宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


第六章 女神への遠い道
白色彗星帝国の逆襲62 多国籍軍の初陣Part1


 ボラー連邦宙域、バース星系――。

 

 ガルマン帝国領に比較的近いバース星系に、ガトランティス艦隊接近の情報がもたらされた。

 その情報を元に、初めて多国籍軍――ボラー連邦、ガルマン帝国、ガミラス、地球連邦艦隊で構成される――が派遣された。

 彼らは、バース星防衛艦隊と合流し、合同作戦でガトランティス艦隊からバース星を守ろうとしていた。そのバース星は、元々ガルマン帝国との交戦に備えた一大軍事拠点だった。

 

 中立地帯で、地球艦隊は、第一艦隊と第二艦隊を、約三十隻づつ四つに分け再編し、そのうち第二艦隊がバース星防衛に参加していた。その他の地球艦隊は、土方の第一艦隊を残して、それぞれガトランティスが接近していると言う別々の宙域へと、艦隊を派遣していた。

 山南は、第二艦隊旗艦、アンドロメダの艦橋にいた。

 彼は、艦長席で、頭上のスクリーンを眺めながら腕を組んでいる。その表情は、複雑だった。山南に呼ばれた戦術長の南部は、山南の横で同じくスクリーンを眺めている。そのスクリーンには、それぞれの国の艦隊司令官が映り、作戦についての議論をしていた。しかしそれは、議論と言うより、言い合いに近いものになっていた。

 ガルマン帝国艦隊司令のダゴン少将は、ボラー連邦艦隊を指揮するバース星防衛艦隊のラム大佐に対して、怒鳴りつけていた。

「貴様、我がガルマン帝国艦隊の命令に従えないというのか!?」

 ラムは、これに冷静な口調で言い返した。

「我々、バース星防衛艦隊は、ガルマン帝国の指揮下に入るつもりはない。あくまで、軍の上層部が決めた協力関係には従うが、君らの言うことにまで、従う理由がない。そもそも、君らは、本当に我々の母星の防衛に協力する気があるのか? そんな高飛車な態度で臨むというのなら、こちらもそれ相応の態度で対応させてもらう」

「貴様……! だいたい、ガトランティスに、国内を荒らされていて、ろくな艦隊が残っていないくせに、自分たちの立場が分かっているのか!? 我々ガルマン帝国に泣きついて来た、貴様らの政府が無能だというのに!」

「なんだと? それは、言い過ぎだ。その発言は、見逃す訳にはいかん」

 山南は、同じくスクリーンに映るガミラス艦隊のザグレス中佐の顔色をうかがった。彼も、山南の方を見て呆れているようだった。

 ため息を漏らした山南は、無駄だと思いながらも発言した。

「あー。えー、お二人とも、お話の最中に割り込んですまないが、そろそろ、ガトランティスを迎え撃つ作戦を決めたいんだが……」

「小国の地球連邦風情が、うるさいぞ。黙っていろ!」

「君たちと作戦など決める必要は無い。あなた方は、後方で控えていてもらう。彗星が現れなければ、出番は無い」

 山南は、頭を振って口を閉じた。そして、艦長席のパネルを操作して、マイクの音声を消した。

 相変わらず、ダゴンとラムは、言い合いを続けている。

「艦長。俺たち、あんな奴らの為に、こんな遠い所まで来たんでしたっけ?」

 南部は、不快感を顕にして山南に毒づいた。山南は、艦長席の背もたれに倒れ込みながら、南部の方に目を向けた。

「そう言うな……。かく言う俺も、ちょっと疑問を感じていたところだがな」

 そこで南部は、頭上のスクリーンの一部に、星図を出すように航海科の乗員に言った。

 スクリーンには、星図が現れたので、南部は指でさした。

「艦長、彼らの言うとおり、バース星に一番近いこの辺りの後方でガミラス艦隊と一緒に待機していましょう。あと、波動砲は、主力戦艦ナガトとムツの二隻に準備しておいてもらえれば十分かと」

 山南は、首を振った。

「だめだ。俺たちの目的を忘れるな。作戦を話し合えなくても、少なくとも、彼らの艦隊後方の一番近い場所にいるんだ。何が起きても、彼らのバース星はもちろん、彼らの艦隊防衛も、俺たちに与えられた任務だ」

「でも、こんなんじゃ、まともな戦いなんて出来ないですよ!?」

 山南は、憮然とした表情で言った。

「これは、政府同士で決めた約束なんだよ。代わりに、もしも地球にガトランティスが来るようなことがあれば、彼らは地球を守らなければならない。当然、ガミラスもだ。だから、俺たちも彼らを守る。そういうことだ」

 山南は、まだ抗議する南部を無視して、マイクのスイッチを入れ、ガミラス艦隊のザグレスにだけ聞こえるように操作した。

「ザグレス中佐。聞いての通りだ。どうやら、この多国籍軍は、今はまだ機能しそうも無い。しかし、土方総司令からの命令は絶対だ。その為我々は、後方で遊軍としていつでも戦えるようにしておこう。済まないが、通常艦との戦闘では、艦艇の数が多い君たちには、前面に立ってもらうことになる。もし、ゴルバなどの大物が現れた場合は、我々の波動砲搭載艦で対応する作戦で行く」

 ザグレスは頷いた。

「承知した。まあ、作戦と言うほどでもないが……」

「こんな調子じゃ仕方がない。悪いね」

「山南司令、気にしないで欲しい。バーガー総司令からも、あなたの指示に従うように言われている」

 

 それから数時間後、ダゴンとラムの話し合いは平行線のまま、遂にその時を迎えていた。

「長距離レーダーに感! 星系内に、ガトランティスと思われる艦隊がワープアウトして来ました! 艦影多数!」

 山南は、軍帽をかぶり直した。

「おいでなすったか。……第二艦隊全艦、及びガミラス艦隊に告ぐ! 総員戦闘配置!」

 南部は、戦術長席で、それを受けて、アンドロメダの艦内に伝達した。

「総員戦闘配置! イージスシステムを、直ちに起動しろ! 続いて、艦隊とのリンク確認急げ!」

 南部は、武器システムパネルを操作し、全砲門の発射準備完了を示すパイロットランプが点灯するのを見守った。

「頼むぞ、アンドロメダ……!」

 そして、アンドロメダを含む地球艦隊約三十隻の周囲を、ガミラス艦隊約百隻が取り囲んだ。

 その前方では、ボラー連邦バース星防衛艦隊約二百隻と、ガルマン帝国艦隊約三百隻が、それぞれ別々に陣形を組んで、ガトランティス艦隊が現れた宙域へと艦を向けた。

 対するガトランティス艦隊は、ワープアウトした反応は、約百五十隻程度あった。

 

 バース星防衛艦隊旗艦、巡洋艦ラジェンドラでは、艦隊司令のラムが、陣頭指揮をとっている。

「敵は、思ったよりずっと数が少ないな。これなら、ガルマン帝国の手を借りずとも、我々だけでも十分倒せたな」

 ラムは、通信マイクを掴むと、自軍の全艦隊へと通達した。

「全艦、砲撃準備! 目標、敵、ガトランティス艦隊! 射程圏内に入り次第、直ちに砲撃を開始する!」

「司令……! ガルマン帝国艦隊の一部が陣形を変え、我々の艦隊の射線上に入って来ました!」

 ラムは、途端に不快な表情になった。

「ガルマン帝国のダゴンに、射線上から艦隊をどけるように伝えろ!」

 

 一方、ガルマン帝国艦隊司令のダゴンは、同じく攻撃準備の陣頭指揮をとっていた。

「ダゴン司令、ボラー連邦艦隊から通信! 射線上に我々の艦艇が入ってしまっているので、退避するように言っています」

「なに……? 我々にどけと言うのか……?」

 ダゴンは、ぎろりと通信士を睨んだ。

「は、はあ。何と返信しますか?」

 ダゴンは、暫し考えていたが、ほくそ笑んだ。

「放っておけ……。いや、待て。もし、後ろから撃つようなことがあれば、反撃すると伝えておけ」

「はっ!」

 

 その通信を受信したラムは、ますます不快感を顕にしていた。

「反撃するだと!? やはり、奴らは隙あらば、我々を叩く気でいるのだな! だから私は反対だったのだ。ボラー連邦の領域に、ガルマン帝国の艦隊を入れるなど……!」

 そんなやり取りをしているうちに、徐々に開戦の時は迫っていた。

「司令、あと、一分で射程圏内に敵艦を捉えます!」

 ラムは、怒りを抑えて、やむなく艦隊の位置を変更することにした。

「ガルマン帝国艦隊の下方に入る。全艦、ガトランティス艦隊の追尾を続けつつ、艦を移動させろ!」

 その時、突然前方に大きな光が輝いた。巡洋艦ラジェンドラの艦橋の窓から、前方にいた僚艦が爆発するのが見えていた。

「どうした!? まだ射程圏内に入っていないぞ! まさか、ガルマン帝国が本当に撃って来たのか!?」

 その間にも、次々に僚艦が爆発して行く。

「ち、違います! 敵ガトランティス艦隊からの攻撃です。超長距離から撃って来ました!」

 ラムは、青ざめていた。敵の艦隊の射程が、自軍より圧倒的に長いと言うことは、いつ自艦が撃たれてもおかしく無いと言うことだ。しかも、一撃で駆逐艦クラスの艦艇を撃沈する程の威力がある砲を持っているらしい。一時は同盟関係にあったガトランティスは、ゴルバのような強力な兵器以外の艦艇の能力は、並以下だと聞いていた。そのはずだった。

 再び、至近距離で艦艇が爆発し、ラジェンドラは大きく揺れた。

「いかん、このままでは全滅だ! 全艦、敵艦隊と距離を取れ。この場から、退避する!」

 

 一方、ガルマン帝国艦隊では、ボラー連邦艦隊が次々に撃沈され、退避行動へと入ったのを確認していた。

「どうなっておる?」

 ダゴンは、旗艦である航宙母艦の艦橋の司令官用の座席に腰掛けてふんぞり返っていた。

「ガトランティスからの攻撃を、ボラー連邦艦隊が受けています。十数隻の艦船が撃沈したため、一旦退避しているようです」

「まだ射程圏ではないぞ? 我が方の損害は?」

「前衛艦数隻が撃沈されましたが、我が方の被害は、まだ軽微です」

 ダゴンは、あからさまに笑っていた。

「使えない奴らだ。やはり、我々ガルマン帝国が守ってやる必要があるようだな」

 

 その頃山南は、ガミラス艦隊の指揮官、サグレスと映像通信で会話していた。

「サグレス司令。ガトランティスは、例の超長距離射程の砲を持つカラクルム級大型戦艦を上手く使って、こちらの射程圏外から削ろうとしているようだ。ボラー連邦艦隊は、一旦退避するようだが、ガルマン帝国艦隊は、あまり被害を受けていないので、そのまま前進している。どう思う?」

 サグレスは、レーダーで捉えた光点を見ている。

「過去のデータからの推測だが、次は、誘い込んだ艦隊をメダルーサ級戦艦で攻撃してくる可能性が高い。そこで混乱している間に、駆逐艦と艦載機による波状攻撃を仕掛けて来るだろう。最後に、巡洋艦が砲撃して殲滅してくることになる。奴らの作戦は、恐らくそんな所だ」

 山南は、ほうと少し感心していた。

「こちらの読みも、だいたい同じだ。どうする? 少し手伝ってやるか?」

 ザグレスは、少し考えていたが、頭を振って言った。

「どうやら、ガルマン帝国艦隊は、数の優位性を過信して、力押しで行くようだ。少し、痛い目に合わなければ、彼らはガトランティスの恐ろしさに気づかないかも知れない。ボラー連邦艦隊の方は、多分気づいたと思うがね。しかし、我々は彼らに後ろに引っ込んでいろと言われている」

 山南も、その意見には同意だった。しかし、このまま放っておけば、艦隊損耗率は、彼らが想像を超えたものになると思われた。

「火焔直撃砲の砲撃が始まったら、流石に手を貸してやろう。どうだろう? やってくれるかい?」

 ザグレスは頷いた。

「承知した。その時は、我々も加勢する」

 山南は、通信を切ると艦橋の乗組員に大きな声で言った。

「レーダー、周囲の警戒を厳にしろ! 我々は、このまましばらく待機だ!」

 

 そして、予想通りガトランティス艦隊は、メダルーサ級戦艦四隻が、今まさに砲撃を開始しようとしていた。

「敵艦隊、メダルーサ級戦艦の射程圏内に入りました! 敵艦隊からも、陽電子砲による攻撃が始まりました!」

 ガトランティス艦隊の大型空母で指揮をとるテーダー大佐は、それを受けて指示を発した。

「問題ない、気にするな。メダルーサ級、一番艦から四番艦、火焔直撃砲の連続発射用意! 目標、前方のガルマン帝国艦隊! 一番艦から砲撃を開始し、続いて二番艦、三番艦、四番艦と、順次砲撃を開始せよ!」

 その号令で、メダルーサ級戦艦の一番艦は、遂に砲撃を始めた。

「火焔直撃砲、発射!」

 メダルーサ級一番艦の艦首に、巨大な火の玉が生まれ、それは前方に撃ち出された。そして、艦首から放たれて形成されたワープエリアに突入すると、それはワープして消え去った。

 続いて、二番艦も同じ様に、発射準備を始めた。

 

「高エネルギー反応! 左舷を通過します!」

 ダゴンの乗る航宙母艦のすぐ近くに、大口径のエネルギー砲弾が通過して行く。その進路にいた艦艇は、次々に被弾して大爆発を起こしていた。

 ダゴンの艦の艦橋は、眩しい光に包まれ、大きく揺れた。

「な、何だ! いったい、どうした!?」

「敵の大口径のビーム砲です! 今の砲撃で、八隻が大破しました!」

 そう話している間にも、次弾が今度は右舷を通過して行く。右舷にいた艦艇も、次々に被弾していった。

「今度は、七隻が大破! 駄目です、砲弾は、空間を跳躍して飛んでくるようです。これでは、避けられません!」

 ダゴンは、みるみる青ざめて行った。

「馬鹿な……! ゴルバや彗星がいなければ、余裕で勝てる相手ではなかったのか!?」

 ダゴンは、マイクを掴んで、全艦隊に指示した。

「密集隊形を解くのだ! 後退して、艦と艦の距離をとれ! 直ちに実行しろ!」

 ダゴンの艦隊は、慌てて艦隊を三方に分けて転進した。その混乱の中、更に火焔直撃砲の攻撃が襲う。そして、後退した艦隊に向け、今度はカラクルム級戦艦の衝撃砲の砲撃が襲った。

 あっと言う間に数十隻の艦艇を失ったダゴンの艦隊は、必死に敗走することになった。しかし、追い打ちをかける様に、ガトランティスの高速駆逐艦艦隊が、背後から陽電子砲による攻撃を開始した。逃げ遅れた艦が、どんどん被弾して行く。

 

 それを見たガミラス艦隊司令のザグレスは、遂に指示を発した。

「ボラー連邦、及びガルマン帝国艦隊に通達! これより、ガミラス艦隊による攻撃を開始する! 直ちに、我々の前を開けろ! 邪魔だ、どけ!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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