宇宙戦艦ヤマト2199 白色彗星帝国の逆襲   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「白色彗星帝国の逆襲」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」、「ギャラクシー」の続編になります。


白色彗星帝国の逆襲88 前哨戦

 ガルマン星系外縁部――。

 

 宇宙の彼方から、彗星のような尾を引く物体が、一つ、また一つと現れた。

 物体が通り過ぎた後にも、また一つ、一定の間隔を空けて、飛来して来る。

 

「星系外縁部の外側に設置した監視衛星から、不審な物体が飛来するのをキャッチしました!」

 ガルマン星系外縁部、小型宇宙基地に詰めていた兵士は、その司令官に報告した。狭い司令室に、三人の兵士が待機し、外宇宙からガトランティスが現れるのを、今か今かと待っていたのだ。

「物体、では分からん。特徴は分かるか?」

「物体は、直径一キロメートル程で、表面温度は約三千度。彗星のような尾を引いています。発見しただけでも、十基程。そう言っている間にも、数がどんどん増えています!」

「ガトランティスの攻撃かも知れん! 至急、本星の防衛艦隊に報告しろ!」

「し、司令、一つだけ、この基地に向かって来ています!」

「何だと!?」

 

 ガルマン星系外縁部からの報告は、瞬く間にガルマン星系に待機していた各国の軍の間に共有された。

 艦隊間通信により、土方とバーガー大佐は、ガルマン帝国のキーリング参謀長官と、グスタフ中将との間で、映像通信により会話をしていた。

 グスタフ中将は、スクリーンに映像を映し出した。

「これが、監視衛星から届いた最後の映像だ」

 スクリーンには、光る玉のような物体が、監視衛星からの迎撃ミサイルをものともせず、みるみる接近する様子が映っていた。そして、その物体が大写しになった所で、映像は途絶えていた。

「映像は以上だ。白色彗星の特徴とよく似ているが、白色彗星とも違う、比較的小型の物体だ。それでも、我々の大型艦の二倍以上の大きさがある。物体は、まっしぐらに、我々の本星へと向かっている事が判明した」

 土方は、冷静に話をした。

「これは、ガトランティスの攻撃かも知れないな。しかし、まだここに到達するまで二、三日はかかるという情報だった筈だが、予測が外れていたという事かね?」

 グスタフ中将は、小さく頭を振った。

「まだ分からんが、何れにせよ、兵器の特徴から、ガトランティスの攻撃と捉えて間違いなさそうだ」

 バーガーは、その物体を見てわなわなと震えていた。

「バーガー大佐。君は、何か知っているのかね?」

 土方の言葉に、キーリングとグスタフ中将もバーガーの姿に注目した。

 バーガーは、仕方なく口を開いた。

「あれは……。ガトランティスの人工太陽爆弾だ。通常兵器は役に立たない。我々の兵器で言えば、惑星攻撃用の惑星間弾道弾でしか破壊出来ない」

 土方は、初耳の情報に、バーガーをたしなめた。

「バーガー大佐。俺は聞いていないぞ」

 バーガーは、青くなっている。

「複数の白色彗星をボラー連邦宙域で使っているという報告を受けて、あれはもう、使っていないものと思っていたんだよ……!」

 話を聞いていたキーリング参謀長官は、グスタフ中将に確認した。

「まずは、直ちに迎撃体制をとってくれ。あれを破壊可能な我々の攻撃オプションは?」

 グスタフ中将は、即答した。考える必要すら無かったのだ。

「惑星破壊プロトンミサイルを使いましょう。各惑星に配備したミサイル基地から、迎撃を行わせます」

 キーリングは頷いた。

「すぐに実行してくれ」

「はっ!」

 

「来たぞ!」

 ガルマン星系第五惑星の前哨基地では、プロトンミサイルの発射準備を進めていた。超長距離レーダーで捉えたその光点は、約十基程だった。

 基地司令官は、人工太陽爆弾に対して、ミサイルによる迎撃を開始した。

「惑星破壊プロトンミサイル、一番から十番ミサイルサイロは、直ちに誘導装置の照準合わせ!」

「発射三十秒前!」

 その時になって、レーダー手は、新たな発見を報告した。

「超長距離レーダーが、更に五基の人工太陽爆弾を探知しました!」

 基地司令官は、驚いて聞き返した。

「あと五基、だと!?」

「はい! あ、いえ、まだ来ます。更に三基探知!」

 基地司令官は、慌てて指示をした。

「プロトンミサイルサイロは、全基発射準備をしておけ!」

「最初の十基、発射五秒前、四、三、二、一、ミサイル、発射します!」

 基地内は、ミサイルサイロから撃ち出される巨大なミサイルによる、大きな揺れが襲った。

 基地の少し離れた場所の地下にあったミサイルサイロのカバーが開き、中からゆっくりとミサイルが顔をのぞかせた。そして急速に速度を上げると、一気に地上へとその棒状の姿を現し、大気圏外へと飛ばす為の一段目のロケットが、水蒸気爆発を起こして大きな煙と共に浮き上がった。十基のミサイルは、航跡を伸ばして、大気圏外へと登って行く。

 そして、三十秒も経つと、今度は次のミサイルが撃ち上がった。

 第五惑星から宇宙空間に出たミサイルは、一段目のロケットエンジンを切り離し、二段目の宇宙航行用のエンジンに点火した。そこから、一気に速度を上げ、まっしぐらに人工太陽爆弾の飛来する方向へと向かって行った。

 やがて、ミサイル群は、人工太陽爆弾に到達し、次々に着弾して、大爆発を起こした。粉々に飛び散った人工太陽爆弾は、ばらばらになって宇宙を漂っている。

 基地では、最初のミサイル群が目的を達成した事が報告された。

「最初のプロトンミサイル群、全弾命中! 人工太陽爆弾は、消滅した模様。続いて、第二陣が命中します! ……あっ!?」

 レーダー手は、再び、新たな発見を報告した。

「まだ来ます! 今度は八基探知!」

 基地司令官は、青ざめていた。

「いったい、何基やって来るんだ? このままでは……!」

 

 大型空母バーニアスでは、人工太陽爆弾の撃墜状況について確認を急いでいた。

「第六惑星基地、百基撃墜! 第五惑星基地、八十六基撃墜! 第四惑星基地は、七十三基撃墜成功と報告あり!」

 そこに居たキーリング参謀長官は、グスタフ中将に確認した。

「グスタフ。地上配備型のプロトンミサイルは、星系内に何基配備されている?」

 グスタフ中将は、これに即答した。

「本星に約千基、三箇所の惑星基地に、それぞれ約百基づつ配備されています」

 キーリングは、その数を頭の中で反芻した。

「千三百基あるということだな。プロトンミサイルを搭載した特務艦は何隻ある?」

「約五十隻です……! 参謀長……!?」

 キーリングは、頷いた。

「……ああ、間もなく前哨基地のミサイルは枯渇する。これは、ガトランティスの作戦に違い無い。本隊がここへ来る前に、ミサイルを無くさせようとしているのだろう。間に合わないかも知れないが、星系外にいるプロトンミサイル特務艦を、出来るだけ多く本星に呼び戻しておいてくれ」

「分かりました!」

 

 空母シナノの作戦指揮所にいた土方は、戦況をガルマン帝国側から受け、眉根を寄せた。

 土方のそばに控えていた古代は、土方の副官としての任を負っていた。古代は、報告を聞いて、土方に話し掛けた。

「土方総司令。これではまるで……」

 土方は、古代の方をちらりと見た。

「まるで……なんだ?」

 古代は、土方と視線を合わせて言った。

「遊星爆弾と同じです。あの時、我々も、核ミサイルなどを使って迎撃していましたが、いつしか保有するミサイルが枯渇し、地上に落ちるのを止められなくなりました。惑星破壊プロトンミサイルの様な兵器を、どれだけ彼らは保有しているのでしょうか……!? それに、あれは一つ落ちただけでも、地上の被害は遊星爆弾の比ではありません」

 土方は、眼光も鋭く、前を向いた。

「分かった。グスタフ中将に直ちに連絡してくれ!」

 

 シナノの作戦指揮所のスクリーンに、ガルマン帝国のキーリング参謀長官と、グスタフ中将、そしてガミラスのバーガー大佐が映っていた。

「何だね? 土方宙将」

 土方は、真剣な表情で、グスタフ中将に言った。

「ガトランティスは、ガルマン帝国で保有する惑星破壊プロトンミサイルを撃ち尽くさせようとしていると思われる。これ以上の人工太陽爆弾の攻撃に、貴官らは耐えられるのか開示して欲しい」

 これには、グスタフ中将も、キーリングの顔色をうかがうしか無かった。

 しかし、キーリングは、自軍の戦力を明かす事に躊躇した。そして、土方の出方を窺う為にも、強がって見せるしかなかった。

「……君が心配する様な事は無い」

 キーリングは、涼しい顔をして、そう言った。

 土方は、それでも食い下がった。

「我々は、かつてガミラスと戦争していた時に、同じ様な攻撃を受けた。攻撃は果てしなく続き、我々は、やがて迎撃する手段を失った。そして、滅亡の危機に瀕したことがある」

 バーガーは、それを聞いて、少し居心地の悪い思いをしていた。

「あ、ああ、あれを地球にも使っていたとはな。それは、俺も知らなかったぜ」

 土方は、バーガーに一瞬睨みを利かしてから、古代の方を見て、彼に話をする様に促した。バーガーは、土方のひと睨みに、萎縮すると口を閉じた。

 古代は、前に出るとキーリングとグスタフ中将に語りかけた。

「我々地球艦隊からの提案です。我々の主力戦艦の拡散波動砲による攻撃で、人工太陽爆弾の撃墜を手伝わせて下さい。しかし、人工太陽爆弾は、広範囲の方角から飛来しており、我々の限られた数の艦艇だけでは、全てをカバーすることは出来ません。それでも、これ以上のミサイルの使用は、ガトランティス本隊が来た時に、あなた方の本星防衛に影響が出るものと考えます。お手伝いする事で、多少なりともミサイルの使用を減らす事が出来るのではないでしょうか?」

 キーリングは、願っても無い打診だと考えていた。しかし、そのような自軍の戦力を曝け出すような事は出来なかった。

「……そうかね? 特に、我々は問題とは考えていなかったのだが……。そこまで言うのであれば、少し手伝ってもらおうか……」

 

 古代は、通信が終わった後、ナガトに乗る大村の第三艦隊、ムツに乗る井上の第四艦隊に指示を送った。

「土方総司令からの命令です。お二人の艦隊の主力戦艦による、人工太陽爆弾迎撃任務を命じます。既に、ミサイルが枯渇した第六惑星方面、そして、間もなく枯渇する第五惑星方面に、それぞれ向かって下さい。この攻撃には、土方総司令は、拡散波動砲の使用を許可しています」

「遂に、拡散波動砲を使うと言うのか……。承知した!」

「了解。艦隊の主力戦艦による拡散波動砲の発射準備を始める」

 

 第五惑星基地では、丁度、最後のプロトンミサイルの打ち上げが終わった所だった。

「人工太陽爆弾、まだ来ます! ……ああっ、司令! この基地に、一基向かって来るようです!」

「何だと? いつ、ここに落ちて来る?」

「あと、十五分もあれば、第五惑星に届くものと思われます!」

 基地司令官は、苦渋の表情で考えていた。十五分では、緊急用のシャトルを飛ばすのが精一杯だった。

「基地は捨てる。直ちに、我々はシャトル格納庫に向かう!」

「イスガルマン人の作業員は、どうしますか!?」

「もう、大勢の人間を逃がす暇は無い。混乱するだけだ、伝える必要は無い。ここに居る司令室の兵だけで行くぞ! 急げ!」

 その時、立ち上がり掛けたレーダー手は、新たな発見をしていた。

「これは……! 第五惑星に、地球艦隊が来ます! 艦影、約二十隻!」

「地球艦隊だと?」

「本星防衛艦隊のグスタフ司令長官から、通信です!」

 この通信に出てしまうと、逃げる時間がほぼ無くなってしまう。しかし、北部方面軍の総司令官であるグスタフの命令を聞かずに逃げたとなれば、敵前逃亡で極刑は免れない。

 基地司令官の男は、真っ青な顔をして、大急ぎで言った。

「すぐ繋げ! 我々には時間が無い!」

「繋ぎます!」

 司令室のスクリーンには、グスタフ中将が直々に映っていた。基地司令官は、青ざめた表情で、早口に言った。

「ちょ、長官! この基地に、あれが落ちて来ます! 直ちに脱出しなければなりません! じ、時間がありません!」

 グスタフ中将は、手振りで落ち着くようにと促していた。

「聞きたまえ。地球艦隊が、人工太陽爆弾の撃墜を支援してくれる事になった。君たちは、超長距離レーダーネットワークの情報を、地球艦隊にリンクし、第五惑星周辺に近づく人工太陽爆弾の位置を伝達するのだ。君たちが、そこを離れるという事は、本星に飛来する爆弾を止められないと言う事だ。言っている意味が分かるな?」

 基地司令官は震え上がった。グスタフの言っている事は、逃げたら極刑だという意味だ。

「しょ、承知しました! 直ちに地球艦隊に、レーダーをリンクします!」

 グスタフは、重々しく頷いた。

「宜しい」

 通信回線は、そこで切れスクリーンには、何も映らなくなった。

「い、急いで地球艦隊に連絡を取れ!」

 

 第三艦隊の旗艦、主力戦艦ナガトに乗る大村耕作は、自身を含む、主力戦艦五隻に対して、拡散波動砲の発射準備を命じていた。

「艦長、波動砲の発射準備は完了しています」

「ガルマン帝国第五惑星基地から、超長距離レーダーのリンク、完了しています! 十五基の人工太陽爆弾をレーダーで探知しました。拡散波動砲の照準システムに情報伝達!」

「一基、第五惑星への落下コースに入っています。目標の落下まで、あと五分!」

 大村は、軍帽を被り直すと、戦術長に指示をした。

「拡散波動砲の照準を、第五惑星に落下する人工太陽爆弾に合わせ! 拡散開始座標を、その少し先にセットし、更に後方の複数の人工太陽爆弾を撃破する!」

「了解! 目標を、第五惑星に落下する人工太陽爆弾に設定します!」

 大村は、通信マイクを掴むと、他の主力戦艦に連絡を入れた。

「各艦、一艦づつ交代で波動砲を撃つ。それぞれ、発射用意を整え、出番を待て! 発砲後は、直ちに後方に下がり、次の艦の射撃位置から離れること。続いて、次の波動砲の発射準備をしておけ! これより、作戦行動を開始する!」

 その後、ナガトは、ゆっくりと射撃位置に移動し、目標を正面に捉えていた。

「目標、第五惑星到達まで、あと三分!」

 艦内は、波動砲のエネルギーが限界まで充填される音が響いている。

「耐ショック、耐閃光防御! カウントダウン開始! 五、四、三、二、一、拡散波動砲、発射!」

 ナガトの波動砲口から、眩しい輝きが煌めくと、強大なエネルギーが、前方に向けて発射された。

 波動砲の光跡は、真っ直ぐに第五惑星に落下する人工太陽爆弾を捉えると、一瞬でそれを蒸発させた。そのまま、波動砲のエネルギーは更に進み、突然、傘を広げた様に広がった。細かな細い線の束となった波動砲のエネルギーは、後方を飛来していた人工太陽爆弾に次々に命中した。

 その多数の光の束は、まるで何も遮る物が無いかの様に、人工太陽爆弾に貫通し、その場で次々に大爆発を起こさせた。その輝きは、ナガトを明るく照らしていた。

「人工太陽爆弾は、全て消滅! 続いて、新たな人工太陽爆弾を探知!」

 大村は、満足げに艦内の乗組員に言った。

「良くやった。本艦は、後方に下がり、次の発射に備えるぞ」

 

 同じ様に、第四艦隊の井上も、飛来する人工太陽爆弾の撃破に勤しんだ。

 それ以外の方角から飛来する人工太陽爆弾は、ガルマン帝国本星から打ち上げられた惑星破壊プロトンミサイルによって、次々に撃墜されて行った。

 こうして、人工太陽爆弾による攻撃は、数時間もの間続いた。

 

 ようやく、人工太陽爆弾の飛来が終わり、大型空母バーニアスに居たキーリング参謀長官とグスタフ中将は、ほっと胸を撫で下ろしていた。

「やっと終わりましたね……」

 キーリングは、頭を抱えていた。

「惑星破壊プロトンミサイルの残存数はどうなっている?」

 グスタフ中将は、頭を振った。

「総数、百基以下となってしまいました……」

 キーリングは、作戦指揮所のテーブルに拳を下ろした。

「ガトランティスめ! これでは、多数の白色彗星や、ゴルバに襲われたら、本星を守ることが困難だ……!」

 キーリングは、益々、地球艦隊に頼らざるを得ない事に、苛立ちを隠さなかった。

「……だが。これで、いよいよ、奴らの本隊がやって来るだろう。我々には、敗北は許されない!」

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開、または公開を予定しています。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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