宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

51 / 149
宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲51 最後通告

 ボラー星系第五惑星――。

 

 チェコロフ率いる本星防衛艦隊の一部の約三千隻が集結していた。それは、スカラゲック海峡星団で発生した超新星爆発によって、自軍の艦隊一万隻との連絡が途絶えたことに対して、ガトランティスが何の釈明もせず、沈黙を守っているからである。

 本来であれば、その一万隻は、ガトランティス艦隊と共同作戦により、誘き寄せたガルマン帝国北部方面軍を葬るはずであった。しかし、超新星爆発によって、ガルマン帝国艦隊だけで無く、自軍の艦隊も失われた可能性が高く、何があったのか、ガトランティス側には、同盟国としての説明の義務があるはずだった。

 しかし、首相ベムラーゼ自らの連絡にも、何故かガトランティスは、応答しようともしない。この異変に、ボラー連邦艦隊総司令官のチェコロフには、ガトランティス本隊に直接確認する任が与えられた。第四惑星のボラー本星の隣の第五惑星に陣取るガトランティス本隊、及びその巨大要塞に対して、必要であれば、総攻撃を仕掛けることになる。ガトランティス大要塞の守備艦隊は、現在は、せいぜい数百隻程度の艦隊しか認められず、本星を守る総数五千隻の防衛艦隊を持ってあたれば、恐るに足りずと思われた。例え、ゴルバを何隻か使われたとしても、惑星破壊ミサイルで、あっと言う間にガトランティスを全滅させることが可能だ。その為に、防衛艦隊には、惑星破壊ミサイルを抱えた特務艦が十隻程帯同している。

 惑星破壊ミサイルは、ガルマン帝国との戦争の中で誕生した、究極兵器だった。このミサイルは、命中してもすぐには爆発せず、惑星の地殻の奥深くに侵入し、内部で大爆発を起こすことで、一瞬で惑星を破壊可能な威力を持つ。どちらが先だったのかは、もはや不明だが、双方の兵器開発競争がもたらしたものであり、ボラー連邦とガルマン帝国で持つミサイルの性能や威力は、同等のものだった。近年では、次元潜航可能な潜宙艦についても、双方で兵器開発競争が繰り広げられている。このミサイルは、惑星以外に対して使用することはもちろん可能で、爆発するタイミングも、発射した特務艦から制御可能だった。そうすることで、多数の艦隊を相手にした攻撃も可能な兵器だった。

 

「惑星破壊ミサイル搭載艦各艦、発射用意完了しました」

 チェコロフは、艦隊旗艦の大型空母で、その報告を聞いていた。

「分かった。通信士、ガトランティスの女帝ズォーダーは、こちらからの通信に応答したか?」

「だめです。応答ありません」

 チェコロフは、大きくため息をついた。

 惑星破壊ミサイルを以ってすれば、ガトランティスの大要塞など、その気になれば、直ちに沈めることが出来るだろう。例え、ゴルバを出して来たとしても、それも、惑星破壊ミサイルの餌食となるのは目に見えていた。

「このままでは、一方的な連絡となるが……、私が直接呼びかける」

 通信士に目配せしたチェコロフは、通信用マイクを掴み、ガトランティスへと呼びかけた。

「こちらは、ボラー連邦艦隊総司令官、チェコロフである。女帝ズォーダーに告ぐ。スカラゲック海峡星団で貴国と作戦行動を取るはずだった我が艦隊との連絡がつかなくなった。これについて、再三の問い合わせに、何の返事も頂けていない状況である。我々としては、超新星爆発に、貴国が関係していると疑わざるを得ない。ガルマン帝国艦隊二万五千隻は、予定通り確かに葬られたようだが、我々の艦隊一万が全滅してしまっては、意味が無い。貴国が、我々を裏切ったと言うのであれば、それ相応の対応をせざるを得ない。こちらは、既に惑星破壊ミサイル搭載艦の攻撃準備を整えたところである。直ちに返答を望む。五分待とう!」

 そこまで、一気に喋ったチェコロフは、そこでマイクのスイッチをオフにした。

「ガトランティスからの応答を、五分待つ。応答なければ、攻撃を開始する!」

「はっ!」

 チェコロフは、艦のスクリーンに映るガトランティス大要塞の姿を眺めつつ、腕を組んで立ち尽くしていた。このまま、五分経てば、ここまで同盟を保ってきた彼らと砲火を交えることになるのだ。

「チェコロフ総司令! ガトランティスとの通信回線が繋がりました! 映像通信を要求されています!」

 チェコロフは、ほっとしたように頷いた。さすがに、砲火を交えれば、ここまで進めた作戦が台無しになってしまうのを恐れていたからである。彼らは、何らかの釈明をしてくることになるだろう。

「よし、繋いでくれ」

 スクリーンが切り替わり、そこには大帝の座にいる者の姿が映っていた。

「チェコロフ総司令官」

 そこに映っていたのは、新たに大帝となったミルの姿があった。若い彼の姿を見て、チェコロフは口元を緩めた。

「おや? 女帝はどこへ行ったのかね?」

 ミルは、自身が甘く見られていることを知っていたが、それには動じ無いように努めた。恐らく、与し易いと思っているのだろう。

 ミルは、顔を伏せて言葉を溜めた。彼らには、宣言をしなければならない。彼の父だと言う、前の大帝ズォーダーならば、今なんと言うか思いを馳せた。

「……我がガトランティスが、汝らに命ずる時が来た。降伏か死か、そのどちらかを選択をするのだ」

 チェコロフは、その言葉に面食らっていた。釈明どころか、これは最後通告だった。

「何を言っているのか分からんな」

 ミルは考えた。

 こんな時、ズォーダーならどうするだろうか? 恐らく、ここで高笑いを始め、彼らを上から見下すことだろう。そうして、どちらの立場が上かを、相手に分からせてやるのだ。だが、自分には、そのようなやり方は似合わない。だから、ミルは冷静に応じた。

「ならば、分からせてやろう」

 スクリーンの向こうのミルは、手で何か合図をした。その瞬間、スクリーンの映像が消えた。

 チェコロフは、すぐに艦隊に警告を発した。

「全艦、恐らくゴルバが現れる! レーダーの反応に注意しろ! 現れた瞬間に、惑星破壊ミサイルを撃ち込んでやれ!」

「長距離レーダーに感! ワープアウトする物体が一つあります!」

 だった一隻のゴルバで、ボラー本星の防衛艦隊に対抗するつもりなのか? そんなものが、役に立つと思っているとは、あの若造の底が知れる。

 チェコロフは、にやりと笑うと、艦隊に指示した。

「惑星破壊ミサイル、ワープアウトする艦の座標に狙いをつけろ。出た瞬間に撃破するのだ!」

 その命令で、惑星破壊ミサイルを搭載した特務艦一隻が、前に移動し、指定の座標へとミサイルの目標を設定した。そして、既に発射用意の完了していた特務艦では、カウントダウンを開始していた。

「惑星破壊ミサイル、発射五秒前、四、三、二、一、発射!」

 惑星破壊ミサイルは、その巨大な円筒の後部から光を放ち、徐々に加速して行った。そして、特務艦から十分に離れた位置で、エンジンに火をつけて一気に飛び出して行った。

 チェコロフは、放たれた惑星破壊ミサイルが、ワープアウトポイントへと高速に飛び去って行くのを見守った。

「物体、たった今、完全にワープアウトしました! 惑星破壊ミサイル命中まで、あと十秒!」

「艦種識別! ……物体は、ゴルバではありません! 光学分析によれば、何か球形の物体です。これは、艦船ですらありません……!」

「物体の映像を拡大投影!」

 スクリーンには、何か白熱した大きな白い球形の物体が映っていた。チェコロフも、これには驚きを隠せなかった。

「な、何だ……? あれはいったい……!」

「惑星破壊ミサイル、命中します!」

 惑星破壊ミサイルは、その物体に吸い込まれるように接近すると、大きな爆発を起こした。そして、その光は、スクリーンを真っ白に染め、艦橋の窓からでも、眩い光を放っていた。

「ふん。やったか……」

 チェコロフは、黙ってその光を見つめていた。そして、光が徐々に収まって来るのを確認して、再び通信機のマイクを掴んで、ガトランティスに戦闘を止めるように伝えようとした。あれが何だったのかは、後で聞けば良いだろう。

 その時、レーダー手は、新たな報告をして来た。

「チェコロフ総司令……! 物体は、破壊できなかったようです! 移動を開始しました!」

 スクリーンの映像が回復し、その物体の姿が再び映っていた。長い尾のような光を放ち、物体は移動を始めていた。

「あれは……。まるで、彗星じゃないか。大彗星だ!」

 艦内の誰かが、その映像を見て叫んでいる。チェコロフも、確かに大彗星のようだと思っていた。しかし、こちらに向かって来るわけではなく、艦隊とは別の方角へと進もうとしている。

「おい、あれはどこに向かっている!?」

 レーダー手は、電探の装置を操作して、物体の移動先のコースを予測した。

「……ボラー本星へ、向かっています」

 チェコロフは、少し頭が混乱していたが、このまま放って置くことは出来なかった。

「本星に残して来た防衛艦隊に連絡! 直ちに、迎撃体制に移行し、大彗星の来襲に備えよ!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。