宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲75 惑星ファンタムPart2

 古代たちは、ランハルトたちとは別行動で、惑星ファンタムの遺跡の中を進んで行った。

 遺跡と言っても、高度なテクノロジーの産物と思われる建物の一部や、地上走行車両のような残骸が、あちらこちらに見受けられた。その、どれもがこの惑星の過酷な砂嵐に晒され、砂の中に埋もれていた。

「アナライザー。前方の車列を少しどけて道を開けてくれないか」

「ワカリマシタ」

 古代の指示で、強化外骨格を装備した旧型アナライザーは、油圧式の大きなアームを操作して、進路上の危険物を排除しながら、一行の安全を確保して行く。

 真田と新見、そして小さなサーシャは、時折立ち止まっては、廃墟に眠る様々な過去の痕跡に興味を示していた。

「新見くん。これを見てくれ。イスカンダル星で見た建築物に似ていると思わないか?」

 新見は、真田の指差す建築物の残骸を目を凝らして眺めている。

「言われてみれば確かに……。もう少し、考古学に明るいスタッフを連れて来れば良かったですね」

「流石に、地球人の考古学者では、異星の事までは分からないと思うよ。しかし、年代測定とかはやってみた方が良いかも知れないね」

 そこで新見は、真田に咎めるように言った。

「あら、先生。私の呼び方、元に戻っていますよ?」

 真田は、後ろ頭をかきながら、困ったような顔をしている。

「夫婦のふりをする必要は無くなったのだから、もう、良いのではないかね? それに、君だって、元に戻っているじゃないか」

 新見は、くすくすと笑っている。

「そうでした?」

 その時、サーシャは、小走りに彼らの前に進むと、しゃがんで砂に埋もれた何かを探っている。

「どうしたの? 澪ちゃん」

「何かね、ここにあるって、誰かの声が聞こえたの」

「声が聞こえた……?」

 新見は、サーシャの言葉に、少し不思議そうに首を傾げた。

 小さなサーシャは、砂の中から何か長細い錆び付いた金属の棒状の物を取り出した。

「薫ママ。これなんだろう? ロボットのお手てかな?」

 真田と新見は、二人揃ってサーシャが持ち上げた物体を凝視した。

「先生、これは……」

「うむ……。もしかしたら、イスカンダルのオートマタの腕かも知れないね……。アナライザー!」

 先行していたアナライザーと古代は、立ち止まって真田たちの元へと戻って来た。

「真田さん、どうしたんですか?」

 真田は、サーシャの持ち上げた物体を指し示した。

「ガルマン帝国を建国したのが、本当にイスカンダル人とガミラス人の移民なのか、もしかしたら確証が得られるかも知れない。少し、調べさせてくれないか」

 古代は、サーシャに近寄ると、その物体を恐る恐る見つめた。

「……サーシャ。危ないかも知れないから、僕に渡してもらってもいいかい?」

「うん、いいよ」

 古代は、サーシャから物体を受け取ると、しげしげとそれを眺めた。

「オジサマ、どう? 危ない物?」

 古代は、それを回して、切断された断面の部分を確認していた。

「大丈夫。危険はなさそうだ。アナライザー! この下を掘り返してもらえないか? 何が埋まっているか確認したい。出来るだけ、埋まっている物を傷つけ無いように注意して欲しい。出来るか?」

 旧型アナライザーAUO5は、強化外骨格のモーター音を鳴らしながら、彼らのすぐそばまでやって来ると、古代が持つ物体と、それが出土した地面とを交互に眺めた。

「確カに、コの下ニ、金属ノ反応ガありマスネ。ソレでは、ヤッテミマス。ミナサン、スコシ離レテ下サイ」

 古代たちは、サーシャを連れて、その場から少し離れ、遠巻きにアナライザーの作業を見守った。

 アナライザーは、器用にマニピュレータを操作して、地面を掘り起こし始めた。

 すると、砂に埋もれた物体の頭部と思われる物が露出した。

「古代、新見くん、あれを見ろ。間違い無い。あれは、イスカンダルのオートマタの頭部だ」

 真田は、近寄って新たに現れた物体をもっと良く調べようとするが、アナライザーが作業を止めないため、近寄れなかった。

「アナライザー、一旦作業を止めてくれないか」

 アナライザーは、マニピュレータの動きを止めると、真田の方に自分の頭を回した。

「シカシ……。コノ下ニ、多数の金属反応が認めラレマス。そレハ、放ッテオキマスカ?」

 古代と新見は、驚いて顔を見合わせた。真田は、何か考え込んでいる。

「面白い……。分かった。アナライザー、もう少し続けてくれ」

「承知シマシタ」

 アナライザーは、再びマニピュレータを動かして、地面を掘り起こし始めた。そして、掘り起こす範囲を広げて、更に深く掘って行った。

 しばらくすると、そこにはロボットと思われる物体の赤錆びた残骸が、大量に出土していた。一同は、驚きを持って、それらの物体を眺めていた。

「アナライザー。もう良いだろう。作業を止めてくれ」

 真田の指示で、今度こそアナライザーは手を休めて少し後ろに下がった。

「先生……! これは……、数十体は埋まっています」

「恐らく、もっと掘れば、更に出てくるかも知れないね。しかし、今はもうこれで十分だ」

 真田は、そのうちの一体の砂を払うと、その頭部を確認した。

「見ろ。ガミラスのオートマタ、ガミロイドだ」

 それは、錆び付いて朽ち果ててはいるものの、確かに見覚えのあるガミロイドの顔だった。古代と新見は、真田と同じようにそれを確認して、また驚きを新たにしていた。

 その横で、サーシャは首を傾げている。

「ママやアベルトパパのご先祖さまは、本当にここに来たっていうこと?」

 新見は、サーシャの頭を撫でた。

「そうね。そして、たくさんのオートマタがいたと言うことは、今は廃墟となったこの都市、そしてここでの暮らしを、ロボットたちが支えていたんでしょうね」

 真田は、冷静に自分の考えを語った。

「何があったのかまでは今は分からない。しかし、これだけ大量に一箇所に集められているということは、一斉に廃棄された可能性が高い。何らかの理由で、彼らはここで、これらのオートマタを捨てたのだと考えられる。そして、イスカンダルとガミラスのオートマタがここにあったと言うことは、イスカンダル人とガミラス人がマゼラン銀河から、天の川銀河に確かに渡ったと言う物的証拠になると思う。これらをムサシに持ち帰って、早紀くんたちのチームで更に詳しく分析すれば、この推測の確度はより高く出来るだろう」

 サーシャは、神妙な表情で真田の話に聞き入っていた。

 古代は、背中に背負った通信機を地面に下ろすと、作動させた。

「こちら古代。相原、応答してくれ」

 少し雑音がしたあと、衛星軌道に留まっているムサシからすぐに応答があった。

「……こちらムサシ。相原です。古代さん、どうされましたか?」

「イスカンダルとガミラスのオートマタを発見した。後で持ち帰るので、この座標を記録しておいてくれ。それから、藤堂さんと彼女のチームにも、分析の準備をお願いしてくれないか」

「オートマタですか……? 承知しました」

「ミランガルのリッケ大佐への連絡も忘れずにな。我々は、まだ地上の探索を続ける。以上だ」

 

 一方、ランハルトたちの一行は、古代らとは離れた別の場所で、廃墟を調べていた。

 彼らの先頭を行く、ルカと揚羽は、周囲を警戒しながら歩いていた。

「見て。向こうに見えるのは、もしかしたら宇宙港じゃないか?」

 ルカの指差す先には、広大な台地が広がっている。

「どうかな……。でも、確かに地面が平らな広い場所だね」

 二人は、都市の建築物の残骸などの遮る物もほとんど無くなった周囲を見回しながら、更に先へと進んで行った。そして、危険な兆候は無いと判断すると、後方で待機していたランハルトたちに手を振って合図をした。

 それを見た山本は、すぐ後ろにいたランハルトとケールに合図した。

「大丈夫みたい。私たちも行ってみましょう」

 ランハルトは、山本に頷くと、ケールの方を確認した。ケールの感覚は、先程から強く研ぎ澄まされており、いつもの陽気な笑顔が消えていた。

「大丈夫か? まだ、誰かに見られている感覚があるのか?」

 ケールは、血の気の引いた顔で、おずおずと頷いた。

「はい……。そちらの、台地の方に近付くにつれて、更に強くなって来ています」

 ランハルトは、山本と顔を見合わせた。

「ケールがこんな状態になったのは、これが初めてだ。やはり、そこに何かある」

 山本は、ため息をついてケールの表情を確認した。そして、ランハルトに視線を戻すと、薄く笑った。

「二人の信頼が、そんなに厚いとは思わなかった。ちょっと、二人の関係は羨ましいかも」

 山本の言葉に、ランハルトは照れた様に手を振った。

「そんなんじゃない……。だが、これまでも、俺の危機を何度も救ってくれたのは確かだ。だから、ケールは、俺にとって最も大事な部下だと思っている」

 ケールは、力無くランハルトの言葉に微笑んでいた。

 山本は、真剣な表情でケールに向かって言った。

「あなたの、ガルマン人とイスガルマン人のハーフとして発現する力って、近い未来の出来事について、良いことか悪いことか何となく感じるって代物でしょう? 今は、そんなに悪い感覚があるの?」

 ケールは、小さく首を振った。

「……皆が皆、こういう能力がある訳ではありません。たまたま、僕は数少ないその力のある一人だったというだけです……。それに、悪い予感がしている訳では無いんです。何かの存在の、精神的な圧力の様なものを感じています。それが悪いことかと言うと、そう言う感覚がある訳ではありません……」

 山本は、ランハルトの方を向いた。

「この状態を放って置く訳にはいかない。私が、ミランガルに連れ帰ろうか?」

 その時、ケールは、山本の手を取った。

「駄目です……。もう少しで、何か分かりそうなんです。僕は、大使のお役に立ちたい……。どこの誰かも分からない、僕を拾ってくれて、ずっと一緒にいてくれた大使の為に……」

 ランハルトは、彼の言葉に少しだけ胸が熱くなる自分を感じていた。

「……分かった。だが、限界を感じたら、必ず俺に報告しろ。俺には、これからも、お前が必要なんだからな」

 ケールは、わずかに微笑して、それに応えた。

「でも……」

「何だ?」

 ケールは、抱えていた不安を彼らに話した。

「……サーシャちゃん、大丈夫でしょうか……? 彼女も、イスカンダル人と地球人のハーフじゃないですか。僕みたいに、なっていなければ良いんですが……」

 

 一方、古代たちの一行は、ムサシで生体反応を探知した地点へと到着していた。しかし、いくら探せど、砂に埋もれた都市の廃墟が続くだけで、そこには何者の姿も無かった。

 古代は、アナライザーに命じた。

「アナライザー。周囲に生命体などの有機物の反応が無いか、センサーで探知してくれ」

「承知シマシタ」

 アナライザーは、立ち止まって自らのボディに内蔵されたセンサーを総動員して、周囲の反応を探った。

 しばらくすると、アナライザーは古代の方へ頭を回転させた。

「十時ノ方向ニ、反応がアリマス。ドウヤラ、地下にイルようデス」

 アナライザーは、マニピュレータの腕を伸ばして、一つの建物の残骸を指した。

「アソコデス」

 古代は、手を振って真田たちを呼び寄せた。

「皆さん、こっちです!」

 新見は、サーシャの手を引いて、一緒に向かおうとした。しかし、彼女の足は止まっていて、歩き出そうとしなかった。

「澪ちゃん?」

 サーシャは、後ろを振り返って、独り言のように、言葉を発していた。

「……だあれ?」

 新見は、彼女の背後を見つめたが、そこには何者も存在しなかった。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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