宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲74 惑星ファンタムPart1

 惑星ファンタム衛星軌道上――。

 

「二時の方向、地球連邦のヤマッテとガミラス艦隊と思われます!」

 ガトランティスの偵察部隊の一つを指揮するゼール中佐は、レーダー手の座席に近寄って確認した。

「こちらの位置は悟られたか?」

「我々の艦隊は、たった今、この惑星の衛星の影に入りました。余程注意を払っていなければ、恐らく気付かれていないと思います」

 ゼールは、少し思案してから指示をした。

「よし、超小型無人探査機を出せ。敵の動きを監視するんだ」

「はっ」

 ゼール中佐に影のように従う桂木透子は、そっとレーダー席から表示を覗き込んだ。

「何だね?」

 透子は、彼の瞳をまっすぐに見つめると微笑した。

「ヤマッテと言うのは、宇宙戦艦ヤマトのことですね?」

 ゼールは、そう言われて、地球側の呼び名のことを思い出そうとした。

「ふむ。確かに、そのヤマトのことだ」

 透子は、腰に手を当てて、考えを巡らせていた。

「地球連邦軍は、今は同盟関係にあるガルマン帝国とボラー連邦と作戦行動中のはず。こんな所に、ヤマトを派遣するとは思えないわ」

「ほう。では、何だと思うんだね?」

「地球連邦には、ヤマトと同型艦が存在しています。科学技術省所属の科学実験艦ムサシ……。多分、それだと思うわ」

「なるほど。すると、戦闘艦ではないのか?」

 透子は、頷いた。

「ええ。そう聞いているわ」

「ガミラス艦隊も一緒にいる。もしかしたら、ガミラスの要人が、彼らに同行しているかも知れないな。しかし、いったい、こんな所で何をやっているのか……」

 その時、艦橋の前方で外を眺めていたミルも、彼らのもとに近寄って来た。

「我々と同じ理由かも知れないな」

 ゼール中佐は、不動の姿勢でミルの方に向き直った。

「はっ。我々と同じ目的と言うことは、彼らもイスカンダルのテクノロジーを探しているのでしょうか?」

 ミルは、落ち着き払って言った。

「どうかな。だが、調査で、ガミラスとイスカンダルの移民が初めて居を構えた惑星だと判明して、我々もここを訪ねに来た。ただの偶然だとは思えない」

 ミルは、ゼールに指示をした。

「彼らが、この惑星に降りて調査をするならば、我々も気付かれぬよう、後をつけよう。彼らが何か発見するのを監視すればいい。私も出るぞ」

 ゼールは、驚いて彼に言った。

「お言葉ですが、それは危険です。あなたご自身が、行かれて危険に晒されるのは、あってはならないことです。我々の部下にお任せ下さい」

 ミルは、首を振った。

「私の身を案じているのは、何かあれば、君が責任を取らねばならないからだろう? 心配はいらない。女帝やゲーザリー参謀長官たちへは、私からのメッセージを残して置こう。私は、君の静止を振り切って、自分の意志で行ったと分かるようにな」

「そ、そんな滅相もない」

「良いんだ。君の気持ちは良く分かる。だが、どうしても、私は自分の目で、確かめたいんだ」

 

 そう――。

 ミルは、密かに考えていたことを実行に移す最大のチャンスだと考えていた。

 自分自身の手で、地球人の誰かにコンタクトをとるのだ。

 スターシャや、サーシャたちを助ける為に……。

 

 ミルは、内心の策略をゼールにも悟られないように、努めて冷静なふりを装った。

 そんなミルを、透子も黙って見つめて微笑んでいた。

「大帝。私も、同行しても構わないかしら。何かのお役に立てるかもしれないわ」

 ミルは、透子の顔を少し不思議そうに眺めた。

「……君は、そういえば地球人だったな。いいだろう。私と来たまえ」

 透子は、満足そうに礼を言った。ゼール中佐は、ますます困惑するばかりだった。

 

 数時間後――。

 

 惑星ファンタムの地表には、ムサシとミランガルから、飛び立った輸送機がそれぞれ一機づつ着地していた。

 機体から降り立った一行は、荒涼とした砂塵に包まれた惑星ファンタムの様子を興味深く眺めていた。

 ムサシからは、古代と、真田と新見、そしてサーシャとアナライザーAUO5が降りていた。ミランガルからは、ランハルトとケール、そして山本と揚羽とルカの姿があった。

「上空から、センサーで探索した所によれば、向こうの遺跡の中心部に、生体と思われる反応が複数あった。恐らく、惑星エトスのザンダル将軍が話していた、シャルバート教信者たちの拠点ではないかと推測される。だが、ムサシに残してきた相原からの通信での呼びかけには、一切反応が無かった」

 真田の説明を、全員が聞いている。古代は、それを受けて、皆に話をした。

「そういう訳で、降りて直接コンタクトを取るべきだと判断しました。彼らも反乱組織の一員のようですが、古代遺跡を調査する科学者たちだとザンダル将軍は言っていたそうですので、あまり危険は無いと思いますが、念の為万全を期して向かいましょう」

 ランハルトは、古代に手を振った。

「待て、古代。俺たちは、早速だが遺跡の調査を行ってみたい。シャルバート教の信者たちに会って話すのは、お前に任せる」

 古代は、それには難色を示した。

「デスラー大使。ここを調べてみたいと言うのは我々も同じです。しかし、既に調査を行っているシャルバート教の信者たちと話した方が効率的だと思います。それに、ここは、未知の惑星で、何があるか分かりません。一緒に行動した方が安全だと思いますが」

 ランハルトは、にやりと笑った。

「たった今、お前があまり危険は無いと言っただろう。心配するな」

 古代は、困惑した表情のまま、考えを巡らせた。

「まったく……。先日の惑星エトスでのことで、懲りていないんですか? あなたは、ガミラスの要人でもあるんです。勝手な行動や、危険な行動は、慎んで頂かないと。リッケ大佐からも、そう言われていましたよね?」

 ランハルトは、けろりとして、まったく古代の話をまともに聞こうとしない素振りだった。

「全然、問題ない。その為に、護衛も連れてきている」

 古代は、額に手を当てて、言う事を聞かないランハルトに、頭を抱えていた。

 古代は、諦めて、ランハルトたちと共にいる山本と揚羽の方を見た。

「山本、揚羽。すまないが、二人に大使の事を頼むよ」

 山本は、にこりと笑って敬礼した。

「ご心配無く。どうぞ私たちにお任せ下さい」

 そう言うと、山本はくるりと背を向けて、ランハルトたちのそばに寄った。古代は、あっさりした態度の山本にも、少し困惑することになった。

 揚羽はと言うと、古代と山本を交互に見ながら、困っているのが見て取れた。

 古代は、仕方なく彼に言った。

「揚羽……。すまないが、山本のことも心配だ。良く見ててくれるか?」

「はっ、はい。分かりました」

 そう言うと、振り返って彼もランハルトたちのもとに近寄った。

 古代は、ため息を漏らして、真田の方を振り返った。

「大丈夫ですかね……」

 真田は、サーシャの頭を撫でている。

「恐らく、さほど心配する事は無いだろう。だから、サーシャも連れて来た。彼女も、長い事、惑星に降りたことが無いので、気晴らしになると思ってね」

 新見も、サーシャの手を握って笑っていた。

「こっちだって、いざとなれば、私と先生も、戦う事は出来るから」

 古代は、頭をかいて苦笑いした。

「分かりました。アナライザー、じゃあ、お前も頼んだぞ」

 ムサシの航海長兼、掌帆長である旧型のアナライザーAUO5は、強化外骨格の装備を装着して、少し大きなロボットのような姿になっている。

「オ任せアレ」

  

 こうして一行は、二手に分かれて、古代の都市の跡の残る、遺跡の方へと向かって歩き出した。

 

 山本は、砂を踏みしめて遺跡の近くまで来ると、立ち止まってしゃがみ込んだ。そして、地表を埋め尽くす砂を、手ですくってみた。砂は、さらさらと、指の間からこぼれ落ちて行く。

 ルカは、そんな山本に声を掛けた。

「どうした? 玲」

 山本は、立ち上がると下半身に付着した砂を手で払った。

「ごめん、何でもない。行きましょうか」

 ランハルトも、立ち止まって山本の様子を見つめていた。

「そう言えば、お前は火星生まれのマーズノイドだと言っていたな」

 山本は、首を傾げた。

「そんなこと、あなたに話しましたっけ?」

 ランハルトは、頷いた。

「確か、俺の記憶では、私は本当の地球人じゃないとも言っていた。火星と言う惑星は、ここに似た砂の惑星だったからな。俺も、それで思い出したところだ」

 ランハルトの秘書ケールは、山本ににっこりと笑顔を向けた。

「地球でやった宴会の時に、僕も聞きました。古代さんに片想いしてたっていうのも、その時に聞きましたね」

 山本は、驚きのあまり目を丸くしていた。そして、山本の背後で、揚羽とルカも、それを耳を大きくして聞いているのが、あからさまに分かった。

 山本は、顔を赤らめて、ケールへの怒りに肩を震わせていた。

「あ……。もしかして、僕、言っちゃいけないことを言いましたかね……。物凄く嫌な予感が急にし始めたんですけど……」

 ケールは、いつもの笑顔を凍りつかせていた。

 山本は、ケールに掴みかかろうとしたところ、ランハルトが手を出して止めに入った。

「すまん。俺の秘書が余計な事を言った。謝る」

 山本は、ランハルトが真面目な表情で、謝罪の言葉をかけて来た為、仕方なく思い留まった。

「ご、ごめんなさい……」

「もういい。お前は喋るな」

 山本が睨みをきかせた為、ケールは小さくなっている。彼女は、大きくため息をついて、自制することに成功した。しかし、後ろの揚羽とルカは、まだ色めき立っているのが見て取れた。その為、山本は、背後の二人にも睨みを効かせた。

「今聞いたことは、今すぐ忘れなさい。いい?」

 揚羽とルカは、互いに顔を見合わせると、黙って彼女に頷いて見せた。

 山本は、いらいらしたまま、再び歩き始めた。

 ランハルトは、彼女の横に並ぶと小さな声で言った。

「すまなかったな。しかし、もう、とっくの昔に吹っ切れているんだろう?」

 山本は、まだその話題を続ける彼を、目を細めて睨みつけた。

「ええ。大使も、でしょう?」

「当然だ」

 ケールは、頭をかきながら、二人の後に続いた。その時、彼は、何らかの違和感を覚えていた。

「……誰?」

 ケールは、あたりをきょろきょろと見回した。ランハルトは、振り返って彼の様子を確かめていた。

「今度は、どうした?」

「何だか、誰かに見られているような感覚を覚えました。原因は、今は分かりません。少し、注意を払っておきます」

「ふむ? 分かった。よろしく頼む」

 ランハルトたちは、再び歩き始めると、遺跡の中へとどんどん進んで行った。

 

続く…

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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