宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲57 地球連邦として

 銀河系中央部、中立地帯近傍の宙域――。

 

 地球からはるばるやって来た土方宙将率いる第一艦隊は、山南准将の第二艦隊、スコーク宙将の北米第七艦隊と合流していた。そして、喪われたギャラクシーに配属されていたヤマトとイセ、そしてムサシも同じくそこに合流していた。

 それぞれの艦隊の代表者たち、山南、スコーク、そして古代と、藤堂早紀と真田は、土方の座乗する航宙母艦シナノへと集まっていた。シナノの作戦指揮所に集まった彼らは、土方がやって来ると、一斉に敬礼した。

「諸君、ご苦労だった」

 土方は、歩きながら、皆に敬礼すると、中央のテーブルの端に立ち止まった。土方と一緒に現れた外務長官ライアンと、シナノ船務長の任についていた岬百合亜は、その隣に立っている。

 ライアンが、最初に口を開いた。

「皆さん、まずは私から地球連邦政府からの命令を伝えます」

 ライアンは、中立地帯まで開通した亜空間リレーによる通信で、地球連邦政府と連絡をとっていた。

「火星のマゼラン市上空での戦闘行為、イスカンダル人及び地球人三名の誘拐、そして宇宙基地ギャラクシーの襲撃。決定的だったのが、ボラー連邦本星における虐殺行為、そして、スカラゲック海峡星団における超新星爆発による多くのボラー連邦とガルマン帝国の軍人の虐殺の疑い。これらの一連の事件や軍事行動は、地球連邦とは関係の無い、遠い宇宙で起こったことだと言える状況では無くなったと、政府は判断した。ここに、地球連邦政府として、ガトランティス帝国をこの銀河、ないしは近傍の銀河群を含めた重大な驚異と認定するに至った。同盟国であるガミラス政府も、同様の結論に至ったことを受け、我々はガトランティス帝国の脅威を排除し、誘拐されたイスカンダル人と地球人を救出する為、ガミラスと共同で、艦隊の派遣を決定した。異星人との戦争行為に反対する勢力も我々の国内には多い。しかし、これは、大きな意味での防衛行動と政府は法解釈して、この問題に適切に対処し、連邦各国の声に対応する予定だ。そこで……」

 ライアンは、そこで話を一時区切って、集まった面々の顔色を眺めた。皆、話を咀嚼して、理解しているとライアンは判断した。

「現時点を持って、地球連邦政府は、この作戦の全権を、土方宙将に与える。この任務は、土方宙将指揮下の、第一艦隊、第二艦隊、そしてギャラクシー防衛隊に与えるものである。波動砲の発射に関する可否の判断も、これだけ地球から離れた場所では、地球側の判断を仰ぐことは不可能だ。今回、これも特別に土方宙将に委ねることになる。そして、残念ながら、私とスコーク宙将の北米第七艦隊、そしてギャラクシーに居住していた民間人は、帰国の途につくことになった。本土防衛を行う宇宙艦隊の総司令官には、土方宙将に代わって、スコーク宙将がその任につく。私からは、以上だ」

 スコークは、怪訝な表情になっていた。

「長官、待ってください。極東管区の第一、第二艦隊だけで、この作戦を実行しろとのご命令ですか? それでは、この作戦に参加する艦隊は、たったの百二十隻程度しかいないことになる。対するガトランティス艦隊は、何千、何万の数がいるかも分かっていないんですよ?」

 ライアンは、手を振って回答した。

「分かっている。だが、これが防衛長官と大統領からの命令だ。ガトランティス帝国との外交交渉の道が断たれた今、すまないが私はただの伝令に過ぎない。ただ、その前提となるのが、ガミラス軍との協力、そして、大国であるボラー連邦とガルマン帝国との協力だ。それについては、私はここを去る前に、交渉をまとめる。我々が不足する戦力は、彼らと共に戦うことで補う」

「長官、それでは、日本艦隊にすべてを任せるということですか? 危険な任務だから、我々北米艦隊は、後ろに引っ込んでいろと? ガミラス戦役でも、ガミラス・ガトランティス戦争でも、常に危険な任務は、いつも日本人任せだ。連邦政府は、ほとんどがアメリカ人で占めているというのに、それで本当にいいんですか? 北米艦隊は、やっと復興を遂げて、もう無力ではありません」

「君の言いたいことはよく分かる。だが、これは決定事項なんだ」

 まだ何か言いたそうにしていたスコークを、土方は制して、おもむろに、周囲を鋭い眼光で見回した。

「スコーク宙将、我々の心配をしてくれてありがとう。だが、この戦いに、もしも我々が敗北した場合、地球本土を防衛する戦力、それに優秀な指揮官が生き残っていることは、とても重要なことだ。地球連邦防衛軍は、復興を遂げたと言っても、全部合わせても六百隻程度の艦隊があるだけだ。今回の作戦では、そのうちの二割を割いて艦隊を派遣すると言うことだ。これは、決して少ない数では無い」

 土方とスコークは、互いの目を見つめて、しばらく黙っていた。

「……ヒジカタ。あなたの覚悟は分かった。くれぐれも、気をつけて欲しい。生きて、再び会えることを願っている」

 土方は、にやりと笑って頷いた。そして、咳払いをすると、話し出した。

「それでは、諸君。これから、私の指揮で艦隊を動かすことになる。まずは、敵の動きを探り、他の三国と話し合って、作戦を検討しなければならないだろう。各艦隊指揮官クラスは、私と一緒に作戦を検討して欲しい。今日のところは以上だ。何か質問は?」

 古代は、皆に先んじて手を上げた。

「古代」

「はい。中立地帯の惑星アマールで、シャルバート教の過激派組織に襲われたという件で、私なりに考えたことがあります」

「ふむ。言ってみろ」

 土方や山南は、古代が何を言い出すのか、興味深そうな表情になった。

「今回の様々な事件で、ガトランティスは、イスカンダル人を恐れているのは明らかです。それは、スターシャさんの子供であるサーシャまでも誘拐しようとしたことからも明白です。今回の彼らの行動自体が、彼らを一度は敗北させた、すべてのイスカンダル人を無力化するのが目的だと仮定すると、いろいろ腑に落ちて来ます。そして、彼らがイスガルマン人が、実はイスカンダル人だと、その存在に気づいているとすれば……。次はガルマン帝国に侵攻し、彼らをまた誘拐するか、存在を消そうと考えているのかも知れません」

 土方は、大きく頷いた。

「うむ。その件は、俺もこっちに来ることが決まった時に、その可能性を話し合ってきた。だが、ガルマン帝国は広い。イスガルマン人は、多くの星系に散らばっているらしく、全員にそれを知らせるのは不可能だ」

 古代は、手を広げて話を続けた。

「はい。しかし、イスガルマン人は、そのほとんどが、シャルバート教の信者だという情報があります。アマールで襲ってきたのは、過激派組織でしたが、何らかの信者同士の組織立ったネットワークがあると考えられます。彼らに、ガトランティスに狙われている可能性を話して、まずは武装蜂起を思い留まらせなければなりません。ただでさえ、今はそんなことをしている場合ではありません。それに、目立てば、ガトランティスに狙われ、標的になるかも知れない。出来るだけ多くの人に伝えるべきではないでしょうか」

 土方は、古代の話に頷きつつ、思案していた。

「……そうだな。だが、伝えるだけで無く、上手く行けば、前のズォーダーたちを倒した時と同じ様に、イスガルマン人の協力が得られれば、ガトランティスと戦わずして無力化出来るかも知れん。そういう可能性は無いのか?」

 それには、今度は古代が考え込んだ。

「それは、あまり期待できないと思います。そんなことが可能なのであれば、スターシャさんたちは、大人しく誘拐されたままでいるとは思えません。恐らく、あの力には、何か発動条件のようなものがあるのでしょう。イスカンダル人は、確かに不思議な力があるのが分かっていますが、例えば、別の人間に憑依したり……」

 古代は、そこにいた百合亜の顔を思わず眺めていた。百合亜は、少し居心地の悪い表情になっていた。

「……あとは、テレパシーのような能力があるのが分かっています。しかし、それほど強い力では無く、ズォーダー大帝たちを倒したような強力な力は、普段は使えないように思えます」

 土方は、古代の顔を眺めながら考えた。

 このまま放っておけば、彼らには、ガトランティスとの戦いの邪魔をされる可能性もある。古代の言うとおり、武装蜂起を止めさせ、身の危険が迫っていることを伝えれば、少なくとも大人しくしていてくれるかも知れない。

「分かった。いいだろう。では、お前にその任についてもらおう。だが、これからガトランティスとの戦闘を始めることになる。なるべく早めに戻ってくれ。お前の指揮能力は、我々には必要なのだからな」

 古代は、敬礼で答えた。

「はっ。ありがとうございます。では、艦はヤマトを使わせて頂きます」

 土方は、途端に憮然とした表情になった。

「それは、だめだ。ヤマトは、対ガトランティス戦で必要な波動砲搭載艦のうちの一つだ。そうでない艦を使え。乗組員は、お前が選ぶ最低限の人員を連れて行って構わない。だが、指揮官クラスの島や北野を連れて行くのはだめだからな」

 がっかりする古代に、真田は助け舟を出した。

「古代、それなら、ムサシを使ってもいいぞ」

 古代は、少し驚いて確認した。

「ムサシを? しかし、ムサシは、防衛軍の所属艦では無いですし、軍人ではない方が乗っていますので……」

「こんな時だ。私にも何か手伝わせてくれないか。ガルマン帝国にガトランティスがやって来るまで、まだ十分な時間あるだろう。今のうちにガルマン帝国領内を移動するだけなら、非武装艦のムサシでも十分に対応可能だ。あとは、藤堂くんがオーケーしてくれれば、ね」

 急に振られた早紀は、戸惑っていた。

「真田さん。戦闘に巻き込まれたりしませんか……?」

「そうならないように、最善を尽くすが、危険な目に会う可能性は否定出来ない。下艦してもらっても構わない」

 早紀は、そう言われて、自分にも手伝えないかを考えた。そして、意を決して真田に返事をした。

「真田さんや、古代さんが一緒なら、きっと大丈夫でしょう。私も行きます」

 真田は、にこりと笑って早紀に頷くと、土方に言った。

「土方さん。聞いての通りです。古代一佐と、シャルバート教信者の拠点捜索を行います。ついては、現在乗艦している相原通信士と、古代雪レーダー手をお借りしますが、よろしいですか?」

 土方は、既に退役している真田や、徳川が乗艦しているのは知っていたが、本当にいいのかと考えていた。

「協力してくれるのは、ありがたい。今は、軍艦は手放したくないからな。だが、本当にいいのか? 過激派組織と関わるかも知れないのだぞ」

 真田は、それも考えていたのか、明快に回答した。

「ガミラスの誰かに、護衛を依頼するつもりです。既に、あたりはつけています。出来れば、ヤマトから、魚雷を何本か分けてもらえれば、ありがたいのですが。そうすれば、単艦でも艦の防衛ぐらいは出来るかと」

 古代は、その話に驚いていた。

「ムサシは、魚雷が撃てるんですか?」

「探査プローブを打ち出すのに使うので、発射機構はそのままになっているんだよ」

 土方は、大きく頷いた。

「真田、そこまで、考えているのならいいだろう。古代、後はお前に任せる」

 古代は、再び敬礼した。

「はっ。古代一佐、シャルバート教の拠点捜索の任につきます!」

 山南は、ぼやきながら言った。

「早く戻ってくれよ。それまでは、島と北野は、俺がこき使っておくからな」

「はい、よろしくお願いします!」

 土方は、再び眼光鋭く、周りを見回した。

「よし、他には?」

 おずおずと、百合亜が手を上げた。

「あ、あの。捕らわれている地球人の救出の件ですが……」

 土方は、彼女が心配しているのが、星名のことであることを察していた。

「心配するな。必ず助け出す。お前も手伝うんだぞ」

 百合亜は、不安を隠しきれずにいたが、気丈に返事をした。

「は、はい! もちろんです!」

 土方は、ぎろりともう一度見回した。

「他には無いな? では、一旦解散する!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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