宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲70 同盟の危機Part1

 ボラー連邦宙域国境近くの白鳥座アルファ星付近――。

 

「退避しろ!」

 ガミラス軍第一艦隊を指揮するメルキ中佐は、戦闘空母ダライアスの艦橋から全艦に指示を発した。

 彼の艦隊の駆逐艦は、どこからともなく現れた魚雷攻撃で、既に三隻が撃沈されていた。そうしている間にも、新たに一隻がメルキ中佐の見ている目の前で大破炎上した。

「く……! 敵の次元潜航艦だな……!」

 その時、自艦も大きく揺れた。航海士が魚雷攻撃を察知して大きく舵を切った為だった。魚雷は、艦橋をかすめて飛び去り、付近で大爆発を起こした。

「うわあ!」

 艦橋にいた士官たちが艦橋で倒れ込み、悲鳴が響く。艦橋の窓には、びっしりと亀裂が入っていた。メルキは、床に転がったまま、指示を出した。

「直ちに防御シャッター降ろせ!」

 防御シャッターが艦橋の窓を覆った。しかし、依然として危機は続く。今度は味方の巡洋艦一隻が、艦首に魚雷を受け爆発を起こした。航行に支障は無いものの、被害は甚大だった。

「艦長! 地球艦隊が接近して来ます!」

 メルキは、歯を食いしばって、歯の隙間から声を絞り出した。

「この宙域は危険だ! 退避しろと伝えるんだ!」

 しかし、ヤマトを先頭に、主力戦艦四隻がガミラス艦隊に急速接近していた。そして、ヤマトからの通信がダライアスに届いた。

「こちら、ヤマト艦長北野。これより、波動防壁を展開して、貴官らを可能な限り魚雷攻撃から防衛する。続いて、亜空間ソナーを打ち、敵艦の位置を探る。そちらの艦隊で持っている次元魚雷で、敵の次元潜航艦を撃破して欲しい」

 空母ダライアスのスクリーンに映った北野は、真剣な表情で、メルキ中佐に語りかけた。

 メルキは、立ち上がってにやりと笑った。

「本来なら、こちらが地球艦隊の波動砲搭載艦を守る立場なのだがな……。済まないが、守りは任せた」

 メルキは、艦内に大きな声で命じた。

「次元魚雷全門装填! ヤマトからのソナーの情報を受信次第、魚雷攻撃を開始しろ!」

 ヤマトは、艦首バルバスバウの位置に搭載した亜空間ソナーを起動し、そのまま主力戦艦と共にガミラス艦隊の中央に移動した。

「敵魚雷、来ます!」

「波動防壁展開!」

 技術士官として艦橋勤務をしていた新米は、直ちに波動防壁を展開した。彼らは、既に次元潜航艦との戦闘に備えて、第二艦橋に集まっていた。

 現れた魚雷は、ヤマトや主力戦艦の艦艇に次々に命中し、爆発を起こした。揺れる艦内で、北野は、続いて新米に命じた。

「シンマイ、直ちにピンガー打て!」

「了解! ピンガー打ちます」

 新米は、自席の操作パネルのボタンを押した。

 ヤマトの艦首ソナーから放たれたピンは、付近の異次元空間へと放たれた。

 しばらくすると、西条未来の自席のレーダーチャートに、敵艦を示す光点が複数現れた。

「敵艦、四隻を発見!」

 振り向いた西条と頷き合った北野は、マイクを掴んでメルキ中佐へ連絡した。

「敵艦四隻を発見した。座標を送信する! 魚雷攻撃を開始してくれ!」

「分かった」

 空母ダライアスのメルキ中佐は、攻撃命令を発した。

「魚雷攻撃開始!」

 ダライアスの艦首に設けられた魚雷発射管八門から、一斉に魚雷が放たれた。

 魚雷は、次々に異次元へと潜って通常空間から消えた。

 海底のように静かな異次元空間に、八本の魚雷が現れると、それらは獲物を捉えようと航走して行った。

 ヤマトでは、西条がレーダーに映るダライアスが放った魚雷の光点が、敵艦を示す光点に迫るのを監視していた。

 そして、それぞれの光点が重なると、敵艦を示す反応は一つ、また一つと消えていった。

「全弾命中! 敵艦隊の反応、消えました!」

 西条の報告を受けた北野は、ほっとしてメルキ中佐をスクリーンに呼び出した。

「メルキ中佐」

 スクリーンに映ったメルキは、同じように安堵した表情を浮かべていた。

「北野艦長。助かったよ。我々の艦隊にも、一隻は亜空間ソナーを搭載するように、上に進言するよ」

 北野は、笑って言った。

「我々も、以前のガミラス戦争を経験したヤマトにしかこの装備は搭載されていません。ガミラス軍以外との戦闘でも、次元潜航艦に備えなければならないとは、我々も考えていませんでした」

 メルキは、それには苦笑いで応じた。しかし、すぐに真剣な表情に変わった。

「それにしても……。誰がこの攻撃を仕掛けて来たのか。それが問題だ」

 北野も、表情を引き締めて頷いた。

「可能性は複数あります。ガトランティスが開発したものである可能性。しかし、ボラー連邦かガルマン帝国も次元潜航艦の開発に成功しています。同盟関係にある我々を攻撃して来たとは考えたく無いですが……」

 メルキは頭を振った。

「俺の勘では、あれはボラー連邦のものだ。ガトランティスとの戦いは、今は散発的なものにおさまっている。しかし、最近のガトランティス艦隊や、白色彗星の目撃情報は、ボラー連邦とガルマン帝国の国境付近までかなり近付いている。ボラー連邦としては、自国領内を静かに出て行こうとするガトランティスを、このまま放っておき、ガルマン帝国に行って欲しいと考えていてもおかしくは無い」

 北野は、目を丸くした。

「そんな……! いくら、彼らの仲が悪いとは言え……」

 メルキは、冷静に北野を諭した。

「戦争している国家同士なんて、そう言うものさ。多少の被害は目をつぶり、ガトランティスが国を出て行くのを妨害する俺たちが邪魔なのさ。そう考えれば、話は単純だ。ガトランティスが、自国領内を出て、ガルマン帝国をめちゃくちゃにするのをお望みなんだろう」

「それじゃあ、俺たちがここまで来たのは、いったい何の為なんですか……」

 それでも納得出来ないでいる北野を、メルキは眩しそうに見つめた。

「まあいい。ガルマン帝国とボラー連邦との艦隊合流座標へ急ごう。そこへ行けば、真実の一端でも明らかになるだろう」

 北野率いる地球連邦第四艦隊と、メルキ率いるガミラス第一艦隊は、ガトランティスが現れると言う白鳥座の予想地点で、各国の艦隊と合流する為、移動を再開した。

 

 合流地点に先に到着していたボラー連邦とガルマン帝国艦隊のハーキンス中将とガイデル提督は、北野とメルキ中佐の報告を聞いて、映像通信越しに、激しく罵り合いを始めていた。

「ハーキンス中将。謎の潜宙艦に襲われたと言う彼らの報告、明らかに君らの仕業だろう」

「それは、とんだ言い掛かりだ、ガイデル提督。我々は、同盟を結んでいるのだぞ。当然、ガトランティスの仕業と考えるのが自然だろう!」

「何を根拠に言っている。ガトランティスは、潜宙艦を一度も戦闘に出してきたことがない。つまり、そんな艦船は保有していないということだ。そうなれば、君らしかいないでは無いか」

 ハーキンスは、意地の悪そうな表情になって言った。

「何も潜宙艦は、我々だけが持っているわけではない。あんたがたも持っているではないか。我々に濡れ衣を着せ、同盟を葬ろうと言う、好戦的な野蛮人らしいやり方だ。どうせ、我々の国土が荒らされるのを望んでいるんだろうからな」

 ガイデルは、顔を真っ赤にして怒りを顕にした。

「貴様、何ということを! 言っていいことと、悪いことがある! 貴様らこそ、ガトランティスがガルマン帝国を目指しているのをいいことに、やり過ごそうとしているのだろう! 邪魔な我々や地球とガミラスの艦隊を排除してな。今度は、私の艦隊も攻撃するつもりか!?」

「どうかな? 試してみるか?」

 メルキ中佐と共に通信を傍観していた北野は、慌てて叫んだ。

「止めるんだ、双方とも! これでは、ガトランティスの思う壺だ!」

 その時、突然その宙域にワープアウトする物体があった。

 現れたのは、白い輝きを放つ非常に巨大な物体だった。

 スクリーン越しに、各国の指揮官は、驚愕の表情を浮かべていた。

「は、白色彗星……! あの大きさは、ガトランティス巨大要塞が白色彗星化した奴だ!」

「遂に……現れたな。こんな遠くまで、いつの間にやって来ていたんだ」

 更には、白色大彗星の周囲には、多数のガトランティス艦隊も一斉にワープアウトしていた。その数、数万を数えた。

「何と言う数だ。こんなに多くの艦隊を、奴らは隠していたのか。我々だけでは手に負えんぞ……」

 ハーキンスは、青ざめた表情で、ガトランティス艦隊を眺めていた。

 だが、ガルマン帝国のガイデル提督は、北野に視線を向けた。

「いや……。勝機はある。敵の本丸である、あの大きな白色彗星を片付ければ、敵も戦意を喪失するはずだ。北野三佐、貴国ご自慢の波動砲であれを撃破する時が来た。やってくれるな?」

 北野は、全員の注目が自分に集まるのを感じていた。

 だが、敵の本隊である大要塞を破壊すれば、人質を失うことになる。地球連邦防衛軍として、土方も含め議論していたが、その方法を見つけ出せずにいた。しかし、それでも最悪の場合を想定して、どのように戦うかは決まっていた。

 北野は、突然の大役に戸惑いを隠せずにいたが、気丈に振る舞おうとした。

「……分かりました。波動砲で白色彗星に攻撃を加えます。皆さんには、周囲の艦隊の警戒をお願いします」

 ガイデルは、後ろを振り返って自軍への命令を出した。

「よし、頼むぞ! 全艦に通達! 我々は、地球艦隊の防衛の為、彼らの側面を固めて迎撃体制に入る。各艦、艦隊の隊形変更急げ!」

 ガイデルは、もう一度スクリーンの方を向くと、ボラー連邦のハーキンス中将に言った。

「ハーキンス、君らももちろん協力するんだろうな?」

 ハーキンスは、不敵な笑みを浮かべている。

「……もちろん。我々は、同盟関係にあるのだからな?」

「ふん。当然だろう」

 二人は、その会話を最後に、スクリーンから消えた。

 残された北野とメルキ中佐は、顔を見合わせた。

「我々は、スターシャ女王と、皇女たちを失うわけにはいかない。北野、大丈夫なのか?」

 北野は、内心の不安を隠して頷いた。

「……大丈夫です。要塞を白色彗星化したあれに遭遇した場合の戦術は二つ。出来るだけ、端の方を攻撃し、本体を出来るだけ傷つけないようにすること。もう一つは、主力戦艦の拡散波動砲を使用し、威力の弱い拡散攻撃で、白色彗星の表面を破壊する方法……」

 メルキ中佐は、心配そうに聞いた。

「それで、本当に白色彗星を破壊せずに止められるのか?」

 北野は、唇を強く結んだ。

「……正直、俺もどの程度の効果があるのか、確信はありません。これを決定した土方総司令も、バーガー大佐も同じです。しかし、何もせずに、このまま白色彗星の進撃を許す訳には行きません。銀河系に住む、大勢の人々の命がかかっていますから」

 メルキ中佐は、大きく頷いた。

「分かった。俺も覚悟を決める。後は頼んだぞ、北野」

 彼は、ガミラス式の敬礼をして、スクリーンから消えた。

 北野は、イスカンダルの恩人たちや、同じく拉致されている星名のことを思った。

 

 こんな重大な決断を、土方さんでも、山南さんでもなく、俺が決めなきゃいけないとは……。

 

 北野の心中は複雑だった。それを察したのか、彼を見かねて、艦長席まで西条未来が近付いてきた。

「北野くん……」

 北野は、心配そうに見つめる彼女に、出来るだけ不安気な顔を見せまいと努力した。しかし、彼女の顔を見ると、つい弱気をさらけ出してしまいそうになる。

「……ごめん。こんな時、古代さんだったらどうするかな?」

 西条は、小さく微笑んで少し考えてから言った。

「古代さんだって同じだよ。そうやって、不安を押し殺して、やるべきことをやる。あなただって、ずっとそうしてきたじゃない?」

 北野は、同じように微笑んだ。

「敵わないな、西条さんには……」

 西条は、にっこりと笑顔を見せた。

「いったい、何年あなたと一緒にヤマトに乗っていると思ってるの?」

 北野も、それには思わず短く笑い出した。そして、すぐに表情を引き締めると、艦長の証である軍帽を被った。

「ありがとう、西条さん。よし、じゃあ始めようか……!」

 北野は、全艦に連絡する為、通信マイクを掴んだ。

「全艦に通達! これより、ヤマトの波動砲で、白色彗星に攻撃を加える。全艦戦闘配置! ヤマトを中心に、迎撃体制に移行せよ!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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