宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲55 四国同盟Part1

「我々は、貴国を信用することは出来ん!」

 ボラー連邦の参謀長官のゴルサコフは、議場のテーブルに拳を叩きつけた。

 中立地帯の惑星アマールでは、ガルマン帝国とボラー連邦の参謀長官同士の話し合いの場が再び設けられていた。同じ場に、地球連邦とガミラスを代表した、ライアンとランハルトが同席して、会議の行方を見守っていた。

 ガルマン帝国の参謀長官キーリングは、冷静にゴルサコフに反論していた。

「ゴルサコフ参謀長官。我々としては、貴国で起こったことは、お気の毒としか言いようが無い。しかし、それもガトランティス帝国などと言う輩と手を組んできた、今は無きベムラーゼ首相らの貴国の失政であることもまた事実だ。だが、それを超え、我々は、ガトランティスに対抗するために、手を携える必要があるのではないかね? そうしなければ、貴国の支配下の多くの星系に住む住民を、危険に晒すことになる」

 ゴルサコフは、手を震わせて、キーリングに指を指した。

「そ、そんな事を言って、我が国の混乱に乗じて、領土を拡大しようとしているのではないのか!?」

 キーリングは、ため息をついた。

「今は、そんな事を、言っている場合ではない。貴国の軍隊は、大幅に戦力を失っており、ガトランティスを止められずにいるそうではないか。我々が掴んだ情報によれば、既に、ガトランティスは、貴国の領土の星系を次々に侵略していると言う。もはや、それを止める力がないのでは?」

 ゴルサコフは、情報網も一部絶たれてしまい、国内で発生している状況を正確に掴むことが出来なくなっていた。彼は、真一文字に口をつぐんで、キーリングを睨みつけている。

 キーリングは、口を閉じたゴルサコフの代わりに話を続けた。

「それに、ガトランティス軍は、ガルマン帝国領内へ移動しようとしている疑いが、日に日に高まっている。我がガルマン帝国にとっても、他人事では済まないのだ。この機会に、一時休戦して協力出来ないだろうか。長年争って来た互いの立場を思えば、それは容易では無いだろうが、今はそのような過去の問題を棚上げしてもいい時だと私は思うがね?」

 まだゴルサコフは黙っている。簡単に決断して良いのか彼は迷っていた。

 本星で多くの人命が失われた結果、たまたま中立地帯にいて生存していた彼こそがボラー連邦の指導者としての権限を持っている。艦隊総司令のチェコロフが、本星での戦いで辛くも生き残っており、本星防衛艦隊の残存艦艇数百隻を率いて、中立地帯へ向かっているという情報だけが、彼の心の支えだった。

「……分かった。だが、奴らとどうやって戦う? 勝算はあるのか? 奴らの新兵器、白色彗星には、惑星破壊ミサイルも、あまり効果は期待出来んと聞いている」

 膠着状態にある会談の模様を見ていたランハルトは、手を上げて、議長である惑星アマールの防衛長官ハラールに発言を求めた。ハラールは、頷いて静かに許可を出した。

「我々ガミラスは、長年ガトランティス帝国と戦って来た。そして、我々もガトランティスが白色彗星を持ち出したことで、滅亡の危機に瀕したことがある」

 キーリングと、ゴルサコフは、その話に興味を示した。

「どうやって、奴らを撃退したのだ?」

「私も、それについては是非聞いておきたい」

 ランハルトは、ライアンに目配せして話し出した。

「白色彗星に対抗可能な手段は、我がガミラスには存在しない。正確には、今ならその手段を持つことは出来るのだが、バレル大統領がそれを許さなかった。それを可能にする兵器は、地球連邦が持っている。ゴルバはもちろんのこと、白色彗星も一撃で破壊可能な兵器だ。我々は、彼らと協力して戦い、白色彗星の撃破に成功したのだ」

 ゴルサコフは、色めき立って、ライアンに言った。

「そ、そうなのか? そんな武器があるのか!?」

 ライアンは、少し黙っていたが、静かに頷いた。

「ええ……。イスカンダルから技術供与を受けた、次元波動機関を武器に転用し、我々の科学者が作った強力な兵器があります。次元波動爆縮放射機、略して波動砲と我々は、呼んでいます。この兵器で、破壊できない物体は、今のところ見つかっていません。白色彗星は、波動砲を使えば、一発で破壊可能です」

 おお、とゴルサコフとキーリングは驚きの声を上げた。

「な、ならば、その武器を我々に貸与して欲しい……! 早くしなければ、我がボラー連邦は、それこそ滅亡してしまう……!」

 ライアンは、残念そうに頭を振った。

「申し訳ありません。それは、出来ない相談です。この兵器は、信じられないほど強力で危険なのです。イスカンダルはもちろん、ガミラスとも、この技術を巡っていろいろなことがありました。この兵器は、管理を徹底でき、信頼関係のある国家としか、技術を共有出来ないのです。もし、誤った思想を持った国家がその技術を持てば、この宇宙は蹂躙され、終焉を迎えてしまうでしょう。それほど危険な、究極の破壊兵器なのです」

 絶望的な表情を見せるゴルサコフとは対象的に、まだ余裕のあるキーリングは、冷静だった。

「だが、今はその力が我々には必要そうだ。それも早急に。例えば、我々は、君たちの惑星に、力ずくで取りに行くことも考えられると思うが?」

 ライアンは、渋い顔になった。

「それは……脅しですか?」

 キーリングは、手を広げて、頭を振った。

「そう取られるのは、自由だが、我々だって座して滅亡の時を待つ訳にはいかない。何か、交渉の余地は無いのかね?」

 ライアンは、ランハルトの顔を見た。彼も、同じことを考えていた。キーリングという男、油断がならないが、相当頭が切れる。

「あなた方と、我々地球連邦が、今すぐに信頼関係を結ぶのは困難です。しかし、今回の問題は、同じ天の川銀河に住む我々にとっても、他人事ではありません。我々の大統領も、深く今回の事態を憂慮しています。このまま放っておけば、いつ地球まで彼らが襲って来るやも知れず、そのことを恐れています。どうでしょう? 地球連邦としての提案ですが、あなた方と一時的な同盟を結ぶというのは? 我々も、地球連邦に被害が及ばぬうちに、この問題を排除したい。我々は、波動砲搭載艦艇の派遣をし、あなた方と共同戦線をはるのであれば、協力は可能です。既に、大統領の許可ももらっています」

 驚くキーリングとゴルサコフに、更にランハルトも続けた。

「我がガミラスも、大統領の許可をもらっている。地球連邦の同盟国として、約千隻の艦隊を出すことが可能だ。ガトランティス艦隊には、白色彗星以外にも、強力な兵器がいくつかある。メダルーサ級という大口径のワープ可能なビーム砲艦、そして、カラクルム級という射程距離が非常に長く、強力な破壊力を持つ衝撃砲を搭載した艦艇などがある。これらの艦艇は、全てガミラスから拉致した科学奴隷のアイデアを元に、彼らが改良して戦線に投入している。これらの艦隊との戦いを既に経験している我々は、対抗策も持っている。何より、ガトランティスは、この宇宙の癌のような存在だ。近隣の銀河に住む、同じヒューマノイドとして、我々も他人事ではないと考えている。いつまた、彼らがマゼラン銀河に戻るとも限らないからな」

 ゴルサコフは、打ち震えていた。どうやら、話に本当に感謝しているようだ。

「我々には、異論はない。是非、あなた方と同盟関係を結びたい。もはや、一刻の猶予も無いのだ」

 キーリングは、しばし黙って考えていた。この問題を、本国の総統ボルゾンと話したところ、彼の命令は、この機会に隙を見て、ボラー連邦にとどめを刺せ、と言うものだった。国家の存亡がかかったこんな時に、馬鹿げた話だと、とても賛同できかねていた。しかし、この助け舟に乗れば、本国を救うと同時に、ボラー連邦を支配することも不可能では無いだろうと、彼は頭の中で考えていた。

「我々も、申し出を断る理由は無い。同盟関係を締結させる交渉に入ろう」

 議長のハラールは、この発言を持って宣言した。

「今回の会合の結論として、宣言する。我々は、ガトランティス帝国を、銀河系共通の敵と認定し、共同で撃退することに合意したものとする。我々中立地帯を代表するアマール政府としても、今回の件には、賛同したい。この同盟を前提として、皆さんの各陣営の艦隊のアマールへの侵入条件も緩和させて頂こう。そして、同盟の締結と、今後の作戦行動の話し合いは、ここ、アマールで行うことを提案するものである」

 その時、議場は地響きと共に、大きな揺れが襲った。

「何事だ!?」

 そして、議場にアマール政府軍の兵士たちが雪崩込んできた。

「この建物の一階で、爆弾が爆発して、敵が襲って来ています! 皆さん、避難を!」

 全員が騒然とした様子で立ち上がった。議長のハラールを始めとした、各国の高官たちは、兵士に囲まれて議場から連れ出されようとしていた。

「まさか、ガトランティスなのか!?」

 兵士の隊長が叫んだ。

「違います! 敵は、シャルバート教の過激派組織だと思われます!」

 ライアンとランハルトは、スコーク宙将や、護衛部隊のメンバーに連れられて、議場を飛び出した。

「君たち、何か知っているか!?」

 ライアンの言葉に、スコークは回答した。

「デスラー総統から、この混乱に乗じて、ボラー連邦内のシャルバート教信者たちが、武装蜂起しようとしているとの情報が我々にも伝えられていました。おそらく、その一派ではないかと」

 ランハルトは、皆と一緒に走りながらも、露骨に不機嫌に話した。

「馬鹿な! 銀河系のすべての民族が、共に戦わねばならんこの時にか!」

 ランハルトにくっついて走っていた、ケールは言った。

「大使。彼らは、ボラー連邦とガルマン帝国の圧政から逃れる千載一遇の機会と考えているのでしょう。誰かが説得しなければならないと思います」

 先に行ったアマールの兵士が、階上へと避難誘導していた。

「こっちです! 皆さん、屋上に避難してください!」

 ケールは、ガルマン人と、イスガルマン人の混血だったということを、ランハルトは思い出していた。シャルバート教の存在も、彼にとっては大切なものであるのに違いない。ランハルトは、ケールに言った。

「そうだな。だが、シャルバート教信者と言っても相手は過激派組織だ。今は駄目だ。一緒に逃げるぞ!」

「は、はい!」

 彼らは、屋上に向かって階段を駆け上がって行った。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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