宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲8 移民船団

 銀河系亜空間ゲート――。

 

 ガミラスを旅立った移民船団は、銀河系中心部付近、銀河系のゲートに突入していた。アケーリアス文明の遺した銀河系内の亜空間ゲートは、マゼラン銀河から地球までの旅の時間短縮を可能とする。ご多分に漏れず、移民船団も、バラン星のゲートを抜け、銀河間空間を越えてここまで辿り着いていた。

 戦闘空母ミランガルに座乗するネレディア・リッケ大佐は、自身がエスコートした移民船団が、亜空間内を無事に着いて来ていることを確認すると、安堵の息を漏らした。

「艦長、ボラー連邦とガルマン帝国の連中がいないか警戒態勢をとれ。それから、ここを出たら、宇宙基地ギャラクシーのタラン閣下と、基地司令官の古代一佐に、移民船団到着を伝えてくれ」

「承知しました」

 ミランガルの艦長クロッツェ中佐は、一通りの指示を全艦に伝えると、ネレディアの近くにやって来た。

「久しぶりにここまで来ましたね」

 ネレディアは、頷いた。

「うむ。前回来た時とはまたいろいろと状況は異なる」

 艦長クロッツェは、背の高いネレディアと対象的な、ずんぐりとした体型の髭面の小男だった。

「その事ですが、ガルマン帝国が、我々ガミラス人の末裔と判明したり、デスラー元総統の行方がわかったりと、明らかになったことが随分あります。ここは、ボラー連邦とガルマン帝国のすぐ近くですし、ここまで、あの方舟や、ガトランティスの残党が現れたという話もあります。何かと危険な匂いがする宙域です」

 ネレディアは、腕を組んで、スクリーンに映る近傍の宇宙図を眺めていた。

「だからこそ、地球連邦は、ヤマトを含む精鋭部隊をここに配置したんだろう。我々も警戒を怠るな」

 その時、ネレディア率いる移民船団は、亜空間ゲート内部の次元断層付近を通過していた。

「見てください」

 クロッツェがスクリーンに捉えた物体を指差したので、ネレディアもそれを確認した。

 そこには、ガトランティスの艦船の残骸が漂流していた。

「あの次元断層と方舟を巡って、結構な戦闘があったというのは確かなようだな」

「そのようです。どうやら、それなりの数がいた艦隊だったようですな。今、あんなのに襲われたら、と考えると、ぞっとしませんね」

 クロッツェは、自艦の甲板に係留されている大きな航宙船を顎で指し示して、艦橋の窓からそれを眺めた。

「大事なお客さんも連れていることですしね」

 ネレディアは、くすりと笑った。

「名誉なことだぞ、艦長。移民団には申し訳無いが、最も大事な客だ。移民団共々、何があってもお守りする覚悟をしておけ」

「はっ」

 その甲板に係留されていたのは、イスカンダルの恒星間連絡航宙船シェヘラザードだった。

 そのまましばらくゲート内部を進むと、ようやく移民船団は、ゲートの出口に辿り着いた。

 ゲートの出口から、ネレディア率いる移民船団は、次々に姿を現した。

「レーダーに感! これは……!」

 レーダー手は、真っ青になっていた。艦長クロッツェは、落ち着き払って報告を促した。

「どうした?」

「囲まれています! ゲートの出口付近に、艦影多数! 百隻以上を確認出来ます!」

「何!? まさか、ボラー連邦かガルマン帝国ではあるまいな? 確認急げ!」

 ネレディアは、にやりと笑ってスクリーンに表示されたレーダーが捉えた多数の光点を眺めた。

 レーダー手は、やっとのことで、確認を済ませた。

「艦種識別! 駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母多数! これは……我が軍の艦船です。しかし、敵味方識別装置は敵を表しています!」

 ネレディアは、通信マイクを掴んだ。

「全艦、慌てるな。落ち着いて対処せよ」

 その時、通信士が大きな声を出した。

「司令! 敵艦隊から入電!」

「スクリーンに出せ」

 スクリーンが反応し、映像が切り替わった。そこには、狡猾な顔をした中年男が、鞭をを片方の手に打ちつけている様子が映っていた。

「こちらは、ガミラス回遊艦隊のゲール少将である! 貴様らは、我が軍の航路上にいる。邪魔だ! そこから退くのだ!」

 ネレディアは、腕組みをして、堂々とした態度で先方のスクリーンに映るように中央に立った。

「こちらは、ガミラス正規軍、移民船団司令官のネレディア・リッケ大佐である」

 彼女は、わざわざ「正規軍」という言葉をゲールに伝わるように、はっきりと言った。

「ガミラス政府の命を受け、任務遂行中である。貴殿こそ、道を空けられたし」

 ネレディアは、涼しい顔をしてゲールに目を細めた。

 これを聞いたゲールは、顔を真っ赤にして怒り出した。

「な、なにい? 貴様、佐官の分際で、わしを愚弄する気か!?」

 ネレディアは、妖艶な笑みを浮かべている。

「まさか。確かに、階級は佐官だがね。この船団の司令官でもある。艦隊司令としてであれば、貴殿と立場は同等と思うが?」

 歯ぎしりするゲールの映像は、突然別のものに切り替わった。

「……私は、元ガミラス帝国国防相のヴェルテ・タランだ。少々失礼をしたようだね」

 ゲールに代わって、スクリーンに映ったのは、タランだった。

「閣下、お久しぶりです。リッケ大佐であります」

 タランは、軽く頷くと、簡単に説明をした。

「実は、新型のデウスーラⅢ世が完成したのでね。総統と一緒にテスト航海を行っている。せっかくなので、演習も兼ねてね。君たちが到着する頃だと思って、ゲート付近で少々演習をおこなっていた」

 ネレディアは、少し興味を持って尋ねた。

「新型艦ですか?」

 タランは、誇らしげに頷いた。

「ぜひ、後ほど本星のバレル大統領にも伝えてくれたまえ。遂に、ガミラス人の手だけで、完全に作動する波動砲を完成させた、とね」

 タランが座乗する艦は、デウスーラⅡ世と似た形状で、その巨体を誇示している。艦首には、波動砲の発射口が設けられていた。

「この艦は、総統が座乗する艦隊旗艦として使う予定だよ」

 そのタランの横には、ふらりとデスラーも現れていた。

「ガミラス正規軍の諸君。久しぶりだね……」

 ここへ来れば、再び相まみえるとネレディアも覚悟していたものの、思いのほかタイミングが早く、その覚悟が十分に決まっていなかった。

「総統……!」

 スクリーンに映るデスラーを目撃した者たちに、一様に動揺が走った。

 そのデスラーは、あの時のまま何も変わった様子もなく、不敵な笑みを浮かべてネレディアの移民船団の者たちを眺めていた。

「ふふふふ……。まぁ、そんなに固くならなくていい。随分と久しぶりだね、リッケ大佐」

 ネレディアは、自然と身体が直立していた。デスラーにそう言われて、少し体勢を崩したが、なにやらわざとらしい感じになってしまっていた。

「私を覚えておいででしたか。ありがとうございます」

 デスラーは、当然だとでも言うように、目を閉じて頷いている。

「以前、勇猛果敢な戦いぶりを見せてもらったからね。君さえ良ければ、部下と共に我が軍に来てくれるなら、佐官と言わず、すぐに将官として迎えたいと思っているよ」

 ネレディアは、少し赤面して小さい咳払いをした。背後では、艦橋に居る士官らに動揺が広がっていることが見なくても分かった。

「……ご冗談は、ほどほどにお願いします。そのようなお戯れをされますと、本気にする者もいるでしょう」

「私は、つまらない冗談が嫌いでね。知らなかったのかね?」

 横にいるタランは、やり取りを見てられずに、口を開いた。

「総統。その辺で、もういいんじゃありませんか? 恐らく、困っていると思いますよ?」

 タランとデスラーは、スクリーンの向こうで顔を見合わせている。デスラーは、顔をほころばせると、タランの肩に手を置いていた。

 ネレディアは、我に返って言った。

「移民船団の民間人は、長旅で疲れています。予定通り、宇宙基地ギャラクシーで、一週間程度の休憩を、交代で取らせたいと思っています。許可を頂けますか?」

 タランは、真顔で返事をした。

「古代司令官から話は聞いている。許可を出そう。暫しの間、ゆっくりするがいい」

 ネレディアたち、ミランガルの士官たちは、ガミラス式敬礼で応えた。

「感謝します」

 

 市川純は、宇宙基地ギャラクシーの司令室で、戦闘空母ミランガルからの通信を受領していた。

「古代司令。移民船団から、間もなく到着との連絡を受けました」

 古代、司令官の椅子に座ったまま、市川に感謝の意を伝えた。

「司令、三千人もの民間人を、この施設で受け入れるの、かなり大変ですよね」

 古代は、軍帽を脱いで、市川を笑顔で見つめた。

「平田や榎本さんを始め、皆んなで受け入れ準備をしてきたから大丈夫さ。さぁて、少しばかり忙しくなるな」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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