宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲52 敗者の選択

「彗星のような姿の物体は、本星に接近中!」

「チェコロフ総司令の命令により、これより迎撃体制に移行する。惑星破壊ミサイル艦隊は、直ちに攻撃用意!」

「目標、あと十分で本星に到達します!」

 ボラー星系第四惑星、ボラー本星では、慌ただしくその準備に追われていた。

 報告を受けた首相ベムラーゼは、自身の執務室から、本星防衛省の作戦本部へ現れていた。

「状況報告!」

「首相、ガトランティス帝国が放ったと思われる物体が、現在第五惑星付近から高速に移動し、ここへ向かって来ています!」

「物体とは何だ。それでは分からんぞ!」

 作戦本部にいた科学士官は、これまでの情報をベムラーゼに伝えた。

「物体は、外観は彗星のような尾を引き、白い輝きに包まれています。それは、直径五十キロ程の白熱したプラズマで覆われています。恐らく、本体の大きさは、三十キロ程度で、表面温度は約五千度。空間のゆらぎがその付近に認められ、超重力と電磁パルスが観測されています。チェコロフ総司令からの報告で、惑星破壊ミサイル一発の爆発にも耐え、こちらに急速に接近中です。あと、十分足らずで本星までやって来ます」

 あと十分……?

 ベムラーゼは、あとたった十分足らずで、惑星破壊ミサイルの効果が無かったと言うそれを排除しなければならないと言うことに驚愕していた。

「な、何だと……? 対策は……!」

「はっ! これより、本星防衛艦隊の惑星破壊ミサイル艦隊十隻を使って、破壊を試みます!」

 確かに、強力な惑星破壊ミサイル十発の攻撃で、破壊出来ないものは無いだろう。だが、ベムラーゼは、冷や汗をかいていた。

 ガトランティスは、我々を突如として裏切ったのは、いったい何故だ……?

 それに、そのような兵器を隠し持っていたと言うのか……? 何故、今まで隠す必要があったのか。

「ま、まさか……。この時の為に……?」

 ガルマン帝国との戦いでも、彼らの提供した艦隊や、ゴルバは、大いに活躍してくれていたが、同時に彼ら自身にも様々な被害があった。惑星破壊ミサイルが通用しないような兵器があるのであれば、戦線に投入すれば、もっと容易に戦いを進められていたはずだ。

 今ここでそれを使うのは、最初から裏切るつもりでいてことが濃厚だ。それも、スカラゲック海峡星団で、我が方の戦力が大幅に失われるこの時を待っていたのではないか?

 奴らは、最初からガルマン帝国とグルだったのか?

 ベムラーゼは、頭を振った。

 いや、違う。スカラゲック海峡星団では、ガルマン帝国も、甚大な被害をもたらされている。奴らは、ガルマン帝国と我々の双方の艦隊に大きな被害が出るのを待っていたのに違いない。それを待って、裏切りを決断したのだ。

 青くなったベムラーゼは、作戦本部のスクリーンに映る、敵の彗星を示す光点を見つめた。そうして考え事をしている間に、いよいよ惑星破壊ミサイルが発射される時がきていた。

「惑星破壊ミサイル十基、一斉発射! 月軌道に到達する前に撃破します!」

 スクリーンには、新たな十の光点が現れた。それは、まっすぐに、敵の大彗星へと向かっていく。

「科学士官に聞きたい。ミサイルは、効果があると見込んでいるのだろうな……?」

 科学士官は、少し考え込んでいる。

「正直なことを言えば、分かりません。物体に接近しすぎれば、電磁パルスの影響で、ミサイルは機能しなくなります。その為、ぎりぎりまで接近させてから、自爆させる必要があります。しかし、あれはまるで恒星のようなプラズマと高温で覆われています。言ってみれば、太陽にミサイルを撃つようなもので……。しかし、あくまでも人工物体ですから、その装置のどこか一部でも破壊出来れば、あれを止めることが出来るのではないかと思います。何より、我々は、惑星破壊ミサイルより強力な兵器を有しておりません。あれが通用しなければ、対抗手段はありません」

「試験中の機動要塞のブラックホール砲はどうした!」

「先日、実験中の事故で失われたと聞いていますが」

 そういえばそうだった……。

 チェコロフから、そんな報告を受けていたのを、ベムラーゼは思い出していた。

 そんなやり取りをしている間に、ミサイルは大彗星へと着弾しようとしていた。

「着弾します! 間もなく自爆させます。三、二、一、自爆……!」

 スクリーンの十基のミサイルを表す光点は、次々に消えていった。

 十基のミサイルが自爆した宙域は、想像を超えた巨大な爆発が起こっていた。巨大な光の輝きは、ボラー本星のどこにいても目撃できる程の巨大なものだった。

「どうだ!?」

 ベムラーゼは、作戦本部のスタッフに大きな声を出して確認を促した。

 巨大な光の輝きは、少しづつ収まってくると、その中の物体は、白とオレンジ色の輝きで渦巻いている。しかしその渦も収まると、徐々に中の物体が移動し始めた。

 大彗星は、その異形の姿を表すと、ゆっくりと更に前進を始めた。

「駄目です! 惑星破壊ミサイル、効果ありません!」

 ベムラーゼは、驚愕のあまり、その場でスクリーンに映る大彗星の姿に畏怖し後退った。

「ベムラーゼ首相、直ちにここから脱出して下さい」

 ベムラーゼの側近の男が、ベムラーゼに近づいてそっと耳打ちした。

「……無理だ。あれは、もう目の前にいる。もはや、逃げる時間は無い」

「首相! ガトランティスから通信が入って来ています!」

 ベムラーゼは、静かに頷いた。

「……よし、繋いでくれ」

 ベムラーゼは、スクリーンの前に立ち、相手が映るのを待った。

 彼は、ガトランティスに何というのか考えた。この通信で、何とか国民が救われる道を探すのだ。

 そして、スクリーンに、ミルの姿が映った。

「君は……。そうか、ガトランティスは、新たな大帝を迎えたのだったな」

「ベムラーゼ首相。久しぶりだね。どうかね? 我々の白色彗星の感想は?」

「白色彗星……か。そんな兵器を、隠し持っていたとはな、想定外だったよ。最初から、こうするつもりだったのかね?」

 ミルは、静かに頷いた。

「そうか。我々は、君らにまんまと騙されていたと言う訳か」

 自嘲する彼を、ミルは少しだけ哀れんだ。だが、ガトランティスの大帝として、彼に最後通告を突きつけねばならない。

「ベムラーゼ首相。改めて通告する。降伏か死か。選択をする時だ。降伏しないのであれば、白色彗星が、君たちの本星を破壊することになるだろう」

 ベムラーゼは、暫し黙り込んだ。

 このような選択を迫られる日が来るとは……。

 これは、浅はかにも、ガトランティスなどと言う外宇宙からやって来た異星人の国家を信じたことが原因だった。

「私の代で、ガルマン帝国との長い戦争の歴史に終止符を打ちたいと思っていたのだよ。功を焦ったその結果がこれか……」

 ミルは、何も言わずにその答えを待った。刻々と、時間が過ぎていく。長い沈黙だった。

 ……恐らく、ベムラーゼは降伏を選択する。彼は、白色彗星に攻撃が通用しないことを悟った瞬間から、国民を生かす方法を考えていたのに違いない。賢い男だったのだな……。

 その時、それまでもミルの近くにいたが、ずっと黙っていたカミラが、ベムラーゼにも見えるように、スクリーンに突然現れた。

「ベムラーゼ首相。私です」

 ベムラーゼは、カミラの姿に嫌悪感を顕にした。

「なんだ。君も、そこにいたのかね。我々は、あなたに騙された……!」

 ベムラーゼの怒りの矛先は、明らかにミルでは無く、カミラに向いていたのだ。

 カミラは、口元に手をかざして、大きな声で笑い出した。まるで、かつてのズォーダーや、サーベラーのように。

「……あなたたちとの同盟、楽しませてもらったわ。でも、もう時間切れ。さようなら、首相……」

 ベムラーゼは、話を打ち切ろうとするカミラに、大きな声を出した。

「ま、待て! 我々は、降伏する……! 降伏の条件について、話し合おうではないか」

 カミラは、笑うのを止めて真顔で言った。

「我々は、条件交渉はしない。残念だわ、首相」

「待ち給え……!」

 そこでガトランティスとの通信は切れた。

 何も映らなくなったスクリーンは、外部の映像に切り替わった。

 ベムラーゼは、真っ青な表情になっていた。

「宇宙艦隊に通達。可能な限り、本星から離れ、生き残るように伝えてくれ……」

 作戦本部のスタッフは、あまりの急展開に、呆然としていた。

 

 その頃、ガトランティスの要塞都市帝国では、カミラとミルが、互いに対して苛立っていた。

「は、母上! ベムラーゼ首相は降伏勧告を受け入れてくれようとしていた! これでは、あんまりではありませんか……!」

「何を言っているの? もとより、彼らに選択肢などありません。彼らを生かしておいても、我々の邪魔になるだけ。ここで、本星を全滅させることが出来れば、指導者を失ったボラー連邦など、もはや我々の敵では無い」

「しかし、惑星ごと滅ぼせば、何十億人もの犠牲者が出てしまう……!」

 カミラは、呆れたような表情になった。

「それがどうしたの? 先日のスカラゲック海峡星団の戦いでは、数百万の命を葬った。それに比べれば、少しだけ多いけれども」

「母上、数の問題ではありません。無益な殺生はするべきではないと申し上げているのです! 降伏した種族には、最低限の生命の保証を与えてやるべきだ」

 カミラは、残念そうに首を振った。

「それが、ガトランティスの指導者としての発言? そんな甘いことを言っていては、帝国民はあなたにはついて来ない。今すぐに、訂正するのです!」

 ミルは、王座から立ち上がり、カミラに大声で叫んだ。

「あなたこそ、誰に向かって言っているのだ! 私が、大帝なのだぞ! 私が決めた方針に従うのだ! ゲーザリー参謀長官! 女帝を拘束して、ここから連れて行くのだ!」

 少し離れた所でこのやり取りを見守っていたゲーザリーは、冷静に言った。

「申し訳ありませんが、そのようなご命令には従えません」

「な……!」

 ゲーザリーは、ミルを無視して部下に命令を発した。

「白色彗星を前進させたまえ」

「や、止めろ!」

 ボラー本星を目前にして停止していた白色彗星は、ゆっくりと動き出した。 

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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