊を叩く。例の物は、まだ到着しないのか?」

「予定では、間もなく到着するはずです」

 そんな話をしている間にも、彼らのいるすぐ近くの宙域に、ワープの反応があった。

「来ました!」

 ゆっくりと、空間が歪められ、巨大な物体がその場に出現しようとしていた。

 完全な姿を現したそれは、直径三十キロはあろうかという大きな球体をした鋼鉄の塊だった。表面にでこぼこも無く、何の兵装も付いていないそれは、表面がつやつやと光る黒ずんだ塊だった。

「遂に、これを使う許可が出たな。この、白色彗星がある限り、我々に対抗出来る勢力はこの宙域にはいない」

 テーザーは、畏怖の念を抱いて後方の映像を眺めた。その物体は、ガトランティスの艦隊の背後にゆっくりと迫って来ていた。

「白色彗星を十分後に起動! 遠隔操縦の準備急げ!」

 

 ダリウス4の捜索をしていたガルマン帝国軍の艦隊約八千隻は、捜索を打ち切るべく、集結をしていた。

 その艦隊の指揮官のバイテル中佐は、スクリーンを通じてウォーゲンに連絡をとっていた。

「くまなく星系内を捜索しました。念の為、既に三回は回って見ましたが、やはりボラー連邦艦隊は、発見出来ません。そろそろ諦める時かと思いますが、いかがなさいますか?」

 スクリーンに映るウォーゲンは、頷いている。

「分かった。ダリウス4の捜索は打ち切ろう。しかし、君たちには、念の為ダリウス1を見に行ってもらいたい」

 バイテルは、怪訝な表情をしている。

「ダリウス1は、白色矮星があり星系全体が不安定です。近づくのは危険ですが」

 ウォーゲンは、星系図をスクリーンに出して、持っていた指し棒でダリウス1の隅の方に円を描いた。

「分かっている。影響のほとんど無い、この星系外縁の方を確認して欲しい。それでも発見出来なければ、ダリウス2と3の捜索も打ち切り、終わりにしよう」

 その時、バイテルの艦のレーダー手が報告をしてきた。

「バイテル中佐……。関係ないかと思いますが、かなり大きな彗星と思われる天体を発見しました」

 バイテルは、つまらないことで、ウォーゲンとの会話を遮られて、少し腹を立てたような態度になった。

「彗星……? どうでもいい。後にしてくれ」

 レーダー手は、それでも食い下がって言った。

「それが、艦隊の中央を縦断するコースなんです。コース上の艦に退避命令を出して頂いたほうがよろしいかと」

 それを聞いたウォーゲンは、バイテルに言った。

「バイテル中佐。敵の攻撃という可能性もある。至急確認するんだ」

 バイテルは、渋々科学士官に確認を命じた。その彼は、観測したデータを見ると、冷静に報告をしてきた。

「彗星のような物体は、およそ、直径五十キロはあろうかという、白熱したプラズマの輝きで覆われています。表面温度は約五千度。付近に空間のゆらぎが認められ、超重力が発生しています。また、物体の周辺に電磁パルスも観測されています。物体は、速度を上げながら艦隊に近づいて来ます」

 バイテルは、青くなって確かめた。

「な、何だそれは! そんなものは、彗星などではない。まるで、移動する恒星ではないか!」

「確かにその通りです。至急、艦隊へ退避命令を出したほうが良いと思われます」

「当たり前だ! 全艦隊に通達! 彗星のような物体から、十分な距離をとって離れろ!」

 

 白色彗星は、じわじわと、そして大胆に速度を上げて、ガルマン帝国艦隊に近づいて行った。しかし、そのコース上の艦が一斉に道を空けた。

 星系外から白色彗星の遠隔操縦をしていたテーザーの艦では、スクリーンに白色彗星から撮影した映像が映っていた。

「敵艦隊、白色彗星のコース上から退避しました!」

 テーザーは、にやりと笑うと、冷静に指示を出した。

「速度を少し落として、左舷方向へ転舵させろ」

「了解。白色彗星、減速して左舷に転舵!」

 

 少し間があって、白色彗星はゆっくりと、進んでいたコースから左へとそれ始めた。ガルマン帝国艦隊は、白色彗星の前から退避しようと艦隊の陣形を崩してそれぞれの艦が思い思いの方向へと逃げ惑った。

 そして、比較的白色彗星の近くにいた艦が、遂にその超重力に捕まってしまっていた。それらの艦は、白色彗星に引き寄せられ、懸命にエンジンをふかして脱出しようと試みた。しかし、最終的に、電磁パルスの影響を受け、完全に艦の機能が停止して、エンジンも動かなくなっていた。そうなった艦は、あっという間に白色彗星に吸い寄せられ、高熱とプラズマによって溶かされ、ばらばらに分解されて爆発四散していった。そして、速度を上げた白色彗星は、逃げ惑う進路上のガルマン帝国艦隊を次々に飲み込んで行った。

「彗星は、我々の艦隊の中央をまるで狙って移動しています! 既に、三百隻の艦隊があれに飲み込まれてしまいました!」

 艦隊の指揮官バイテルは、真っ青になってその報告を聞いていた。

「ま、まさか……。あれは、敵の新兵器なのか……!?」

 まだ艦のスクリーンに映っていたウォーゲンは、バイテルに指示をした。

「バイテル中佐! 彗星に攻撃を加えてみるんだ。急げ!」

「りょ、了解!」

 命令を受けたバイテルは、白色彗星の近くにいた、約五百隻の艦隊に、一斉攻撃の命令を発した。それを受けた艦隊からは、次々に陽電子砲やミサイルが放たれた。

 無数の陽電子砲の光の束は、白色彗星に向かって行くも、何の影響も与えなかった。ミサイルは、近づいた艦と同様に、付近で推力を喪うと、超重力に引き込まれて爆発していった。白色彗星の周辺は、攻撃を受けて激しい爆発に見舞われていたが、本体には何の損害も与えられなかった。

「ウォーゲン司令! 駄目です! 攻撃が通じません!」

 ウォーゲンは、しばし思案していた。

「よし、惑星破壊プロトンミサイルを使用しよう。そうだな。一斉に五発ほど撃ち込め!」

「わ、分かりました!」

 続いて、惑星破壊プロトンミサイルを抱えた特務艦は、一斉にミサイルの発射準備を行った。

「プロトンミサイルを使用する! 各艦、彗星の近くから離れろ!」

 ガルマン帝国艦隊は、ミサイル進路上から、次々に退避して進路を空けた。

「中佐、この星系は、非常に不安定な環境です。プロトンミサイルの爆発で、どんな影響があるか分かりません。ダリウス星系全体のバランスが崩れる可能性もあります」

 科学士官の警告に、バイテルは、不服そうな顔をしていた。

「それがどうした。やらなければ、我々は全滅してしまうのだぞ!」

 そうしている間にも、発射準備が整ったとの報告を受けたバイテルは、命令を発した。

「一番艦から五番艦、プロトンミサイル発射! 至近距離で自爆させろ!」

 特務艦五隻は、一斉にその腹に抱えていた巨大なミサイルを発射した。五本の航跡を描いて、ミサイルは白色彗星へと高速で接近して行った。

「三、二、一、自爆!」

 プロトンミサイルが爆発した宙域に、巨大な火の玉が生まれた。惑星を破壊するほどの威力のあるミサイルの大爆発は、まだ付近を離れていなかった数十隻の艦隊にも影響を与えてしまい、その多くの艦が大破していた。

「やったか!?」

 その空間に生まれた火の玉は、徐々に収まって来ていた。しかし、その炎の中から、白色彗星はゆっくりと姿を現した。そして、その白いプラズマの輝きが完全に姿を現すと、再び速度を上げ、ガルマン帝国艦隊に襲いかかって行った。逃げ遅れた艦隊は、またも次々に白色彗星に飲み込まれて行く。

「ばかな……! プロトンミサイルが……効かないだと!?」

 これには、様子を星系外からうかがっていたウォーゲンすらも驚愕させていた。

「これは……。あれには、どんな攻撃も通じないと言うことか……!」

 ウォーゲンは、即座に決断した。

「バイテル中佐、これ以上の艦隊損耗を許容することは出来ない。今すぐに撤退しろ!」

「承知しました!」

 バイテルは、すぐに全艦隊に指示をしようとした。

「全艦隊に通達! この星系から撤退する! ジャンプ準備!」

「中佐、太陽風や重力異常があるこの星系内の空間では、ジャンプは正常に機能しません。まずは、それらの影響を避けて移動し、星系外に出る必要があります!」

 バイテルは、それを聞いて衝撃を受けていた。

 そうか……。罠だったのだな……!

「分かった! 全艦隊に通達! 通常航行でこの星系から脱出急げ!」

 その命令を受けた艦隊は、一斉に移動を始めた。しかし、艦の航行に支障が無いルートは狭く、八千隻もの艦隊が集結していたダリウス4の星系内から容易には脱出出来なかった。

「おい! このルートしか星系外へは脱出出来ないのか!?」

「駄目です! 先程のプロトンミサイルの爆発によって、ダリウス4に悪影響を与えたようです! 不安定な宙域が広がってしまっています。このルート以外に進めば、航行不能になります!」

 バイテルは、歯ぎしりしてこの報告を聞いていた。

 

 一方、星系外に待機していたウォーゲンは、他のダリウス2と3の捜索を行っていた、残りの一万六千隻の艦隊にも撤退命令を出していた。ボラー連邦艦隊を討伐するよりも、艦隊の保全の方が優先だと彼は判断していた。

 しかし……。

 あれが、ガルマン帝国領内に侵攻したら、防ぐ手立ては今は無い……。

「グスタフ中将へ緊急で亜空間通信! このことを中将に報告する!」

 

 その頃、ガトランティス艦隊のテーザーは、ガルマン帝国艦隊が一斉に逃げ出したとの報告を受けていた。

「なるほど。白色彗星に対抗するのは無理だと分かったようだな。少しは頭を働かせたらしい。だが、奴らを逃がす訳には行かない。作戦の最終フェーズに移行する!」

 

 それまで、ガルマン帝国艦隊を飲み込もうとダリウス4の星系内で猛威を振るっていた白色彗星は、突然進路を変更して、艦隊とは反対方向へと移動して行った。

「バイテル中佐! 彗星が、ここから去って行きます!」

 その報告を聞いたバイテルは、途端に色めき立った。

「本当か!?」

「はい。別の星系に向かって移動しています」

 バイテルは、別の星系の捜索を行っていた艦隊を攻撃をする気なのかと、少し考えていたが、何よりも、自らが助かったと言うことに安堵していた。

「よし。我々は、艦隊の陣形を整えてから、この星系を脱出する。全艦隊に伝えてくれ」

 

 白色彗星は、白色矮星となったダリウス1へと進路をとっていた。既にダリウス1の惑星は、白色矮星になった恒星に飲み込まれていて、付近の宙域は、激しいブラズマ嵐のような事象が発生していた。

 白色彗星の遠隔操縦を行っていたテーザーの艦では、科学士官が分析を行っていた。

「その辺りでいいと思います。白色彗星を停止させて下さい」

 科学士官は、テーザーに改めて作戦を説明した。

「白色矮星として縮退したダリウス1は、以前から激しい核融合反応が起こっていました。それにより、連星の、他の星系をも飲み込もうと活動を始めていました。先程のミサイルの爆発で、この星系全体の連星のバランスが崩れ、核融合反応が加速しています。我々が、あとひと押しすれば、人為的に超新星爆発を発生させることが可能です」

 テーザーは、満足気に頷いた。

「説明をありがとう。これより、白色彗星の自爆を敢行する! 超新星爆発の兆候を観測次第、我々はワープでここを脱出する!」

「艦長、出来れば少し離れた所でもいいので、事象を観測させて頂きたいのですが……。一生のうち、一度でも観測するチャンスがあるかどうかと言う、大きなイベントなので……」

 テーザーは、科学士官らしい発言だと思い、少し思案していた。しかし、これは戦争なのだ。そのような余裕は、本来では考えてはならないことである。

「済まないが、最大ワープでこの宙域を離脱させてもらう。恐らく、ワープを終了した先で観測することが出来るだろう。それで勘弁してくれ」

「問題ありません」

 テーザーは、改めて宣言した。

「作戦を開始してくれ!」

 ボラー連邦艦隊も、もはやここから逃げることは出来ないだろう。

 テーザーは、そのことを知りながら、彼らに何の警告も与えなかった。

 

 白色彗星は、突如として大爆発を起こして消滅した。そしてそれは、ダリウス1の超重力により、そのエネルギーが吸い込まれ、やがてそれは、強烈な核融合反応を引き起こした。

「ウォーゲン司令! ダリウス1に、超新星爆発を起こす兆候が見られます! 大変危険な状況です! 至急、この星系から離れて下さい!」

 ウォーゲンは、その報告に呆気に取られていた。まだ、帝国艦隊二万四千隻は、星系から脱出するのに手間取っている状況である。

「か……、艦隊が、全滅してしまう……!」

「司令! いつ、爆発してもおかしくありません!」

 ウォーゲンは、敗北感に苛まれながら、艦隊へと指示を発した。

「全艦隊に告ぐ! これから、超新星爆発が起こる! ジャンプ可能な艦は、直ちにジャンプしてこの星系から離れてくれ!」

 通信を切断したウォーゲンは、航海士に指示した。

「我々も行くぞ。帝国領内に向け、緊急ジャンプ!」

 

 ダリウス1に潜んでいたボラー連邦艦隊でも、その兆候を捉えていた。

「司令! 超新星爆発を起こす兆候があります! 至急、この星系から脱出して下さい!」

 艦隊指揮官のユーリは、その報告に呆れていた。

「何故だ!? 何故、突然、そんなことになったのだ? 確かに、この星系は、いつか超新星爆発を起こす可能性があるとは聞いていたが、それが何故今なのだ!」

「分かりません! しかし、本当なんです!」

 ユーリは、艦隊全体を、この不安定な宙域から離脱させる航路が狭く、脱出が困難なことを知っていた。それに、仮に助かっても、敵艦隊に発見されて追撃を受ける可能性もある。

 ガトランティスは、一体どうしたのだ……!

 しかし、そのようなことを気にしている余裕は、既に無かった。

「全艦隊に通達! 隊列を組み、星系からの脱出を試みてくれ。ワープ可能宙域に到達した艦は、他の艦を待たずに緊急ワープ!」

 しかし、その指示も虚しく、ダリウス1は既に破裂寸前だった。

 

 そして数分後、ダリウス1は、眩い光を放つと、大爆発を起こした。爆発は、連星である他の三つの恒星を巻き込み、天文学的な広範囲に、巨大な重力震が広がった。その影響は、ワープで脱出したウォーゲンの艦隊が現れた宙域にも、更に迫って来ていた。

「司令! 今すぐにもう一度ジャンプを!」

 ウォーゲンは、ワープで遠く離れたはずのその場所にまで、危険が迫っていることに恐怖を感じていた。これでは、星系内にいた艦隊が助かる見込みはほとんど無いだろう。

「分かった! 緊急ジャンプを再度敢行せよ!」

 ウォーゲン率いる約千隻の艦隊は、再度ワープしてその宙域から去って行った。その直後に、その宙域にも重力震が襲いかかった。

 

 スカラゲック海峡星団で発生したこの爆発は、ボラー連邦でも、ガルマン帝国でも、あらゆる場所でその事実が観測され、伝わっていた。そして、その知らせは、地球連邦と、ガミラスでも、間もなく知ることになる。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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